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ある男の死の話

作者: 里緒



私が昨日死んだ話をしましょう。

7月の13日、その日は金曜日でなんとなく朝から不吉な感じがしていました。


天気は晴れ。

生前は雨男として有名でしたので、これはなんと珍しいこともあるものだと思い、

待ち合わせ場所に向かいました。



昨日は旧友である男と久しぶりにゴルフへ行く予定でございました。

あ、すみません、ケータイが……。

いきなりの死だったので受け入れられない者が多くて…こう見えて私、社長なんていうものをやっておりました。

まぁ、いちいち取っていてはキリがありませんので、話を続けましょう。


そいつはかなりのゴルフ好きで、若い頃はよく一緒に行ったものでした。

行こう行こうと催促の電話やメールが来ていたのですがなかなか暇がとれず…

昨日は久しぶりの再会でありました。


待ち合わせ場所に行くと、すでに友人は打ちっぱなしを始めておりました。

気の早い男なのです。私が悠長だとも言えますが。


それから日暮れまで私たちはゴルフを楽しみました。もうそろそろ切り上げようかというときに、頭に鈍痛を感じました。

振り返ると、旧友が血まみれのゴルフクラブを握りしめ、私を凝視しておりました。

旧友は私の鞄から財布やカードや貴金属を根こそぎ奪って逃げました。

風の噂で金に困っていることは知っていましたが…油断しておりました。

悠長な私、いつもは優しい社長としての取り柄でありましたが、まさかこれが仇になるとは……


最後に見たのは、旧友が私の腕から時計を引ったくる姿でした。

ちょうど短針は8を指していたと思います。


これが、昨日私が死んだ話でございます。

おやまたケータイが、


「今日の7時、絶対来いよ! お前とゴルフなんて何年ぶりだろうなぁ!楽しみだ!」


失礼、今日は………あ、今日が13日でしたか!これはうっかり…。


ではこれは、「私が今日死ぬ話」ですね。

うっかり間違えてしまいました。


私、ひょっとしたらせっかちなのかもしれませんね。



では今夜またお会いしましょう。



(天国某所にて。)

読んでいただいてありがとうございました。

死んだと思ってうっかり天国に来て話していたんですね。

神様も教えてあげればいいんですが。

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