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四;また会いましょう

テスト週間です。もう死にそう。現実逃避してたらいつの間にかボカロ廃になっておりました。

ついでに山吹の絵も描いてみましたが…下手です。

「未来は分からないわ。だからこそ楽しいんじゃないかと思っていたけど…」


自動車のことについて質問を重ねた山吹は低薔薇に飛び乗り、華凛にも水蒸気の馬に乗るよう促した。


「知っても楽しいことってあるのね。未来はきっと、便利な世界なんでしょう。さあ、ついてきて」


「あ、ちょっと待って…」


華凛は馬に乗るのに試行錯誤した挙句、走り出そうとする山吹を呼び止めた。


「突然だけど、夜、またここに来よ。もしかしたら…あなたにとって、必要なことが起こるかもしれないから」


華凛は『華部屋』と書かれた建物を一瞬睨み、山吹に出発してもいいと言った。


「…変な人ね。どうして今、はっきり言ってくれないの?」


山吹は曖昧にしか言ってくれない華凛に首をひねり、低薔薇をかった。華凛の馬もあとに続く。…慣れていない華凛が酔って顔を歪めていることに、山吹は気づかなかった。



裏道を通り、綺麗な川の淵を過ぎて、二人はとある小屋にいた。竹林の中にあるが、真昼の陽光が差し込んでいてろうそくを付けなくても明るい。


「ここは…?」


ひいひい言いながら辿り着いた華凛は、その不思議な小屋に目を見張った。


「この小屋は私が作ったの。宮中での暮らしは窮屈だから、たまにここに来るのよ。ちゃんと暮らせるように必要なものは全部揃ってる」


「そうなんだ…」


山吹は低薔薇を撫でたあと、二匹の馬を小屋の外に繋いだ。水蒸気の馬を繋ぐときに言う。


「華凛がこの時代に来たら、この馬を使えばいいわね。結構懐いたみたいだし…。名前を決めてくれる?」


山吹の感情の無い目が、華凛の目に映り込んだ。


「名前…ねえ…」


華凛はしばらく悩んだあと、ひらめいたように言った。


「じゃあ、豆高(まこう)にするね。これでいいと思う、豆高?」


豆高と名付けられたこの名馬は、それに答えるように体を震わせ、華凛の頬を舐めた。辺りに水蒸気が飛び散る。


「…華凛がこの時代に来たら、ここで寝泊まりしてね。道は覚えたでしょうから…。私は十六夜の日にしか外に出れないの。だから、それ以外の日に用事があるなら、そこにある服に着替えて…」


山吹はそばに置いてあった着物を指差し、次にその隣にあった本を指差した。


「その本を持ってうちに来てね。それは、門を通してもらうのに必要なの。私の邸は都の中で二番目に大きい屋敷だから、すぐにわかると思うわ」


華凛が本を手にとって眺めていると、山吹が言った。


「今伝えたこと、忘れないでね。そろそろ私は帰らないと大変だから…」


そのまま小屋の外に出て、低薔薇に飛び乗る。


「…今宵、また会いましょう」


挿絵(By みてみん)




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