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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第5章 混濁の庭

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第5章 第2節 代表の男(第2項)

――『()るものは(えら)び、

   ()るものは()わず。』

  よね…?



(よる)(やかた)()まりにわたしは()(もん)(いだ)く。



「カヴァになにをしに()ってたのよ。」



()きたいですか?

 ()きたそうにしているね。


 それじゃあ(おし)えてあげましょう。


 ペタの()(だい)(りょう)(しゅ)である(ぼく)は、

 (とく)(べつ)にサンスァラ(おう)(じょ)

 (はっ)(きん)(ぞう)()させてもらったのさ。


 (しろ)(やわ)らかな(はだ)(うつく)しい(むすめ)でしたよ。」



()()がするわね。」と、サンサ。



(こく)(ほう)というのに、

 あんな山間(やまあい)()()めるなんて

 カヴァは(ひど)いことをする。


 それにカヴァの(りょう)()(どく)(とく)で、

 ひとが(くち)にするものとは(おも)えません。


 ()()(しょく)(よく)(そそ)らないんです。


 それに(あじ)はどれも(しお)(から)くて。んん。


 ペタの()()()(れん)(ちゅう)には、

 ()()けないでしょうね。」



「その()()()りに、

 あなたも(ふく)まれるのよ。()かってる?」



テーブルに(のこ)ったお()()

果物(くだもの)(くち)(ほう)()み、

ヘッペリオはカヴァでの()()(なつ)かしむ。



()()げてテーブルに(りょう)(ひじ)()き、

()()()姿()(せい)(くち)()けて()(しゃく)をする。



おまけになんにでも(はち)(みつ)()け、

()(くち)(まわ)りを(よご)している。



()るひとの(しょく)(よく)までも()

(ひん)のない()(かた)をするので、

()(ぐる)しい姿(すがた)にわたしは(はん)(がん)になる。



(おう)()があんなものを()っていたのでは、

 ()えた(みん)(しゅう)(ねずみ)のように()(ちく)(えさ)か、

 (うま)(はい)(せつ)(ぶつ)でも()べてるんですかね。」



(しょく)()(ちゅう)にも(かか)わらず、

(みみ)(うたが)(こと)()(かれ)(くち)から(はな)たれる。



サンサが(かれ)(いと)()(ゆう)()かった。



ヘッペリオに(にぎ)られたわたしの(みぎ)()

(よご)れた()がした。



(かれ)()(だい)(りょう)(しゅ)(しょう)していても、

(こう)(どう)には(ひん)(せい)(ともな)わず、

(やかた)(ひん)(かく)()としかねない。



()えた(うさぎ)でも

 そんな()(かた)はしないわよ。」



(かた)いパンや(こけ)のスープなんて、

 (ひん)(そう)(もてな)しをされたら、

 (いや)にもなるものさ。」



(ぐん)(よう)()(ぞん)(しょく)(らん)(そう)のスープね。


 (しお)()いて()べるものよ。


 カヴァがヘッペを(あい)()

 (そう)(おう)のものを(あた)えたに()ぎないわ。


 (みつ)(あか)()には(どく)だものね。」



(あか)()(あつか)いは(しん)(がい)ですな。」



()(まん)()かべるヘッペリオに、

サンサは(はな)(わら)う。



(もてな)(あい)()ではない、と

 (ただ)しく(ひょう)()したのよ。


 (せい)(じょう)(はん)(だん)ね。


 (めん)(どう)なあなたの(あい)()を、

 (だれ)がさせられたのかしら。」



(あい)()はオルデウス(おう)(まご)(むすめ)

 サラシュ(おう)(じょ)です。


 (せい)(ねん)になるというから()ってみたのさ。


 (いん)(けん)なカヴァの(れん)(ちゅう)とは(おお)(ちが)いで、

 (げん)(かん)()(きゅう)(しゃ)まで(あん)(ない)してくれて、

 (もの)(しず)かで(てい)(ねい)(せい)(かく)でしたよ。


 それになにより

 いまのカヴァは(かい)(らい)(こっ)()だ。


 つまり(ぼく)(ちぎ)るべき(あい)()です。」



「なにが『つまり』よ。


 ヘッペとの(こん)(いん)なんて

 どんな(おも)(つみ)かしらね。」



サンサの(こと)()にスーが(うなず)いた。



「サラシュという()()(りょう)()いのね。


 ()(りゃく)(あつか)ってもあなたに

 ()()かせないなんて(ゆう)(しゅう)だわ。


 わたしも()ってみたいわね。


 あの()(ほう)から()いに()ないかしら。」



アルを()いてサンサは()う。



「それにしても(せん)(そう)()わったんで、

 (しょう)()(いわ)って(まつ)りでも(ひら)くのかと

 (おも)っていたのに。


 (きゅう)(てい)(ない)のあの(おも)(くる)しい(くう)()は、

 (ぼく)には()(がた)かったですよ。」



「こんな()()まで(なが)()しておいて

 (ずう)(ずう)しいわね。


 (みん)(しゅう)(まえ)でそんな(かる)(くち)(たた)けば、

 ()かした(てつ)(くち)(なが)()まれるわよ。



サンサが(おど)(もん)()(なら)べても、

ヘッペリオは()にせず、(ゆび)()のひらを

()(まわ)して(あと)(あじ)(たの)しんでいる。



「ヘッペが()らないだけで、

 西(にし)(がわ)()(はい)するカヴァであっても、

 メルセほど(よく)()(めぐ)まれないのよ。」



(くれ)(あい)(なが)(せん)(そう)

 どっちが()ったのやら。


 カヴァの(おう)()(こく)(えき)()()し、

 (にく)しみで(あらそ)いに(しゅう)(ちゃく)した(けっ)()

 (ちゅう)(おう)(がい)には()(ごと)(もと)める()(ろう)(しゃ)

 (あふ)れてましたよ。


 ヒュルゲンの(まつ)()()(さん)なもんです。


 ネルタが(ほろ)んでしまっては、

 (ばい)(しょう)(きん)()られませんからね。」



「滅んだ? ネルタが?」



わたしは(みみ)(うたが)い、()()がっていた。



ヘッペリオはテーブルに(りょう)(ひじ)()き、

()()げたまま(ゆび)(あか)()のように()って

(まん)(ぞく)そうに(くちびる)()める。



「ネルタは(ほろ)んだよ。

 まったく()()()(むすめ)だ。


 それなら(ぼく)(おし)えてあげよう。


 ネルタの(おう)のケイロウはカヴァの(おう)()

 オルドラスの()によって(くび)()ねられた。


 オルドラスは異母妹(いもうと)の、

 サンスァラ(おう)(じょ)

 (かたき)()ちを()()げたのさ。


 しかし、()(りょ)(おう)()()(めい)

 (そそ)がれませんでしたな。」



ヘッペはサンサを()ると、

(よご)れた()()せて(わら)う。



「ケイロウの息子(むすこ)(ぼう)(ぎゃく)なモローも、

 (ふゆ)にはその()(りょ)(おう)()()たれて(せん)()。」



わたしは、(たお)れるように()()(すわ)った。



()(ぜん)(つた)えた(しろ)()()()らえた、

 (おう)(むすめ)(けん)


 (おう)(じょ)()(そう)(にな)ったビンスですが、

 (かれ)(かえ)ってからすぐに()んだせいで、

 ()(じょ)(たち)(おう)(じょ)(そん)(ざい)

 ()らなかったと――。」



(せん)(そう)()けたのは()かっていた。



(とう)から(なが)めていた景色(けしき)も、(しろ)も、

(みずうみ)(しゅう)()()んでいた(みん)(しゅう)住処(すみか)(うしな)う。



それを()()れるのは(むずか)しかった。



(あたま)(なか)にある(はい)(いろ)(もや)()れない。



(くれ)(あい)(せん)(そう)(ささ)えた()(ぞく)()(しょう)(にん)

 ヒュルゲン・ハス・ビンスは、

 ()もなく()(ぞく)(びょう)()んだとか。」



()(ぞく)(びょう)()(ぞく)(とっ)(けん)として

()られる(びょう)()()われている。



(どぶ)()(ころ)されたなんて(うわさ)もあります。


 (のこ)した()(さん)(くに)(うば)われて、

 (みにく)(おろ)かな(おとこ)(さい)()だ。


 ネルタ(ぞく)()()りに()げて、

 ()(ぞく)(とう)(ぞく)()(やつ)すなんて(わら)(ばなし)さ。


 (とう)(ぞく)(くに)がただの(とう)(ぞく)(もど)った。


 まさに(いし)(うす)(まわ)したわけさ。」



()(みょう)()(まわ)しをして、

(かれ)はサンサに()(なお)り、

なおも(こえ)(はず)ませて(かた)る。



「オルデウス(おう)にも()いましたが、

 ()(きん)()りに(あたま)(かか)えてましたよ。


 かれらが(せん)(そう)()たものは

 (けっ)(きょく)なにもなかった。」



(さかづき)(あお)り、(のど)()らした。



(げん)(ろう)(いん)(した)しいひとから()いた(はなし)

 これは(さだ)かじゃありませんが、

 ()(ちょう)(まご)のオルドラスに(おう)()(あた)え、

 息子(むすこ)のオルデウスを退(たい)()させるとか。


 (せん)(そう)(せき)(にん)()ってのことか、

 (げん)(ろう)(いん)()(ちょう)()がせるつもりか。」



(やかた)(りゅう)(げん)(この)まないわ。」



「ただの(ひと)(ごと)ごとですよ。


 この(しょく)(しょ)は、

 その()(ちょう)からの(ちょう)(だい)(もの)でね。」



(てん)(がい)()(かげ)(なか)で、

(きん)(くさり)(にぶ)(かがや)かせて()せる。



「カヴァはまた

 『()()(おう)()(つく)った』と、

 (とう)()(しゃ)(たち)から(わら)われるのさ。


 あの()(りょ)(おう)()(そく)()したって

 ()(りょう)から()られるご(しゅう)()で、

 (こっ)()(うるお)せるはずありません。」



「ドラスが()(ちょう)(めい)(れい)されて、

 (じゅう)(じゅん)(たい)(かん)するのかしらね。」



「マイダスは()()()()むだろうね。


 そこでペタの()(だい)(りょう)(しゅ)である(ぼく)が、

 (げん)(ろう)(いん)にこう()ってやったわけですよ。」



()()(ひら)いて(はな)(あな)(ひろ)げる。



「『(つぎ)(ゆう)(ふく)(ぶん)(すい)(がい)

  ()めたらいい。』ってね。」



しばらくの(ちん)(もく)(あと)で、

サンサが()(いき)()く。



()(しゃ)(ほのお)(あが)めるのよ。」



「なにいってるんですか。


 カヴァは(ほのお)(あやつ)るものを、

 (けん)(じゃ)(しょう)したんですよ。


 それに()(かい)(あん)で…いだぁっ!」



(かわ)いた(おと)(てい)(えん)(ひび)き、

ヘッペリオは(ひろ)(ひたい)()(おさ)えた。



スーが(かれ)(ひたい)(ひら)()(たた)いたからだった。



退(たい)(くつ)(えん)(ぜつ)で、欠伸(あくび)()るね。」



スーに()めた()みで()(くだ)され、

ヘッペリオは(しょう)(げき)(おどろ)き、

()(せん)(じょう)()させて(こん)(らん)する。



(あさ)ましい(おとこ)(あたま)に、

 (わる)(むし)がいたのね。」



サンサが()うと、

スーが()のひらに(いき)()きかける。



「もう(かえ)らないと、()()れますよ。」



スーは()ったけれど、まだ()(たか)い。



「メルセはいまは(はん)(ぼう)()でしょ。


 そんな(かお)でも(りょう)(しゅ)()せないと、

 (ちか)(ぜつ)(えん)されるわよ。ヘッペ。」



サンサから(けい)(こく)(ちか)(ちゅう)()()け、

ヘッペリオはようやく()()がった。



「では今日(きょう)はこれで、

 (かえ)るとしますよ。


 また()おう、()(むすめ)(たち)。」



(かお)(よご)したまま()ていくのね。」



サンサは宝飾巾(ヴェール)(うえ)から

()(ぶん)のホクロを()()して、

ヘッペリオの(くち)(まわ)りの(よご)れを()(てき)した。



(かれ)(かた)()けた(うわ)()(そで)(くち)(ぬぐ)った。



スーに(たた)かれた(ひたい)(あか)くなっている。



「あなたも()(ぶん)(かお)くらい

 もっと(かがみ)()るべきね。」



――いま、サンサはなにか…。



(ふる)(どう)(きょう)ならサンサの部屋(へや)で、

(うら)(がえ)しのまま使(つか)われずに(かべ)(かざ)られている。



――『あなたも』って

  (ふく)みのある()(かた)よね?



サンサはわたしと()()うと、

(ぎん)()(ほそ)めて(わら)う。



(きょう)()()(がみ)

 今日(きょう)(まね)いてくれてことを(かん)(しゃ)しよう。」



「だから、(しょう)(たい)してないわよ。


 あなたみたいな(ほし)(どり)

 もう()()(きん)()にすべきね。」



「ははは。これは()(きび)しい。

 (ぼく)まで田舎(いなか)(もの)(あつか)いですか。


 それでは(ふゆ)()える()を、

 (たの)しみにしてますよ。」



ヘッペリオは(さい)()まで、

サンサから(きゃく)として(あつか)われない。



(かれ)はわたしの(まえ)()って()()ろす。



(くれ)(あい)()(むすめ)


 こんな(かよわ)(むすめ)が、

 ネルタとどんな(かん)(けい)があるか

 ()らないけど、(ぶっ)(そう)(はなし)をして

 ()(ぶん)(がい)したかな。


 (ふゆ)()()(かい)があれば、

 ()(まえ)(おし)えて(もら)うとするよ。」



ヘッペリオが()()せて(わら)う。



しかし(おと)もなくやってきたハーフガンに

(えり)(くび)(つか)まれると()(ぐち)まで()()られ、

()(かげ)(にわ)()っていった。



()ってくれ。(くび)っ! ぐびぃっ!」



――あのひと…。

  まだなにか()ってるのかしら。



ヘッペリオを()()りながら、

ハーフガンはわたしを(にら)みつける。



「へッペに、またなにか(わた)されなかった?」



「ううん? また?」



わたしはサンサに()けて

(りょう)()(ひら)いて()せた。



()きたイオスが(あみ)(だな)(なか)から、

わたしの()()かって(まえ)(あし)()ばす。



「それは(ざん)(ねん)だわ。


 なにか(わた)していたら、

 マルフに(さば)いて(もら)えたのに。」



(やかた)のお(きゃく)さんでも、フランジに

 お(かね)(わた)したらダメなんだよ。」



「ハミウス(ほう)ね。


 (かん)(ねい)(じゃ)()にもう(よう)はないから、

 (こん)()()たら()(かえ)してもいいわよ。」



「だってさ。」スーが(わら)う。



(かの)(じょ)はヘッペリオの()った(あと)

(ざん)(ぱん)(かた)()けに、(しょっ)()(しょく)(どう)(はこ)んだ。



サンサはヘッペリオのことを、

(ひね)くれて、(ずる)(がしこ)く、()(へつら)(じん)(ぶつ)()()する

(かん)(ねい)(じゃ)()』と()(ひょう)した。



――サンサは(かん)(ねい)(じゃ)()ではない、

  ということよね。



ヘッペリオが()ると

サンサは頭巾(フード)宝飾巾(ヴェール)(はず)し、

(がい)(しゅつ)もせずにまた()(がみ)()(はじ)めた。



サンサと二人(ふたり)きりになったので、

わたしは(かの)(じょ)(たず)ねた。



「サンサは(かれ)からなにか、

 ()られるものがあったんだね。」



「えぇ、あなたを()(えさ)にしてね。


 なにかは(おし)えてあげないわよ。」



(ひろ)(ふか)(かんが)えなさい、だよね。」



こう(つた)えると(てん)(がい)(かげ)(もと)で、

(かの)(じょ)(つめ)たい(ひとみ)がわたしを()る。



「ニクスはなにか、

 ()られるものがあったかしら?」



()からないよ…。」



(あく)(しゅ)(よご)れた(みぎ)()()ても、

(うしな)ったものが(かく)(にん)できただけだった。



「それならあなたは、

 ()らないことを()れたのね。」



――ニースだわ。



()(ぜん)、スーが()っていたようなことを、

サンサもわたしに()う。



(かの)(じょ)(ひざ)(うえ)()たアルの(ひたい)()でて、

また()(ほそ)めると(こう)(かく)()げた。




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