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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第12章 赤土の丘

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第12章 第1節 手掌の札(第4項)

「ミカがわたしに()いたいことは、

 カヴァへ(しゅっ)()する()(ゆう)よね。」



テーブルを(ゆび)(さき)()()き、

ミカの(かお)()げさせる。



わたしは(だれ)真似(まね)(ごと)をした。



「ミカがマイダスと(おな)(たち)()

 (ぎん)(こう)(せき)(にん)(しゃ)だった()(あい)


 あなたは()えている(かの)(じょ)

 サラシュに(いっ)(さい)(ほどこ)しを(あた)えず、

 ()()てることができるのかしら。」



サラシュが(りょう)()でお(なか)(おさ)えて

(くう)(ふく)(えん)()をしてみせる。



(せき)(にん)(しゃ)であれば、

 ()()てる(かく)()をしなければ

 いけないんだろ?」



わたしは(くび)(たて)()る。



(ひろ)く、(ふか)(かんが)えなさい。


 (かの)(じょ)はこれで、カヴァの(おう)(じょ)よ。


 カヴァの(すい)退(たい)(かの)(じょ)()(つな)がる。」



サラシュはミカと()()わせても、

()(がお)(つく)って(おだ)やかに(うなず)く。



サラシュが()けた(やさ)しさは、

ミカの(せん)(ぱく)(はつ)(げん)(こう)(かい)させ、

(ふだ)(あそ)びで()けた(きず)(ぐち)(ふか)(えぐ)る。



「こちらのムネモスは

 エルテル(せん)(だい)(りょう)(しゅ)エリクの(むすめ)で、

 (おとうと)のクロノはいまカヴァの()()()よ。


 この(まち)がエルテル(がわ)便(べん)()(はか)れば、

 (おとうと)(ひと)(じち)()(よう)され、(さい)(あく)()(あい)

 (かれ)(ころ)されるでしょうね。」



(ぼう)(ろん)(きょく)(たん)()(のう)(せい)()げると、

ムネモスはサラシュを真似(まね)し、

ミカに()(がお)()けてえくぼを(つく)る。



ムネモスの()(がお)はミカの(ひょう)(じょう)(ゆが)ませ、

(ざい)(あく)(かん)(おぼ)えてくれた。



(みん)(しゅう)(いえ)(ろう)(どう)(しゅう)(にゅう)

 (せい)(かつ)()(どころ)(うしな)えば、

 (はん)(ざい)()えるのは(ひつ)(ぜん)よ。


 (とう)西(ざい)がその(きん)(こう)(うしな)った()(あい)

 ()(がい)()うのは(はさ)まれたこの(まち)なの。


 あなたは()(ぶん)(ざい)(さん)(ため)に、

 二人(ふたり)(けん)()って(ころ)()えと

 (めい)じはしないでしょう。」



(つぎ)はなにを()けましょうか。」



サラシュが()(けい)なことを()い、

わたしはそれを()(なが)す。



(けい)(さん)(とく)()なミカは、

 (すう)()(しん)(よう)しているんでしょうね。


 でも、(すう)()()(すべ)てではないわよ。」



サンスァラ(おう)(じょ)から()(きょう)(くん)を、

わたしはミカに(おく)る。



(にん)(げん)()きていれば

 ()(しょう)(しっ)(ぱい)()るものよ。


 一人(ひとり)ではできないことを()るのも

 (こん)()(たい)(せつ)(けい)(けん)になってくるわ。」



(くちびる)()んで(なみだ)()()てきたミカに、

(なぐさ)めにならない(こと)()()した。



――(おも)(どお)りにはならないわね。



「あれですよね。(ことわざ)で――。」



ムネモスは(うろ)(おぼ)えのまま(つづ)けた。



(かがみ)(にん)(しき)できない(うま)は、

 (たてがみ)()()まない――。」



「『()(にん)(まえ)(がみ)()にしない』よ。」



と、わたしが(てい)(せい)する。



「ムネモスにかかれば、

 なんでも(うま)になってしまいますね。」



サラシュが(わら)う。



ムネモス()(しん)()(ぜん)

(べん)(きょう)(かい)(たと)えた(うま)(はなし)になっていた。



(うま)(たてがみ)は、()(いく)(かん)(きょう)()

()(てき)(かん)(てん)(ため)(ととの)えるけれど、

(うま)(かがみ)(にん)(しき)する()(ぜん)

(たてがみ)()()れは(ひつ)(よう)ない。



ムネモスの(がん)(ぼう)(ちか)(かん)(ちが)いは

(べん)(きょう)(かい)でたまに(しゅつ)(げん)するので、

わたしも(なん)()(てい)(せい)していた。



オーブ(りょう)真似(まね)て、

()(あし)()()(うま)()()

(ちか)いかもしれない。



「ふふっ。(まえ)(がみ)でしたね。


 あなたにとっての(しっ)(ぱい)()(せつ)は、

 ()(にん)にとっては()(まつ)(もん)(だい)でしか

 ありません。


 いつまでも()いていては、

 (つぎ)(おな)じことが()きた(とき)

 なにもできませんよ。


 (たい)(せつ)なのは、

 (しっ)(ぱい)()(かえ)さないことですから。」



ムネモスの(なぐさ)めが(つう)じたのか、

(くろ)()(まわ)りを(あか)くしてミカは(うなず)く。



「…()かったよ。

 もっと調(ちょう)()してくる…。」



()(なお)でいい()ね。」



(きゃく)さんを()(ども)(あつか)いするムネモスに、

ミカは(かの)(じょ)()()()がった。



(こん)()()(とき)は、

 あなたを()(めい)しても()いでしょうか?」



「えぇ?」とサラシュの(ほう)(おどろ)く。



「ミカ、それはダメよ。


 ムネモスはまだフランジで

 わたしの(たい)(せつ)なひとなのだから、

 ()(めい)なんて()()ないわよ。」



(たい)(せつ)?」



ムネモスはわたしを()()(かがや)かせる。



「わたしは?

 (ひつ)(よう)とおっしゃいましたよね?」



サラシュが(かん)(じょう)()かせ、

(たい)(こう)()(しき)(いだ)かせてしまった。



「サラも(たい)(せつ)よ。


 (じょ)(れつ)(あた)えるものではないわよ。


 こんな()(しょ)

 なにを()わせるのっ、もう…。」



(から)いものを()べたわけでもないのに、

(かお)(あつ)くなって(みぎ)()であおいだ。



「またここに()たければ、

 (こん)()(さき)()(がみ)()きなさい。


 (あい)()()()(もく)(てき)の、

 (いろ)()()(せい)のあるものをね。


 (やかた)()るものを(えら)ぶのよ。」



「あぁ…。()かったよ…。」



(たの)しみにしていますよ。」



「はいっ。」



ミカはムネモスの(とき)(かぎ)って

()いお(へん)()をする。



イオスを()いたままのサラシュに

(あん)(ない)された()(ども)は、(きた)(がわ)()(ぐち)()えた。



(やかた)()(さい)()までムネモスを()ていたミカ。



「エイワズの(あい)()よりも(つか)れたわ。」



「でも(たの)しかったですね、(ふだ)(あそ)び。


 あの(らい)(てい)(かい)(じょ)されるなんて。」



「もう(たい)(へん)よ。


 わたしも(ふだ)(あそ)びは、

 それほど(つよ)くはないもの。


 ミカが10(じゅん)()(らい)(てい)(ねら)ってるのが、

 ()かってたからできたのよ。」



「もしかしてサンサ(ねえ)(さま)は、

 ひとの(かんが)えがお()かりですか?」



ムネモスの(とっ)()(そう)(ぞう)につい(わら)ってしまう。



「でしたら(かん)(たん)に、

 ()てるのではありませんか?」



(あい)()(しょう)()(かく)(しん)(あた)えないことには、

 (おな)じようにやるのは(むずか)しいわね。」



「『(うん)(めい)(おんな)』が(かれ)(かどわ)かしたんですね。」



(かん)(ちが)いを(つづ)けるムネモスは、

()(ぶん)(むね)()()てて(よろこ)んだ。



「それはわたしではなくて

 ムネモスのことよ。


 ミカに()()られたわね。


 (らい)(てい)使(つか)ってあなたに

 ()いところを()せたがってたのよ。」



(かれ)(らい)(てい)上手(じょうず)にできましたね。」



()っても(ほん)(にん)()にしない。



ムネモスに()かれるミカに()()き、

(かの)(じょ)をわたしの(こう)(しょう)(せき)()かせた。



――ミカに(どう)(じょう)するわね。



「あ、あの()(たん)(けん)(わす)れてるわ。」



サラシュが(あず)かっていたミカの(たん)(けん)が、

テーブルの(あみ)(だな)()かれていた。



「いいわよ。

 (いそ)いで(とど)けなくても。


 ()るものは()わず。


 この(わす)(もの)(こう)(じつ)にして

 (やかた)()たがるでしょうから、

 ミカを(げん)(かん)()(かえ)(まえ)

 (ぎん)(こう)(おく)りつけましょうか。


 そうすれば(かの)(じょ)(あきら)めて

 ()(がみ)(おく)ってくれるわね。」



そんな(はなし)をしていると、

サラシュが()(かげ)(にわ)(もど)ってきた。



「…(かの)(じょ)?」ムネモスが(たず)ねる。



「ミカは(おんな)よ?」



わたしの(こと)()に、

ミカを()れてきたサラシュも(うなず)く。



(しょう)()真似(まね)をするわたしでも、

 ()(ども)であっても(おとこ)のひとなんて

 ()れて()はしないわよ。」



「あら…。(ほん)(とう)に?」



ムネモスは()(ぶん)だけが

()()いていなかったことに(ほお)()める。



「でもお()(まえ)は?」



(ぎん)(こう)(こう)(こう)(しゃ)を、

 マイダスは(おとこ)のつもりで

 (そだ)てているのかしらね。」



ミカという()(まえ)は、

それほど(めずら)しくない(だん)(せい)(めい)になる。



(おや)()(そう)は、()()(ねん)ではないもの。」



ナルキック(ぞく)のトリンと(おな)じく、

()まれた(むすめ)(こう)(こう)(しゃ)にする(ため)

(おとこ)(どう)(ぜん)()()ける(おや)()る。



「せっかく()れてきたお(きゃく)さんなのに、

 サンサはすぐに()()してしまわないか

 ()()でなかったわ。」



「わたしは(わる)くないわよ。


 (やかた)はお(きゃく)さんを(えら)ぶものだから、

 おかしな(あい)()()れて()ないこと。」



「そこは(はん)(せい)してますよ。


 でも、いつまで()っても

 『それ』を()()げない

 あなたが(げん)(いん)ですよ。」



サラシュはテーブルに()いたままの、

なにも()けていない(よう)()()()()した。



「う…、()(きょく)()くのって、

 こんなに(むずか)しいとは(おも)わなかったのよ。」



()けもしませんのにわたしを()()めて、

 (げき)(じょう)(えん)(げき)をさせるなんて、

 おかしなことを(かんが)えるわね。」



(しょう)()(だん)()()ったサラシュの()(きょ)には、

ドレイプが(なら)うほどの()(ひん)がある。



(よる)(やかた)のドレイプに()()み、

オルドラスやサンスァラ(おう)(じょ)にも()て、

()(もく)(あつ)めるだけの()(りょく)()っている。



(やく)(しゃ)(えら)ぶべきね。』



これはサンスァラ(おう)(じょ)(きょう)(くん)



わたしはサラシュに

(やく)(しゃ)としての()(のう)(せい)(かん)じていた。



(げき)(じょう)(けん)()()ったところで、

 (えん)じられるひとがいなければ、

 (すう)()の0と(おな)じだものね。」



(げき)(じょう)(けん)()()(まえ)(とも)()()いでも、

(げき)(だん)(かい)(さん)しており、()(きょく)()っていない。



(きょ)(ねん)(しゅう)(かく)(さい)(こう)(えん)()(こう)

()(ちょう)(ひと)(さら)いに()ったという(りゅう)(げん)

(つつし)みを()らない(しょう)()から(みみ)にした。



その()(ちょう)()(まえ)はゼオと()ばれ、

ユヴィルの(さい)(ばん)(しょう)(にん)()った(りょう)(ぎょ)(しゃ)

(おな)()(まえ)ということしか()からなかった。



(やく)(しゃ)()ても()(きょく)がなければ、

 わたしは()(ろう)(しゃ)(どう)(ぜん)ですよね。」



サラシュがテーブルに()()()して

(さい)(そく)する。



イオスがテーブルとサラシュに(はさ)まれたので

わたしに()かって()いている。



わたしがサラシュを(さそ)った(ため)に、

()(きょく)(よう)()しなければならなかった。



()(きょく)()いた(けい)(けん)はあっても、

カヴァのオルドラス(たち)(えん)じたものは

(おう)(じょ)(だい)(ひつ)(ちか)く、(せい)(しき)なものではない。



サンスァラ(おう)(じょ)はこの()(かげ)(にわ)で、

()(ごと)()(がい)にもフランジに(べん)(きょう)(かい)(ひら)き、

オーブの(きょう)(りょく)(もと)(はつ)(めい)(いそ)しみ、

(とう)()(しゃ)(たち)()(がみ)()き、()(きょく)(つづ)った。



「やることが(おお)いのに

 できることは(すく)なくて、

 いまのわたしはサンスァラ(おう)(じょ)

 (とお)(およ)ばないわね。」



(ちか)くで()ていた()(がら)(おう)(じょ)()なくなると、

(そん)(ざい)(おお)きさに()(ひし)がれる。



ムネモスとサラシュが(かお)()()わせた。



「お(ねえ)(さま)はもっと(てき)(とう)でしたよ?」



叔母(おば)って、

 いまのサンサより(なま)(もの)よね。」



「えぇ?」(にん)(しき)(ちが)いに(みみ)(うたが)った。



「だって、(しょく)()()(きら)いが(はげ)しくて、

 (ふく)のお()()えも(まい)(にち)しません。


 お()()にも(はい)りたがらないんですよ。」



(そう)(とく)(やかた)()(とき)も。


 ()(ぶん)(きず)(もの)という()(ゆう)

 ()(にん)(まか)せなひとでもありましたね。


 レナタ…ニクスも(あき)れるくらい、

 叔母(おば)()()(がかり)()()していましたから。」



「いまのサンサ(ねえ)(さま)は、

 お(ねえ)(さま)らしくはありませんね。」



「サンサはどんな叔母(おば)()()していたの?


 あ、それ、()いてみたら?」



「それをサラが(げき)(じょう)(えん)じるのですか?」



()(りょ)(おう)()()()わりになった

 ()(げき)(おう)(じょ)(さま)だものね。


 オランの(まえ)(なん)()(えん)じたことがあるわ。


 『ドラスも(うま)()られて、

  1(かい)()んだらいいのよっ!』」



サラシュが()()がると、

イオスがテーブルの(うえ)()た。



()たい! お(かあ)(さま)

 ドレスを(よう)()して(もら)いましょう。」



サラシュ(たち)(きょう)(ゆう)するサンスァラ(おう)(じょ)

(そう)(ぞう)できない。



(しゅん)(じゅん)するわたしを()()二人(ふたり)()()がる。



これで(あきら)めがついた。



「それならこれからは、

 わたしもサンスァラ(おう)(じょ)みたいに

 二人(ふたり)にもっと(たよ)るわね。」



イオスを(むな)(もと)()()せて(じょう)(だん)()げると、

二人(ふたり)(だま)って(こん)(わく)しつつも

(くち)(もと)(ゆる)めて(よろこ)んでくれた。



挿絵(By みてみん)




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