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魔法使いが束になっても、俺の詠唱「カバディ」は止められない  作者: 早野 茂
第5章:虚無獣包囲網

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第46話 幻影の迷宮と、震える膝

ズガァァァァァァァァァン!!!!!

生存惑星サバイバル・プラネット」が、

虚無巣核ヴォイド・コア』の外殻を食い破り、内部空間へと突入した。

凄まじい衝撃と共に、球体陣形が解ける。

だが、そこは歴戦の戦士たち。

放り出された彼らは、それぞれの種族特性スペックを活かし、

鮮やかな着地ランディングを見せた。

「ぬんッ!!」

真っ先に地面へ激突したのは、外殻役を務めていたドワーフたちだ。

彼らは空中で身体を丸めて回転すると、岩石のようにドズゥン! と着地。

地面を陥没させながら仁王立ちし、土煙の中からニヤリと笑った。

「ガハハ! この程度の衝撃、マッサージにもならんわい!」

「にゃっはー! 軽い軽い!」

続いて、獣人族たちが猫のような身のこなしで空を舞う。

彼らは四肢を使って衝撃を吸収し、音もなく着地スタッ

そのままスライディングで姿勢を低くし、即座に臨戦態勢をとる。

野性の反応速度は伊達ではない。

「……ふわり」

エルフたちは、風の魔法を纏い、木の葉のように舞い降りた。

重力を無視したような優雅な回転から、つま先だけで静かに接地。 ローブの裾さえ乱さないその動きは、戦場とは思えないほど芸術的だ。

氷結滑走路アイス・スライダー!」

逆噴射バック・ファイア!」

氷刃王国の騎士が瞬時に空中に氷の坂道を作り出し、そこを滑り降りる。

並走する炎の国の戦士たちは、足裏から爆炎を放ってブレーキをかけ、

氷騎士の横に並んでズザザザッと停止した。

氷と炎、対照的な二色の軌跡が美しく交差する。

「……ふぅ。流石に目が回るな」

最後に、沙海拳宗の達人たちが、砂のように流動的な動きで衝撃を受け流し、音もなく合流する。

全員が無傷。 完璧な突入だ。

あとは、この作戦のコアを務めた、あの男の着地を待つのみ。

「来るぞ……! 我らが総督だ!」

「重力を支えきった英雄のお出ましだ!」

魔族たちが畏敬の念を込めて空を見上げる。

そこには、漆黒のマナを纏い、ゆっくりと降下してくるノワール・ヴェイルの姿があった。

彼は腕組みをしたまま、重力魔法でふわりと地面へ降り立つ。

その表情はサングラス越しでも分かるほど冷静クールで、微動だにしない威厳に満ちている。

トン。 ノワールのブーツが、静かに大地を踏んだ。

「……到着か。悪くない旅だった」

ノワールが低く呟き、歩き出そうとした、その瞬間。

プルプルプルプルプル……。

「……?」

ノワールの足が、生まれたての子鹿のように激しく震え始めた。

一歩踏み出そうとするたびに、膝がガクガクと笑い、生まれたての小動物のような頼りないステップを踏む。

「ノ、ノワール様!?」

側近の魔族が慌てて駆け寄る。

「さ、触るな……! 私は……威厳を……保たねば……」

ノワールは必死に直立しようとするが、太ももの筋肉が痙攣を起こし、

プルプルプルプルと止まらない。

それもそのはず。

超重力下で、姿勢維持のために数十分間も「空気椅子」をキープし続けていたのだ。

いかに魔族の将といえど、乳酸の蓄積には勝てない。

「……だ、駄目だ。足が……言うことを聞かん……」

ガクン。

ついに限界を迎えたノワールはその場に崩れ落ち、四つん這いになってプルプルと震え続けた。

周囲の戦士たちが「見なかったことにしてやるべきか」という気まずい空気に包まれる。

「……ぷっ」

その沈黙を破ったのは、我波 がば・どうの噴き出す音だった。

「ははは! なんだその無様な姿は!

 おいドワーフ、肩を貸してやれ!

 こいつは世界一頑張った『椅子』だぞ!」

「ガハハ! 違いない! ほれ、乗るがいい!」

バルドが豪快に笑いながら、震えるノワールを担ぎ上げる。

「くっ、笑うな! これは名誉の負傷だ……!」

顔を真っ赤にするノワール。

そんな彼の姿を見て、緊張していた戦士たちの間にドッと笑いが起きる。

張り詰めていた空気が和らぎ、連合軍に一体感が戻った。

「……さて」

道は笑いを収め、改めて周囲を見渡した。

「ここが、巣の中か」


ノワールの名誉ある「生まれたての子鹿」状態により、緊張がほぐれた連合軍。 しかし、そこは敵の心臓部。 倒しても倒しても蘇る「不死身の軍勢」が襲いかかります。

キリがない消耗戦。 打開策は、司令塔・レアの「視界」を全員で共有すること。

王女の脳が焼き切れるか、敵が尽きるか。

次回、『無限の軍勢と、女王の演算』。

そしてついに、この世界の管理者「調停者」が姿を現します。

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