13、花曼荼羅の儀式
やった。
やっちまった。
作っちまった。
エナジーエッセンスとやらを。
変えたくて、人生を。
神社で御神水を容器に入れ、まだまだ喋りたそうなおばあさんを振り切って帰った。
みたまさんのブログの【エナジーエッセンスの作り方】をまた見てみると、「新月の日に花を買う」とあった。次の新月まで一週間ほどあった。もう最初からめんどくさい。
けれども、ここでやめないで、めんどくさがらないで、一週間待ち、花を買った。
商店街から一本道を外れたところにある小さなカフェの隣の花屋さん。
店先にはもう様々な花の甘い香りと葉っぱの青々とした香りが放たれ、花に興味も知識もない私だけれど、心がふわりと和んだ。色とりどりの花を見るとときめいた。
花、すごい。すごいパワーの持ち主。
これは人間の心身に影響を与えるなあ、としみじみ実感しながら、八百円の小さなブーケを買った。
なにしろ無職なのでこの出費は大きい。しかし断腸の思いで購入した。
赤とピンクのバラ、薄紫のダリア、白のユリの小さな花束を部屋に二週間飾った。
なんとなく覚えている水切りをし、どうにかもたせていた花たちが茶色く変色し始めたころ、満月になった。
そうしろとはブログにはなかったけれど、まず部屋を掃除した。汚い部屋でやる作業ではない気がしたのだ。
テーブルの上に白いハンカチを敷き、その上に変色し始めた花びらと葉と萼を解体したもので花曼荼羅を作った。
バラとユリで規則的に円を作り、その間に葉と萼を置いた。ダリアは花びらが小さくて多いので、丸い小さな塊を作り、円の四方に置いた。
かなり手間暇かかる作業だったけれど、夢中になって作り、万華鏡のような美しい円が出来上がったときには、コチコチになっていた脳内のどこかが一気に弛んだ。
ぶはあああ。
この花曼荼羅の上で、あの御神水の容器を三周まわす、と。
神妙に、……一、……二、……三。
御神水を三周させた。
あああやったな。こんな怪しい作業を。作ったな、エナジーエッセンスを!
私はどっと疲れてしまい、花曼荼羅をそのままに、ベッドにもぐりこんだ。
そこから人生を変える旅が始まった。