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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第12章 赤土の丘

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第12章 第5節 永遠の瞬

『ハーフガンは(ゆめ)()る。

 (さか)(だる)()いて(たから)(ゆめ)。』



(とお)くでハーフガンの(うた)()(びょう)()()こえる。



『ハーフガンは()(ぱら)い。

 (うみ)でもないのにふーらふら。


 ハーフガンは(さけ)(びた)り。

 今日(きょう)もちびちび、ぐでんぐでん。』



()()いて()()ろした()(たい)(はし)で、

(しゅ)(えん)(はじ)(だん)(じょ)()た。



『ハーフガンは()()ます。

 ()()めて(たから)はどこへやら。』



(きゃく)(せき)では(おとこ)(たち)(しい)()(ふだ)(あそ)びをして、

()(ごと)()()がる姿(すがた)もあった。



()()()(えい)の、()っていないハーフガンが

わたし(たち)(うし)ろを(ある)く。



わたしは(かれ)()(おも)っていない。



(かれ)はエルテル(りょう)()()で、

()(ぜん)のサンサをずっと(かん)()していた。



(かた)()きを()(よう)してお(さけ)()(つづ)けていたし、

(せん)(こう)(かい)()()がやってくる(たび)()いかけた。



(やかた)(まよ)()んだ(かよわ)(ひつじ)に、

(ぼく)(よう)(けん)()(けん)()れの()(べつ)はつかない。



()(ぜん)のサンサは(かれ)(しか)りもせずに(せっ)し、

いまのサンサも(かれ)()(えい)になって

(うし)ろに()つことを(ゆる)している。



(さけ)()んでいなくても、

わたしは(かれ)(しん)(らい)できない。



(ひざ)(すな)(はら)われたとしても、

(たお)れた(とき)(きず)()くものだし、

(いた)みは()(おく)になって(のこ)(つづ)ける。



どう(せっ)するのが()いのか、

ずっと()からないままになっている。



『あれが(かれ)の、(つぐな)いなのよ。』



いまのサンサも、(むずか)しい(こと)()(えら)んだ。



(あか)()をしたサンサが、

わたし(たち)()()げた。



「サンサー。(おく)れてますよぉ。」



イオスを(かか)えて(きゃく)(せき)(かい)(だん)(のぼ)(かの)(じょ)は、

またわたし(たち)より(した)(ある)いている。



(かの)(じょ)(いし)(づく)りの(きゃく)(せき)にイオスを()ろしても、

(いし)(だん)(あし)()けた(かの)(じょ)(ふと)(もも)()(よう)して

(かの)(じょ)身体(からだ)()()る。



(かの)(じょ)(あきら)めてイオスを(かか)え、

また(かい)(だん)(のぼ)(はじ)めた。



(かの)(じょ)(くろ)のソックスはイオスのせいで

いつも(きず)だらけになっている。



わたしは1(ねん)(まえ)にこの()(しょ)()っている。



(ひる)(よる)(まじ)わるこの(そら)()た。



今日(きょう)(おな)じく(かの)(じょ)()て、

スーとトリンが()た。



その二人(ふたり)はもう()ない。



「サンサが(のぼ)ってくるまでに、

 まだ()(かん)()かりますね。」



(となり)()つクイナに()ったけれど、

(かの)(じょ)(げき)()わってから

なにかをずっと(かんが)えていた。



「どうしたんですか? クイナ。」



「さっきの(げき)

 『アラズ(こう)(ぼう)()』なのかなって。」



「アラズ?」



(たい)(りく)()(ほん)

 ニクスは()んでないの?」



(たい)(りく)()はまだ()めないし、

ファウナの部屋(へや)()かれていた(ほん)なので、

わたしが()にすることもなかった。



「どんなお(はなし)?」



()(ぞく)(しょ)(みん)()(あい)()いた(はなし)なのよ。


 …(しょ)(みん)()(ぞく)(めと)られる(はなし)ではなくて、

 ()(ぞく)(しょ)(みん)()()ちする、

 っていう()わった(けつ)(まつ)(もの)(がたり)。」



(ほん)(はなし)になると(かの)(じょ)(こえ)(はず)ませる。



「でも(げき)(ほう)

 (おう)(じょ)(たす)けられる(おう)()になっていて、

 (だん)(じょ)(やく)(わり)()()わってるのよ。」



「あれ、サンスァラ(おう)(じょ)(はなし)ではないの?」



クイナの(はなし)()(もん)(かん)じ、

()(きょく)()いたいまのサンサに(しん)(そう)(たず)ねた。



(ゆき)()けて、(ぬの)()せても、

 (おも)いは()(こぼ)れる。』



サンサが(ひと)つの(うた)(あん)(しょう)した。



(まっ)(しろ)(ぬの)(うえ)(あざ)やかな(いろ)()かれて、

その(うた)によって(せん)(れつ)(はな)(えが)かれる。



「なんだか(かな)しい(うた)ですね。」



「アラズ(こう)(ぼう)()(じょ)(ぶん)なのよ。」



(いろ)(いろ)()ぜて(きゃく)(しょく)した(げき)よ。


 (おんな)だけの()(きょく)()いたって、

 ()(ぞく)(じょう)(りゅう)(かい)(きゅう)のお(きゃく)さんからは

 『(ひん)がない』って(けな)されるだけだもの。」



わたしは(かい)(だん)()りて(かの)(じょ)()きつくと、

(はさ)まったイオスが(おどろ)いて()(めい)(はな)つ。



(かい)()からカヴァの(しょう)()(だん)でしたからね。」



(こう)(ひょう)だったでしょ? (じょう)(ひん)で。」



「えぇ…?」(どう)()(もと)められて(あたま)(ひね)る。



(だん)(した)(かい)(だん)()ついまのサンサは、

わたしと(おな)じくらいの()(たか)さがある。



「また()()びました?」



「もうこれ()(じょう)(せい)(ちょう)しないわ。


 ニクスに()()される()(ちか)いわね。」



(かの)(じょ)(ゆた)かな(むな)(もと)()きつく

イオスが()いた。



「わたしが(せい)(ねん)になるまでは、

 まだ5(ねん)(さき)もあるんですよ。」



「でもあなたはたったの1(ねん)で、

 (うつく)しい(ぎん)(ぱつ)(りっ)()()(こう)になったのよ。


 これから(さき)()こる(はなし)なんて、

 (だれ)にも()められないのだから、

 なにも()()()ではないわ。


 イオスは()かる?」



サンサがイオスに(はな)()けると、

ミャオと(へん)()(かえ)ってくる。



「これから()かることなんて、

 せいぜい(てん)()くらいよね。」



(かの)(じょ)()って(わら)った。



「また、おかしなこと()ってるのよ。」



クイナは(あき)れてわたしに()う。



「それなら(おく)れた()びに、

 イオスをクイナに()たせてあげる。」



(おも)ぉい!」



サンサにイオスを()()けられると、

クイナは(かか)えてその()(かい)(てん)した。



(かの)(じょ)(やかた)(そと)

イオスを(ひと)()めできることを(よろこ)んだ。



ただそれだけの()(ゆう)で、

クイナはサンサの(となり)

フランジをするわけでもないと思う。



イオスがミャオと()(ごえ)(はな)つ。



(あそ)んでくれて()かったわね。イオス。」



(ふと)(こえ)()(さけ)ぶイオスに、

サンサが()って(わら)っていた。



(きょ)(ねん)までの(げき)は、

 ソーマの(でん)(せつ)(この)まれてましたね。」



わたしの(こと)()(かの)(じょ)(くび)(たて)()った。



「ソーマの(でん)(せつ)(えん)じたのは、

 アイリアの(つく)った(にゅう)(しょく)(じゅう)()()

 (にん)()もあるんでしょうね。


 (おう)(じょ)のことだから(ぎゃく)かしら。


 アイリアの()(にん)()にする(ため)に、

 ()(きょく)()いたのかもしれないわ。」



「そんなひとでしたからね。」



(こん)(かい)(げき)はアラズ(こう)(ぼう)()(ほん)(あん)なの。


 (たい)(りく)(もの)(がたり)(もと)にそのまま()いても、

 (ほか)のお(きゃく)さんには(つた)わらないのよね。


 サラの()がとても(きび)しかったわ。


 わたし(たち)()るサンスァラ(おう)(じょ)と、

 (しま)(した)しまれる()(らく)

 ()()わせたのよ。」



「それが(はな)(えん)(そう)だったんですね。」



(かい)(えん)(まえ)(かの)(じょ)はそう()っていた。



「サラが(えん)じてたのは、

 (かの)(じょ)(なか)にある()(そう)のサンスァラ(おう)(じょ)


 ムネモスの(かんが)えた(おう)(じょ)()(しょう)


 それと、あなたの(つく)った(へき)()がある。


 (おな)じひとなのに(かん)(そく)したひとによって、

 (ちが)いがあるのがとてもおかしいわね。」



(にゅう)(しょく)(じゅう)()()(つく)ったアイリアも、

()るひとに(そう)(ぞう)(よろこ)びを(あた)えたかった

()っていた。



(かの)(じょ)(きゃく)(せき)(すわ)って、(げき)(じょう)()()ろす。



()(たい)ではムネモスとサラシュが、

(かざ)った(げん)(かん)()()れてくると

(しょう)()(だん)から(かん)(せい)()く。



ムネモスの(ちか)くには(おとうと)のクロノも()た。



ムネモスはわたし(たち)()つけ、

()()ってきた。



わたしも(りょう)()()って(こた)えた。



(となり)()()るサンサの、

(かん)()にした(ゆび)()(ゆう)()(はん)(しゃ)する。



サンスァラ(おう)(じょ)(のこ)した(ゆび)()は、

(かの)(じょ)(あず)かっている。



わたしやムネモスが()にするよりも、

(たく)された(かの)(じょ)()(ほう)()いと

わたし(たち)(はん)(だん)していた。



「アラズ(こう)(ぼう)()という(ほん)は、

 わたしでも()めるでしょうか。」



(こう)(ぼう)()は4(さつ)もあって(なが)いけれど、

 (しょ)(しつ)(たい)(りく)()(かん)(たん)(ほん)()いてあるから

 (べん)(きょう)すれば()めるわよ。」



「『()()くのならもっと(ほん)()んで、

  (そう)(ぞう)(ひょう)(げん)(ふく)らませなさい。』


 ってアイリアに()われるんです。」



(おう)(じょ)がアイリアに()ってたわね。


 ()()(もう)(そう)(ふけ)り、

 ()(しき)(そう)(ぞう)(かたち)(づく)るの。」



(かの)(じょ)(むずか)しい(こと)()(えら)ぶと、

()(ぜん)のサンサが()っているように()こえた。



「つまり、

 『(べん)(きょう)(たの)しみなさい。』

 ですね。」



いまのサンサが(くび)(ひね)ってから()う。



(かえ)ったら(しょ)(しつ)(いっ)(しょ)に、

 (かい)(ぼう)(がく)(ほん)でも()みましょうか。」



「あれは(こわ)いから(いや)ですっ。」



(がく)(しゅう)()(らく)(ひと)つよね。


 今日(きょう)(だれ)かが(かた)()げば、

 (えい)(えん)()れない(はな)()かせられるわ。」



「サンスァラ(おう)(じょ)も、

 (おな)じこと()ってましたよ。」



わたしはサンサの(となり)(すわ)った。



(かの)(じょ)()(こん)(わく)して

宝飾巾(ヴェール)(うら)(こう)(かく)()げた。



()(ぜん)のサンサと(おな)じと(おも)われる(たび)に、

(ふく)(ざつ)(ひょう)(じょう)()せる。



「あのひとが、スーの(りょう)(しん)

 この(げき)(じょう)(つく)らせた()(ゆう)が、

 いまならなんとなく()かるわ。」



()(さん)というやつ、ですか?」



(かの)(じょ)()(ぎゃく)()(ゆう)(うなず)く。



「ソーマが(しい)()(ふだ)(あそ)びを

 (つく)ったのと(おな)()(ゆう)ね。


 (かの)(じょ)(のこ)された(げき)(じょう)使(つか)って、

 (みん)(しゅう)()(らく)(てい)(きょう)した。


 ひとは(えい)(えん)(いっ)(しゅん)()(らく)(もと)めるの。」



(えい)(えん)なのに(いっ)(しゅん)って、なんなのよ?」



クイナが(まえ)(せき)()って(くび)(ひね)った。



「どんなに(たの)しいことでも、

 (ひと)つの()(らく)(えい)(えん)(つづ)けば、

 それはきっと(ひど)退(たい)(くつ)(ごう)(もん)よね。


 イオスもいまを(たの)しんでいるわね。」



(かの)(じょ)(こと)()()かりやすくて工夫(くふう)がある。



「ふふっ。(だい)(じょう)()ですか? イオス。」



クイナに(さん)(ざん)()(まわ)されて、

イオスが()(せき)(うえ)()(あん)(てい)(ある)いている。



(えい)(えん)なんて(ぶっ)(しつ)があっても、

 (そん)(ざい)(たし)かめられるかしら。」



「サンサの(こと)()(あそ)びなのよ。」



(かの)(じょ)(なぞ)()きに、クイナが(ちゅう)(こく)する。



「これはいまを()きるあなた(たち)には、

 ただの(こと)()(あそ)びに()ぎないわ。」



クイナに()かれたイオスは、

(うし)(あし)()らした(じょう)(たい)()たれて

(なが)(こえ)()いて(いや)がった。



「あら、ニクス。」



わたしの(あたま)(うえ)()った、

(ぬの)()()(はな)びらをサンサが()(のぞ)いた。



()(じん)がお(めか)ししてるわね。』



その(こと)()が、(しょく)(どう)での()()(おも)()す。



(やかた)()っていったひと(たち)(おも)()した。



スーや(くろ)(ねこ)のアル。(まえ)のサンサ。



メノーの()(どう)(やく)をしていたノーラ、

(どう)(しつ)のフランジで(びょう)()してしまったウラ。



わたしはいまのサンサの(みぎ)(うで)()()せた。



――わたしも(さび)しいよ。



今日(きょう)(つか)れたかしら。」



(かの)(じょ)(だま)っているわたしを(しん)(ぱい)する。



「サンサがまた、

 おかしなこと()ったのよ。」



「まだなにも()ってないわよ。」



「まだって、まだって()った。


 またなにか()うつもり?」



「クイナにはね。」



「わたしにっ?」



「クイナも(つか)れているのなら、

 ハーフガンが()()ってあげるわよ。」



「わたしのこと()(ども)(あつか)いしてっ!」



二人(ふたり)のやり()りを()いていると、

()()(さび)しさは()せて()みが(こぼ)れた。



クイナはいまのサンサを(もく)(ひょう)にする

おかしな()なので、それが(うれ)しかった。



『よく()て、(へん)()()つけて。』



そんな(こと)()(おも)()す。



(さび)しさと(うれ)しさで()れる()に、

(なみだ)(こぼ)()ちないように(かお)()げた。



(きゃく)(せき)から()える(ぼう)(へき)より()こうに、

(あつ)(くも)(ゆき)(かぶ)った(てん)(がい)(さん)(そび)える。



(おう)(じょ)も、スーの(たましい)も、

 きっとあそこにあるんですね…。」



(かの)(じょ)(うなず)いてはくれない。



わたしの(かお)()て、

()(てい)もせずに()(しばたた)く。



「スーの()(まえ)(なが)(ぼし)なのだから、

 (かがや)いて()えても(つき)(こう)(せい)とは(ちが)うわね。


 スーってひとつの()(しょ)(とど)まるような

 ひとではないものね。」



(こん)(きょ)はないけれど(せっ)(とく)(りょく)のある(こと)()で、

わたしの(ほう)(うなず)いてしまう。



(ねこ)(しょく)(しょ)ね…。」



(つぶや)いた(かの)(じょ)(ゆび)()()けた(みぎ)()で、

(ひがし)へと(なが)れる(かわ)(ゆび)(さき)()ける。



(みずうみ)から(あふ)れた(みず)は、

 (かわ)になって(うみ)(なが)れるの。」



ウラの(たましい)(はなし)をした(とき)に、

(かの)(じょ)(くち)から()いたことがあった。



「あ。その(うた)()ってる。」



と、(とつ)(ぜん)クイナが()った。



「なんですか?」



クイナは(いち)()(そら)(あお)いでから、

(ひと)つの()(うた)った。



()(すい)(あふ)れて(かわ)となり、

 (あら)ぶる(みず)(いわ)(くだ)き、(やま)をも穿(うが)つ。


 (だい)()(かわ)きを(うるお)し、

 (みち)(せい)(だく)()かつ。


 (たい)(かい)()()()ては、

 (うん)()となって()(すい)()み、

 (だい)()(かえ)()(すい)(ぐん)。」



それはウラを(とむら)って

(みどり)(うえ)でスーが(うた)った()



「スーの(うた)?」



(みずうみ)(かわ)(うた)よ?」と、クイナ。



わたしはサンサの(かお)()た。



(かの)(じょ)(くび)(よこ)()る。



(せい)(めい)()(かた)(うた)った()よ。」



「えぇ? あ、そんな(うた)なの?

 (たし)かに…(つな)がってる。


 (じゅん)(かん)? っていうのよね。」



(かの)(じょ)(くび)から()げた(ひも)()()して、

(きん)(ぞく)(そう)(しょく)(ひん)()せてくれた。



(てい)(てつ)(かたち)をしたお(まも)りは(あか)(どう)(せい)で、

(ひも)(しょく)(しょ)(おな)(きん)()だった。



「クイナも()ってるんですか?」



それはサンサが(げき)(じょう)(きゃく)(せき)で、

スーにあげた鍍金(めっき)(もの)(おな)じにも()えた。



わたしも(ぎん)の、(おな)(てい)(てつ)のお(まも)りを()せた。



挿絵(By みてみん)



「お(そろ)いね。」



と、サンサがわたしに()かって()った。



「これは(ほし)(どり)(おく)(もの)なのよ。」



(ほし)(どり)? ふふっ。」



(とり)()(まえ)()いてサンサは(わら)う。



(いのち)()まれ、(そだ)ち、(へん)()して、()ぬ。

 それは(せい)(めい)(もの)()しと()えるわね。


 イオス。」



サンサが()()けると

イオスはクイナの(むな)(もと)()()して、

(かの)(じょ)(ふと)(もも)(うえ)(すわ)る。



(おお)きくなったわね。


 これで()(つう)(ねこ)のつもりなのかしら。」



(かの)(じょ)はイオスの(せま)(ひたい)

(ゆび)()さえつけて()でる。



イオスが(そら)()(ちい)さく()いた。



わたしも(あか)(むらさき)(いろ)(そら)()()げると、

(きょ)(ねん)(おな)(よわ)(よわ)しく(たよ)()(こう)(てん)(なが)れる。



「サンサ、()てください。」



わたしはまた(こう)(てん)()()した。



「あそこ、(なが)(ぼし)。」



「あれは(きゅう)(でん)かな?」



と、クイナが()った。



(きゅう)(でん)(ゆび)()けると、

 そのひとに(かみなり)()ちるのよ。」



「え…?」



クイナの(せつ)(めい)(おどろ)き、

わたしはすぐに(ゆび)()げて

サンサの(うで)(つか)んだ。



「クイナ。

 あなたがおかしなこと()うから…。」



(こわ)がらせてごめんね、ニクス。」



(こわ)がってませんっ!」



()って()(てい)しても

クイナは(きゃく)(せき)()(ころ)がって(こう)(しょう)し、

サンサも(こら)えられずに(わら)っている。



「もー! サンサまで(わら)わないでっ。」



「あれは、(よう)(えん)(だい)(ほし)ね。」



(よう)(えん)(だい)(ほし)?」



(ほし)(どり)(そら)()って(くろ)(くも)(つく)ると、

(なが)(ぼし)()えなくなってしまった。



(ほし)(どり)()()した(せい)()かしらね。」



「あんなに(うご)(ほし)なんて、

 (せい)()にならないのよ。」



(せい)()(ほし)って、(こう)(せい)ですよね。」



クイナの()(てき)にわたしも(つづ)けた。



――それに(ほし)(どり)(せい)()(はなし)は…。



()(そう)()()いたサンサの(かんが)えた(つく)(ばなし)



「『(ほし)(つか)む』なんて、()(えん)(けい)(かく)ね。」



いまのサンサが(つぶや)く。



(かの)(じょ)()()がると、

わたしの()()いて()たせた。



(やわ)らかな()でわたしの(あたま)()で、

(ほお)(やさ)しく()れる。



(かの)(じょ)(となり)(あき)れるクイナを()て、

宝飾巾(ヴェール)(おく)でまた(こう)(かく)()げている。



(かえ)りましょうか、わたし(たち)(やかた)に。」



(あか)()(ほそ)めてサンサは()(しょう)した。



その(ひとみ)(ほう)(せき)(ない)(ほう)された灯火(ともしび)のようで、

(つね)(ひかり)(はな)ってわたし(たち)()()ける。



(かの)(じょ)(むな)(もと)で、

(しろ)(ねこ)のイオスがミャオと()いた。




 ◆ (だい)12(しょう) 『(あか)(つち)(おか)』 おわり

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