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あの頃も、今日も  作者: 満月仔鳥
3/22

3、大行列行進で脳回転していた頃

東京にきて初めて働いていたフィットネスジムの会社は、サブプライムローン問題の煽りで(たぶん)、困難な状況に陥り(たぶん)、一斉派遣切りを行った。

サブプライムローン問題で電気代ガス代などが上がり(たしか)、それは経営する全国の各店舗に影響した。

まず本社内のウォーターサーバーが撤去され、社員が店舗に異動になり、と締め上げ始め、一斉派遣切りにまで至った。


その頃、例のアレは半年に一度顔を見せる程度の社外取締役顧問のようなものだった。

いや、知らない。社外取締役はもっと顔を見せるのかもしれない。


悪化したのは、その次に働いた派遣先のときだ。

嫌な予感はしていた。

出勤初日、電車を降りて会社にたどり着くまでが大行列行進なことに衝撃を受けていた。


ひいいいい……なんだこのゾンビ大行列は!?

……しかしこの大行列に加わらなければ、会社には辿りつけない…。


意を決して大行列に参加し、戸惑いながらもなんとかついていっていた。

途中にスタバがあるので、コーヒー片手に行進している強者も結構いる。

よくそんな余裕あるな…と小さな橋を渡っている最中、急に頭の中がぐるんっと回転した。

驚いて立ち止まり、行進を乱してしまった。

ぐるんっぐるんぐ~るんぐ~るん…と回転しだし止まらない。

しばらく橋の欄干にもたれてやり過ごし、その時はそれで治まったが、その後約一年間、出勤時は毎朝脳回転するようになった。


その会社は限りなく公的機関に近い民間企業で、こういう会社が官庁からの天下り先なのか?と密かに思っていた。実際は知らない。

自社ビルの外観も、社内も全体的に鼠色。

人があまり来ない上階に緊急時に使う電話があるような会社だった。

詳しくは言えない。

その電話はいわゆる黒電話で、まん中のダイヤルがない。

たしか電話を取れば必要なところに直通で通じるのだったと思う。

それが何台も並んでいる不気味な光景を未だにおぼえている。


私はある部署に配属された。

詳しい部署名は関係ないのだ。

なぜならそこでの私の仕事は、毎日大量に消費されていくコピー機の用紙補給、大量に発生する廃棄用紙を地下倉庫へ運ぶ、ミーティング時や来客時に飲む缶コーヒーの注文、年一回近所の神社で執り行われる初詣への上司とお偉いさんたちの時間調整……それくらいしか思い出せない。


フィットネスジムの会社は華やかだったのだ…と実感していた。

同世代の気になる人や可愛い年下男子や、ちょっかい出してくる既婚者もいた。

派遣仲間もキラキラしていた。

しかしここにはそういうものは一切なかった。

おじさん社員も若い男子社員もこの会社に馴染んでいた。悪い意味で。

女子社員はなぜか派遣社員を目の仇にしていて、同期の社員といつもつるんでいた。

(ここに限らず、社員というものはなぜあんなに同期、同期とうるさいのか)

他の派遣社員との交流はない会社だった。


それならそれで、仕事が楽しければいいのだが、いかんせんコピー用紙と缶コーヒーに毎日振り回されていた。

毎朝脳回転出社をしながら。

この鼠色の日々はかなり堪えた。

以前は、ふとした時に襲ってきてたアレが、月イチ、週イチペースでやってきていた。

以前のように現状をふり返るというインサートなしに、ダイレクトに来ていた。


そのころ、ネットで電話コーチングサービスを見つけたのだった。


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