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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
外章 天蓋の島

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外章 第1節 黎明の鐘(第2項)

()(せん)(かい)(だん)(かべ)(ぼう)()した(かん)()(つく)りで、

(わたし)()ると(しな)って(きし)みが(しょう)じる。



(ぼう)(どう)()(かん)(かく)(ひろ)(こう)(ばい)(きゅう)で、

(らっ)()()ける(ため)()にしたロープは

()()れている。



(そく)(ちょう)(てい)()(ふと)さしかない(ぼう)(ひょう)()は、

()()ちて(すべ)りやすい。



(ぼう)(なか)には()(もと)(くさ)って

()れたままの()(しょ)もあり、

まともに(のぼ)るのに()(ろう)する。



()(がる)なアルは(くら)(とう)(なか)でも、

()かりに()(ひか)らせて(さき)()ぶ。



ランタンを()つゼオが、

(かい)(だん)(さき)()っていた。



ゼオは(わたし)頭巾(フード)(ゆず)ってくれ、

(くせ)のある(にび)(いろ)(かみ)()(しゅつ)させている。



(わたし)()らされる(ぼう)(あし)()せ、

(かべ)()()きながら(きょう)()(ぶか)(のぼ)る。



――()ちたらどうなるんだろ。



(いっ)()でも()(ちが)えれば、

(ふか)(くら)(やみ)(さき)には(かた)()(めん)()っている。



(こう)()(しん)(わたし)(いざな)う。



(さい)()まで()れない()(せん)(かい)(だん)(のぼ)ると、

(まち)(いち)(ぼう)できる(たか)()(しょ)()る。



(みなみ)には(てん)(がい)(さん)(そび)え、

(ひがし)には(あか)(つち)(おか)()()ろせる。



挿絵(By みてみん)



(そら)(あか)るくなってきた。



ここは(よう)(しょう)から(あこが)れていた()(しょ)



――(つばさ)()()れて(とう)から(そら)()び、

  (ほし)(つか)もうとしたヴィカロスの景色(けしき)ね。



――(わたし)にはその(つばさ)も、

  ()()(かく)()()かった。



(はじ)めて(しょう)(ろう)(てん)(ぼう)(だい)()ったけど、

(こころ)(もと)ない()(しょ)(あし)(すく)む。



(いた)()っただけの(うす)(ゆか)(ざい)(うえ)は、

(じゅう)(しん)()えるだけで()れて(たよ)りない。



(めい)(しょ)(しょう)(ろう)(そう)(とく)(はい)らせない()(ゆう)って、

 こんな(じょう)(たい)だからなんだね…。」



(えき)(びょう)(まん)(えん)(とう)()(きょう)(こう)()きた。



カヴァとネルタの(せん)(そう)とメリエ()(あん)(さつ)

ネルタの(だい)()(かく)(めい)やハミウス()(けん)(つづ)き、

(しょう)(ろう)(かい)(ちく)(けい)(かく)(とん)()した。



(ふか)(いき)()いて、

(あさ)(つめ)たい(くう)()(はい)()()える。



(てん)(じょう)から()()げられる

(せい)(どう)(かね)()()げた。



(なん)(にん)(おさ)まるほど(きょ)(だい)(かね)(なか)に、

()()らす(ため)(ぜつ)()れている。



()()(まえ)のいまは、(ぜつ)(まわ)りが

クッション(ざい)(おお)われている。



(ゆか)には(たば)ねられたロープと、

(あざ)やかな(いろ)(おび)(はこ)()められていた。



()(こく)(しめ)(おび)(ちか)くで()ると、

()(かげ)(にわ)使(つか)(てん)(がい)よりも(なが)(はば)(ひろ)い。



まだ(あさ)には(はや)く、

いくつかの()()()(かね)()(たち)

()(がわ)(つつ)まれて()ている。



一人(ひとり)(おとこ)()()()(すわ)って、

こっちの(よう)()(うかが)っていた。



(あか)(かみ)(ひげ)()やしたこの(わか)(おとこ)も、

オーブ(りょう)(ふう)(くろ)(しょう)(ぞく)()ている。



挿絵(By みてみん)



「なんだ? サンサのフランジか。」



()うのは(なつ)()(らい)だね、ラッガ。」



(やかた)(はい)ったのは(はる)だけだ。」



(かい)(どう)()たよ。


 あの()フルリーンを(たす)けて、

 ユヴィルを(おど)したのはあなただよね。」



「…あの(とき)()たか。」



(くち)(かず)(すく)ないラッガは、

(すわ)ったままなにも()わなくなった。



西(にし)(とう)(もく)、ユヴィルの(のど)(もと)

(たん)(けん)()()てていた(とき)とは(ちが)い、

(あたま)(かお)()(はん)()している。



ラッガは(はる)まで(となり)のゼオと(いっ)(しょ)(こう)(どう)し、

(よる)(やかた)()(かげ)(にわ)にニクスを()れてきた。



「こんな退(たい)(くつ)なやつを(さそ)うのは()めとけ。」



()(たい)だって(やく)(わり)(たい)(せつ)だよね。


 ゼオに(わたし)()(えい)(つと)まる?」



この(しつ)(もん)にゼオは()(なお)(くち)(むす)んだ。



「…なにしに()たんだ。お(まえ)まで。」



二人(ふたり)(とも)(なか)()しなんだよね。」



「スァラを(つう)じた()(ごと)(なか)()ではあるが、

 (なか)()しではないな。」



ゼオが()(てい)し、ラッガも(どう)()する。



「ところでラッガはサンサの()(ども)なの?」



(わたし)(しつ)(もん)(となり)のゼオが()()した。



ラッガは()(かい)(かん)()かべて(くび)(よこ)()る。



「それなら()(えい)? (あん)(さつ)(しゃ)

 まさかオーブの()()とか?」



オーブには()(ぞく)()ても、

()()という(かい)(きゅう)(そん)(ざい)しない。



ラッガが()(しょう)しなければ――。



(なに)(もの)でもない。」



「いまはナルシャを(せん)(しょう)してるんだ。」



()()(もの)』を()()するナルシャ。



(にゅう)(しょく)()(ぜん)使(つか)われたナルキアを()(げん)とする

(かい)(ぞく)()(だい)から(へん)()した(こと)()で、

()(めい)()(もの)()()はナルシャを()()る。



「オーブの(にん)(げん)でもない。


 おれはネルタ(とう)()()んでいた

 ソーマ(ぞく)()(のこ)りだ。」



「20(ねん)(まえ)にな。」と、ゼオが()う。



20(ねん)(まえ)(みずうみ)()きた(みん)(ぞく)(しゅく)(せい)



(きゅう)(きょく)(てき)()()(かん)(そう)()…。


 ネルタ(ぞく)による

 (だい)()(かく)(めい)()(せい)(しゃ)だね。」



サンサはネルタ(ぞく)()われ、

(みずうみ)から()げてきた()(ぞく)(なか)

一人(ひとり)()(ども)(たす)けている。



――(とう)(ぞく)(だん)(かい)(めつ)させた(じょ)(けつ)…。



(わたし)もサンサに(たす)けられたんだよ。」



()()(げき)(じょう)(しょう)()(おそ)われた()(けん)()



()(てい)(きょう)()をしていたサンサから

(べん)(きょう)(おそ)わっていた(わたし)(たち)は、

(とう)(ぞく)からの(しゅう)(げき)()った。



()ってるさ。

 (あと)(しょ)()をしたからな。」



「したのはおれだ。」



(どう)(じょう)()わなくて()むね。」



(わたし)(わら)って()ってみても、

二人(ふたり)(とも)(わら)ってくれはしない。



「なにを(たくら)んでるんだ? お(まえ)(たち)は。」



(おれ)(いっ)(しょ)にするな。」



「ゼオは(わたし)(きょう)(りょく)するから

 (あん)(ない)してくれたんだよね?」



(どう)()してねえ。」



まだ(ためら)っているゼオに

(わたし)はさらに(たず)ねる。



「ゼオは(きょう)()あるんだよね、

 (たい)(りく)に。」



「…(たい)(りく)?」



ラッガがゼオに(たず)ねる。



「…(きょう)()があるのは(たい)(りく)()な。


 こいつが(やかた)(もど)らずに

 (たい)(りく)()くっていうんだよ。


 (たい)(りく)(きょう)()はあるが、

 ()けるのなら()ってみたい()(しょ)

 ってだけだ。」



ゼオは(びょう)(いん)(べっ)(かん)から()ても、

ずっと(おな)じことを()っている。



(くち)(かず)(すく)ないラッガは、

(ひざ)(もと)()んだ()()()()()えて

(わず)かに(きょう)()(しめ)した。



「そこで()(えい)か…。」



ラッガの()(そう)(おおむ)()っていても

(わたし)(くび)(よこ)()る。



(たい)(りく)()くと()めても、

(わたし)だけでは(たび)()(ろう)()()えている。



(どう)(らく)(もの)のゼオは(やく)(しゃ)なので

(やく)(えん)じられても、()(えい)そのものは

()(たい)できない。



(たび)()(えい)(おとこ)一人(ひとり)では(こころ)(もと)ない。



オーブ(りょう)で、『(たか)』と(たた)えられた

ラッガが()(えい)につけば、

()(しょう)(めん)(どう)()けられる。



ラッガとサンサは(おや)()()(てい)(ちか)くても、

(しゅ)(じゅう)(たち)()でもないのであれば、

(たい)(とう)(かん)(けい)かもしれない。



それぞれの()()(そん)(ちょう)した(うえ)

(こう)(しょう)(すす)める。



「この(しま)からサンサが()なくなったら、

 ラッガはどうする()(てい)


 ずっとここで(たか)(つづ)けるつもり?」



「ラッガはスァラの(しん)(ぽう)(しゃ)だ。


 ()(てい)(はなし)だろうと

 (かっ)()()なくなるなんて(かんが)えてない。


 ()なくなっても

 (まよ)()みたいに(さが)すつもりだろ。」



「サンサに(しゅう)(ちゃく)してるお(まえ)()うな。


 お(まえ)なんてまだ()(ぶん)のことを

 お(ねえ)(さま)(しょ)(ゆう)(ぶつ)だと(おも)っているだろ。」



「あははっ。(なか)()しだね。」



「どこがだ!」



ゼオの(うった)えにラッガも(うなず)いて(こう)()する。



二人(ふたり)のあいだで

サンサの()()(とう)(いつ)されないまま、

()()っているのが()(みょう)だった。



(かれ)らにとって(わたし)は、

サンサのフランジと(にん)(しき)されている。



しかも(けい)(れき)(くら)べれば、(わたし)(いち)(ばん)(あさ)い。



(にん)(きょう)(つう)する()(じつ)(ひと)つある。



(わたし)(たち)はサンサで(つな)がっている。


 でも(ほか)にはなにもない。


 やりたいこと、(もく)(てき)がない。

 (しゅ)(たい)(せい)というものだね。


 『()われる(まえ)(こう)(どう)しろ』って

 マルフに(しか)られるかな。


 それなら(つく)っちゃえばいいんだよね。」



(わたし)(たい)(りく)のある西(にし)(ゆび)(さき)()けると、

(たい)(よう)(ひかり)()(なか)(あたた)める。



(つく)るって…、(れき)()(ねつ)(ぞう)か?」とゼオ。



()(しゃ)め。(たい)(りく)()くんだろ。」



「ゼオは(かん)(するど)いね。」



()(ろう)された()(ぶん)だぜ。」



(はん)(ぶん)()たってるから、

 ()めたつもりなのに。」



こんな()(むすめ)()めたところで、

カヴァの(おう)()()たゼオには

()(じょく)(かん)じるのかもしれない。



(たい)(りく)()くことだけが、

 (もく)(てき)ではないんだろ。」



(ぶん)(すい)(がい)()(ぞく)(とく)(ゆう)(りょ)(こう)(かん)(かく)だろ。


 フランジの(きゅう)(きん)(てい)()

 ()(がる)()ける()(しょ)でもないぞ。」



(かね)はない。」



()(たい)(しゅう)(にゅう)()てにされても(こま)る。」



(かれ)らは、(わたし)という(きょう)(つう)する

()(なん)(あい)()()つけた(とき)には、

(どう)調(ちょう)する(あい)(しょう)()さがある。



二人(ふたり)がお(かね)()っているのは

()っていても()(ぶん)()んでおく。



「お(かね)はこれから(よう)()するんだよ。


 (とう)(いつ)(こう)()のルースがあっても、

 (たい)(りく)では使(つか)えないからね。」



(とう)()(じょう)()られるぜ、お(まえ)。」



「お(まえ)()け。(しょう)(かん)だぞ。」



この二人(ふたり)(なか)()い。



二人(ふたり)(とも)、ここは(ほう)(まち)だよ?」



(わたし)(ちゅう)(こく)()(こと)()に、

(かれ)らは(かお)()()わせて(くび)(ひね)る。



「この(しま)()(まえ)に、

 (きょう)(りょく)してくれるひとがもう一人(ひとり)

 (ひつ)(よう)になるんだよね。」



()()()()いた(かね)()きが(あわ)てて()き、

(ぜつ)のクッション(ざい)()(はず)した。



(わたし)()いたアルの(りょう)(みみ)(ふさ)ぎ、

その()頭巾(フード)(ひも)()めた。



()(ぢか)()(おお)(がね)()頭巾(フード)穿(うが)ち、

(なか)にまで(ひび)いた。



(よう)(こう)(だい)()()()こし、

(おと)(なみ)(ひと)(びと)(あさ)()げる。




 ▶

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