5 夜の一幕
どうも!
色々感想等ありがとうございます
返信できてなくてすみません
とりあえず、今回で前書きとか書くのはやめようと思います
いつもすみませんでした
これからは活動報告のみにします
一応プロローグの書きなおしもう少ししたらあげるとおもいます
クライン家では、ピースフルに来てからの日課として毎日全員で風呂に入ることにしている。これは、ピースフルに来て最初の家族集会で賛成11、反対1票で決まった事だ。反対1はもちろんベルで、自分はもう実際の年齢が25、6になるから無理と断固反対の姿勢だった。しかし、ミーナを含めた女性陣が今更何を言ってるんだ、と言う雰囲気になり、見られても気にしないから大丈夫!、と声を揃えて言われたのだ。その後も、時間制にすればいいなど、色々なアイディアを出して応戦したものの、ことごとく反論をくらいそれ以上反論出来ずに終わってしまった。
この1年、殆ど毎日家族で風呂に入ってきて昔に比べて慣れたもののまだ意識しているベルなのであった。
夕食を食べ終わったクライン家の面々は、各自の部屋に戻り着替えを取りに行った後、一階にある浴室に集まった。
クライン家の新しい風呂場は、前みたいなスペースはないものの、地球で言う旅館やゴルフ場の浴室くらいの大きさはあり、全員が入っても足を伸ばせる位の広さはある浴槽やベル、フェイが創った果実の香りがするシャンプーや石鹸などが置かれた7ヶ所のシャワーがある。。
今日も、いつものようにベルにとっての地獄が始まるのだ。
「じゃあ、俺いちばーん!」
「いや、俺が1番だ!」
最初に着替えを持ってきたトビアスとシュレーダーが手に手拭いを持って競争しながら浴槽に飛び込む。
「ちょっと! お風呂に入る前に身体を洗いなさいって母さんに言われてるでしょ!!」
「そうよ! それに、2人共今日は実習ばっかりだったから余計に汚れてるでしょ! 早く出なさい!!」
その2人に遅れて身体にタオルを巻いて入ってきたアリスとシャロンが顏を真っ赤にして怒鳴る。
「ちゃんと拭いて来たから大丈夫だって!」
「いいから早く出なさい!」
「ふ、2人共ケンカしちゃダメだよ……」
「そうだよ。アリス姉とシャロン姉は敵に回さない方がいいって」
「うんうん」
シャロンとシュレーダーの言い争いが白熱し始める前に止めに入ったのはエリー、ケイン、ライオット。
「調子にのってごめんなさい」
「なっ? トビー、お前もそっち側なのか?!」
「だって、なぁ~」
「トビーが正しいって…… ごはん作るのはシャロン姉のんだから」
「くっ……」
「ほら、そんな格好でいると風邪ひいちゃうわよ。早く洗っちゃいなさい」
トビアスとケインの言葉に悔しがるシュレーダー。そこにマリアがタオルを持って入ってきながら声をかけ身体を洗い出す。
「なぁ、入んなくちゃだめか?」
「お前、今まで何回入ってると思ってるんだよ…… いいから入れって!」
「俺はお前みたいに割り切れないんだよっ!!」
「ご主人いい加減に諦めましょうよ……」
「……………………諦めろ」
そんな中、ライベルが、入口付近でまた入浴を拒み始めそれをフェイ、ボル、ゴンで何とかしようと説得している。
「何だ、まだ入ってないのか? ほらいくぞ」
すると、最後ミーナがタオルを肩にかけるという男らしいスタイルでやってきて、愚図るベルを抱っこして浴室に入っていく。
「~~~~~っ!? すみません! 自分で入るんでおろしてください!!」
ミーナに抱かれたベルはマリアにも負けない大きな胸を顔に押し付けられる形になり、あわてて敬語になりながらお願いをする。
「何を言っているんだ。そうだ。久しぶりに洗ってやろう!」
ミーナはそう言うとさっきよりもベルを抱きしめる。
「いや、いいです! 自分で出来ますから」
未だにミーナの腕の中でもがいているベル。抱きしめる力を強くされたベルの目の前には褐色の肌が覆っていて、ほほにはコリッとした感触が感じられる。
「いいじゃないか! ほら、いくぞ!」
「師匠ずるいです…… 私だって最近ベルを抱っこ出来てないのに」
「僕はマスコットでもペットでもありません!!」
「よし、ボルは俺が洗ってやるからな。ゴンはどうする?」
「……………………お願いする」
ベルがマリアたちと戦っている間に空いたシャワーを使って洗い始めるフェイ達だった。
嵐のようなお風呂タイムが終わった後、洗濯を終えたマリアとミーナは広間のソファで、ボルはその隣に伏せて見守る中、子供達は先程買ってきたお菓子を食べながら2組に分かれてジェンガをしている。
「なぁ、髪の毛になんかくっついてるぞ?」
「うるさい! 集中してるんだから話しかけるな!!」
「シャロン姉早く取ろうよ~」
「あっ、ヤバイ! そこは絶対崩れるって!」
「そのまま崩しちまえ!」
1組目のシュレーダー、シャロン、ライオ、アリス、フェイはすでに佳境に差し掛かっているようで、ジェンガの形はすでに歪になっていた。
「何か向こうは凄いな……」
「そうだね。お菓子とか賭けてるのかな?」
「いや、ただ単に熱くなってるだけしゃないかな」
「あっ、次はケイン兄だよ」
「…………………」
それとは対象的に、和やかな雰囲気でジェンガを楽しむトビアス、ケイン、ベル、エリー、ゴン。此方は向こうに比べて進行は遅く、偶にお菓子を食べながらワイワイとゲームを続けていた。
「もうそろそろみんな寝る時間かな?」
そんな子供達を見て、ミーナが時計を見ながらマリアに話しかける。時間はすでに22時になっていた。
「そうですね。明日はそこまで早くないみたいですけど、流石に寝かせないといけない時間ですね」
マリアも、時間を確認しながら子供達に声をかける。
「今やってるのが終わったら歯を磨いて寝るのよ」
『ハーイ!』
子供達は返事をすると、シャロン達第1チームはゲームに戻り、第2チームは片付けを始めた。
子供達が、寝るために各自の部屋に行った後、広間に残ったミーナとマリアが買いためておいた果実酒を飲んでいた。
「そう言えば、ベルとフェイの入学準備は出来てるのか?」
ふと思い出したようにミーナがマリアに聞いてきた。
「準備は出来てますけどフェイは入学しませんよ。言ってませんでしたか?」
「聞いてないぞ? 何故なんだ?」
「それは、前に聞いたと思いますが、フェイの身体が魔法体だからです。学校内位なら大丈夫でしょうけど、万が一フェイの事がバレると大変な事になりますからね。身体が全てマナだけで出来ているなんて知られたらどんな事になるか……」
「確かにそうかもしれないな。だが、フェイはどうやってベルと一緒にいるんだ? 学生じゃなければ厳しいんじゃないか?」
「それは大丈夫です。二人と話し合った結果、フェイには姿を変えてもらいます。動物なり、アクセサリーなり、色々変えられますから」
「そんな事可能なのか? 確かにマナで身体が出来ている以上可能なのかもしれないが……」
「この前、実際にやって貰いましたから大丈夫ですよ。それに一度違う姿のフェイも見てるはずですよ」
「そう言えばそうだったな! まあ、2人がそれでいいなら私は何も言わないが……」
ミーナは少し不満そうにしながらグラスに入った酒を飲む。ミーナ的には、フェイにもみんなと同じ学生生活を送ってほしいという思いがあった。そして、もしかしたらみんなとはまた違う学校生活を送って新しい友人や知り合いが出来るだろうと踏んでいたからだ。要するに、ミーナは、フェイを特別扱いしたくないのである。
「フェイは、ベルが学んだ知識や経験は記憶を共有してるから大丈夫だと言って居ました。ベルもフェイが良ければそれでいいそうです」
マリアも2人と話したことをありのままに話す。やはりマリアも親として、大人としてミーナと同じ思いを持っていてすでに説得を行っていた。だが最後は2人の意見を尊重することに決めたのだ。
「そうか…… なら私もそれで納得しよう! それで準備は本当に大丈夫何だな?」
「大丈夫ですって。師匠は心配性ですね。去年も同じ事言ってましたよ?」
「むぅ~、心配なものは仕方がないじゃないか……」
「明日と当日の朝にも確認するから大丈夫ですよ。私達ももうそろそろ寝ましょうか」
「私がいる時に確認するからな! それじゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
グラスを片付けたミーナとマリアは広間を出て2階にある自室に戻るのだった。
クライン家の新居は地球で言う洋風3階建ての住居になっており、前の家に比べて部屋が倍以上に増えた。
まだ空き部屋もあるが、増えた部屋の殆どは子供達の部屋になった。
基本的に2人で使っているが、女子だけは数が合わないため2部屋をつないで3人部屋にした。
男子は、毎度お馴染みのシュレーダーとトビアスコンビ、ケインとライオットコンビ、そして、ライベルとフェイコンビである。マリアとミーナは大人と言う事で1人部屋となっている。
と言ってもこれはあくまで基本であり、その日の気分や話題などによっては部屋割りは変わる。例えば、シャロンとマリアで寝たり、エリーとライベルが一緒に寝たりと様々な組み合わせがある。
今日は、基本の部屋割りでボルはシュレーダーとトビアス、ゴンは女子の部屋で寝る事になった。
その中でライベルとフェイは明日に備えて寝るために布団に入っていた。
「なあ、まだ起きてるか?」
「どうした?」
「今日のロペスさんの話どう思う?」
「俺たちが有名になってるって話か?」
「違うよ。今度こっちに越して来るって噂の事だよ」
実は、ロペスに質問攻めになっていた時ライベルは気になっていた彩花がいるだろう家が今度ピースフルに来ると言う噂の真偽を確かめていた。
ロペスは、ピースフルのギルド長としてミーナ以上に様々な位の高い人と繋がりを持っていると考えたからだ。
結果は、本当の事だと言う事で近いうちに、新しい住居を決めるなどの為に下見に来るそうだ。
ベルは、その話を聞き数年振りに彩花に会えると思って高揚していた。
「まだ、完全に彩花だと決まった訳じゃないだろ? 確かに、俺と同じような力が近くにいて、ダイがしてるブレスレットみたいなのをしてるって言うから可能性は限りなく100%に近いだろうけどな」
高揚感が身体を通じて伝わって来ているフェイはライベルを宥める。
「分かってる。だけど、早く会いたいって気持ちが強くて抑えられないんだよ」
ベルは、数年越しの想いが表面に出始めて目がさえてしまっている。
「とりあえず今日は早く寝ろって。ロペスも近いうちって言っただけで明日や明後日とは言ってないだろ?」
「そうだよな…… とりあえず、寝る努力はするよ。それじゃあおやすみ」
「おやすみ」
その言葉を合図に二人は目を瞑るのだった。