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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第12章 赤土の丘

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第12章 第3節 想像の余地(第3項)

挿絵(By みてみん)



「なぁ、ニクス。これなんだけど。」



()()(こと)()(づか)いのファウナが、

()(ぶん)部屋(へや)()けて()(かげ)(にわ)にやってきた。



いつもの(しず)んだ()に、

()びてまとめた(くろ)(かみ)()れる。



(うす)(じろ)()で1(まい)()(がみ)をテーブルに()いた。



「これは、ミカからだわ。


 (おも)ったより()(かん)()かったのね。」



「ミカ?」



(ぎん)(こう)()のマイダスの()(ども)ね。」



ミカの(せい)(べつ)については、

クイナにはまだ()かさないでおいた。



ムネモスは(うなず)き、()(がみ)()る。



「なんですか? なんです、これ?」



ファウナは()(がみ)()かれた

(すう)()()(れつ)()()(もん)()かべ、

ムネモスもクイナも(くび)(ひね)った。



ミカは()(りょく)(かん)じさせない()(がみ)

ムネモス(あて)(おく)ってきた。



「この(まち)()()りする

 (きん)()(がね)(りょう)調(しら)べて(もら)ったのよ。」



「あ、(にゅう)(しょく)(れき)がありますね。


 15(ねん)(まえ)からですか?」



「オル(どう)()(たい)(りく)(こう)()から、

 ルース(こう)()(とう)(いつ)された(ころ)からね。」



(たい)(りく)からの()(にゅう)()(ぞん)していた(きん)()を、

サンスァラ(おう)(じょ)(たち)()(ぞう)した。



その(えい)(きょう)でエルテル(せん)(だい)(りょう)(しゅ)のエリクは、

(しま)(どく)()(こう)()(あら)たに(よう)()しなければ

いけなくなった。



「オーネック()(ぎん)(こう)

 この(まち)()()たのもその(ころ)だもの。


 ミカなら調(しら)べるのも、

 それほど(むずか)しくはないでしょう?」



「こんな()(らい)をなされたんですね。」



(しん)(よう)(こう)(どう)(しめ)すものよ。


 それに(こう)(じつ)(あた)えるのが

 わたしの()(ごと)よ。」



ムネモスに()げてみても、

ミカに(こう)()()けられているムネモスには、

(すう)()だけの()(がみ)()(えん)(ひょう)()(あたい)しない。



(しい)()(ひと)つも()えていないので、

この(はん)(のう)(とう)(ぜん)()える。



「んなの調(しら)べて、どうすんだ?」



ファウナはジャムとお()()()きに(ほお)()り、

クイナが(つめ)たい()(せん)(かの)(じょ)(おく)っている。



「ミカを()めてあげるわ。」



「はぁ?」



調(しら)べたのに(たい)()()られず

 (ひょう)()もされない()(ごと)なんて、

 ファウナも()()けはしないでしょう?


 それにこの()(らい)

 (ない)(よう)()()ではなくて、

 こちらの(ねら)いをあの()

 ()()って(もら)(ため)のものだからよ。」



(こん)()はまた、なにを(たくら)んでるんだ?」」



ファウナが(さっ)するので、

わたしは()みが(こぼ)れる。



「あっ、()てください。


 (ふゆ)(ぜん)(ねん)(りゅう)(にゅう)(りょう)(ちか)(きん)()(がね)

 (りゅう)(しゅつ)してますね。」



「カヴァにお(かね)()したのかな?」



ムネモスとクイナのせいで(はなし)()れる。



(つぎ)(ほう)(せき)か、(はな)にでもしましょうか。」



(はな)? なんで(はな)だ?」



(せい)(かつ)(ひつ)(よう)のないものって、

 (まち)(ゆた)かさを(しめ)()(ひょう)になるもの。」



調(しら)べさせるにしても、

 (ぎん)(こう)(はん)(ちゅう)()えてるぞ。」



ファウナの()(てき)する(とお)り、

調(ちょう)()(こう)(はん)になって

ミカでは調(しら)べられそうもない。



ムネモスが(きょう)()()かせ、

()かれるものを()わりに(てい)(あん)してみた。



「…それならエルテルの(おり)(もの)と、

 カヴァの(さい)()のが()いかしらね。」



「それはわたしも()りたいです。」



わたしの()(そう)(どお)りにムネモスが()れた。



この(ふた)つなら(うま)(せい)(さん)(とう)(すう)よりも、

(いろ)()のある(ない)(よう)()(たい)できる。



イオスを()いているファウナは、

(まゆ)(ゆが)ませて(なっ)(とく)していない。



(にん)(しょう)(かん)()(おこな)うファウナは、

()(がみ)(ない)(よう)から(たい)(りく)()()()()(かい)する。



けれども(すう)()だけを()()(こう)()(かい)するには、

ミカという(じん)(ぶつ)()(ひつ)(よう)()てくる。



「ムネモス~。ちょっと()てぇ。」



サラシュの(こえ)が2(かい)から()こえた。



「いかがなさいましたか?」とムネモス。



(ぎん)(ぱつ)のサラシュが(ぎん)のドレスを()にして、

()(とう)(しつ)からチュール()()

(はだ)()姿(すがた)のまま()りてきた。



もう()(かたむ)(はじ)て、

(きゃく)さんの姿(すがた)()かったのが(さいわ)いした。



「サラ。

 (あさ)ましいわよ。そんな(かっ)(こう)で。」



サラシュはカヴァの(だい)(いち)(おう)(じょ)で、

わたしよりも(まえ)(せい)(ねん)(むか)えている。



どこかの()(ぞく)(つか)まえて、

(こん)(いん)(むす)んでもおかしくはない()()だった。



サラシュは(くに)()(ぶん)(すい)(がい)()()き、

いまは(ひん)(かく)としてサンスァラ(おう)(じょ)部屋(へや)の、

わたしが使(つか)っていたベッドを(せん)(りょう)している。



カヴァの(しゅっ)(しん)であっても()(たか)く、

(そだ)ちの()さから(ゆた)かな(にく)()きを()せる。



クイナが(かの)(じょ)(ぎょう)()していた。



(あら)った()(しょう)(ちぢ)んでるのよ。


 これでは(おど)(にく)いわ。」



「サラが(ねえ)(さま)(まい)(にち)

 お()(しょく)(くち)にしているせいでは

 ありませんか?」



(ふと)ったかしら。」



(どう)(しつ)のムネモスはサラシュに(たい)して、

こんな()()(わる)なことを()()(なか)になった。



()(けい)(つみ)にも()われない。



()(もの)()わったのもあるわね。


 身体(からだ)(つね)(へん)()するものだから、

 サラを()めてもいけないわ。」



「ヤゴウのお(りょう)()もおいしいですから。」



「ムネモス。

 (かれ)はおいしいものしか(つく)りませんよ。」



(あさ)むように()って(じょう)(だん)(わら)()う。



「クイナ、手伝(てつだ)ってください。」



「…はい。」



(かの)(じょ)(きょ)()(もと)めてわたしを()た。



クイナはわたしのフランジであっても、

わたしが(かの)(じょ)(こう)(どう)(はん)(だん)する(ひつ)(よう)はない。



(ちょ)(ぞう)(しつ)(しん)(にゅう)して、()(もの)()るなどの

(もん)(だい)()こせば、ヤゴウの(せき)(にん)になる。



クイナは(せき)(にん)()(かい)していて、

(やかた)()()(けい)(きょ)もない。



(ほか)のフランジ…(とく)にミニとアミも

クイナを()(なら)って()しくなり、

()(まえ)(すわ)()(どう)(やく)のドレイプを()た。



「ファウナもお()()ばかり()べてないで。


 もうすぐ(ゆう)(しょく)()(こく)よ。」



ファウナはお(きゃく)さんが使(つか)

(みなみ)(がわ)(せき)でパン()()にジャムをつけ、

()(すじ)()ばしたまま(しず)かに()べている。



ファウナの(ひざ)(うえ)()つイオスは、

()()欠片(かけら)()いで(くち)にしていた。



「こっちの(あま)くない(ほう)がおいしいな。」



「それは(そう)(とく)(よう)(つく)ったものよ。」



「セセラがまた、

 (あたら)しい(ほん)()()れてたぞ。」



(はん)(ぶん)はファウナの(もの)よね?


 あなた(たち)も『(もの)()き』ね。


 ファウナも(いし)(うら)()んでいないで、

 ()()たる()(しょ)()(ほう)()いわね。」



()(かげ)(にわ)(あるじ)()っても(せっ)(とく)(りょく)ないぞ。


 でも(こん)()(そう)(だい)なんだって!

 (やま)より(おお)きな(たこ)()かれてるんだ。」



(たこ)って…(たこ)?」



(どう)(くつ)(こう)(しゅっ)(しん)のファウナは、

(うみ)()むという(なん)(たい)(どう)(ぶつ)

(かん)(しん)があるのかもしれない。



――(たこ)(いか)(きょ)(だい)なものは、

  (りゅう)(いっ)(しゅ)になるのかしら。



()(もの)(かい)(さん)(ぶつ)しか()らないわたしは、

そんな(そう)(ぞう)()かべた。



「ミニとアミから()(はな)していいの?


 (にん)(しょう)(かん)()(はん)(ぼう)()でしょう?」



「それは()くない。


 また()(ちょう)にわたしの部屋(へや)(せん)(きょ)されたら、

 ニクスに()()してもらわないと

 いけなくなる。」



「いまのわたしは

 ニクスではなくてサンサよ。」



()ってる()ってる。


 さぁ、()(ごと)(もど)るかぁ。


 またな、()(とう)。」



「イオスと()びなさいっ。」



ファウナから()()けられたイオスは、

(ちから)(づよ)くミャオと()いて(こう)()した。




 ◆




サラシュのドレスを(なお)(ため)

ムネモスとクイナは()(とう)(しつ)へと()がり、

ファウナも()(ぶん)部屋(へや)(もど)っていく。



()(しず)(はじ)めた(にわ)(しず)かになって、

()(いし)(こす)れる(おと)がまた(みみ)(くすぐ)る。



「ふぅ…。」



わたしは()()(ふか)(こし)()ろし、

イオスを()いたまま(なが)(いき)()いた。



「お(つか)れですね。」



わたしの()(いき)を、

ずっと(うし)ろにいた(しょう)(じょ)()(のが)さなかった。



「レナ。」



()()くと、レナタが(どう)()(かた)()けていた。



挿絵(By みてみん)



わたしはイオスを()()げて()()がる。



レナタはストロー(ぼう)()り、

(あせ)(あぶら)(かた)まった(くせ)()いた(かみ)

(くび)()けたタオルで(ほぐ)した。



今日(きょう)()(ぎょう)はもう()わり?」



今日(きょう)(かん)(そう)していて、

 モルタルが(かわ)きやすいので

 (いそ)いで()ませました。」



レナタはルービィの(きょ)()()

わたしからの()(らい)で、()(かげ)(にわ)(きた)にある

(めん)(だん)(しつ)(がい)(へき)にモザイク(へき)()(つく)っている。



(はい)(けい)はまだ()(かん)(せい)でも、

すでに(じん)(ぶつ)()()(ぶん)(かん)(せい)している。



(しろ)(はだ)をした(にび)(いろ)(かみ)(わか)(むすめ)が、

(ぎん)(いろ)(つめ)たい(ひとみ)(くろ)(ねこ)()いていた。



(ゆう)(やみ)(なか)で、(ねこ)()(こん)(じき)(かがや)く。



(とう)(めい)なガラス(いし)(えが)かれた(かみ)

(はい)(いろ)のモルタルを()かし、

(こう)(たく)()(よう)して(ぎん)(ぱつ)()える。



()(しず)んで(しゅう)()(くら)くなると、

(へき)()(やみ)()けて(くら)(くろ)(かみ)へと(へん)()する。



(うす)(くちびる)(はし)には

(ちい)さな(くろ)(てん)のホクロがあって、

(くち)(もと)()みを(たた)えて()えた。



「ふふっ…。」



(へき)()()かれたメノーと(おな)じく

この(へき)()(しょう)(ぞう)にも()(ひん)がある(ため)に、

()ていると()(ぜん)(くち)(もと)(ゆる)んでしまう。



「いかがですか?」



アイリアの(こう)(ぼう)()いていた、

サンスァラ(おう)(じょ)(しょう)(ぞう)()

レナタは(へき)()にした。



(かお)はあのひとだけれど、

 これは…(むね)(ゆた)かになってるのよね。」



「それは…

 サン…スァラ(おう)(じょ)()ってましたよ。


 ()るひとがまた()たくなるように

 ()(そう)()しなさいって。」



「サンサは()(ぶん)

 ()(そう)()されて()かれるなんて、

 (そう)(てい)していたのかしらね。」



「ニクスもいまはサンサですよね。」



「…うん? わたし?」



(かの)(じょ)(こと)()()()するところが、

()()れずに(あたま)(ひね)った。



「この(へき)()は、

 (えい)(えん)()れない(はな)なんです。」



レナタの(こと)()にわたしは(くび)(たて)()る。



(へき)()()て、()かったことがあるわ。」



「…どんなことですか?」



()(きょく)もなければ(げき)(だん)(やく)(しゃ)すら()ない

 (くう)(きょ)(げき)(じょう)(けん)()なんて、

 わたしには(ひつ)(よう)なかったわ。」



「でもサラやムネモスは、

 (たの)しんでいましたね。」



「ええ。

 (かの)(じょ)(たち)()なければ

 ()(きょく)()けなかったもの。」



サラシュはひとを()きつける(いつ)(ざい)で、

ムネモスや(かの)(じょ)(はは)、ベリーの(きょう)(りょく)があり

(りっ)()()(しょう)(かん)(せい)した。



(こう)(じつ)として(ひつ)(よう)だったのね…。」



――わたしをこの(やかた)(のこ)(ため)に。



「お(ひめ)(さま)はいま、

 どこに()るんでしょうね。」



(へき)()()つめるレナタは、

(あい)(いろ)(ひとみ)()らして()(ほそ)める。



「ルービィには(やかた)()った

 って(つた)えたけれど、

 いまも(きん)(そく)()()ると(おも)うわ。」



わたしは(みなみ)(ほう)(がく)()た。



(てん)(がい)(さん)(ふもと)には(かん)()(しゃ)っていう、

 (かい)()(せい)(りつ)しない(あい)()()たのよ。」



「それって、(りゅう)のこと?」



アイリアは(にゅう)(しょく)(じゅう)()()(こと)なる(りゅう)()いた。



「マルフは(りゅう)()えたんでしょうね。


 ()るひとによって、

 ()える姿(すがた)(ちが)うみたい。」



「サンサが()たのは、

 どんな姿(すがた)だったの?」



「わたしが()たのは

 スーの()ってた(しい)()の、

 ()(せつ)(ふだ)()かれた(どう)(ぶつ)(たち)だったわ。」



()(せつ)(ふだ)? ってあの(ほし)(ふだ)の?」



(うし)(あたま)(ひつじ)(ふと)(つの)


 (うま)(あし)()(きょ)(だい)(かい)(ぶつ)。」



「おかしな(どう)(ぶつ)だね。」



(あさ)(はる)(こう)()する(ばん)(じゅう)(うし)

(ひる)(なつ)(まえ)()()られる(ひつじ)

(ゆう)(だい)()()ける(あき)(うま)



(よる)(げん)(かん)(ふゆ)でもおいしい(うさぎ)



尻尾(しっぽ)はきっと(うさぎ)のように(まる)かったのね。」



(そう)(ぞう)して(くち)(もと)(ゆる)めるレナタ。



()(ごえ)()になります。」



「ひとの姿(すがた)()わって(しゃべ)ったのよ。

 (ねこ)(あたま)でね。


 (かい)()になったのかしら?


 (かん)()(しゃ)(こと)()のほとんどが、

 (なん)(かい)(たん)()()(れつ)なのよ。」



「そのひと?

 (かん)()(しゃ)はなにか()ったの?」



(かん)(ぜん)なる(かん)(げん)。』



――また、(もと)(もど)ることよね…。



(かん)()(しゃ)との(かい)()(ない)(よう)(おぼ)えていても、

いまでも()(かい)はできていない。



()からなかったわ。


 でも()()ってもいないのに、

 『また()いましょう。(きん)(あか)(いろ)のサンサ。』

 ってわたしに()ったのよ。」



「それは、(たましい)…?」



レナタは(くび)(ひね)った。



「わたしの(かんが)えは、

 ()(ども)(だま)しに()こえたかしら。」



レナタは(くび)(よこ)()って、

(かた)まで()びた(ぎん)(いろ)(かみ)()らした。



(ほう)(せき)のような(あい)(いろ)(ひとみ)が、

(そら)()()くす(ひつじ)()れを(なが)めた。



「…(そう)(ぞう)()()ですね。」



レナタは()(ほそ)めて(こう)(かく)()げる。



(よこ)(がお)()るわたしは

レナタの(ほお)()れる(ぎん)(かみ)に、

(かわ)いたモルタルを()つけて

それを()がし()った。



レナタの(くち)(もと)に、

(ちい)さな(くろ)(てん)のホクロが()える。



――サンサの(わす)(もの)ね。



(とつ)(ぜん)レナがわたしに()きつき、

(はさ)まれたイオスがミャオと()いた。




 ▶

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