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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第8章 泥濘の澱

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第8章 第4節 偽証の罪(第1項)

――(ふゆ)(まえ)にした(はだ)(ざむ)(あさ)の、

  ()(きり)()だった。



()れた()(そう)(ちょう)は、

(くう)()(ちゅう)(じょう)()()やされて、

(みずうみ)(しゅう)()()(きり)(つつ)まれる。



(ほし)(くさ)()いた()()()(とも)

(はしけ)()せられたわたしは、

(しろ)へと(うつ)()むことになった。



(みずうみ)西(にし)()(とう)から(しろ)への()(じゅう)(ともな)い、

()(しょ)(かん)のゴレムが()()んだ(ほん)

(ほん)(だな)()やされた。



挿絵(By みてみん)



()()()うには(らく)(いん)でしかないわたしが、

(しろ)()むのは(よろこ)ぶべき(はなし)かもしれない。



()()(こと)()(おし)えてくれたゴレムが

(とう)(かく)していた(ほん)()やされて、

()(なお)(よろこ)べるはずはなかった。



(とう)()()されたわたしに()わって、

(へい)()(たち)()()(とう)()つ。



()()(とう)(ぐん)()(きょ)(てん)として、

(ほん)(らい)(やく)(わり)()たす。



西(にし)のカヴァの(ぐん)(やま)穿(うが)ち、

(みち)(ひら)いてネルタの(こく)()(しん)(こう)(はじ)めた。



わたしが()まれるずっと(まえ)から、

ネルタと(たい)(りつ)(つづ)けていたカヴァ。



20(ねん)(つづ)くカヴァの(にく)しみは(しゅう)(ねん)(ぶか)く、

(みずうみ)(きり)のように、その()()(ぶん)

()れたり(うす)れたりはしない。



『あぁ、()かぁない。()かぁない。』



(のう)()(なか)(ほし)(どり)()れを()(ろう)(すい)()

(しき)りに(つぶや)いた。



挿絵(By みてみん)



ネルタの(おう)、ケイロウの(いん)()のわたしは

(しろ)へと(はこ)ばれる。



(じょう)(ない)()(ひん)(しつ)(らく)(いん)部屋(へや)はなかった。



(しろ)から(きた)(とな)る、(つき)(やかた)()ばれる

(おんな)(たち)()らす(べっ)(かん)()れていかれた。



(べっ)(かん)()()(もう)けられた(しょく)(りょう)(ちょ)(ぞう)(しつ)で、

わたしは()(じょ)(たち)()らすことになった。



『この()はニース。』



()(とり)(さえず)りに()(すず)やかな(こえ)



わたしに(てき)()()けてそう()んだのは、

()えるような(あか)(かみ)(ほう)(せき)のような()をした

()(ぞく)(わか)(おんな)



ラミーはわたしの(はら)(ちが)いとされる(あね)で、

この(くに)(だい)(いち)(おう)(じょ)



挿絵(By みてみん)



(はら)(ちが)いで(はは)()なかったわたしは、

(むかし)からラミーや(かの)(じょ)(あに)のモローなどに

『ニース』という(べっ)(しょう)()ばれていた。



部屋(へや)(よう)()されると(おも)っていたわたしに、

ラミーと()(ぞく)(おんな)(たち)()(とう)し、(ちょう)(しょう)した。



(かの)(じょ)()んだ()(まえ)をわたしが()(てい)しても、

(ほお)(たた)かれて(ゆか)(たお)され、

(かの)(じょ)(たち)()()むまで()られた。



ラミーの()()らしは(かん)(けつ)(てき)(おこな)われた。



()()(しょく)(りょう)(ちょ)(ぞう)(しつ)には()()ちする(しょく)(ざい)と、

(ねん)(りょう)(まき)(ほう)()にあったけれど、

それらは(げん)(じゅう)(かん)()されている。



(みず)さえも、(かべ)から()()(くだ)から、

()(ちゅう)()みる(わず)かな(みず)(あつ)めるしかない。



()()たりの(わる)(べっ)(かん)()()

(にっ)(ちゅう)(さむ)かった。



(しょく)(りょう)(ちょ)(ぞう)(しつ)()(うす)(じろ)(かお)()(じょ)(たち)は、

(しろ)()()(ぞく)(てい)(きょう)する

(りょう)()(した)(じゅん)()をさせられる。



()(じょ)(たち)()(ひま)(あた)えられず、

(ねむ)りながらポッポの(かわ)()きをする。



(こな)()きの()(じょ)(いし)(うす)(まわ)し、

(つね)(ひく)(おと)()(つづ)ける。



(しろ)(べっ)(かん)(ちか)くに(はば)(ひろ)(かわ)はあっても、

退(たい)()()(がく)(ろん)』に()かれていた、

(すい)(しゃ)()かけることは()かった。



(とう)からやってきたわたしは

(ちょ)(ぞう)(しつ)(ろう)(どう)()せられず、

しかし()(ぞく)(あつか)いもされない。



(じゅう)(しゃ)()()()いていないのを()て、

()(じょ)(たち)もわたしの(あつか)いに(こま)っていた。



わたしに(てい)(きょう)されたマリセスの()(じつ)は、

(しょ)(にち)は1()だったものが(よく)(じつ)には(はん)(ぶん)に、

()(まん)(しめ)さなければ欠片(かけら)()わり、

(さい)()には(かわ)だけになった。



()(じょ)(たち)はその(てい)()(いや)がらせで(まん)(ぞく)する。



()()すら()らず、(ほん)のない()()での(せい)(かつ)は、

わたしにとっては()(さぐ)りだった。



()()()()()(あら)(あら)われる(せい)(かつ)(くら)べ、

(かん)(さつ)(たい)(しょう)(おお)くて(いそが)しい。



()(おく)(なか)(ほん)()(なお)すのにも()き、

わたしは(ほん)()わりに()(じょ)(たち)(かん)(さつ)した。



(みみ)にするおかしな(こと)()も、

(ねん)()(しつ)(かべ)(ゆか)()(うつ)して(たず)ねた。



わたしにとっては

(こずえ)(さえず)(とり)(とう)(はい)()んだ(むし)と、

(おな)(あつか)いだったのかもしれない。



()(ごと)のしないわたしを、

()(じょ)(たち)(うと)ましく(おも)ったに(ちが)いない。



(ひろ)くはない()()で、

(どう)()身体(からだ)()てられることも(おお)かった。



()(じょ)(たち)(あた)えられた(わず)かな(みず)

(ぬの)()わせて身体(からだ)()き、(つめ)(かみ)()き、

(ひろ)(あつ)めた(いと)(くず)(ふく)(つくろ)う。



(なん)(にん)かの()(じょ)には(あか)()()た。



(あか)()にお(ちち)(あた)えるあいだは、

(ひと)(とき)(やす)らぎを()て、(はは)(かお)をする。



()れた()(さす)りながら(あか)()()(がお)()て、

()(ごえ)()きながら()(じょ)(たち)(はたら)いた。



(なか)(ふく)らませた()(じょ)(たち)

(だれ)()かせるわけでもなく、

(のど)(しず)かに(うた)い、(ゆび)(あし)使(つか)って、

(ひと)りで(だれ)かの(ため)(おど)っていた。



(ほか)(わか)()(じょ)(たち)はみんな、(にん)(しん)していた。



(とり)(むし)(さわ)がしい(とう)での()らしとは(こと)なり、

(いし)(うす)(あか)()()(ごえ)(がっ)(そう)して、

(みみ)(つか)れる(にぎ)やかな()()



ここでは(もり)(みずうみ)(なが)められず、

(とり)(さえず)りも(むし)(ささや)(ごえ)(とど)かない。



やることのないわたしは

()()()(ろう)(じょ)(さん)()(とも)に、

()(じょ)(たち)(しゅっ)(さん)(なん)(かい)()()った。



できるだけ(せい)(けつ)(ぬの)(あつ)め、

()(よう)()して、(さい)(たい)(けっ)(さつ)し、

(たい)(ばん)()いて()べさせた。



わたしが(はじ)めて(つく)った(りょう)()



()(たい)(せい)(せい)し、(しゅっ)(さん)(とも)(べん)(しゅつ)される(たい)(ばん)



(どう)()(あじ)』で()(ひょう)だったけれど、

()(じょ)(たち)(なが)(なが)()(つう)(しゅっ)(さん)()えて、

(ちち)()って(ねむ)(あか)()()(あん)()する。



()(じょ)(たち)()(ごと)手伝(てつだ)ってみたものの、

(かん)(さつ)していても(おな)じようにはできず、

(あか)()()()りや()(よう)(ぶつ)(しょ)()をさせられた。



わたしが(ことわ)っているにも(かか)わらず、

()(じょ)(たち)()(あら)身体(からだ)(あら)われて、

(かの)(じょ)(たち)()()らしで()びた(かみ)()られた。



(ちょ)(ぞう)(しつ)での()らしになってしばらくして、

ゴレムの(はなし)(みみ)(はい)った。



(とう)()んでいた(ころ)のわたしに、

(ほん)(おし)えていた(さい)(こう)()(しょ)(かん)のゴレムは、

(おう)(たい)(りつ)したことが(げん)(いん)(しょ)(けい)された。



()(じょ)(たち)(くち)(かる)かった。



そのせいで()(じょ)(たち)(しっ)(せき)もされた。



――(こと)()(かぎ)はかけられないものね…。



(しか)るのは(あと)から(ちょ)(ぞう)(しつ)にやってきた

()(ぞく)(おんな)(たち)で、その(なか)にはラミーも()た。



(くら)(ちょ)(ぞう)(しつ)でも()えるような(あか)(かみ)

(あで)やかで(うつく)しく、()らした(ひとみ)には

(すべ)てを()らす(よう)(こう)(かがや)きがあった。



(かの)(じょ)はわたしが()(かい)(はい)れば(きび)しく(たた)き、

()(せい)()びせて()りつけた。



()(とう)(ぼう)(りょく)()(ぞく)(おんな)(たち)(わら)わせた。



――(こな)()きを(わら)う。



()(ぞく)(たち)(あざけ)るのはわたしだけではなかった。



()(じょ)(たち)(かわ)()きをする姿(すがた)を、

(しゅっ)(さん)を、(あか)()にお(ちち)(あた)える姿(すがた)を、

()(ぞく)()()して(ちょう)(しょう)する。



()(じょ)(たち)(わら)わず、()(ぞく)(さげす)んだ()()る。



()()()のラミーが()()にやってきたことで

わたしは(まい)(にち)(たた)かれ、(あざ)(こぶ)(けい)()

(かん)(さつ)するのが(にっ)()になった。



そんな()()では、

ラミーもお(なか)(ふく)らませた(にん)()だった。



(わか)くして(にん)(しん)した(せい)(とう)(おう)(じょ)が、

()()での(せい)(かつ)()いられた。



(かの)(じょ)のお(なか)()(だね)は、(おう)(ちち)(あに)だと

(つつし)みを()らない()(じょ)(たち)(うわさ)される。



その(りゅう)(げん)()(さわ)って(つね)(いら)()っていた。



わたしに(ぼう)(りょく)()るわない()(かの)(じょ)は、

()(ぶん)(わる)くして(おう)()している。



(ほか)()(ぞく)(たち)(おう)(じょ)()(げん)(そこ)ねないように

(せき)もせず、(もの)(おと)にも(ちゅう)()していた。



()(じょ)(たち)がラミーの()ない()(しょ)で、

(かの)(じょ)のことを(はな)(とき)は『お(じょう)(さま)』と()んだ。



(あか)()()けば、

その(はは)(べつ)部屋(へや)(うつ)って()(ごと)をした。



(ちょ)(ぞう)(しつ)()らす()(じょ)(たち)(おそ)れていた。



()()つと、

(わか)()(じょ)(たち)(なん)(にん)かが部屋(へや)(うつ)された。



(あか)()(かか)えた(はは)(たち)は、(もど)ってこなかった。



(しょう)()()らせは(なん)()()()(とど)いても、

わたしが()られることもなかった。



ある()はラミーの(じっ)(けい)にあたるモローが

(せん)()したという(うわさ)()()った。



挿絵(By みてみん)



その()()(じょ)(たち)()(そう)した(とお)り、

ラミーは()れてわたしを()った。



タライに()った(みず)(こお)る。



挿絵(By みてみん)



(ちょ)(ぞう)(しつ)(うす)(ぐら)いまま(ふゆ)(はい)った。



わたしがやってきた(とき)(くら)べ、

ひとはずいぶんと()っていた。



(ろう)(じょ)(さん)()(かえ)ってこない。



(しょく)(りょう)(ちょ)(ぞう)(しつ)には(しょく)(ざい)()(きゅう)()ない。



わたし(たち)(しょく)()(まん)(ぞく)()られず、

(かべ)()さった(くだ)(みず)(こお)ってしまい、

()(じゅう)(ぶん)(つく)れなかった。



(けい)(さん)するまでもなく、

(しょく)(りょう)(ねん)(りょう)()きかけていた。



パンの(げん)(りょう)になるブレズの()(じつ)もなく、

(まわ)(つづ)けていた(いし)(うす)はずっと()まっていた。



(ひと)(にぎ)りのポッポを()しても、

(にん)()(たち)(くう)(ふく)()たされない。



それと、ラミーの(じん)(つう)(ひん)()()えていた。



(かの)(じょ)(ほそ)()(わか)いのに

(ひつ)(よう)(しょく)()()られず、

(うす)(じろ)さが()した(かお)()()()こし、

(なか)がずっと(ちい)さいままだった。



(ろう)(じょ)(さん)()()なくなった(ちょ)(ぞう)(しつ)で、

わたしは()(ぞく)(じょ)(さん)(こう)()をしていた。



(なん)(にん)かの(あか)()()()げた。



()(ほそ)った(おんな)から()まれた(あか)()は、

(うぶ)(ごえ)(はな)つこともなく()んでしまった。



わたしは(なん)()()められたけれど、

()わりの(じょ)(さん)()()なかったし、

(ちち)()けられる()()でもなかった。




()(もの)(みず)()ければお(ちち)(つく)れず、

()(たい)(せい)(めい)(かつ)(どう)(ゆう)(せん)されて、

(たい)(ない)()(そだ)たない。



()(おく)にある(ほん)()(しき)(せつ)(めい)しても

(おんな)(たち)()()(いか)りと()(せい)で、わたしの(こと)()

()()されてしまう。



(くら)(つめ)たい(ちょ)(ぞう)(しつ)(さく)(もつ)(みの)らず、

(たい)()(ねむ)ったまま()きてはくれない。



(しつ)()(おんな)(ねむ)ったままの(あか)()は、

(おとこ)(たち)によって(ちょ)(ぞう)(しつ)()()されると、

()()には(もど)ってこなかった。




 ◆




ラミーに()()こされて、

()()から(そと)()された。



()(あし)(どろ)()ざった(しも)(ばしら)()んだ。



(ひさ)しぶりの(そと)(よる)でも(あたた)かく、

(すべ)てのものが()やされていた。



(ちょ)(ぞう)(しつ)(のこ)された

わたし(たち)(あず)かり()らないところで、

(せん)(そう)()わった。



ネルタの(おう)、ケイロウは()(ぜん)から()(ぶん)

(ほのお)(あやつ)り、(のろ)いを使(つか)(かみ)』と(しょう)(あざむ)いた。



挿絵(By みてみん)



(かれ)(いの)れば(ほのお)(いきお)いを()し、

(こえ)(はっ)すると(のぞ)(どお)りの(いろ)()わった。



(みん)(しゅう)(かみ)()(しん)である(おう)(かれ)()()(いの)り、

(かれ)(しょう)()へと(みちび)くと(しん)()んでいた。



(みずうみ)(かたち)(づく)るネルタの(しゅう)()()やされる。



挿絵(By みてみん)



(あか)(はた)

(ぎん)(てい)(てつ)(えが)くカヴァの(しゅう)()(かぜ)(なび)く。



挿絵(By みてみん)



(そと)(くう)()(さら)された(はな)には、

()げた(しゅう)()(まと)わりついた。



カヴァの(へい)(たち)(あな)()り、

カヴァの()(ども)(たち)(つち)(はこ)ぶ。



カヴァの(しょう)()()(たい)から(そう)(しょく)(ひん)(はず)し、

()(たい)(あな)()とした。



(あな)には()(たい)(なら)べられ、

(つち)(かぶ)せて()められていく。



()(どろ)()ざった(ゆき)(うえ)(はい)()り、

()(めん)(くろ)(よご)れる。



(さむ)さと(ねっ)()(はい)(いろ)(もや)(しゅう)()(ただよ)っていた。



(よわ)ったラミーを(かい)(じょ)して、

カヴァの(へい)()されて(ある)く。



オルドラスという()(まえ)の、

(つめ)たい(やいば)にも()()をした

(おとこ)(まえ)()たされた。



(くら)(ぎん)(ぱつ)のオルドラスは、カヴァの(おう)()



挿絵(By みてみん)



()(じょ)(たち)(はなし)によれば、(かれ)(てい)(さつ)(ちゅう)(つか)まり、

ネルタの()(りょ)になった()()がある。



それが(げん)(いん)()(りょ)(おう)()()ばれていた。



()(りょ)になった(おう)()()()わりに、

カヴァは(はら)(ちが)いの(いもうと)()()したので、

(おう)()はネルタから(かい)(ほう)された。



()()()れられた()(ぞく)(おんな)(たち)は、

そんな(むかし)(しょう)()()い、(すが)っていた。



(けん)(さや)ごと()(めん)()()し、

(いか)りを(あら)わにしていた(かれ)が、

わたし(たち)姿(すがた)(いっ)(しゅん)だけ(こん)(わく)する。



(よわ)さを()せた(かれ)(まえ)にして、

わたしは()(まえ)()かした。



カヴァの(おう)()(つか)まった(とき)には、

わたしに(あらが)(ちから)()かった。



「この()はニースよ! この()はニース!」



わたしはラミーに()(まえ)()(てい)されて、

(かかと)()みつけて()られる。



(きん)(ぞく)(どう)()(こす)()わせたような(こえ)(さけ)び、

わたしを()(とう)する。



この()(かた)でよく(あざ)(こぶ)ができた。



わたし(たち)はオルドラスからの()()で、

(しょう)()から(ひと)欠片(かけら)(かた)いパンと、

(らん)(そう)のスープが(あた)えられた。



「こんな(いぬ)(えさ)っ!」



(かの)(じょ)はカヴァからの(ほどこ)しを(こば)むと、

(うつわ)ごと()てて()べていたわたしも(なぐ)られた。



鍍金(めっき)(あく)(じき)(ども)(しょく)()(くら)べれば、

 ()(さん)ではあるな。」



(ちょう)(しょう)したオルドラスを、

ラミーはずっと(にら)んでいた。



そんな(とき)(つか)まったケイロウが(あらわ)れた。



ネルタの(おう)(かみ)()(しん)(かた)り、

(ひと)(びと)(あざむ)いた(もの)(せき)(にん)(おも)い。



――あれが、わたしの…。



(おう)姿(すがた)(ひさ)しぶりに()た。



()(ふゆ)(さむ)さの(なか)(ふく)()させられず、

(はだか)のまま(おく)()()らして(ふる)えている。



(ふく)らみきったお(なか)()()(たる)み、

(みにく)()(ふと)った身体(からだ)(あら)わにする。



(なぐ)られて()()がった(かお)は、

(どろ)()(よご)れて(いた)(いた)しい。



ケイロウは(くい)(しば)()けられて()たされる。



()(めん)(すい)(へい)()ばして

()(ぼう)()()がったその(みぎ)(うで)が、

(へい)(たち)によって()られようとしていた。



()()(うしな)っていた(かれ)は、

(けもの)(どう)(よう)(こと)()(はっ)さず()(さけ)び、

(いた)みで()(しき)(うしな)ったまま()んだ。



オルドラスの(けん)によって、

ケイロウの(ふと)(くび)()()とされた。



カミーリャの(はな)(くび)のように、

(けい)(じょう)(どろ)(よご)れた(ゆき)(うえ)(あたま)(ころ)がる。



(かれ)(へい)()かって、わたし(たち)()(はな)つ。



『これは(つぐな)いである。』と。



オルドラスが(かれ)(みぎ)(うで)

(へい)(たち)()()とさせたのには、()(ゆう)があった。



20(ねん)(まえ)のネルタで

オルドラスは()(りょ)になった。



(かれ)(はら)(ちが)いの(いもうと)、サンスァラ(おう)(じょ)は、

(かれ)()()えにネルタにやってきて

すぐに行方(ゆくえ)()(めい)となっていた。



カヴァに()(かん)したオルドラスの(もと)には、

(あぶら)()けにされた(かの)(じょ)(みぎ)(うで)(とど)けられた。



こうして2(こく)(かん)(けい)はさらに(あっ)()した。



(おう)(しょ)(けい)()せられた(あと)で、

(おう)(むすめ)のラミーと(かの)(じょ)(かい)(じょ)するわたしは、

(いっ)(しょ)にカヴァへと()(そう)された。



わたし(たち)はカヴァで(さば)かれ、

(ばつ)(あた)えられるのを()()になった。



ラミーはずっと()いている。



(ちち)との(わか)れを(かな)しんだのか、

()(ぶん)()(ぐう)(よわ)さを(なげ)いたのか、

(じん)(つう)によるものかは()からない。



わたし(たち)()(そう)(かか)わったのは、

ヒュルゲン・ハス・ビンスという()

カヴァの()(ぞく)だった。



(とう)(ちょう)()(こう)(りょう)とした(ぎん)(ぱつ)

(せん)(じょう)には()()()いな()(まん)(おとこ)



(つね)()(もの)(くち)にして

(あま)()()(しゅう)()(はな)ち、

()()くように(あし)()()

()(みょう)(ある)(かた)をしていた。



(ゆき)()()()(しゃ)(うえ)で、

ヒュルゲン(てい)()(そう)される()(ちゅう)に、

わたしはラミーの(あか)()()()げた。



ネルタの(おう)、ケイロウの()(そん)



ネルタの()()()(だん)()であれば、

その()はその()(ころ)されるはずだった。



(あか)(ぐろ)()(あし)に、()じたままの()(ぎょう)(まぶた)



()まれた(あか)()(うぶ)(ごえ)()げない。



(しん)(ぞう)(はく)(どう)さえもせず、

(ちい)さく()れた身体(からだ)はすぐに(つめ)たくなった。



ラミーはそれでも

()()()れられずにいた。



()(きゅう)もしていない(あか)()に、

()(ぶさ)()せても(くち)にするはずがない。



(すい)(じゃく)した()(たい)(せい)(めい)(かつ)(どう)()()する(ため)に、

(あか)()(たい)(ない)から()(はな)した。



わたし(たち)(おな)じペヌンの(ぬの)(ぶくろ)(つつ)まれる

(たましい)のない(ぶっ)(たい)



それでもラミーは(ぬの)(ぶくろ)()いて

(なん)(にち)(こえ)()(つづ)ける。



()(はい)(しゅう)(いや)うビンスが、

ラミーを(つえ)(なぐ)りつけ、

(ぬの)(ぶくろ)()()()(はな)す。



ビンスに(めい)(れい)されると(ぬの)(ぶくろ)は、

()(えい)()(なか)()ごと(みち)(ばた)()()てられた。



その(よう)()(だま)って()ていたわたしは、

(ない)(しん)(あん)()していたことに(おどろ)き、

(くや)しみに()くラミーに(ほお)(たた)かれる。



(たた)かれた(とき)(おく)()がおかしくなり、

(ゆが)()(いた)みに()(つづ)けた。



「ニースのせいよっ! ニースのせいっ!」



ラミーは()びついた(こえ)()(とう)する。



(ゆき)()()()(しゃ)(うえ)(なん)()(たた)かれ、

(なん)()()られた。



(ぼう)(りょく)()けても(あざ)すら()()ず、

(いた)みを(おぼ)えないほど(かの)(じょ)(よわ)っている。




(つね)(たた)かれているわたしを

ビンスは()(びん)(おも)ったのか、

わたし(たち)(かれ)(やかた)()()

(べつ)(べつ)(おり)()れられた。



わたしは(だま)ってそれを()()れた。



ビンスはネルタの()(のこ)りの()(ぞく)

ラミーの(みの)(しろ)(きん)(よう)(きゅう)し、

()(へん)(くわだ)てていた。



(ろう)(かん)()れられて()もなく、

ビンスは(びょう)()した。



わたし(たち)()(とく)していた(かれ)のおかげで、

()()には(だれ)()ない。



(みず)(しょく)()()られずに、

(せき)()(かえ)すラミー。



()かいの(おり)のわたしに

(のろ)いの(こと)()()びせるか、

()ているだけの()()(かえ)される。



(しょ)()(ばん)()わりになる(ねん)()(しつ)(かべ)もなく、

わたしは(ぬの)()れを(かぶ)って

(みみ)(ふさ)いで()()をやり()ごす。



(ろう)(かん)(くら)(やみ)()れてくると、

(うら)(ごと)(せき)()(いき)()こえなくなった。



――わたしは()ろうとはしなかった。



(かび)()(よう)(ぶつ)()()(たい)(えき)



ビンスが()るかのような(しゅう)()

(くう)(かん)()(はい)する。



ラミーの身体(からだ)(ちい)さな(せい)(ぶつ)(たち)(ぶん)(かい)し、

(かす)かな(ひかり)(ねつ)(なか)でも(いのち)(じゅん)(かん)する。



(にび)(いろ)(ねずみ)(あし)(ゆび)(かじ)って、

わたしの()(かく)(にん)しに()た。



挿絵(By みてみん)



ラミーの()(まえ)()たわたしは、

(かの)(じょ)()()()れられなかった。



()()つわたしは(のど)(かわ)きに()えられず、

(かべ)(すき)()()(みず)()めて()()びた。



そこに一人(ひとり)(おとこ)がやってきた。



真赤(まっか)()(おお)われた(けもの)(おとこ)。ラッガ。



挿絵(By みてみん)



わたしを(よる)(やかた)()れてきた(じん)(ぶつ)



(かれ)()(なか)()けて()ってしまう。



それはユヴィルの(やかた)()()()た、

(ひげ)(おとこ)(ころ)した(もの)(うし)姿(すがた)だった。



(かれ)()()めようと(くち)(ひら)くと、

()()まりを()んだサンサがやってきた。



「ニクス。(かえ)るわよ。」



(かの)(じょ)(こえ)で、

わたしは(あく)()から()()ました。




 ▶

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