参:未来を知る者
最近ボカロ廃、梨です。ア○キスーパーに行って、アイスクリーム売り場を見ればあのお兄さん、日本酒を見ればあのお姉さん、ネギを見ればあの女、バナナとみかんを見ればあの二人、ナスを見ればあの男を思い出しています。全部わかる人はいますかね?
駄文すみません。それでは本編をどうぞ〜。
「あなた、自然の力を操れるんでしょ?その剣を使って」
山吹は、怪しまれない程度にこの少女から離れた。
「なぜ、そう思うの?剣なんて、どこにもないじゃない」
冷静を保って言い、こっそりと服の内側に神経を集中させる。かくして、剣はまだそこにあった。この人には見えないはずなのに、どうして…?
「未来は決まっているもん」
少女は口に指を当てて言った。
「あなたが名前を明かしてくれることも、私とあなたが協力しあうことも、すべて決まっている。ああ、そう考えると、さっき『あなた、誰なの?』なんて聞く必要無かったよね。…私には未来が見えるんだから」
「はあ⁉︎」
さらりと言って退けた少女に、山吹は驚きの声をあげた。未来が見えるなんてこと、ありえない。それに、自分と彼女が協力しあうとか言った戯言も、信じられない。彼女の言葉の真偽を確かめるには……
「いいわ」
山吹は姿勢を正した。
「私があなたに名前を明かすことが見えているのなら、私の名前が分かるはず。言ってみせなさい」
少女はふわりと微笑んだ。
「そうすると…あなたが名前を明かすという未来が、私があなたの名前を当てるというものにすり替わってしまう。まあ、こんな小さなことならいいんだけど…」
そう言って片目を閉じ、山吹の顔をじっと見つめる。
「あなたの名前は…山吹だね。ついでを言うと、従者の名前は蒼華、愛馬の名前は低薔薇…」
ここまで言うと、少女は何も言えない山吹に聞いた。
「私の名前も明かすべきだよね?」
山吹が頷いたので、少女は自己紹介を始めた。
「私の名前は華凛。未来を見るだけではなくて、過去、現在のすべても見れるよ。あと、時間を操ることも出来る、便利な能力。あ、そうだ。これも言っておかないと。山吹は、私がどこから来たか分かる?」
山吹は首を振った。
「私は、この時代よりもずっとあとの、平成という時代から来たの。で、今回は散歩がてらこの時代に来てみたんだけど…」
華凛はくすくす笑った。
「歴史の教科書は間違っているのかな?まさか十二単を着ていないとはね。それに、普通に外を出歩く貴族女性なんて聞いたことないし…」
山吹は、いつの間にかこの不思議な少女に心を許していた。
「私は他の人とは違うの。帰れば、普通の暮らしが見れるわよ」
それを聞いた華凛は考え込んだ。
「あなたはともかく、私みたいに未来の格好をしていたら、怪しまれるでしょ?やめたほうがいいと思うよ。…その時が来るまで」
「…その時?」
山吹が聞き返しても、華凛からは曖昧な答えしか返ってこない。
「気にしないで。ちなみに、この服はワンピースって言うのよ。見たことないでしょ」
話を逸らしたことを感じた山吹は、ふと思い立って剣を取り出した。
「あなたの力を見せてもらったから、私の能力も見せるわ。水の力を使ってみるわね。私の館に帰る前に、少し休みたいでしょう」
目を閉じて剣を振ると、低薔薇とそっくりな馬が一頭現れた。小さな水の粒で出来ているが、触ると実体があってひんやりしている。華凛は感嘆の声をあげた。
「水蒸気で出来た馬⁉︎素敵!」
山吹は首をひねった。
「すいじょう…き?」
「未来では、こういう小さな水の粒のことを水蒸気って言うの。ところで、私はこれに乗るの?」
「そういうことなのね…。ええと、そうよ。それに乗ってね。私しか知らない場所があるから、そこで休みましょう。いくら未来といえども、馬に乗ったことはあるでしょう?」
華凛は手を振って苦笑した。
「いえいえ、無いよ。自動車っていう乗り物があるから…」
「もしかして、牛が引いているの?」
「…らちがあかないね」
閲覧ありがとうございました!今回は、レンきゅんなう!を聞きながら頑張ってました。