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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第12章 赤土の丘

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第12章 第4節 偽の演戯(第1項)

挿絵(By みてみん)



「ニクス! サンサが()()()ったって。」



(はい)った(だれ)()きては()られない、

 (びょう)(いん)(べっ)(かん)(はこ)ばれたんだって。」



メノーに()わって

サンサが(びょう)(いん)()()けた()のこと。



(ふた)()のミニとアミが(げん)(かん)()(うわさ)を、

(へき)()()(ぎょう)をしていたわたしと

(ほか)のフランジや(じゅう)(ぎょう)(いん)(たち)()(ひろ)めた。



サンサは()(だん)から(べっ)(かん)にも()くので、

フランジがするような(はなし)

わたしは(こわ)がったりはしない。



(ふた)()(うわさ)ではペタの(はち)(みつ)

()(そう)する()()(しゃ)との()()で、

サンサは()()()(つぶ)されたらしい。



(とお)りかかって()ていたひとからは、

サンサは()(まみ)れで(びょう)(いん)(べっ)(かん)(はこ)ばれた

という(こと)(こま)かな(はなし)()()う。



わたしも()っている(べっ)(かん)は、

ウラやスーが(はこ)ばれた()(しょ)で、

(かの)(じょ)(たち)(やかた)(かえ)って()なかった。



()()()った(よる)(やかた)のみんなは、

サンサの(うわさ)(さえず)る。



ムネモスとサラシュは(さえず)りなど()にせず、

サンサが()(ちょう)から(あずか)かった(らく)()と、

(うま)(たち)(かざ)()けを(きゅう)(しゃ)でしていた。



挿絵(By みてみん)



(よる)(やかた)(りゅう)(げん)(この)まずなのよっ!」



わたしと(おな)(どし)で、

サンサのフランジのクイナが

(ふた)()(しっ)(せき)した。



挿絵(By みてみん)



(こと)()(かぎ)をかけることは(だれ)にもできない。



「だってファウナは()()んでるし。」



()(ごと)になんないよ。」



――あのファウナが

  (はん)(ぼう)()()(ごと)(ほう)()するのかな?



(さわ)がしい(にわ)では()(ぎょう)にならず、

()ったモルタルを(ほう)()したまま

(げん)(かん)(とびら)(まえ)でサンサの(かえ)りを()った。



(かぜ)(つめ)たさで()(ふる)えが()まらない。



クイナが(おき)()(こく)(よう)(もう)のコートを()って、

わたしの(となり)(すわ)って()ってくれた。



「クッションも(ひつ)(よう)よね。


 (でん)()(つめ)たくなるから。」



「ありがとうございます。」



「サンサのことだから、

 どうせすぐ(かえ)ってくるのよ。」



クイナは()(ぶん)でも(こん)(きょ)のない(なぐさ)めをして、

(むな)(もと)(にぎ)るとわたしから()(そむ)けた。



「…ありがと。クイナ。」



「うん。」



(あらた)めてお(れい)(つた)えると、

(やかた)(もど)ってクッションと

(ひざ)()けまで持って来てくれた。



みんなの(しん)(ぱい)()()に、

サンサは(たい)した()(しょう)もなく

(ゆう)(こく)には(やかた)(かえ)って()た。



身体(からだ)(じゅう)(せん)(りょう)(はち)(みつ)()いて、

 (せん)(じょう)(かん)(そう)(たい)(へん)だったわ。」



(きん)(あか)のあの()(れい)(かみ)を、

(ゆう)()()めたサンサは(わら)っていた。



挿絵(By みてみん)



サンサと(いっ)(しょ)(もど)ってきたハーフガンは、

(せつ)(めい)できずに()(もん)()(ろう)()せている。



「ただいま、ニクス。クイナも。」



と、サンサはわたし(たち)()う。



「どうしたの、その(かみ)?」



(あら)くまとめた(かみ)(いろ)が、いつもと(ちが)う。



(はち)(みつ)(だっ)(しょく)する(こう)()があるからな。


 (やかた)(はち)(みつ)一人(ひとり)()()ると、

 こんな(ふう)(かみ)がまとまらない

 (のろ)いにかかるぞぉ。」



ドレイプの一人(ひとり)()()(つよ)めて()うと、

(あたら)しく(はい)ったフランジが(こわ)がって(わら)う。



こんな(はなし)(この)んで()(ひろ)めるのは

ファウナしかいない。



挿絵(By みてみん)



ファウナは(かしこ)()(たか)いドレイプで、

()(すじ)()ばすだけで()()って

フランジから(ちゅう)(もく)(あつ)める。



わたしと(おな)じく(かみ)(へん)()()()いたひとは、

ファウナの(せつ)(めい)(なっ)(とく)する。



サンサの(かみ)()()れは

(どう)(しつ)のムネモスが(おこな)っていて、

(ふか)(かんが)えるひとも()なかった。



(みんな)(だれ)かの(りゅう)(げん)

 ()(まわ)されてたのね。」



サンサはファウナの(あい)()をせずに、

()めた(たい)()でドレイプの()(はん)()せた。



そんなやり()りを二人(ふたり)(たい)()(あい)(はん)して

(たの)しんでいるように()える。



イオスを()れたサンサは

(ゆう)(しょく)()らずに(そろ)って部屋(へや)()った。



(しょく)()(あと)(まわ)しにしたサンサの(こう)(どう)には、

(かの)(じょ)のフランジのクイナも(いぶか)しんだ。



(しょく)(どう)ではドレイプとフランジが

サンサの()()(うわさ)(たい)する(おも)()みと、

()(あん)(きん)(ちょう)から(かい)(ほう)されて()じて(わら)()う。



(やかた)(おお)(さわ)ぎしていたミニとアミも、

(きゅう)(しゃ)から(もど)ってきたムネモスに(しか)られて

(はん)(せい)している。



(せい)(ちょう)してないのよ。

 あの()(たち)。」



クイナが(つぶや)いた。



(よる)(やかた)ではお(きゃく)さんや(ぎょう)(しゃ)(つう)じて、

ドレイプやフランジが(うわさ)()てるのは

(けっ)して(めずら)しいことではない。



ひとは(うわさ)()(らく)にする。



(うわさ)(しん)じるひとは()(じつ)(かく)(にん)せず、

(ひろ)めるひとは(しん)(よう)(そこ)ね、()(かい)(あた)え、

(たい)(りつ)()み、(にん)(げん)(かん)(けい)(あっ)()させる。



(うわさ)()てても、

()(ぶん)(せい)(ちょう)させる(かて)にはならない。



(うわさ)()(ちゅう)になっていた(ふた)()は、

(はん)(ぼう)()()まった()(ごと)()

ファウナに()きついていた。



(りゅう)(げん)(たの)しんでいた(ふた)()

ファウナは()()りをして(みみ)(ふさ)ぎ、

(かく)れて()(ごと)()()んでいた。



(かの)(じょ)(にん)(しょう)(かん)()になってから

()(ごと)(たい)して()(よく)(てき)

()(にん)(ねた)まなくなった。



(りゅう)(げん)(ひろ)める(がわ)だったファウナも、

二人(ふたり)()(はん)になる()(どう)(やく)(へん)()していた。



ミニとアミにとっては

(こん)(かい)のことは()(きょう)(くん)になった。



「あんなに()(ごと)(しん)()なファウナも、

 (やかた)()(とき)はミニとアミに

 ()てたんですよ。」



「ニクスは()()いてないの?


 ()てるって(かん)じるのは、

 ドレイプの(あやま)ちを()たフランジが

 (つみ)(とも)にしているからなのよ。」



「…そうかも。」



フランジの(いまし)めにもなっている(こう)(どう)

ファウナに(かぎ)らず、ミュパやセセラ、

(じゅう)(ぎょう)(いん)(いた)るまで(こころ)()たりが(おお)くある。



(やかた)(はい)って()もないクイナの、

(するど)()(てき)にわたしは()(てい)できなかった。




 ◆




(よる)(ふか)まれば(さえず)りも()み、

()(とり)(たち)()(いき)()てる。



わたしは()(なか)にサンサの部屋(へや)(のぞ)くと、

(かの)(じょ)はまだ()きていた。



(かの)(じょ)(かみ)(てん)(まど)からの(げっ)(こう)()らされ、

(はん)(しゃ)して(まぶ)しい(こん)(じき)()える。



()(えん)(けい)(かく)ね。」



サンサはテーブルに(すわ)るイオスと

(はなし)をしていた。



イオスの(よこ)には(どう)(きょう)()てられている。



――おかしな()なのは()わらないね。



()(ぜん)のサンサもよく、

こうしてイオスに(はな)()けていた。



「あら、レナ。

 今日(きょう)はこっちで()るの?」



「うん…。サンサは、()わってない?」



(しん)(ぱい)するわたしに、

サンサは(うで)(ひろ)げて(くび)(ひね)ると(はな)()らす。



()(つう)()えないかしら?


 (はち)(みつ)(にお)いが(のこ)ってるわよ。

 ()いでみる?」



()ぎませんよっ。」(こえ)(おさ)えて()った。



サンサはわたしを部屋(へや)(まね)()れる。



この部屋(へや)にはムネモスとサラシュが、

それぞれのベッドで(しず)かに()ている。



「クイナは(しん)(しつ)(とう)()てたかしら?」



「はい。」



「こんな()()にまで

 (しょ)(しつ)()てたら風邪(かぜ)()くものね。」



()()(いん)での(せい)(かつ)()()めずに、

(べっ)(かん)()ごしていたクイナは

(よる)(やかた)でも()(りつ)(この)む。



「サンサはまだ()ないの? (ねむ)れないの?」



(ひる)(なが)()てたからね。


 イオスに(はな)(あい)()

 なってもらってたの。」



()(ひか)らせるイオスが(こえ)(ひか)えて()いた。



サンサは()()がると、(どう)(きょう)(かべ)()けた。



(ねむ)れないのはお(なか)()いてるから?」



()いてないわ。

 ()()()よね。


 レナは? お(のぞ)みなら

 これから(ちょ)(ぞう)(しつ)(しん)(にゅう)しましょうか?」



わたしはそんな(てい)(あん)(くび)(よこ)()った。



「…(いっ)(しょ)()ましょう。」



()かったわ。

 イオスももう()ましょうか。」



部屋(へや)(おく)(かた)(すみ)には、

アルとイオス(よう)のベッドが()かれている。



もうアルも()なくなって、

いまではイオスだけが使(つか)っている。



イオスが使(つか)うと(しろ)(たい)(もう)()()して、

ベッドが(ちぢ)んだように(さっ)(かく)する。



(てん)(まど)()かぶ(つき)が、

(とお)(はな)れた(こう)(せい)(ひかり)(はん)(しゃ)している。



「また(たい)調(ちょう)(わる)くなったのかしら?」



(ちが)います…。」



「ふふっ。」



ベッドで(おう)()すると、

サンサは(あか)(いろ)(ひとみ)でわたしを()(わら)った。



(しん)(げつ)()のわたしは(たい)調(ちょう)(くず)しやすかった。



(まえ)にもサンサのベッドに(だま)って(しん)(にゅう)して、

メノーやスーに(わら)われたことがある。



(ちが)うわよ。あれは(まん)(げつ)()よね。」



「…なにがですか?」



「スーが()なくなった()(よる)ね。


 トリンに()されたのは、

 サンスァラ(おう)(じょ)のベッドに(はい)った

 レナだとずっと(おも)ってたの。」



「わたし? なにもされてませんよ。」



その()(しん)(しつ)(とう)(じゅう)(ぎょう)(いん)部屋(へや)

メノーと(いっ)(しょ)()ていたら、

ムネモス(たち)()こされて

フランジが(おお)(さわ)ぎしていた。



サンサは()(まみ)れになっていて

メノーはスーを()れて(びょう)(いん)()き、

ニクスはずっと()()まさなかった。



「あれからセリーニの(かい)(けい)のせいで

 身体(からだ)(おも)(どお)りに(うご)かなくて、

 部屋(へや)から()られなかったのよ。


 (ふゆ)にはカヴァのドラスがこの(まち)()たり、

 (おう)(じょ)はマルフの(やかた)()(びた)ってるし。


 (いろ)(いろ)あってレナはアイリアの(こう)(ぼう)にも

 ()ないのかもって。」



「わたしは()ますよ。わっ。」



(かの)(じょ)(りょう)(うで)()かれた。



(やわ)らかな身体(からだ)(はち)(みつ)(あま)(にお)いがする。



「ニクスは、(さび)しくはない?」



ニクスが()(まえ)()んだ。



「わたしは(さび)しいよ。」



(かの)(じょ)がわたしの(あたま)()でて(ほお)()れる。



「やっぱり、()()()れられない。」



(こえ)(ふる)わせて()ってから、(はな)(すす)って(わら)う。



「ふふっ、サンスァラ(おう)(じょ)がね。

 わたしにおかしなことを()ったの。


 ()(とう)(しつ)(おど)った、

 (きょ)(ねん)(のう)(やす)みの()よね。」



「またですか?」



「また? またではないわよ。

 (おう)(じょ)からお(ねが)いされたのよ。


 レナを(まも)って、って。」



「わたしを?」



いまのサンサが、

わたしの(あたま)(うえ)(うなず)く。



(つき)(くも)(かく)れると、

()らされていたサンサの(きん)(かみ)

(くら)(くろ)へと(へん)()する。



「それを(おも)()して()()めたから、

 わたしは(やかた)(かえ)って()られたのね。」



「…おかえりなさい。」



サンサを()きしめて()った。



わたしもサンサが()なくなる()(あん)

いままでずっと(いだ)いていた。



「ただいま。」



(あたま)()でられ、(ほお)()れ、(みみ)(もと)(ささや)

(かの)(じょ)のその(こえ)がとても心地(ここち)()かった。



(かの)(じょ)()いて(なみだ)(こぼ)れないように、

その(むな)(もと)(かお)(うず)めた。



――おかえり、ニクス。




 ▶

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