7、元彼へInstagramのDMを送…
お久しぶりです。
蓬莱日美です、おぼえてますか?
突然DMを送ってしまってごめんなさい。
通りかかった素敵なお花屋さんのインスタグラムに
ワークショップの投稿があり、
そこで卜田さんの名前を目にしました。
本当に驚きました。
卜田さん、フラワーコーディネーターになったのですね!
しかもワークショップの講師をするなんて。
図々しくも昔の呼び方で呼んでもいいですか?
しんちゃんすごい!!
そのお花屋さんのインスタから、
しんちゃんのインスタにたどり着きました。
お子さん産まれたんだね。
おめでとうございます。
ってか結婚してたんだね!
しんちゃんのインスタを見て(勝手にごめん)、
そういえばお花屋さんで働きたいと言ってたことや、
しんちゃんがよく着ていた服
(グレーにブルーの横縞入ってるハイネックのやつ)
などがむくむくとよみがえってきて、
しばらく放心状態になってしまいました。
最後ああいう別れ方になってしまったから、
私はずっと気にしていました。
でも、しんちゃんはきっと私のことを
思い出すこともなかったんだろうなと、
気にしてるなんて余計なお世話だったんだなと、
幸せそうな写真たちを見て思いました。
あれから私は東京に行き、今も東京にいます。
仕事で東京に来るこ
……あ、もしかして「エナジーエッセンス」ってみたまさんが売ってるのかな?
「エナジーエッセンス みたま」で検索すると、「みたまの部屋」というブログが出てきた。
やっぱりね、商売の案内だったわけね。
って、あっぶないあぶない、なに私昔の彼氏のインスタにDMなんか送ろうとしてるんだろう。
ふと思い出したみたまさんに、ある意味感謝だわ。
素敵なお花屋さんの前になんか通りかかってないし。
思いっきり「卜田信吾」で検索したんだし。
そしたら彼が講師を務めるワークショップが出てきたのだ。
そのワークショップの投稿に講師としてお礼のコメントをしていた彼のインスタにたどり着き、よせばいいのに全投稿を私は見た。
なにフラワーコーディネーターって!?
そんなお洒落な職業!?
私と付き合ってた時は、大学を中退して配送屋の仕分けしてたじゃない!?
投稿の中には赤ちゃんの写真があり、結婚七年目で妊活して赤ちゃんが生まれたという文章を見たとき、私は凍りついた。
お互い学生時代から付き合い始め、大学を中退しアルバイト生活をしていた彼に、就職して色んな大人たちと交流した私は物足りなさを感じ始め、いつしか恋心が無くなってしまった。
六年付き合って別れる時、号泣する彼を冷たく捨て去った罪悪感がいつまでも消えず、その後何年も私に恋人ができないのは、彼の呪いじゃないかと何度も思った。
が、呪うどころか、彼は生命をつないでいた。
私が自分のことでピイピイ言っている間に、人の親になっていた。
しかも結婚相手は私より若い…(そこまでインスタを読み込んだ)。
妻の誕生日を祝う投稿もある。
「真純、これからもよろしく」だと?
昔、お前の家のテレビ買ってあげたよな?
家賃払ってやったときもあったよな?
飲みに行った帰りのコンビニで、店前にたむろす若者たちにからんで、ボッコボコに殴られるお前を助けに行ったよな?
なんで私と付き合ってた時はあんなダメ男だったのに、そんなステキな旦那さまになってんだよっ!
……その奥さんがそうさせたんだね。
あんな冷たい別れ方をしてごめんね。
いつも心にひっかかっていたんだよ。
今でもあの時のあなたの気持ちを考えると胸が痛い。
でも私よりそんなに幸せになる必要はないのに…
もしあの時別れずにいたら、私はあなたの子どもを産んでいたのかなあ…
東京で一人ぼっちで変な発作になりながらつまらない仕事をすることもなかったのかなあ……
よくわからない感情で涙を流しながら「みたまの部屋」を開いた。
記事は一つだけしかなかった。
「エナジーエッセンスの作り方」
自分で作るのか。