十:疑い
もう結局恋愛入れることにしました。友達が入れて欲しいと…
ヤンデレ要素もありにする予定。
「そうそう。例えて言うと、水が一杯のところに、もう一杯追加、みたいな。そうすると二杯になるでしょう?」
「ほら、また漢字間違えてる。難しい字は使わなくていいんだよ。こうやって書いて…これで蒸散って読む。…あ、合ってる合ってる。じゃあ次は根圧の単元な」
何故か永夜と山吹のレベルが高い、学習タイム。華凛と儺光が進めている勉強が小学校一年生の算数。永夜と山吹が進めているのが中学校一年生の理科。まあ、山吹の頭は超人的なつくりになっているので、ここまで進んでもおかしくはないが。結局、その日は山吹が高速で勉強を進め、お開きということになってしまった。
「…一日で七年分の勉強終わらせるやつなんて、初めて見た」
「えーっと…儺光はもう少し頑張ろうね。一年分は終わったから!算数は!あ、でも、儺光の頭もすごいつくりだと思うよ?だって一年分を一日で終わらせちゃうし…一教科だけど…」
「私にとってはあまり大したことではないのだけれど。まあ、儺光の勉強が終わるまで大人しくしてるわ」
「…大丈夫です、努力しますから」
二人の貴族に別れを告げ平成に帰ってくると、空はもう真っ赤に染まっていた。家に帰るのが少し気の進まなかった華凛は、永夜を例の公園に連れてきた。並んで鉄棒にもたれ、黙ったまま永夜の能力を見物している。
最初は普通に飛んでいたスズメ、そこから小さな犬、そしてお得意の光輝く蝶。次々と姿の変わっていく小鳥を元に戻し、空に放してやる。華凛がそれを見ても何も言わないのを確認した永夜が沈黙を破った。
「あの、さ」
「…ん?」
「華凛ってあいつらのことをどう思ってんの?」
「何?改まって言うことでもないでしょ。あの二人はいい友達…分かってるくせに」
「ふーん…」
永夜はしばらく考え込むような目つきで夕焼けを見たあと、鉄棒から体を離した。
「俺、もう帰るから」
それだけ言って若干早足に帰っていった彼を、華凛は何も言わずに見つめていた。…否、一言だけ呟いた。
「お願いだから、狂わないで…」
次の日、華凛は躊躇いながら、永夜にメールを打っていた。今日はあの二人に会うつもりはない。ただ、少しだけ会って話したかった。
『今日は、山吹たちに会わないよ。二人でどっか出かけない?』
『ごめん。体調悪いから無理』
十分間はらはらしながら待った返事は、そっけないものだった。やっぱり、未来は変えられない。
(体調不良なんかじゃないなんて、分かってるんだから…。まあ、しょうがないかな。じゃあ…)
自分の部屋の中に閉じこもり、机に向かう。二つ並んで付いている引き出しの一つを開け、奥の方からくしゃくしゃのメモを取り出した。
『絶対に調べること→自分たちの能力の根源・仕組み』
シャーペンの書きなぐった字で、そう書いてあった。
閲覧ありがとうございました‼︎
追記:私が指名した友達、先生は、他の作品を見ないでください。