15話
「それで、次は一体何のようですか?」
俺は先輩に向かって
とても嫌そうにそう言った
何せ俺の憩いの場を邪魔されたのだから
「まあまあ、そんなに怒らないで」
なだめるように先輩は言った
いくら尊敬する先輩でも
負け組の俺が唯一勝ち組(笑)でいられるここを
邪魔されたくない
早くかえってもらうためにさっさと話を終わらせることにした
「それで、一体何ですか?」
俺がそう聞くと先輩は急に真面目な雰囲気になった
「魔神がこの世界に侵入してきた」
魔神、そう言えば神様からの手紙に書いてあった
だが、俺は魔神のことなど抜けた髪の毛位にしか考えてなかった
――あれ?剥げてる人にとっては大問題じゃね?
そうだ、髪の毛は人によって意識が違う
中年のオッサン何かは髪の毛が抜けると自殺するって
そんなことをばあちゃんが行っていたような…
「おーい、太刀くーん」
俺がへんに考えを膨らませていると
先輩が呼んできた
「何ですか?」
「まーあ、その魔神だけどね、神様をぶった押しちゃったんだよ」
「は!?」
一体どう言うことだ
神様がやられた?
「魔神も元は神だからね」
「成る程」
「そんでもって、君にはその魔神を倒してもらう」
「はぁ!?なに言ってるんですか」
「当たり前だろ、残念ながら、俺は神様が回復するまで仕事があるんだ」
「でも、俺なんかが」
「大丈夫だ、お前は俺の弟子だろ?」
「そうですね、わかりました」
そして、俺は魔神と戦うことにした
あのあと、すぐに家に帰った
「こんな感じかな?」
俺は部屋で遺書を書いていた
今回の戦いは死ぬ可能性が高い
だから、俺は遺書に異世界から帰った時にもらったお金のことや
自分の私物のことを書いた
あまり遺書を書く事には抵抗はなかった
異世界ではこんなことは何度もあった
今更過ぎる
そういえば、オレが異世界に行った理由は、一つは神様に俺が言ったからで
もう一つは、どうやら神様同士の付き合いで
人をたまたま送ることになったらしい
実は別に死んでも生き返らせてもらえたというのは先に行言って欲しかった
~文化祭の日~
先輩によると今日、魔神が来るらしい
「全く、なぜにこんな日に」
一応、魔神は人に取り憑かなければ
この世界では行動できないらしい
「案外、国光あたりに憑り付いているかもしれないな」
そんなことを考えていた
「太刀さーん、朝ですよ!」
「おお、わかった」
俺は、フアに呼ばれて制服に着替え、リビングに降りた
「おはよー、お兄ちゃん」
「……おはよう」
小雪とクルアは先に起きていた
「おう、おはよう」
ちなみに、今日魔神が来るというこは
俺とフアしかこの中では知らない
「お兄ちゃん、今日の文化祭私も行くからね!」
「そうか、気をつけてこいよ」
クラスでの出し物はろくな出し物ができない
だから、みんな部活での出し物には気合が入っている
「太刀さん、そろそろ時間です」
のんきに朝ごはんを食べていたおれはフアに言われ
急いで朝ごはんのパンを口に突っ込んだ
~文化祭~
午前中はクラスの出し物と演奏会などのステージでの発表である
俺は先輩と合流した
「やあ、太刀くん、楽しんでるかい」
「午前中は、ろくなもん無いですよ、まあ、そこらへんのリア充を睨んでるくらいですかね」
「ははは、なかなかいい趣味じゃないか、さすが我が弟子」
俺と先輩は笑っていた
が、先輩はいきなり真顔になった
「いいか、今回は生き返らせてもらえないし、死んだ人も生き返らない」
「わかってます、絶対に誰も死なせません」
「そうか、ならいい」
そう言って、先輩は去っていった
~文化祭・午後~
俺は部室に行く途中、国光に出会った
そして、文化祭の夜の部に屋上に来るよう言われた
…お前、ホモかよぉ
~部室~
俺はウェイトレスに着替えさせられた
ちなみに、フア、クルア、魔王、全員メイド服だ
なんだろう、ここは天国か?
喫茶店は大盛況だった
フア達は相変わらず男女関係なく大人気だった
何故か知らんが俺も妙に写真を撮られたり
なんか女子にきゃーきゃー言われた
なんだ?そこまでキモかったか
~文化祭・夜の部~
俺は屋上にいた、先輩は周りの安全のために防護壁の結界を張ってくれている
そして、入口から国光がやってきた
「よう、太刀こないだはよくもやってくれたなぁ」
「おう、どうしたそんな真っ黒なオーラ出して」
国光からは異様なまでのオーラが出ている、しかも、ものすごくどす黒い
間違いない、こいつに魔神が取り憑いている
「今回は、お前に仕返しをするために俺は魔神と契約したのさ!」
本当に嫌な予感は的中するもんだ
「そう、それはお前にやられた「あー、回想とかめんどいんでいいです」あ、はい」
回想とかマジめんどい
「そんじゃ、さっさと決着つけようやぁ!」
国光は剣を異次元から取り出し
襲いかかってきた
俺は急いで剣を作り出した
ガン!
鈍い音がする
腕に剣がぶつかった感触が電流のように伝わってくる
そこからは、もう二人だけだが戦争だった
お互いボロボロになり魔力もほとんどお互い残ってなかった
「くそ!そろそろ倒れろよ!」
「魔神の力はそんな弱くねぇ!」
いきなり、国光に異変が起きた
国光は黒いオーラに飲み込まれた
「な、一体何が起こっている!」
国光は慌てていた
自分でも何が起きているのかわからない状態らしい
すると、地獄から響くような声が聞こえる
「使えないやつめ、もういい」
すると、国光は黒いオーラを全身に纏い目は真っ赤に光っていた
「お前が魔神か!?」
「いかにも、悪いが貴様を私の新しい器にさせてもらう」
そう言って国光の姿をした魔神は俺に向かって手をかざし、
「エビル・オブ・ザ・ラスト」
魔法を放ってきた
ああ、俺はここで死ぬんだな
そう思い俺は
目をつぶった
しかし、なかなか来るはずの痛みが来ない
俺は目を開いた
するとそこにいたのは
スーツ姿の父と、母だった
「どうした太刀、お前はそんなもんなのか?」
「まだ行けるでしょ?太刀」
二人は防御魔法を放っていた
「なんで、二人共魔法が使えるんだ!?」
「まあ、俺ら昔、異世界に行って勇者やってたからな」
一体どういうことだよ
「太刀、いい、私たちはもう魔法をろくに使えない、一回だけ隙を作る」
「なんだかな、アニメみたいだ」
「まあ、そんなもんだ、そんな世界に足を踏み入れちまってるんだよ」
「ひでぇ話だな、んで?」
「まあ、お前ならわかると思うが、俺らはここで死ぬと思う」
「そうか、それで」
あんまりだ、やっぱりこの世界はどうなってもイージーモードにはならないみたいだ
「まぁ、簡単な話、やつに一発こいつを叩き込むだけよ」
俺は一本のナイフを渡された
柄の部分に装飾のついたナイフだった
「太刀、小雪のこと頼んだぞ」
「ああ」
「太刀、もうちょっとフアちゃんたちを気にかけなさいな」
「気にかけてるさ」
「わかってないのね」
「いずれ、わかるさ、太刀だって子供じゃない」
「そうね」
「準備はいいか太刀」
「ああ」
「行くわよ」
「ああ・・・・・今までありがとな」
そしてふたりは結界を解き拘束魔法を唱えた
「「チェイン・オブ・サクリファイス!!」」
「がぁぁぁぁぁ!!」
二人の魔法の鎖は魔神を自分と共に拘束した
「やれ!太刀!」
俺は、魔神の後ろに回り込みナイフを突き刺した
「ナイフだぁぁぁぁぁぁ」
俺は、魔神の背中にナイフを突き刺した
「がぁぁぁぁぁ」
魔神は叫び声をあげ爆発した
俺はその爆風に巻き込まれて頭を打ってしまった
しかし、そんなのは気にしないで
倒れている両親のもとに駆け寄った
「父さん!、母さん!、大丈夫か!」
二人のところに行くと父さんは頭から血を流して倒れていた
「太刀、よくやったわ、ホントいつでもバカやってばっかりなんだから」
「母さん!」
父の隣で倒れていた母がなんとか起き上がってきた
「あんた達をおいて死ぬのは残念だけど仕方ないのね」
「母さん!喋るな、きっとまだ助かる!」
「いや、いいのもう助からないから、だから最後に…がはっ!」
血の塊を吐き出した
「母さん!」
「とう…さん…と…わたしの…しんしつの…べっとのした…しらべて」
「かあさん!」
「最後に…みんなのこと…たのんだよ…なかせたら…だめよ……」
そう言って母は息を引き取った
そのまま、俺の意識は途切れた
起きたら、見知らぬ天井だった
「おきたかい、太刀くん」
声のする方を見た、そこには見知らぬ人がいた
「どうしたんだい、太刀くん、俺のことわすれちゃったの?葉弥師匠だぞ」
「あなたは、何言っているんですか?その前に僕は一体…誰?」
俺は、質問してみた、全く思い出せない
一体なぜ俺はここにいるんだ?思い出そうとすると、頭に激痛がはしった
「まさか、太刀くん、記憶が!」
「何も覚えていないないんです」
「そ、そんな!」
第一章 完
めんどくさいんで普通のあとがきにしました
第一章はこれで終わりです
第二章もかきますが、しばらく後になります
新しく葉弥を主人公とした物語を出しますので
そちらが進みしだい書く事にします
今後もぜひよろしくお願いします
誤字などありましたら報告お願いします
感想などもぜひ