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金貨の娘  作者: 美穂
第5章 混濁の庭

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第5章 第2節 代表の男(第1項)

来(らい)客(きゃく)を告(つ)げるハンドベルは今日(きょう)も鳴(な)る。



この館(やかた)は、誰(だれ)でも入(はい)れる場(ば)所(しょ)ではない。



『お客(きゃく)さんの品(ひん)性(せい)は、館(やかた)の品(ひん)格(かく)に繋(つな)がる。』

とはサンサの言(こと)葉(ば)だった。



客(きゃく)はドレイプに手(て)紙(がみ)を送(おく)り、

気(き)に入(い)られてからお金(かね)を積(つ)むことで、

ようやく来(らい)館(かん)が許(ゆる)される。



夜(よる)の館(やかた)は分(ぶん)水(すい)街(がい)でも有(ゆう)名(めい)な高(こう)級(きゅう)娼(しょう)館(かん)で、

サンサは東(ひがし)にあるエルテル領(りょう)の養(よう)女(じょ)。



誰(だれ)にも買(か)うことのできない彼(かの)女(じょ)が、

ベッドの上(うえ)で肌(はだ)を重(かさ)ねる相(あい)手(て)は

これまで一人(ひとり)も居(い)なかった。



それでもサンサに招(まね)かれたいが為(ため)に、

贈(おく)り物(もの)や手(て)紙(がみ)を用(よう)意(い)する客(きゃく)は後(あと)を絶(た)たない。



天(てん)蓋(がい)の下(した)で大(たい)量(りょう)の手(て)紙(がみ)に

目(め)を通(とお)すサンサは、頭巾(フード)と宝飾巾(ヴェール)、

義(ぎ)腕(わん)とアームカバーまで着(ちゃく)用(よう)して、

今日(きょう)は外(がい)出(しゅつ)の用(よう)意(い)をしていた。



――これからどこかへ出(で)かけるのかしら。



認(にん)証(しょう)管(かん)理(り)のボナが仕(し)分(わ)けた手(て)紙(がみ)でも、

サンサはほとんどをゴミ箱(ばこ)に捨(す)てていく。



手(て)紙(がみ)の内(ない)容(よう)に小(ちい)さく笑(わら)い、

外(がい)出(しゅつ)する様(よう)子(す)はない。



サンサの護(ご)衛(えい)に付(つ)く騎(き)士(し)のハーフガンが、

今日(きょう)も変(か)わらず眉(み)間(けん)に力(ちから)を入(い)れて、

予(よ)定(てい)にない客(きゃく)を館(かん)内(ない)に連(つ)れてきた。



挿絵(By みてみん)



ドレイプに認(みと)められて招(まね)かれた客(きゃく)は、

フランジや従(じゅう)業(ぎょう)員(いん)が案(あん)内(ない)を行(おこな)う。



サンサを目(め)当(あ)てにする客(きゃく)を、

日(ひ)陰(かげ)の庭(にわ)へと案(あん)内(ない)するのは、

ハーフガンが常(つね)となっていた。



「やぁ、狂(きょう)気(き)の女(め)神(がみ)。


 また会(あ)いに来(き)ましたよ。」



「放(ほう)蕩(とう)息子(むすこ)…。よく顔(かお)が出(だ)せたわね。」



狂(きょう)気(き)の女(め)神(がみ)と呼(よ)ばれたサンサは、

声(こえ)を低(ひく)くして、険(けわ)しい口(く)調(ちょう)で言(い)った。



人(にん)間(げん)や神(かみ)々(がみ)を不(ふ)均(きん)衡(こう)と過(か)失(しつ)に導(みちび)く女(め)神(がみ)、

などと呼(よ)ばれれば彼(かの)女(じょ)でも

気(き)分(ぶん)を害(がい)するらしい。



「久(ひさ)しぶりの逢(おう)瀬(せ)だというのに、

 真(ま)冬(ふゆ)の雪(ゆき)のように冷(つめ)たいですな。


 手(て)紙(がみ)は読(よ)んでくれましたか?」



「逢(おう)瀬(せ)もなにも、

 あなたは呼(よ)んでないわよ。


 それに手(て)紙(がみ)なんて届(とど)いてないもの。」



ハーフガンが連(つ)れてきた、

放(ほう)蕩(とう)息子(むすこ)と呼(よ)ばれた金(きん)髪(ぱつ)碧(へき)眼(がん)で痩(そう)身(しん)の男(おとこ)。



挿絵(By みてみん)



濃(こ)い肌(はだ)とやや黒(くろ)が混(ま)ざる濁(にご)った金(きん)髪(ぱつ)で、

髪(かみ)の癖(くせ)も激(はげ)しい。



短(みじか)めの髪(かみ)を真(ま)ん中(なか)から分(わ)けて、

赤(あか)色(いろ)の飾(かざ)り紐(ひも)で縛(しば)って額(ひたい)を出(だ)している。



清(せい)潔(けつ)には見(み)えないキャシュク。



胸(むな)元(もと)の飾(しょく)緒(しょ)は金(きん)の鎖(くさり)に代(か)えて輝(かがや)かせ、

これでも身(み)分(ぶん)の高(たか)い人(じん)物(ぶつ)らしい。



飾(かざ)り布(ぬの)はせずに、藍(あい)色(いろ)に深(ふか)染(ぞ)めした

薄(うす)手(で)の上(うわ)着(ぎ)の袖(そで)を肩(かた)に掛(か)けて先(さき)を結(むす)ぶ。



およそこの分(ぶん)水(すい)街(がい)に住(す)んでいる貴(き)族(ぞく)や、

上(じょう)流(りゅう)階(かい)級(きゅう)の人(にん)間(げん)には見(み)えない奇(き)抜(ばつ)な格(かっ)好(こう)。



テーブルの上(うえ)には、

この客(きゃく)に対(たい)する用(よう)意(い)はなにもしていない。



アルはテーブルの下(した)で影(かげ)に紛(まぎ)れ、

イオスは網(あみ)棚(だな)の隙(すき)間(ま)から、

太(ふと)い尻尾(しっぽ)を出(だ)して寝(ね)ている。



わたしはメノーから参(さん)考(こう)として渡(わた)された

難(なん)解(かい)な医(い)学(がく)書(しょ)の、読(どっ)解(かい)を試(こころ)んでいた。



背(はい)後(ご)のスーからは、わたしの傷(いた)んでいた髪(かみ)を

握(にぎ)り鋏(ばさみ)で整(ととの)えられている最(さい)中(ちゅう)だった。



挿絵(By みてみん)



それほど長(なが)くないわたしの髪(かみ)を編(あ)むなど、

スーが満(まん)足(ぞく)するまで弄(いじ)られるのが

日(にっ)課(か)になりつつあった。



切(き)られて落(お)ちた毛(け)が背(せ)中(なか)に入(はい)った為(ため)か、

背(せ)中(なか)から身(み)震(ぶる)いする寒(さむ)気(け)に襲(おそ)われた。



「下(さ)がっていいわよ。」



サンサがハーフガンに告(つ)げると、

彼(かれ)は客(きゃく)に舌(した)打(う)ちをして

玄(げん)関(かん)側(がわ)へと去(さ)っていった。



去(さ)り際(ぎわ)にわたしは睨(にら)まれる。



「またお城(しろ)を追(お)い出(だ)されたの?」



と、スーがこの客(きゃく)に訊(たず)ねた。



サンサやハーフガンに比(くら)べると、

スーは嫌(けん)悪(お)の感(かん)情(じょう)を見(み)せない。



それでも彼(かの)女(じょ)から朗(ほが)らかな表(ひょう)情(じょう)は消(き)えて、

普(ふ)段(だん)のサンサを真似(まね)しているのか、

冷(れい)然(ぜん)とした態(たい)度(ど)に変(か)わる。



――スーって誰(だれ)かを嫌(けん)悪(お)するのかしら?



「春(はる)のあいだは、カヴァに

 お世(せ)話(わ)になりましてね。」



「なにをやらかして捕(つか)まったの? 詐(さ)欺(ぎ)?」



サンサはこの来(らい)客(きゃく)に不(ふ)敬(けい)な質(しつ)問(もん)を浴(あ)びせる。



「捕(つか)まってませんよ。

 僕(ぼく)はペタの次(じ)代(だい)領(りょう)主(しゅ)ですよ。


 そんなことしたら外(がい)交(こう)問(もん)題(だい)でしょう。


 僕(ぼく)が賓(ひん)客(かく)に決(き)まってるじゃあないですか。


 座(すわ)りますよ。いいんですか?

 いいですよね。」



「ダメと言(い)っても座(すわ)るでしょ。

 ヘッペは。」



「その名(な)前(まえ)で僕(ぼく)を呼(よ)ばないでおくれよ。」



ヘッペと呼(よ)ばれた男(おとこ)は贈(おく)り物(もの)も手(て)にせず、

天(てん)蓋(がい)が作(つく)る日(ひ)陰(かげ)に入(はい)って

南(みなみ)側(がわ)の客(きゃく)席(せき)に勝(かっ)手(て)に座(すわ)る。



スーは彼(かれ)には椅(い)子(す)を引(ひ)かなかった。



彼(かれ)はすぐにわたしと目(め)を合(あ)わせて、

暗(くら)い碧(へき)色(しょく)の目(め)を細(ほそ)めて顎(あご)を上(あ)げる。



「赤(あか)い生(き)娘(むすめ)だ。


 お名(な)前(まえ)は?

 春(はる)の初(はつ)物(もの)かい。」



「名(な)乗(の)るべきではない相(あい)手(て)には、

 名(な)乗(の)る必(ひつ)要(よう)はないわよ。」



「厳(きび)しいですなぁ。

 それじゃあなんて呼(よ)べばいいやら。


 赤(あか)雌(め)蕊(しべ)、花(はな)の香(こう)、暮(くれ)相(あい)の髪(かみ)の…、

 赤(あか)い眼(まなこ)は闇(やみ)を照(て)らす、銅(どう)のテレス。」



彼(かれ)は気(き)にも留(と)めずに、

奇(き)妙(みょう)な語(ご)調(ちょう)で歌(うた)い出(だ)す。



「詩(し)才(さい)に欠(か)けるわね。


 闇(やみ)ではなく夜(よる)にすべきよ。

 ここは夜(よる)の館(やかた)なのよ。


 メルセの場(ば)所(しょ)は分(わ)かる?」



「メルセ…?」



「ペタの昔(むかし)のひとの呼(よ)び名(な)だよ。」



「同(おな)じ領(りょう)地(ち)なんだ。」



「大(だい)水(すい)害(がい)の後(あと)に出(で)来(き)た、

 お城(しろ)の名(な)前(まえ)から取(と)ってるからね。


 世(せ)代(だい)の違(ちが)いかな?」



言(い)ってスーはサンサを見(み)た。



「偏(へん)見(けん)が酷(ひど)いわね。

 大(だい)水(すい)害(がい)なんて300年(ねん)以(い)上(じょう)も昔(むかし)よ?


 正(せい)式(しき)な名(な)前(まえ)がメルセ領(りょう)なのよ。


 洞(どう)窟(くつ)港(こう)とエルテルの交(まじ)わる土(と)地(ち)、

 という意(い)味(み)でメルセ。


 そのメルセに建(た)つお城(しろ)の名(な)前(まえ)がペタ城(じょう)ね。


 お城(しろ)の建(た)っているペタは、

 『偉(い)大(だい)』や『高(こう)貴(き)』という意(い)味(み)よ。」



「蜂(はち)蜜(みつ)やナショーには、

 ペタって名(な)前(まえ)を付(つ)けて売(う)るんだよ。


 ペタ蜜(みつ)に、ペタナショーだって。」



――付(ふ)加(か)価(か)値(ち)って言(い)うのよね。



そんな話(はなし)を倉(そう)庫(こ)の前(まえ)でサンサから聞(き)いた。



「年(とし)寄(よ)りはみんなメルセ領(りょう)って呼(よ)ぶのさ。

 困(こま)るんだよなぁ。」



「わたしまで年(とし)寄(よ)り扱(あつか)いなんて、

 不(ふ)敬(けい)罪(ざい)で吊るそうかしら…。」



サンサは呟(つぶや)いて深(ふか)く溜(た)め息(いき)を吐(つ)く。



「ヘッペという男(おとこ)は、

 ペタの次(じ)代(だい)領(りょう)主(しゅ)を騙(かた)っている――。」



「騙(かた)るもなにもないだろっ。」



急(きゅう)に感(かん)情(じょう)を昂(たかぶ)らせた彼(かれ)は、

その相(あい)手(て)を見(み)て一(いち)度(ど)咳(せき)をする。



「僕(ぼく)はメルセ・ハス・ヘッペリオ。

 由(ゆい)緒(しょ)あるメルセ家(け)の、正(せい)統(とう)な後(こう)継(けい)者(しゃ)さ。


 そんなに畏(かしこ)まられても困(こま)るから、

 親(した)しみを込(こ)めてリオンと呼(よ)んでおくれ。


 よろしく、暮(くれ)相(あい)の生(き)娘(むすめ)。」



彼(かれ)は立(た)ち上(あ)がり、

首(くび)に掛(か)けた上(うわ)着(ぎ)の裾(すそ)を手(て)で払(はら)うと、

なにかを真似(まね)して靡(なび)かせて見(み)せる。



「埃(ほこり)が舞(ま)うから止(や)めなさい。


 ヘッペとは仲(なか)良(よ)くしなくていいわよ。」



客(きゃく)のはずの彼(かれ)に対(たい)して、

サンサは冷(つめ)たく遇(あしら)う。



名(な)前(まえ)も名(な)乗(の)っていないわたしは、

ヘッペリオから差(さ)し出(だ)された

右(みぎ)手(て)の対(たい)応(おう)に困(こま)っていると、

彼(かれ)は強(ごう)引(いん)にこちらの右(みぎ)手(て)を掴(つか)んで握(にぎ)る。



彼(かれ)の碧(へき)色(しょく)の瞳(ひとみ)が、

わたしを蔑(さげす)むように見(み)下(お)ろしてくる。



「…ヘッペって言(こと)葉(ば)には、

 どういう意(い)味(み)があるの?」



わたしは彼(かれ)の顔(かお)を見(み)ずに、

助(たす)けを求(もと)めるつもりで二人(ふたり)に訊(たず)ねた。



「ヘッペは『代(だい)表(ひょう)』という意(い)味(み)で、

 あまり使(つか)われない大(たい)陸(りく)の古(こ)語(ご)よ。」



「繊(せん)維(い)のペヌンも同(おな)じ語(ご)源(げん)だよね。」



「良(い)い意(い)味(み)、だよね?」



南(なん)部(ぶ)草(そう)から作(つく)る繊(せん)維(い)のペヌンの評(ひょう)価(か)は

分(わ)からないけれど、代(だい)表(ひょう)という意(い)味(み)なら

彼(かれ)が厭(いと)うほど悪(わる)くは聞(き)こえない。



挿絵(By みてみん)



「リオは『崇(すう)高(こう)』の縮(しゅく)約(やく)。


 だからメルセ領(りょう)主(しゅ)のペタリオは

 『高(こう)貴(き)』で『崇(すう)高(こう)』なのよ。


 二人(ふたり)共(とも)お似(に)合(あ)いで素(す)敵(てき)な名(な)前(まえ)ね。」



――思(おも)ってもいないことを…。



「領(りょう)主(しゅ)の付(つ)けた名(な)前(まえ)で煽(おだ)てられたって、

 いい気(き)はしないんですよ。


 分(わ)かるかい?」



「それなら名(な)前(まえ)を変(か)えればいいのに。

 ねぇ。」



と、スーはわたしに同(どう)意(い)を求(もと)める。



――わたしだって変(か)える予(よ)定(てい)はないのに…。



「ご存(ぞん)知(じ)かもしれませんがね。


 改(かい)名(めい)できる分(ぶん)水(すい)街(がい)の仕(し)組(く)みは、

 因(いん)循(じゅん)なペタにはまだないのさ。


 現(げん)領(りょう)主(しゅ)のペタリオも、認(みと)めはしません。

 古(ふる)いんですよ。


 領(りょう)主(しゅ)も。メルセ領(りょう)も。

 もっと外(そと)に目(め)を向(む)けるべきです。」



「あなたの愚(ぐ)痴(ち)はどうでもいいわよ。


 ヘッペなんて小(こ)者(もの)を、

 カヴァが賓(ひん)客(かく)扱(あつか)いするわけないわ。


 手(て)を放(はな)しなさいよ。」



彼(かれ)はいつまでも経(た)っても

わたしの手(て)を握(にぎ)ったまま離(はな)さない。



「名(な)前(まえ)を言(い)うまで放(はな)しませんよ、僕(ぼく)は。」



「スー。


 あの汚(よご)れた手(て)を斬(き)り落(お)としていいわよ。」



「こんな鋏(はさみ)だと鼻(はな)しか斬(き)り落(お)とせないよ。」



縫(ぬ)い糸(いと)や髪(かみ)を切(き)る程(てい)度(ど)の

握(にぎ)り鋏(ばさみ)しか持(も)っていないスーは断(だん)念(ねん)する。



「鼻(はな)を斬(き)り落(お)とされては困(こま)る。


 さぁさ、僕(ぼく)をリオンと呼(よ)んでおくれ。


 それでお前(まえ)は、なんて名(な)前(まえ)だい?」



「えぇ…。」



――サンサは『名(な)乗(の)りたい相(あい)手(て)』ではなく、

  『名(な)乗(の)るべきではない相(あい)手(て)』って

  否(ひ)定(てい)的(てき)に主(しゅ)張(ちょう)してたわね。



――そんな相(あい)手(て)をサンサは

  どうして館(やかた)に入(はい)れたのかしら?



わたしは彼(かれ)から視(し)線(せん)を逸(そ)らし、

彼(かれ)の背(はい)後(ご)に立(た)つハーフガンを見(み)上(あ)げた。



「斬(き)り落(お)としていいのはこの首(くび)か?」



「あはは。冗(じょう)談(だん)ですよ。

 怖(こわ)いなぁ…。ねぇ?」



ヘッペリオは首(くび)に触(ふ)れる剣(けん)の鞘(さや)に怯(おび)え、

素(す)早(ばや)く手(て)を放(はな)し、笑(わら)って目(め)を逸(そ)らした。



「お互(たが)いに笑(わら)い合(あ)えるものを

 冗(じょう)談(だん)というのよ。」



サンサが言(い)うと、

ハーフガンが舌(した)打(う)ちをする。



彼(かれ)は去(さ)り際(ぎわ)にまたわたしを睨(にら)んできた。



「野(や)蛮(ばん)な男(おとこ)だ…。」



「気(き)に入(い)ったのなら今(こん)度(ど)は彼(かれ)に、

 ヘッペをエルテルの石(せき)塔(とう)まで

 案(あん)内(ない)させるわよ。」



「冗(じょう)談(だん)じゃないぞ!」



ヘッペリオは、

館(やかた)から追(お)い出(だ)そうとする

サンサに不(ふ)満(まん)を訴(うった)えた。




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