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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
序章 婚星の路

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序章 第4節 星座の鳥(第2項)

(しょく)()(とく)になにをするでもなく、

(えん)(とつ)から(じょう)()(おさ)まるのを

(じゅう)(たん)(うえ)()った。



(こん)(いろ)(うわ)()姿(すがた)のレナタが、

(ちか)くの(みどり)(うえ)()(まる)くしたまま(うご)かない。



「なにしてるんだろ。」



()になるのなら、

 (ちか)()いて(こえ)()ければ()いのよ。


 わたしの(きょ)()(ひつ)(よう)ないわよ。」



(じゅう)(たん)(うえ)(おう)()するサンサが()った。



(かの)(じょ)()(なか)()わせたメノーは、

(しず)かに()(いき)()てている。



「あんな()(しょ)にずっと()たら、

 レナはまた()()けするわよ。」



サンサからストロー(ぼう)()()けられる。



わたしは(みどり)(うえ)をサンダルも()かず、

(つま)(さき)(ある)いてレナタに(ちか)()いた。



(いぬ)(ねこ)などの(どう)(ぶつ)は、

こうした()(こう)(あし)(おと)(おさ)えて

()りを(おこな)うという。



レナタは(じょう)()(かん)(さつ)()きて(しょ)()(ばん)()に、

なにかを()(みつ)(ろう)()って()いている。



挿絵(By みてみん)



()(せん)(さき)には()(がた)(とり)()る。



(くら)(にじ)(いろ)(はね)(しろ)(はん)(てん)()つその(とり)は、

(すう)(まん)()れを(つく)ることもある。



(あか)るい()(あか)(いろ)(くちばし)()(めん)()()して、

(みどり)(なか)にある(むし)(しゅ)()などの(しょく)(りょう)

(さが)していた。



(はね)(はん)(てん)()(よう)から()(ぞら)(ほし)(ぼし)(れん)(そう)させる。



(ほし)(どり)ね…。」



(うし)ろに()っていたわたしの(つぶや)きに、

レナタが()()いてこちらを()()いた。



「ニクス。(とり)()きました。」



(へい)(めん)(しょ)()(ばん)()られた()

(とり)(こま)かな(とく)(ちょう)(とら)え、

レリーフのような(りっ)(たい)

(みつ)(ろう)(ひょう)(げん)されている。



挿絵(By みてみん)



「うん。(ほし)(どり)よね。


 いまは(ぶん)(すい)(がい)()てるのね。」



「ニクスは(とり)(くわ)しいんですか?

 あの(とり)はどんな(とり)ですか?」



「どんな…? (ざっ)(しょく)(とり)よ。


 ()()(むし)()べて()ごして、

 ()れで()らす(にぎ)やかな(とり)ね。


 (しゅう)(かく)(さい)()ぎた(ころ)

 (てん)(がい)(さん)(ふもと)(えい)(そう)()()て、

 (あたた)かい(きた)()(どう)するの。


 (あつ)くなる(まえ)には、

 (みなみ)(えい)(そう)()(もど)って(はん)(しょく)するのよ。


 (すう)(まん)にもなる()れが()ぶと、

 ()(みょう)(うご)(くろ)(くも)()えるの。


 (むかし)のひとはそれを()て、(きょう)(ちょう)――

 (わる)いことの(まえ)()れに(ちが)いない

 って(おも)うそうよ。


 (めい)(しん)(かた)られるわね。」



レナタが()()わせてよく(うなず)くので、

わたしも(せつ)(めい)(ねつ)(はい)る。



(てん)(がい)(さん)(ふもと)ということは…

 あの(とり)(きん)(そく)()()んでるんですか?


 ニクスはその(ちか)くに()んでたんですね。」



()(ぶん)()(かつ)さに(あたま)(かか)えた。



レナタへの()かりやすさを(ゆう)(せん)し、

(しゅつ)()()かしかけていた。



「あ、…うん。レナタ。あのね…、

 これは二人(ふたり)だけの()(みつ)ね。」



「ええ。わたしも、

 (しゅつ)()(たず)ねてしまいましたから…。


 みなさんに(だま)っていてくださいね。」



(こま)(がお)()せても(こう)(かく)()げかけて、

(かの)(じょ)(よろこ)びを(かく)せずにまた(なん)()(ふか)(うなず)く。



「ニクスって、

 いつもそんな(しゃべ)(かた)でしたか?」



「…(たし)かに(あい)()()えてるわね。」



「わたしが()(ども)だからですか?」



すぐに(しつ)(もん)()んでくる。



わたしがなにかを(はな)(たび)に、

レナタはずっと(しゃべ)(かた)()にしていた。



()(だん)はこの(しゃべ)(かた)なのよ。


 でもわたしは、

 (やかた)()れて()られた()だもの。


 ()(うえ)の、サンサやスーには、

 (つよ)(しゃべ)(ほう)()()んだのかしら。


 (とく)にあの二人(ふたり)は、

 わたしが(だま)っていると

 ()(ども)(あつか)いして(からか)うでしょ?


 だから、このくらい

 (つよ)()った(ほう)がいいんだよね。」



(さい)()()調(ちょう)()えると、

レナタは(くち)(もと)(ゆる)めて(うなず)いた。



「そんな()(ゆう)があったんですね。


 でもいまの(しゃべ)(かた)は、

 サンサの(しゃべ)(かた)()てますね。」



「えぇー。(いや)よ、それ。」



()(ほそ)めて(けん)()(かん)(しめ)しても、

レナタはわたしの(はん)(のう)()(よろこ)んだ。



()せているのかと(おも)ってました。」



「サンサとわたしが()()こえるのは、

 (おな)(なん)()(こと)()のせいよ、きっと。」



――サンサはエルテルの(よう)(じょ)でも、

  やっぱり(なん)()(しゅっ)(しん)なのかしらね。



エルテル()(なん)()()する

ネルタ、オーブ、カヴァは(なん)()()ばれる。



(おく)まった()()では(そと)との(こう)(りゅう)()り、

(はつ)(おん)(こう)(てい)(きょう)(じゃく)()(しき)(うす)れていき、

(こと)()(へん)()()きずに(くず)れて(なま)ってしまう。



(こと)()(つね)(へん)()し、(かわ)のような(なが)れがあり、

(ふる)(こと)()使(つか)うのは()まって(ろう)(じん)(たち)だった。



「メノーはサンサの真似(まね)(うま)いんですよ。


 わたしも――。」



レナタが()(ごえ)()いかけると、

わたしの(はい)()からサンサが(あらわ)れた。



(なか)()しね。


 二人(ふたり)()(ごと)(きょう)(ゆう)でも、

 してたのかしら?」



「あっサンサ。あのねっ。」



(ほし)(どり)(はなし)っ!」



レナタがなにかを()(まえ)に、

わたしは(かの)(じょ)(しょ)()(ばん)をサンサに()せた。



サンサから(あず)かっていた(ぼう)()

レナタに(ふか)(かぶ)せると、

(かの)(じょ)()()いて(くち)(かた)()ざす。



「あぁ、(ほし)(どり)

 ()()れてるわね。」



(うま)()かれた(しょ)()(ばん)を、

サンサは(となり)にやってきたスーにも

(まわ)して()せた。



(かの)(じょ)(あたま)にはまたアルが()っていた。



アルは(くろ)(たい)(もう)(にっ)(こう)()びて、

(まえ)(あし)()めて(しょく)()()(づくろ)いをする。



「レナはわたしに()()(よう)ね。」



「それって()めてるの?」



わたしが(うたが)うと、

レナタは(ひょう)(じょう)()(まん)()せた。



「サンサってば、この(つぎ)には

 『(べん)(きょう)(しん)()にやりなさい。』

 って()うんですよ。」



()わないわよ。


 ()ったことないでしょ。


 ()()くことは(べん)(きょう)(おな)じだから、

 このくらい(たの)しめばそれでいいのよ。」



「えぇーだって

 そんな(ふう)には()こえなかったもの。」



(しゅん)(かん)、レナタは(あま)えた()調(ちょう)()せる。



サンサは(かの)(じょ)(ひたい)から(なが)れる(あせ)(ぬぐ)った。



(ほし)(どり)の、

 どんな(はなし)をして(もら)ったの?」



スーが(たず)ねた。



(ほし)(どり)(きん)(そく)()から()て、

 (わる)いことを(はこ)ぶんだそうです。」



(むかし)のひとの(かんが)えね。」



(かの)(じょ)(あい)(まい)(せつ)(めい)に、

わたしは(つよ)(くび)(よこ)()った。



田舎(いなか)(もの)(べっ)(しょう)だよね。(ほし)(どり)って。


 (のう)(かん)()()(かせ)ぎにやってくる(ろう)(どう)(しゃ)や、

 (かせ)いだお(かね)使(つか)(ため)(あそ)びにくる、

 (おご)った(あい)()使(つか)われるんだよ。」



スーは()ってレナタに(しょ)()(ばん)(かえ)す。



サンサが(かの)(じょ)(つづ)けて(せつ)(めい)した。



(はん)(しょく)(きん)(そく)()(かぎ)らないわよ。


 (きた)のゼズ(さん)(みゃく)やネルタの(みずうみ)(かこ)う、

 (とう)西(ざい)(さん)(みゃく)にも(ひろ)(せい)(そく)しているわ。


 (なつ)()わり(ごろ)(ぶん)(すい)(がい)にやってきて、

 ()れて()(ごえ)(さわ)がしいのが(ほし)(どり)ね。


 (ほし)()()して(そら)()んだ(とり)は、

 その(さわ)がしさが(げん)(いん)

 ()(ぞら)から()()されたの。


 (せい)()になれなかったその(とり)(たち)は、

 ()(じょう)()らしても(めい)(わく)がられて、

 ()()(ほし)()(よう)()()ってるの。


 それがいまの(ほし)(どり)。」



「だからあの(はん)(てん)()(よう)があるの?」



と、レナタは(かん)(しん)(しめ)す。



(せい)()(なか)(かた)られる(どう)(ぶつ)は、

(かみ)(かみ)()しん、またはその(つか)いで、

(しん)()(なか)(とう)(じょう)するものが(おお)い。



(みち)(しるべ)のない()(ばく)(わた)(たい)(しょう)や、

(ふな)()りは(ほし)()み、(みち)なき(うみ)(すす)み、

こうした(かみ)(がみ)(もの)(がたり)(こう)(せい)(かた)()ぐ。



()(ごと)(なま)けた(からす)だって、

 (へび)(つみ)(なす)()けたから(ばっ)せられて

 (せい)()になったのにね。」



(おな)じような(しん)()をスーが()った。



(ばつ)()けても、

 (せい)()になれない(どう)(ぶつ)もいるんですね。」



レナタは()(もん)(いだ)く。



――(ほし)(どり)(せい)()になれなかった(はなし)なんて、

  (ほし)(ほん)()んだことないわ。



わたしはサンサの(かお)()

(つぎ)(こと)()()った。



「ニクスでも()らない(はなし)よ。


 この(はなし)はいま(つく)ったものだから、

 あなたが()らないのも(とう)(ぜん)よね。」



「えっ?」と、(おどろ)いたのはわたしだけ。



(ほし)(どり)(せい)()(いつ)()はないからね。」



スーが(うなず)く。



レナタも(そう)(ぞう)(どお)りらしく、()(いき)()く。



(しん)()なんてものは

 ()(だい)のひとが(つく)った()(らく)(しい)()や、

 (せい)()(おぼ)える(ため)(もの)(がたり)()ぎないのよ。


 (もく)(てき)(こと)なるのだから、

 そこに(しん)()はないわよ。」



「その()(つく)(ばなし)なら、

 わたしはサンサから

 100()くらい()かされたわ。」



(ひる)()から()きてきたメノーが()う。



(ひと)()きが(わる)いわね。

 ちゃんと(ほん)(とう)(はなし)()ぜてるわよ。」



(あく)(しつ)…。」



メノーは(じょう)(くう)()()した。



「もうすぐ()わるわねぇ。」



(えん)(とつ)から(のぼ)(じょう)()(うす)く、

ウラの()(そう)()わりを(むか)える。



「この(あと)は、ウラはどうなるの?」



(かの)(じょ)()(まえ)()(そう)()()(ろく)されるわ。


 ()(こつ)(ぎょう)(しゃ)(かわ)(ふね)使(つか)って、

 エルテルまで(はこ)んで(うみ)(なが)すのよ。


 ()(たい)(ほう)()すれば

 (にん)(げん)にとっては(ゆう)(がい)だけれど、

 ()やして(うみ)(なが)して(なん)(びゃく)(ねん)()てば、

 いつかはモルタルの(ざい)(りょう)になるわね。」



「その(とき)まで()きていればの(はなし)ねぇ。」



メノーが()って(おだ)やかに(わら)う。



()(ぜん)(じゅん)(かん)って、便(べん)()()()みよね。」



()(しゃ)にお(かね)()しまないひとが、

 ()(そう)されるんだよ。


 お(かね)があっても()(そう)されないひとは

 (みち)(ばた)()てられるから、

 (かい)(しゅう)して()めてるもんね。


 ()(しゃ)()()(かん)(けい)なく、ね。」」



「えぇ。マルフの()(ごと)ね。


 あとは(つち)(なか)(ちい)さな(せい)(ぶつ)が、

 (ぶん)(かい)してくれるわよ。」



()んだひとはみんな、

 (ほし)になるんですね。」



(なっ)(とく)がいったレナタが(ふか)(うなず)く。



「それ、()(てき)()(かんが)えね。」と、サンサ。



「ニクスに(おそ)わったんです。」



「えー。それ、(わたし)()ったんだよ。」



スーが(こう)()する。



わたしも(ひか)えめに(くび)(たて)()った。



(えん)(とつ)から(じょう)()()()れた。



わたし(たち)(おな)(そら)()()げる。



スーもレナタも、サンサもメノーも。



グルグスや、ハーフガンも()ていた。



(あお)(いろ)(うす)()えゆく(じょう)()



(えん)(とつ)よりも(たか)く、(ぼう)(へき)よりも(たか)く、

(そら)よりも(たか)(のぼ)(くも)()()げていると、

(よわ)(よわ)しく(たよ)()(こう)(てん)()つけて

わたしは(たい)(せい)(くず)した。



「ニクス?」



(みどり)(うえ)(たお)れた(とき)()(めん)(でん)()()った。



(いた)い…でも、(へい)()。」



「ニクス、またなの?」



サンサが(からか)う。



(ほし)でも(つか)もうとしたのかしらね。」



(あつ)くて()いだままにしたわたしの(うわ)()

ハーフガンが()ってきて、

サンサに()(ごん)()()ける。



(かれ)(だま)ってわたしの(あし)(もと)

サンダルを()げると、また(にら)んだ。



グルグスは(かる)くなった(みず)(ぶくろ)(かた)()げ、

()(あつ)(おも)(じゅう)(たん)(まる)めて(かる)(がる)(かつ)いでいる。



(そら)()つけた(こう)(てん)()(うしな)ってしまった。



「あなたの(うわ)()よ。


 ()(かたむ)けば(さむ)くなるから

 ()(ほう)()いわね。


 それともわたしの(かざ)(ぬの)

 (こう)(かん)してあげましょうか。」



「…ほらね。」



()(ども)(あつか)いして(からか)うサンサ。



わたしがレナタに()げると、

(かの)(じょ)はサンサに(あき)れながらも

(やさ)しく(わら)ってくれる。



(すわ)ったまま(うわ)()(そで)(うで)(とお)し、

(みどり)(うえ)のサンダルを()にする。



(そく)(はい)()(ふと)(かわ)()いただけで、

(かわ)(ひも)(かかと)()(てい)しないサンダル。



挿絵(By みてみん)



わたしの(そく)(てい)は、

(せん)(ぷう)()曲軸(クランク)()(まわ)した(とき)

(かわ)(やぶ)れてしまった。



(きず)()()(ぬの)()いていて、

(がい)(しゅつ)(よう)のサンダルが()けなかった。



その(ため)(やかた)()(あら)(じょ)()いている

この(だい)(よう)(ひん)のサンダルを()かされていた。



(すわ)ったまま(あし)(ゆび)についた(すな)(はら)い、

サンダルを()(なお)す。



(いっ)(しゅん)(いた)みに(あし)()くと、

(うす)(ぐら)()()(おり)での景色(けしき)(よぎ)る。



どこからか、(あま)()()(しゅう)()がした。



(おも)()そうとしても、

(あたま)(なか)には(はい)(いろ)(もや)(ただよ)う。



「ニクス。(かえ)るわよ。」



サンサに()()けられ、

わたしは(かお)()()()がった。




 ◆ (じょ)(しょう) 『婚星(よばいぼし)(みち)』 おわり

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