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俺と不死鳥と異世界トリップ  作者: ネギ抜き
第1章 孤児院編
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18 反省と提案

「それじゃあ、第何回か忘れたけどクライン家族会議をはじめまーーす」

 パチパチ ピーピー ワーワー

 さっきリニューアルした集会広場は、部屋の外観は変わっていないものの、戦いで壊れた木を形にしただけの乱雑な机と木の丸椅子は10人以上座れる形も綺麗に加工された洋風のテーブルと背もたれと腰掛け部分にクッションがついた椅子に変わっている。そのテーブルに調理場の方から左にエリー、ライオ、シュレ、トビアス。右に、マリアさん、フェイ、俺、ケイン、アリスという配置になって座っている。

 今回の司会役、ケインが立ち上がって、始めの言葉を言うと共に全員が拍手や、指笛、声を出すといった行動で反応を見せる。指笛と声は、悪乗りしたシュレとトビアスがやったんだけどな。ほんとにこの2人は、いろんな意味でムードメーカーをやってるよ。隣で、フェイも苦笑いしてるし。いつもなら率先して騒ぎ出すのに出遅れたみたいだな。

「それじゃあ、今回の話をベルに説明してもらおうか」

「オッケー」

 ケインに指名されて俺は立ち上がる。

「まずは、今回の件で母さんが謝ったけど、俺にも落ち度があったと思う。だからそれについてまずは謝らせてくれ。今回は、売りに出してた食品がそこまで人気になってるとは知らなかったし、それを手に入れるために襲ってくるとは思わなかった。そこで、いくつか提案があるんだ」

「1つ目は、孤児院の周りに見張りを置きたいと思ったんだけどどうかな?」

「それは、どんな感じのものなのかしら?」

「今考えてるのは魔法で自立型のものを創るか、もしできるなら手っ取り早く何かを召喚しちゃおうかってところかな。創ろうと思ってるのは石で出来た人形で、俺の世界ではゴーレムって呼ばれてる身体が岩石で出来た空想の生物で、自我をもっているんだよ。絵にするとこんな感じ」

 俺は、部屋の角にある棚から紙と鉛筆を取り出して、某モンスター育成ゲームに出てくる心根が優しい岩の巨人を描きどんなことができるかも横に記していく。もし意識があるなら、性格は設定のままがいいな。技は全部使える状態にしておいて、口からビームとか打てるようにしようかな?

「どうかな? 出来そうかな?」

「ベルの頭の中で形になってるならできるだろうけど、自我を持つかは分からないぞ? それに、召喚もできたとしても言う事聞くかないかもしれないから色々試してみないとな」

「確か地属性の最上級魔法に似たようなにあるのを師匠から聞いた事があるわ。でも、それは自我を持っていない人形を作るだけで術者が自分で操作しないと動かないから、あまり使い手がいないって言ってたわね」

 やっぱり、この世界にもそう言う魔法はあるんだ。でも自我がないってことは子供の魔法先生の師匠が持ってる人形使い≪ドールマスター≫位のスキルがないと扱いにくそうだな。そういうのってほとんどがガタイが大きいだけで動きが鈍いからただの的になるか、壁にするか位にしか使えないもんな。ゴーレム創る時は敏捷性にも注意しよっと。

「もしベルがゴーレムを創ったとして、ご飯とかはどうするの? 私達と同じものを食べるの?」

「俺の想像通りにできればご飯はマナを吸収させるようにしようと思ってるからいらないと思うよ。もちろん食べようと思えば食べられるようにはしておくつもりだけどね。その時は、俺達が食べてるようなものでもいいし、岩や石も食べるはずだからそれをあげても喜ぶと思うよ」

「わかった♪」

「それでみんなにお願いがあって、もし見張り役が出来たら名前を付けてあげて欲しいんだ」

「名前ってゴーレムじゃないの?」

「ゴーレムは種族の名前で、個人の名前じゃないよ。アリスだって魔人族のアリスでシュレも竜人族のシュレでしょ?」

「あっ、そっかぁ! じゃあいい名前考えてあげないとね♪」

「よろしくね」

「2つ目は、今回の反省を踏まえていつどこにいても帰ってこれる道具と、いつでも連絡を取れる道具を作ろうと思ってるんだよ。名前は、まだ仮名だけど転移符と魔電にしようと思ってるんだ」

「?」

「例えば、母さんがピースフルにいるとして、事前に孤児院に行きたい時に転移符を使えば一瞬で孤児院にこれちゃうって物で、魔電は、母さんがピースフルにいて俺達が孤児院にいても、すぐに連絡がとれちゃうって物だよ。これがあれば何時でもこっちの状況が分かるし、危険な事になってもすぐに駆けつけられるよ」

「確かにそれがあれば凄く便利になるかもね……」

「でしょ? で、その道具も出来上がったらみんなに名前を付けてもらおうと思ってさ」

「でもそんな道具が出回ったら、特に悪用しようとする人に渡ったら世界が混乱しちゃうわね」

「それは、魔電と転移符に認証機能を付けておくから大丈夫だし、あくまで家族専用の道具にするから商品化はしないよ。ちなみに、認証機能は指紋って言うのを利用した技術予定だよ。俺の世界ではすでに使われている技術で、指の腹にある渦巻きの形が人それぞれ違うことを利用したものなんだ。この世界でも同じか確認する必要はあるけど、俺の世界でもいろいろな人種がいたけど違ったから、多分大丈夫だと思うよ」

 俺がそう言うとみんなが自分の手のひらを確認しだす。

「気になるなら今調べてみる?」

 俺はゴーレムの絵を書いた紙を裏返し、赤色の液体と大人の手のひらが入る位の容器を創造する。

 子供達は、我先にと容器に手を突っ込み、赤く染まった手を紙に押し当てて行く。

 マリアさんも気になるのか席を立ってみんなの様子を見ながら手をもぞもぞさせている。

「おお~、本当に違う!!」

「えっ、本当に?」

「見てみろって! みんな、少しだけど形が違うぜ!?」

「ああ~! 僕のしもんの上に押さないでよ! 分かんなくなっちゃったじゃないかぁ!」

「しょうがないじゃない! もう押し付ける場所がないんだもん!」

 最初は、仲良くやってた筈なのに、何時の間にか喧嘩腰になり始めてる……

「新しい紙用意するから喧嘩するなよ! 後、色を落とすのが面倒だからテーブルには零≪こぼ≫したりつけたりするなよ!」

 棚から十数枚の紙を取り出してテーブルの真ん中に置く。ついでに、他の色のも創っておくか。

 さっき創った赤色の液体の他に、青、緑、黄色の液体を新しく創り出す。

 シュレとアリスが新しい色に飛びつく中、ケインとライオが少し離れた場所で見ていたマリアさんの手を引きながら話しかける。

「母さんも見てないでやろうよ」

「みてみて! ぼくのてまっかっかになっちゃった!!」

 マリアさんもやりたそうにしていたから、そのまま輪の中に入ってきた。

「お母さんは何色がいい?」

「いろいろあるんだぜ!」

 エリートとトビアスがマリアさんの前に容器を持っていく。

「あら、本当にみんなと違うのね!」

 マリアさんも感嘆の声をあげる。

 でも、この感じだと地球と同じで指紋は個人で違うみたいだな。そしたらみんなの指紋を入れれば出来るな。

 ん? そういえば、フェイの指紋ってどうなんだろう?

「なあ、フェイの指紋ってどうする? モードによって違うんじゃない?」

「多分、ベルと同じ指紋になってると思うぞ? 試してみるか?」

 フェイは、青色の液体に手を突っ込み紙に手形を作り、続いて俺も青く染まった手をフェイの手形の隣に当てる。

うん、確かに同じだな。機械で調べても95%以上の確率で同一人物って言われるくらいに一緒だわ。

「これって変えられんの?」

「意識すれば姿形変えられるだから変えられるんしゃねえか。けど、わざわざ変えるのがめんどくせえし一緒でいいよ」

「そうだな。仕事を増やす必要もないし大丈夫か。そろそろ話に戻りたいから一度席に戻ってく…………れ?」

 俺がみんなの方をみると、顔や服の要所がカラフルになっている姿が見える。もちろんマリアさんも込みだ。あれ? 色々あって疲れてるのか?

 一度視線を外して右手で目頭を押さえてから再度確認する。

 残念ながら幻じゃなかったみたいだ…… さっき注意したばっかだったのに。あまりのカオスぶりに自然にため息が出てきてしまう。

「溜息すると幸せが逃げちまうぞ?」

 今幸せになりたいよ……

「とりあえず部屋を掃除しておくんで、みんなで風呂に入ってこい!!」

 俺の剣幕にみんな一度え動きを止め、有無を言わず風呂に向かいだす。それにフェイも続こうとしたが肩をつかんでその場に止まらせる。

「俺も手が汚れたから風呂に行きたいんだけど……?」

「フェイは俺と一緒に部屋の片づけに決まってるだろ?」

 言外に押しつけんなよと言う意味を込めて笑いかけてやった。

 フェイは、諦めたようで身体から力を抜いた。まずは、水ぶきからだな。

 俺は、雑巾を取りにフェイを連れて倉庫に向かうのだった。



「それでは、さっきの話の続きをするぞ」

 俺とフェイ、風呂からあがってきた人から手伝わせて部屋を元の状態にした俺達は、再び会議を始める。

「さっきので指紋の有無は確認できたので、認証機能は指紋を使ったものにする。反対の人はいる?」

「いないよー」

「それはベルに一任するわ。私には分からないしね」

「別にいいぜ!」

「俺も兄貴と同じだ!」

「それでいいよ」

「私もみんなと同じよ」

「私も……」

 全員の返事を聞けたので話を進めるか。

「道具はこれからフェイと色々試しながら創っていくから、手伝ってほしいことがあったら言うからよろしく。それで、これから食料を売りに出しに行くかってことだけど、母さんに一度村に行ってもらって何があったかと、襲ってきたらどうなるかを伝えてもらって、その後は見張りか道具のどっちかが完成するまでは保留ってことにしようか。また、今回みたいなことがあったときに対応できなくなっちゃうし、今までも不定期だったから大丈夫だと思うんだけどどうかな?」

「それは私も考えてたわ。このまま村に行かなくてもいいけど、グラハ達のうわさを聞きつけて違う集団が襲ってくるかもしれないものね。後は、念のために動物避けの結界の他に人避けの結界も張ろうかしら」

「そのほうがいいね。他は何かあるかな?」

 俺が問いかけるとみんな首を横に振って意思を示す。

「フェイは何かある?」

「うーん、森にも入らない方がいいんじゃねえか。山賊達の血の匂いに釣られて動物達が近くに来てるかもしれないしな。食料なら俺達の魔法で創れるわけだしな」

「母さんはどう思う?」

「そうね、私も賛成よ」

「じゃあ、森に入るのも母さんに許可が出るまでダメってことで。俺の議題はこれで終わりだよ」

 俺は、言い終わったので自分のいすに座った。

「それじゃあ他にある人はいるかな?」

 司会のケインが全員に確認する。

「ないみたいだから今回の会議はこれで終わりです。ありがとうございました」

 ケインが最後にしめて会議が終わり、各自が手を上げたり、足を伸ばしたりしてリラックスムードに入る。

「それじゃあ、これからご飯にしましょうか。私達が作ってるからベルとフェイはお風呂に入ってきなさい」

 マリアさんが、調理場に向かいながら俺達に声をかけた。俺達は返事をすると1日の汚れを落としに風呂に行った。

 とりあえず、いくつか問題が片付いたし良かった良かった!

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