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1 一人の冒険者

 「これで何日目だ?」


 洞窟内を自分で付けていった明かりを目印にして道を間違わないように走って進んでいく。俺は何回もこの同じダンジョンに潜っている。そしてこう何日も同じダンジョンに潜っているとたまに自分はなんなのだと勝手に思いだす時がある。


 5年くらい前だったか、仲間と一緒に冒険者パーティーをしていたが実力差が開きすぎて味方に迷惑をかけるのが嫌だったのでソロになった、まぁそれもあるが実際はソロのほうがスキル的に動きやすかったので寂しかったがパーティー抜けることにした。あの頃は皆んなについていくだけだ必死だったな、マジで。


 この世界では、8歳でスキル獲得の儀式を行いそこで確実に1つスキルを獲得できるようになる、だが俺の場合はこの儀式では何も得られず元から持っていた魔力探知が強化された感じだった。それで子供ながら分かった、いいパーティーに入れば時間が経っていくにつれてついていけなくなると。1つ目のスキルは2個目、3個目のスキルと比べると強いし長い期間使う事になるので練度も高くなる、なのでこのスキルの1個目の効果で目指す職を決める奴が多いのは分かるだろう。それくらい1つ目スキルの性能は高い、でも俺は2個目、3個目のスキルに賭けて行けるとこまで行く事にした。そして2個目のスキルは一日に一回ダメージを無効だ。ぶっちゃけビミョ~に見えるが意外と役に立つ。結局俺みたいな身体能力強化のスキルを持っていないと防御出来ず鍛えていても一撃喰らえば終わりだから俺はこのスキルで良かったと思う。そして3つ目のスキルが俺がパーティーを抜ける事にしたスキル、というか諦めたスキル、設置した位置か自分の魔力を飛ばしたところに瞬間的に移動できるスキルだ。詳しくいうと自分が魔力を込めた物と自分の位置を交換できるスキルだ、そしてこれも1日1回だけだ。


 当たり前だがスキルが増えるごとにやる事が増えて強くなっていくのだが俺の場合ソロ用のしかも身体強化がないスキルが揃っていってしまったので俺なりに頑張ってはいたが抜けることにした。


 「あいつら、元気かな。」前に会ったのは2年前だったので顔を見てみたいが手紙でのやり取りはたまにしているのであまり心配はしていないが元気でやっていて欲しい。


 そんなことを考えながら俺はダンジョンの中を疲れない程度に走る。このダンジョンはここらへんでは有名な昔からクリアされていないダンジョンのようだったので試しに入ってみたらとんでもない奴がボスだったので挑戦し続けた結果こんなに時間が経ってしまった。


 「はぁ、そろそろ倒れてくんねぇかな。」


 もう1年くらい同じ奴の事を相手しているので飽きている自分がいる。なんせダンジョンボスは一定時間ほぼ行動が変わらなかったからだ。なのでやる事がほぼ変わらない、まぁ毎度ひりつきはするが、


 それにダンジョンの地形は変わらないのでモンスターを避けながら最下層までモンスターと出会わずに走る。そして最下層についたらそこら辺にいるモンスターを一体倒す、それの素材を拾ってボス部屋に向かう、それの繰り返し。


 「今日もさっさと雑魚を狩ってボスのところに行くか。」


 いつも倒しているモンスターのドロップ品はここら辺で売ると2万くらいするので今宿代と飯代しか金を使う物がない俺にとっては金が溜まっていく一方だ、、パーティー時代は武器に金を使いすぎていつも金欠だった俺がな。


 「いたいた、今日も一体で歩いていやがる。それにしても何回見ても気持ち悪いな。」


 見た目はそのまんまゾンビ犬みたいな感じだ。体がドロドロに溶けているのだがどういう訳か4足で普通に歩いているのが特徴だ。だが弱点はあり首を落としてからその断面にナイフを刺して少量の魔力を流せばすぐ死ぬので俺は背後から慣れた手つきでその順番で殺していく。


 「今日は早く見つかって良かった。よし、今日もいつものドロップしたな。」


 何だか分からないが、腐った骨っぽいものの周りにドロドロとした液体か?がいつも通りに落ちたので手袋をはめてそれ専用のバックに入れる。


 「よし、オッケーかな。それじゃあ今日もいくか。」


 目当ての物が手に入ったのでボス部屋まで走る、いつもは最短距離で行ける道にモンスターがいたら回り道して行っていたのだが今日は運良く会わなかったのですぐにボス部屋まで着いた。そしていつも通り腰にある短剣と両太ももに2本ずつある短剣の状況を確認して、扉に手を当てながら「さっさとくたばってくれよ〜。」と言いながら力を入れてドアを開けた。


 中に入るといつものそいつがいた。みんな大好き巨大なドラゴンだ。俺はデカいドラゴンをここ以外では見た事がなく本の中の存在、もしくは未探索領域にいるモンスターだと思っていた、だがこんな所にいるんだなと最初は本当に驚いた、だが流石にこう毎日会っていると最初の驚きは薄くなってくる。そして部屋の広さはダンジョンとは思えないほど広い空間でこっちはこんだけ挑戦をしているのにまだ慣れないくらい入るたびに圧倒されている。


 だが俺が毎日毎日削り続けた結果ドラゴンの身体はボロボロだ、口で息をして立っているのもやっとなくらいに。「そろそろお前も辛いだろうから、大人しくくたばれ。」


 いつも通り俺は自分の持っている武器を手に持たずに全力でドラゴンの方に走る。ダンジョンのモンスターは学習しない、これは地上にいるモンスターとは違う特性だ、だがダンジョンのモンスターは短い頻度で行くとダメージは蓄積していくようだった。


 俺の事に気づいたドラゴンは最初にブレスを放って来た。いつもの行動で分かっているので最小限の動きで避けて接敵する。近づいたら横を薙ぎ払う感じで爪の攻撃が来るのでそれを太ももにある剣を投げてシールドを展開させ横凪の攻撃を無理やりガードしここからは、


 「削り取る!!」気合いを入れる為に声をだす。


 まずは両腰にある剣を抜き腹を斬りながらスライディングをして傷つけると下敷きにしようとしてくる、それを避けて剣をしまい体が下がったところに二本目の太ももにある剣で脚を傷つける、この剣は硬い物程切れ味が上がる特殊な剣だが直ぐに切れ味が悪くなるので1日一回しか使えないのがネックだがこういう時の為に買っているので問題ない。


 「よし、良い感じだ。」


 今は戦い方も慣れて来たのでうまく攻撃を捌けるようになって来た。最初は無理やり羽を狙っていたので攻撃を受けることが多かったが今は飛べないので安定して攻撃が出来ている。だが羽がボロボロで飛べないのにジャンプして俺に火球を撃って来た。それを三本目の剣で吸収する、そして上手く落ちてこれなかったところにその魔力を吸収した剣をぶっぱなす。流石にドラゴンの火球を吸収しているので相当な威力のようでいつものようにでかい声出して鳴いている。


 「本当に、ここまで慣れたもんだな。」


 俺の方に飛んできた尻尾を四本目の剣で受け止めその衝撃を直接ドラゴンの頭に打ち込む。「だけど、こんだけやっても全然死なないんだよね。」これは衝撃を吸収してそれを返すんだがいつも通り少し血が出ただけだった。


 一旦離れ一定以上ダメージを与えたのでバックから剣を取り出し応戦していく事にする。ここからはいつもと違った攻撃が飛んできたりするのでより気を引き締める。そして今回は暴れているので隙を見て懐に入り一撃、二撃と入れて行く。ダメージは入っているようでもっと暴れるのが激しくなって来た。ここにきて今までで一番ダメージを出せたのではないかと思って前を向くと目の前にドラゴンの手が見えた。

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