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あの頃も、今日も  作者: 満月仔鳥
12/22

12、効かない神社

「そこ、効かないよ」

二礼二拍手の後、少し手のひらをずらした状態で熱心に祈りを込めていたとき、後ろから声がした。

思わず振り向くと、短いグレイヘアにテロンとした素材の半袖ブラウス、足首が出る丈の薄い色のズボンのおばあさんが、鳥居をぐくりこちらへ歩いてきている。

「へっ?」

「この神社、効かないんだってば」

腰は曲がってはいるが、細身で骨が硬そうな、芯がしっかりした足取りだ。

「ああ、そうですか……」

本屋でみたまさんの「どうかめんどうがらないで」という追記を見て、すぐに百均へ向かい小さなプラスチックの容器を買い、そこから一番近い神社へ来たのだ。エナジーエッセンスを作るために(…他人に言えない)。

しかし、この神社には湧き水、御神水はないようだったので、とりあえず参拝していたのだった。

「あんた、そんなごっついのにお水入れてくの?」

おばあさんは、私の肩から下げた袋に入っているボトルを見て言った。

黒目がちの、というか目いっぱいの黒目の小さな瞳がなぜか少女を思わせる、不思議なおばあさんだ。

なんでそんなに目がキラキラしているのだろう。

「ああ、これはスーパーでお水もらうためのやつです。…あ、え?ここ、御神水湧いてるんですか?」

「御神水って、そんなたいそうなもんじゃないよ。冷たい水が出てるってだけ」

「えっどこっ?」

おばあさんが私にシュッと手招きをするので、後についていった。

神社の横の階段を降りたところに、石と石の間から水が流れて、大きなくぼみのある石に水が溜まっている、石の洗面台のようなところがあった。〈御神水〉などの表記は一切ない。金柄杓が一本、そっけなく置かれてる。水に触ってみると確かにひんやり冷たい。

「そのごっついのに入れるの大変だよ」

とおばあさんがまたしても言うので、

「あ、いえ、これに入れます」

と、先ほど購入した小さなプラスチックの容器に御神水を入れた。すぐに水はいっぱいになった。



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