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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
序章 婚星の路

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序章 第4節 星座の鳥(第1項)

挿絵(By みてみん)



(ふか)(あお)(みどり)()ざった(あい)(いろ)(ひとみ)が、

(まち)(ぼう)(へき)よりも(たか)(のぼ)(じょう)()()つめた。



(いとけな)()(あお)(いろ)(うす)(のこ)す。



(たて)(もの)(つらぬ)(なが)(えん)(とつ)が、

わたし(たち)()(まえ)(そび)える。



挿絵(By みてみん)



――(えん)(とつ)からは(たましい)()ない。



わたしは(えん)(とつ)(さき)(じょう)()()ながら、

()(そう)(こと)()(おも)()かぶ。



「ねえ、ニクス。

 あそこにウラの(たましい)

 あると(おも)いますか?」



わたしはレナタの(よこ)(がお)()て、

また(じょう)()()()げた。



(かの)(じょ)は、(みず)()(そう)()んだ

ストロー(ぼう)(あたま)(かぶ)っている。



レナタが(あたま)(うえ)(かたむ)けた(とき)に、

()(なか)(がわ)()ちた(ぼう)()()()った。



挿絵(By みてみん)



(たましい)は、()いと(おも)うわ。


 だってあれは、ただの(みず)だもの。」



(みず)?」



わたしは(とし)(した)のレナタに(たい)して、

()調(ちょう)(やわ)らげる。



「ひとの身体(からだ)は、(さい)(ぼう)っていう

 (ちい)さな(ぶっ)(しつ)(しゅう)(ごう)していて、

 そのほとんどは(みず)でできてるの。


 あの(しろ)く見える(じょう)()も、

 (たて)(もの)(みなみ)(がわ)からは(こう)()(かげ)って、

 (はい)(いろ)()えるはずよ。」



(みず)、なんですね。」



(かの)(じょ)(せつ)(めい)(おどろ)いてから、

(しつ)(ぼう)したように(ひょう)(じょう)()えて、

わたしの()(にぎ)ってきた。



――(ねっ)せられた(くう)()は、

  (こま)かくなった(みず)()(ちゃく)して、

  (ねつ)()()げられて(そら)()かぶ。



――(えん)(とつ)(せん)(たん)にはなにも()えなくて、

  (そと)(かい)(ほう)された(くう)()()やされ、

  (くも)(おな)()()みで(じょう)()()える。



――(えん)(とつ)からは(たましい)()ない。



(ほん)()んだ()(しき)()(たし)かめて、

わたしは(くび)(たて)()る。



(じっ)(さい)には、(なが)(えん)(とつ)(とお)って()()えない

(こま)かな(はい)(ほこり)()ざっているはずでも、

()らないことに(たい)する(せつ)(めい)(ひか)えた。



(ぶっ)(しつ)(ねっ)せられることで、

(あわ)のように(ふく)らんで(たい)(せき)(おお)きくなる。



()()えない(くう)()()()した(ぶっ)(しつ)で、

(ぶっ)(しつ)(ねつ)()つことで(みつ)()()になり、

(みず)(りゅう)()(ふく)まれても(かる)くなる

()(みょう)(せい)(しつ)()つ。



(くう)()にも(おも)たいものや(かる)いものがあって、

(つめ)たい(くう)()(おも)く、(だい)()(ねつ)(あたた)められ、

(あたた)かい(くう)()(かる)く、(じょう)(くう)()やされる。



(かわ)いた(くう)()(みず)(りゅう)()(ふく)みやすく、

(すい)(てき)になって(あつ)まったものが(くも)()える。



(くも)(あつ)まり、(すい)(てき)(おお)きく(おも)たくなると、

(かる)(くう)()()()げられずに(あめ)()る。



()ったこともないウラという()()(たい)し、

わたしは(ほん)()(しき)(なら)べるだけだった。



(あたま)(なか)(はい)(いろ)(もや)(ただよ)う。



()んだひとの(たましい)は、(ほし)になるんだよ。」



(みどり)(うえ)(あし)()ばして(すわ)るスーが()った。



挿絵(By みてみん)



(なが)(きん)(ぱつ)(いじ)って()()みを()っている。



(かの)(じょ)(あし)のあいだでは、

アルが(まる)くなって欠伸(あくび)をした。



挿絵(By みてみん)



「スーはまた、

 わたしを()(ども)(だま)しに()()けようと

 してるんですね。


 (ほし)って(すべ)て、(たい)(よう)のことですよね?

 サンサの――。」



(こう)(せい)ね。」



わたしは(こま)かな(てい)(せい)()れると

レナタは(うなず)く。



(むかし)()たひとが、

 そう()(のこ)したんだよ。」



スーは()()みを(つく)()えると、

(くろ)(いろ)のリボンで(むす)ぶ。



(ふた)つの(ふと)(かみ)(たば)()()()がった。



(かみ)(いじ)りにも()きた(かの)(じょ)は、

(みどり)(うえ)(あお)()けに()(ころ)がる。



スーのお(なか)(うえ)にアルが()ったせいで、

(かの)(じょ)(くる)しみながら(いき)()いた。



レナタは()()(かい)(かお)をわたしに()せたので、

スーの(こと)()(どう)()するように()った。



()(そう)には(もの)()しが()いもの。」



(ほん)(とう)ですか?」



まるで(しん)じていない(かの)(じょ)は、

わたしの()(つよ)()()った。



「きっとスーは、

 (かな)しんでるレナタを(なぐさ)めたかったのよ。


 (めい)(しん)、とも()()れないかな。


 『(みずうみ)から(あふ)()(みず)は、

  (みずうみ)には(もど)らない。』


 こんな(ことわざ)があるくらいだもの、

 スーの(かんが)えは(すべ)()(てい)できないわ。


 (たましい)(じょう)()(ほし)になったと(かんが)えても、

 わたしは()いと(おも)うよ。


 (だい)()(ほし)(いち)()だもの。」



(あい)(いろ)(ひとみ)(いち)()(まばた)きをして、

(えん)(とつ)から(のぼ)るただの(じょう)()(なが)めていた。



スーが()(うた)う。



()(すい)(あふ)れて(かわ)となり、

 (あら)ぶる(みず)(いわ)(くだ)き、(やま)をも穿(うが)つ。


 (だい)()(かわ)きを(うるお)し、

 (みち)(せい)(だく)()かつ。


 (たい)(かい)()()()ては、

 (うん)()となって()(すい)()み、

 (だい)()(かえ)()(すい)(ぐん)。」



わたしの(はな)ったただの(ことわざ)は、

スーの(とお)(こえ)(こと)()

(とむら)いの()へと(へん)()した。



(なつ)(まえ)にした(そら)(くも)(すく)なく、

(あお)()()えて(かぜ)もないので、

(えん)(とつ)から(のぼ)(しろ)(しろ)(きわ)()つ。



今朝(けさ)(さむ)かったので、

(くろ)(いろ)(うわ)()()ていると

(なか)(はだ)()(あせ)(にじ)む。



()いだ(うわ)()()(かげ)()くのを(ためら)い、

(みぎ)(かた)()けて(かざ)(ぬの)(よそお)ってみた。



(ちか)くの()(かげ)では(おお)(おとこ)のグルグスが一人(ひとり)

(ひろ)げた(じゅう)(たん)(うえ)(ふと)(あし)()(かさ)ねて

(じょう)(ひん)(すわ)っている。



挿絵(By みてみん)



(むね)()(なか)(ひも)()るして(はこ)んだ(みず)(ぶくろ)を、

(ふと)(りょう)(うで)(かか)えていた。



(おか)(うえ)()(やかた)から、

()(しゃ)(みなみ)()った(ぼう)(へき)(ちか)くのこの()(しょ)()(そう)()



()()(なか)でも()()(かこ)まれて、

(とり)(さえず)りが(つね)()こえる。



()(ごろ)(しゃべ)りなスーも、

今日(きょう)(しず)かに(みみ)()ましていた。



二人(ふたり)()ってるウラって、

 どんな()だったの?」



「…ウラは(げん)()なひとでしたよ。


 (くせ)のない(まっ)(すぐ)(あか)(かみ)で、

 (あか)(ひとみ)(しろ)(はだ)でよく(わら)ってました。


 (だれ)よりお()()()きでしたから、

 メノーみたいな、()(しつ)()ちの

 ドレイプになりたがってました。」



わたしはレナタの(はなし)()きながら、

()ったことのない

ウラという(しょう)(じょ)(りん)(かく)(そう)(ぞう)する。



スーは()()じたまま、(むね)(うえ)

(まえ)(あし)()げて(すわ)るアルの(ひたい)(ゆび)()でた。



「ウラはネルタの(せん)(さい)()()だった。


 ()()(いん)にいた(ころ)は、

 (しょう)()()(なん)(じょ)になる(べっ)(かん)で、

 (いっ)(しょ)()ごした()だよ。


 あれからもう4(ねん)()ったんだね…。


 (わたし)()()(いん)(あと)から(はい)って、

 (よる)(やかた)(はい)るから(さき)()たけど、

 (はる)()った(とき)には大人(おとな)になってたね。


 (わたし)(かの)(じょ)(やかた)(せん)(こう)したんだよ。」



(ふか)()()いた()調(ちょう)でスーは(かた)った。



サンサとメノーがハーフガンを()()れて、

(たて)(もの)(なか)から(みどり)(おお)(そと)(しき)()()てきた。



挿絵(By みてみん)



サンサとメノーは二人(ふたり)(とも)とも、

頭巾(フード)宝飾巾(ヴェール)をしている。



わたしは(かた)()けた(うわ)()が、

サンサの(かざ)(ぬの)()()なる(よそお)いに()()き、

()ずかしくなって(はず)した。



「お洒落(しゃれ)はお(しま)い?


 わたしの(かざ)(ぬの)

 ()してあげましょうか。」



(あつ)かったから()いでただけだよ。」



(からか)ってくるサンサに()げると、

(かの)(じょ)(ぎん)()(つめ)たく(ほそ)める。



(そと)はもう(あつ)いくらいね。


 (てん)()()いから、

 ここで(ちゅう)(しょく)にしましょう。」



サンサの(こと)()で、

メノーが()っていた(かご)(じゅう)(たん)(うえ)()く。



挿絵(By みてみん)



今日(きょう)はメノーがパンを()り、

サンサが(しお)()(にく)(もく)(せい)のお(さら)()けた。



グルグスのお(なか)がずっと()(めい)(はな)ち、

その(おと)()(たび)(わら)いが()きる。



「ニクスのお(なか)(おと)かしら。」



「なんてこと()うんですかっ。」



サンサがわたしを(からか)うので、

わたしに()わってレナタが(かの)(じょ)(しか)る。



「ウラが(あか)るい(そら)から、

 (ほし)()つけられるように

 (いの)りましょうか。」



サンサが()()じて(あご)()き、

(むね)()()ててしばらく()(ごん)になる。



わたしもそれに(なら)った。



「いまのはどんな()()(うた)ですか?」



レナタが(となり)(すわ)っているわたしに(たず)ねる。



(ちょう)()(くわ)しくないわたしも、

(いの)りの姿()(せい)のまま(くび)(ひね)った。



(もと)(ふな)()りの(ちょう)()(とむら)いの(こと)()ね。


 『(よる)(うみ)(くら)(つめ)たい。


  (あか)るく(あたた)かな(たい)(よう)(ねが)う、

  ()(しゃ)(ふね)に、(おだ)やかな(こう)(かい)(いの)る。』


 これを(すこ)()(くだ)いて、

 (ふな)()りではないウラの(たましい)に、

 (つた)わるように()ってみたのよ。」



(たましい)に?」レナタが(たず)ねる。



サンサは(むね)()()てたまま(うなず)いた。



(めい)(しん)使(つか)(かた)()(だい)よね。


 グルグス。

 ()たせたわね。


 お(ひめ)(さま)()べていいわよ。」



(まわ)りに(えん)(りょ)しつつ(しず)かに()べるグルグス。



ハーフガンは()(ぶん)のお(さら)()って、

(じゅう)(たん)から(はな)れた()()()べている。



「ずいぶん(なか)()しね。」



「なにがですか?」



レナタは()(かく)がない。



(かの)(じょ)はずっとわたしの(となり)()て、

(すき)()()いほど(ちか)くに(すわ)っている。



サンサとメノーが()(みょう)()みを()かべ、

わたし(たち)()ていた。




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