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七:四人目の「誰か」は四つ目の能力を使う

テスト終わってから堕落しつつあります、梨です。私を救ってくれるのは…学校と友達と二次世界です。うん、情けない。

「って、初対面の人にその言い方は無いと思うけど」


「あら、これでも私は貴族…。礼儀は(わきま)えているつもりです。それに、あなたのその言い方もどうかと思いますわ」


「は?俺は別に普通だ」


「少し頭がお悪いようで…。薬湯(ちりょう)が必要ではなくて?」


「はあ⁉︎」


…ただいま、二人の男女の喧嘩を見物中です。華凛は観客席の観客(ギャラリー)気分で山吹と永夜の言い合いを見ていた。


(えっと…。どうしてこうなった…?)


状況を整理するとこうなる。山吹がいきなり永夜を指差して華凛に何者かを尋ねると、喧嘩っ早い永夜は単刀直入な山吹の言い方に反応した。…考えてみれば、これだけである。


(流石にそろそろ止めないと山吹もキレそうかな…。あの人刀持ってるし危ないからね。まあ、ほっといても面白そうだけど)


華凛は呑気に考えながら、二人の間に割って入った。


「はいはい、そこまでね。これ以上やるとお互いの命が危険だから」


まだ息の荒い永夜を差し置いて、華凛が山吹に問う。


「山吹…大丈夫?あの件があったからしばらく距離を置こうと思ってたんだけど、色々あって戻ってきちゃって…」


「ええ。蒼華は破門しました。これは当然…。ところで、あの品のなってない男は誰?」


「えっ、品なってないって…」


華凛は苦笑しながら紹介した。


「私の幼馴染の望月永夜。口は悪いけど本当はいい人だから、許してあげて」


山吹はしばらく考えこみ、永夜を値踏みするように見た。


「…まあ、華凛がそう言うんだったら、間違いはなさそうね。いいわ、歓迎してあげる。食事を用意させるから待っていて」


貴族の女御たるもの喧嘩相手でももてなしをしてやるのが礼儀だと思ったのか否か、山吹は開いた口がふさがらない女房たちに声をかけ、すぐに食事の用意をするよう命じた。彼女たちは、突然現れた風変わりな格好の二人について囁きあいながらそそくさと邸に戻っていった。


「…?」


一瞬にして静かになった庭に、山吹たち以外に残っているものがいる。それに気づいた華凛が、山吹に聞く。


「あの人は…?」


その声が聞こえたのか、彼が振り向いた。高貴な雰囲気漂う佇まいに、整った顔立ち。極め付けは、手に持った和風の笛。そう。彼は、先ほどまで山吹の舞に合わせて笛を吹いていた男性だった。年齢は山吹や華凛、永夜とほとんど同じように見える。彼は軽く会釈をし、突然の来訪者に驚いた様子もなく自己紹介を始めた。


「私は河川(かせん)儺光(なれみつ)。ここにいる山吹の義理の血縁者でもあります。身分は東宮で、この山吹邸の隣に住んでます」


次いで、華凛と永夜も自己紹介をする。


「私は香樹華凛。ええと…信じてもらえないかもしれないけれど、時間を操ることができるよ」


「俺は望月永夜だ。華凛のように、生き物を操ることができる」


信じられない話を聞いたはずなのに、儺光はにこにこしていた。


「別に信じられないことではありません。山吹は自然一切の力を操れますし…」


山吹のことから、彼は声をひそめた。


「僕も、ある力を使えますから」

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