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第3語り 政教分離は大切です

お姫様たちとの会合を済ませ現在は執務室

部下の魔族に現在の政治形態を聞いていた


「まぁ簡単に言えば神官が邪神様からのお告げを聞き、それに基づいて政治を行っていたんです。」


「前魔王や前々魔王は政治を行っていなかったのか?」


「はぁ、それが前魔王様は政治を手がける前に死亡してしまい、前々魔王様は『政治?めんどくせぇなぁ……適当にやっとけ!俺様はハーレムで楽しく過ごす!』と言って一切関与しませんでした。」



クズだ……

前魔王はともかく前々魔王はクズだ……


「ダメダメじゃん。前々魔王。」


カズミ、お前が魔王なら同じ事しそうだよ……


「そうか。わかった。とりあえず……」


「「「とりあえず?」」」


「改革だ!政教分離だ!!!こんな政治形態では魔族が滅ぶわ!」


「なんで?」


「いいかカズミ?もしも神官が自分の都合の良いようにお告げの言葉を発したらどうなる?」


「?」


「つまりな、権力を神官が独占し自分の思いのままに政治を行うんだよ。そうなると賄賂や不正が横行し国が腐る。」


「おぉ!なるほど!」


「カズミ絶対理解してないでしょ?」


「そ、そんな事、ななな無いぜ?」


セイトに図星を突かれ慌てるカズミ


そんな漫才を横目に俺はフウとコウと共に今後の方針を決める


「やっぱり神官をクビにして役人を雇うべきだと思うよ?」


「いきなりリストラかよ。クビにした神官はどうするんだ?」


「RPGで言う最初の洞窟とかにいるボスにする!」


「まぁ何でも良いよ………ともかく役人を雇う前に法律を制定しなきゃな」


「それもそっか。」


「じゃあ、まずは法律の制定、次に神官をクビにして役人を雇う。って感じだね。」


「とりあえず俺は法律の原案を作ろうと思う。」


「俺たちはどうするかな~」


「あ、みんなは……」


「「「遊んで来る!!」」」


いやオイ!

そう言ってみんなはどこかへと行ってしまった……

仕方がない、俺だけで考えるか……







~数時間後~



「つ、疲れた~……」

あの後結局あいつらは戻って来なかった


「たっく、どこほっつき歩いてるんだか……」


そんな事を呟いていると


コンコン…


執務室にノックの音が響いた


「(あいつらが帰ってきたのか?でもあいつらノックなんてしないだろうし……)」


そんな事を考えながらドアを開けると


「失礼します……」


「………え?」


アオイが入ってきた


「お疲れ様………」


そう言ってお盆に乗ったお茶を差し出してきた


「あ、あぁ、ありがとう。」


驚き半分喜び半分でお茶を手に取り飲むと……


「ブフゥーー!?辛っ!?辛い!?」


めっちゃ辛かった

まるで唐辛子でも入っているかのように

するとなにやらドアの向こうから


「(プハッ!クククク、アハハハ!)」

「(おい!あんま笑うな!)」

「(そうだそうだ!気付かれるだろ!)」

「(そう言うお前たちもうるさいよ!)」


上からカズミ、コウ、フウ、セイトの順でコソコソと話し声が聞こえてきた


「お~ま~え~ら~!!!」


「ヤバッ!バレた!」


「逃げろー!」


そして逃げていく仲間たち


「待ちやがれ!!ってうわっ!」

ドサッ!


追おうとするがご丁寧に入り口にロープを張ると言う古典的なトラップに引っかかり転んでしまった


「チクショー……」


落ち込んでいると


クイッ


なにやら袖を引っ張られた


「大丈夫……?」


そう言ってアオイは水を差し出してきてくれた

若干訝しんだ後水を飲んだ


「ゴクッゴクッ、ぷはー!」


どうやら今度は普通の水のようだ


「一応礼は言おう……ありがとう。」


「どういたしまして……一応言っておくけど今の悪戯は彼らが発案したものよ……」


だろうな……

てかあいつら以外やりそうな奴がいない

ましてアオイがそんな事するようには見えないし


改めて考えると上手い作戦だ

もしあいつらのうち誰かが持ってきていたら訝しんで飲まなかったと思うし

アオイに運ばせる事で警戒心を和らげる

そして罠を張り逃げる時間を稼ぐ

うん、見事だ


「だがしかし、とりあえず法律が1つ決まったな……」


「?」


「お茶に唐辛子を入れて出したらハバネロ入りのお茶を飲むこと!!!」


「………」


いやアオイ、そんな冷めた目で見ないでよ……


「あれだ!やられたら倍返しって感じだ!」


「……ハァ………」


溜め息吐かれた!?


「子供っぽい……」

グサッ!


「HAHAHA!何を言ってるんだい?アオイだって身長的には……」


「……(ギロッ!)」


「ゴメンナサイ!マジゴメンナサイ!謝るから!だからそんなビーム出そうな勢いで睨むの止めて!?」


「身長の事で馬鹿にしない?」


「しない!絶対しない!」


「ならよろしい。」


普段物静かなのに身長の事言うとめっちゃ怖いな……

あれ心臓弱い人なら死ぬぞ?

子供が漏らすレベルだぞ?


「にしても大人っぽいと思ったら意外とカワイイ所あんじゃん?」


「なっ!?」


「おぉ?顔を赤らめてますね。レアですね。」


「……(ギロッ!)」

また睨まれた

しかし今度は顔を赤らめているため


「フッ!そんな真っ赤な顔で睨まれても怖かねぇなぁ!むしろ可愛げがあるぜ?」


「~~~!!」


俺がアオイをからかって遊んでいるとアオイが部屋から出て行こうとした

しかし


「きゃっ!?」

ズテッ!


さっき俺が引っかかった罠にかかって転んだ

引っかかる側は悔しいけど見ている側は面白い


「~~~!!!」


アオイは更に顔を赤くして出て行った


「さて、遊んだ事だし。法律の根本的方針も思いついたし。休むかな。」


そして俺は食事も採らずに部屋と戻り眠りについた




執務室の机の上にある紙束

その表紙に書かれていたのは


『魔族法案・原案』


そしてその下に書かれていたのは


『基本方針:やられたら倍返し!(目には脳みそを、歯には頭蓋骨を、唐辛子入りのお茶にはハバネロ入りのお茶を!)』


と書かれていた……

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