4、尻子玉を抜かれていた頃~1~
~小川のせせらぎ音、鳥の鳴き声、静かなシタール演奏の音~
ヴォイスシャンバラにお電話いただき、ありがとうございます。
あなたの会員ナンバーを押してください。
―0・2・8・5
ホウライ、様、お電話ありがとうございます。
カウンセラーみたま、の15分トライアルコースをご予約いただいております。
このままおつなぎする場合は1を、変更する場合は9を押してください。
―1
プルルルルル…プルルルルルル
「はい、ヴォイスシャンバラみたまです。ホウライ様、お電話ありがとうございます」
―あ、ほ、ホウライです…
「ホウライ様、ヴォイスシャンバラのご利用は初めてですね。15分でお電話切れてしまいますので、手短にいきます」
―は、はいっ
「相談内容、読みました。今、その動悸と息切れが来ている状態ですか?」
―あ、はい、いや、今仕事の途中で、外に足りないコーヒーを買いに来て…それで、会社に戻らないといけないんですけど、涙が…なぜか涙が止まらないんです…
「ホウライさん、率直に言います。私はあまりこういうのは言わないけど、時間もないし、ちょっと言わずにおれない感じなんで、言いますね」
―…はい
「あなたね、声がね、もう力がない。全然ない。尻子玉をどこかで抜かれてます」
―シリ?…コダマ…?
「はい、尻子玉を抜かれています。まず、それを取り戻しましょう」
―取り戻す?どこにあるんですか?
「龍のところです。でも逆に良かったのかもしれない。龍のところで磨かれるから、それを取り戻したら最強になれますよ」
―すみません、言ってる意味がちょっとわからないんですが。
「あのね、河童があなたの尻子玉を抜いて、龍の元に持ってったんです。河童、龍ってこっちではそう呼んで、実際形もそんな感じのがありますが、そういう現象があるんです。でも大丈夫。一緒に探して取り戻しましょう」
意味がわからない。
いや、意味がわからない。