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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第11章 天秤の貨(後)

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第11章 第6節 白金の鍍(第3項)

(じょ)(さん)()(かえ)り、キーア(たち)がベッドシーツを

(あたら)しいものに()()えた。



「ニクス、()て。」



メノーがわたしを()んだ。



メノーの(うで)と、タオルに(つつ)まれて(ねむ)(あか)()



()()(すわ)って()(なか)(あず)けていたわたしは、

(なが)(たび)(じょ)(さん)(つか)れて(ねむ)りかけていた。



()()がりで()いただけのわたしの(かみ)

ムネモスに(くし)()かれて、

(あたま)(あら)(なみ)()れる。



「なに? まだ身体(からだ)はつらいでしょ?」



「それより、この()にミティスって

 ()()けてもいいかしらぁ。」



「ミティス?」レナタが(たず)ねる。



()()()(がみ)ね。」とルービィ。



わたしは(くび)(ひね)って(こた)える。



「どうかしら。


 この()(せい)(ちょう)すれば、

 この()(かんが)えで()(まえ)()えるわよ。


 (おや)()(そう)は、

 ()()(ねん)にはならないもの。」



「いいのよ、それで。


 それから、(あらた)めてお(れい)()わせて。


 ありがとう、ニクス。」



「わたしからもありがとう。


 ()(ぞく)(たす)けて(もら)ったわ。」



「メノーが(けん)(こう)だったから、

 この()()まれたのよ。」



わたしは(かお)()いて、(しゅう)()()た。



「…ルービィに(はなし)があるの。」



「カーミャ、ハーリャ、ボーシャ。


 あなた(たち)もありがとね。


 ()()いたら()(じつ)(しゅく)(えん)(ひら)くから、

 今日(きょう)はもういいわよ。」



(さん)()(まい)(かお)()()わせて(うなず)き、

ルービィの()()(したが)部屋(へや)()ていった。



「サラシュもよ。


 (なが)いあいだ

 よく()()ってくれたわねぇ。


 マルフの(やかた)にお(れい)(おく)るわ。」



「わたしを()()したところで

 ()()はありませんよ。


 お部屋(へや)(そと)

 (さん)()(まい)(みみ)()まして()ますからね。」



ルービィは()()がろうとしたものの、

()ているミティスを()(づか)って、

()(なか)(まる)めて(なが)()(いき)()いた。



サラシュは湿(しっ)()()()(ため)

(まど)()かって(おうぎ)をあおいで、

フランジや(じゅう)(ぎょう)(いん)()(ごと)

真似(まね)して(たの)しんでいる。



「ルービィ。(かの)(じょ)はいいわよ。


 サラシュはあのひとの

 姪子(めい)()たるもの。」



「サンサ…ァラ(おう)(じょ)(はなし)ですか?」



レナタの(しつ)(もん)にわたしは(ためら)い、

それから(くび)(たて)()った。



「サンサは…、(やかた)()ったわ。」



()って(した)(くちびる)()み、

ルービィ(たち)からの(こと)()()った。



「あら、ようやく?」



「え?」



わたしも(おも)わず(たず)ねてしまう。



(まい)(にち)のように()ってたものねぇ。」



()ってましたね。」



メノーも、それにレナタも(うなず)く。



「でしたらサンサお(ねえ)(さま)は、

 いま、どこに()るんですか?」



ムネモスの()(もん)に、

わたしは(こた)えられない。



「『()るものは()わず。』


 これが(やかた)()まりですが、

 お(きゃく)さんに(かぎ)らず(かの)(じょ)にも

 (てき)(よう)されたのね。」



「どうされたんですかっ?」



サラシュがそれで(なっ)(とく)しても、

ムネモスは(なっ)(とく)しない。



(かの)(じょ)はわたしの()びた(かみ)(むす)()えた。



「それでルービィ。


 わたしに(すこ)し、お(かね)()して()しいの。」



「えぇ?

 (えん)(りょ)しなくていいわよ。


 もちろん、今日(きょう)のいまだけよ。


 なにに使(つか)うつもり?」



「わたしはサンスァラ(おう)(じょ)から

 ()()()けていただけの()で、

 (しょう)()になるつもりはないわ。


 もう(せい)(ねん)になるから(やかた)(はな)れて、

 (そと)()(ごと)()つけるつもりよ。」



わたしは(しょう)(かん)(だっ)(そう)した。



いまも、(しょう)()()(ごと)()()している。



そのことでレナタには()かれ、

サンスァラ(おう)(じょ)()げると

(わら)われてしまった。



「…()ってましたね。」



わたしの(こく)(はく)にレナタは(さび)しがった。



「わたしの(びょう)(いん)(はたら)くのよねぇ。」



()()くのは(ゆる)さないわよ。」



(じょう)(だん)()うメノーに、

ルービィが(かの)(じょ)とわたしを(しか)る。



「それはまぁ、(たい)(へん)(みち)(えら)びますね。


 なにかお手伝(てつだ)いできることがあれば、

 わたしにもご(そう)(だん)ください。


 わたしもこれで、

 カヴァの()()()けて

 ()()した()ですけれどね。」



サラシュが()って(わら)う。



(おう)(じょ)部屋(へや)()ない()(じょう)

この(やかた)(たよ)れないので、

これから(ほう)(ほう)(さぐ)っていく。



()()(いん)()けば、

(ふう)()(しの)げる(べっ)(かん)もある。



「まさか(しょう)(かん)でも(ひら)くつもり?」



「その()(てい)()いわ。」



「マルフが()(えん)(しゃ)なのね?」



「わたしには(かれ)()しがる

 (げき)(じょう)ほどの()(りょく)はないわよ。」



ルービィから()(つづ)けに、

(もう)(そう)(しつ)(もん)()めに()う。



わたしのような(しゅつ)()(あや)しい(にん)(げん)(しん)(らい)し、

(とう)()するひとは()ない。



「この(まち)(じょ)(さん)()をやるのなら、

 (しゅっ)(さん)(けい)(けん)がない()(むすめ)では

 (あい)()にされないわよ。」



ルービィの()(ぶん)(くび)(たて)()る。



(ほん)()(しき)はあっても、

(じょ)(さん)()()(ごと)()らせるほど

()(じゅつ)(けい)(けん)(しん)(らい)()い。



(ねこ)(げい)()()んでいるのは、

 その(ため)ですよね。ふふっ。」



サラシュが(わら)う。



「それであんな(おお)きな(いぬ)

 ()やしたのねぇ。」



「メノーまで、

 (かっ)()(はなし)(すす)めないで。」



サーブラスは(あず)けるつもりでいたけれど、

イオスのことまでは(かんが)えていなかった。



(やかた)()て、(ひと)りで()らすんですか?」



「えぇ。そのつもりよ。」



()(もん)()かべたレナタが、ムネモスを()た。



(となり)()つムネモスは、

わたしの(かお)(のぞ)()る。



(ねえ)(さま)って、

 お(りょう)()はできました?」



「…(あじ)()ならできるわよ。」



スーが()っていた(いち)(ばん)(りょう)()っぽいことは、

サラシュを()(けい)(わら)わせるだけだった。



(ちゅう)(ぼう)()って(りょう)()をした(おぼ)えはない。



せいぜいパンを()()けたり、

(にわとり)()()きをやらされた(てい)()



一人(ひとり)()()(たく)もしませんのに?」



「…これからやっていくわよ。」



ムネモスの(しつ)(もん)(こた)えれば(こた)えるほど、

わたしの()(ふだ)(あば)かれ、(ほう)()される。



「ムネモスはこの(やかた)()るんですよね?


 …サンサと(いっ)(しょ)()くのかと

 (おも)いました。」



レナタの()(もん)にムネモスも(うなず)く。



「サンサ(ねえ)(さま)は、

 (なま)(もの)のお(ひめ)(さま)という

 ()(かく)がありませんねっ。」



「えっ…?」



ムネモスから、()(とう)(ちか)(しっ)(せき)()けた。



「サンサが(やかた)()ていくのは、

 (やかた)()(ごと)ができないのを、

 ()にされてのことですか?」



わたしはレナタほども(はたら)けない。



レナタがアイリアの(こう)(ぼう)()()(ぜん)から、

わたしは(やかた)()(ごと)がなにもできなかった。



「『()るものは()わず。』

 とは、いかないわねぇ。


 ()りたお(かね)(かえ)()ても()()に、

 お(かね)()すなんて(おろ)かな真似(まね)

 わたしはしないわよ。」



ルービィから(はな)たれた(せい)(ろん)に、

わたしは(しゅ)(こう)すらできない。



(かの)(じょ)はテーブルを(ゆび)(さき)()()いた。



「この(やかた)(もの)(だれ)であっても(かしこ)(つと)め、

 ()(ぶん)(かん)(けい)なく(はたら)かなければいけない。


 (よる)(やかた)はあなたのお(しろ)ではないからね。」



ルービィの(うご)きと(こと)()は、

サンスァラ(おう)(じょ)(おな)じでわたしは(おどろ)いた。



()(しゃ)でレナタから()いたわよ。」



ルービィの()める()(せん)はわたしではなく、

(となり)のムネモスとメノーに()かう。



「メノー、それにムネモス。


 ()けば二人(ふたり)(そろ)って、

 (ひと)()がりな(べん)(きょう)(かい)

 (ひら)いていたようね。」



(ちが)うわよ。


 (ひさ)しぶりにみんなの(まえ)()つから、

 ちょっと(たの)しくなったのよ。」



メノーの(べん)(きょう)(かい)(はなし)()れて、

わたしはよく(はなし)(ほう)(こう)(もど)していた。



(わたし)(ほん)(とお)りに(おし)えましたよ?」



メノーの(べん)(かい)()()され、

ムネモスは()(てい)してみせた。



「あなたが(おし)えた()()(けい)(さん)に、

 (ひと)つでも(こた)えられた()()たかしら。」



「うぅ…。その(とお)りですね…。


 いつもの(べん)(きょう)(かい)(ちが)って、

 (はん)(のう)(にぶ)いと(おも)いましたけど…。」



「サンサが()ないので、

 みんな(くび)(ひね)っていましたね。」



レナタが()った。



サラシュは(べん)(きょう)(かい)(こう)(けい)(おも)()すと、

(こえ)(おさ)えて(わら)(はじ)めた。



()(だん)から(たの)みごとなんてしませんから。


 ()(たい)(こた)えてやってみたんですよ。」



サラシュに()れられて(やかた)()(とき)に、

ムネモスが(はっ)(ぷん)してえくぼを()せた()(ゆう)



「ありがと、ムネモス。」



わたしはエリクの(むすめ)(かの)(じょ)を、

(きゃく)さんとして(たい)(せつ)(あつか)ってきた。



「わたしは(きん)()(ため)にこの(やかた)()るほど

 (おろ)かではないわ。」



――(やかた)()って(きん)()(あつ)める…。



ルービィが(くち)にした(こと)()は、

ユイガス(きん)()(はなし)だった。



()()(べん)(きょう)(おし)えて()(しき)(そな)えさせ、

その()(ごと)(たい)()(あん)(ぜん)(ほう)(しゅう)

(しん)(しょく)()られる()(しょ)(よる)(やかた)



()()()(ため)(しょう)(かん)()って、

(えん)(じょ)(きん)(あつ)めては(けい)(ちょう)(ぎゃく)(てん)する。



ルービィはわたしを(たか)(ひょう)()してくれた。



メノーの(しゅっ)(さん)()(だす)けしただけのわたしは

(くび)()って()(てい)する。



鍍金(めっき)のわたしに、

 (てん)(びん)(おもり)ほどの()()はないわ。」



()ってますよ。


 『(きん)()()()(はか)(ため)

  (てん)(びん)(おもり)()ぎない。』

 というやつですね、それ。」



ムネモスの(こと)()は、

(かの)(じょ)(ちち)のエリクの(こと)()だった。



(ひろ)った(ねこ)(きん)()よりも()()があるって、

 サンサ…ァラ(おう)(じょ)()ってましたよ。」



レナタから()えない(たと)えをされては、

わたしも()(なお)(よろこ)べはしない。



「あなたのことは、

 (はい)(すい)(こう)()ちた()(ねこ)みたい

 って()ってたわよねぇ。」



メノーがルービィの(うで)(なか)で、

(むずか)るミティスを()でて(なだ)める。



「まぁ、()(ねこ)だなんて…。

 (あつか)いが(だん)(だん)(わる)くなっていますね。」



ムネモスが(そっ)(ちょく)(かん)(そう)()べて

わたしを()たせいで、

サラシュが(わら)(ころ)げてしまった。



(はなし)()れたわねぇ。


 この二人(ふたり)(べん)(きょう)(かい)(まか)せると、

 フランジの(きょう)(いく)(おろそ)かになるのよ。


 あなたが(えら)んだ()()()てて

 (やかた)()るというのなら、

 (けい)(はく)(にん)(げん)()めはしないわよ。


 (わか)れの(こと)()(ひつ)(よう)()いわね。」



ハーフガンに(はな)った(こと)()

()(ぶん)にも(かえ)ってきた。



「お(かね)()して()しければ(きゅう)(きん)()すから、

 フランジがドレイプになる(ため)

 ここで1(ねん)(べん)(きょう)(おし)えなさい。」



(しん)(よう)(こう)(どう)からと()ってたものねぇ。」



「ムネモスもお(きゃく)さんではないのだから、

 (べん)(きょう)(かい)のやり(かた)(まな)びなさい。


 (むかし)はサンサもお(かね)(かせ)ぐのに、

 ()(てい)(きょう)()をやってたわよ。


 (べん)(きょう)(かい)はサンサから(たの)まれた

 あなたの()(ごと)でしょ。」



「でも、もうサンサは()ないわ。」



(おう)(じょ)()められなかったわたしには、

ルービィの(てい)(あん)

(けい)(けい)には()()れられない。



「ふふっ。

 サンサなら()ますよ。」



サラシュは()()(かん)(じょう)(こら)え、

(ふる)える()でわたしに(ゆび)(さき)()ける。



(よる)(やかた)の、

 (だれ)にも()うことのできないドレイプ。


 これはニクスのことでもありますね。


 サンサという()のドレイプは、

 サンスァラ叔母(おば)(つく)()げた(きょう)(ぞう)


 ()()(ひょう)(めん)(そう)(しょく)()ぎませんもの。」



「サラシュ、あなたまで…。」



(かの)(じょ)はわたしからタオルを(うば)うと、

(みぎ)()()って(かお)(ちか)()ける。



「わたしが(だん)(げん)するわ。


 あなたが()なければ、

 (よる)(やかた)(かがや)きを(うしな)ってしまう。


 それにあなたは、

 この(やかた)()(がい)での(みが)(かた)

 (そう)(ぞう)できていませんね。」



サラシュとのあいだにレナタが(はい)って、

わたしの(うで)()んできた。



「ニクスがサンサを()()るのなら、

 これからはわたしが

 ニクスを()()りますっ。


 いいでしょ? ねっ?」



「なんで?」その(はっ)(そう)にわたしは(おどろ)いた。



「だってニクスって、

 (よる)(やかた)()()った()(まえ)なんですよ。」



「わたしも(よる)()(がみ)()(まえ)

 (ねら)ってましたよ。」



「ムネモスはムネモスで()()(まえ)よ。

 それにエルテルの()(じょう)もあるのよ。


 わたしも()(まえ)(かた)るのなら

 ニクスが()いわね。


 ニースより()()っているもの。」



サラシュがムネモスを(なぐさ)めてから

(かの)(じょ)(しゅ)(ちょう)(はじ)めた。



「ニクスを(めぐ)って、

 ()(まえ)(うば)()いが(はじ)まったわねぇ。」



「わたしはもう(かい)(めい)する(ぜん)(てい)なの?


 わたしの()(けん)は?」



「ちょっと(しず)かにしなさい。


 ミティスが()きるわよ。」



ルービィはわたし(たち)(しか)りつつも、

ミティスを()いているせいで、

(いか)りの(かん)(じょう)()かないらしい。



ミティスを()(たび)に、

ルービィの(くち)(もと)(ゆる)んでいる。



「ルービィ、もう(はい)ってもいい?」



()って(とびら)から(かお)(のぞ)かせたのは、

(ばん)部屋(べや)のドレイプ、(くろ)(かみ)のセセラ。



挿絵(By みてみん)



「えぇ。どうしたの? セセラ。」



「ほら、(はや)くなさいっ。」



()ばれたのは、

ミニとアミに()(なか)()された

ファウナだった。



挿絵(By みてみん)



ファウナは()(けん)(ちから)()れて、

セセラとわたしを()ている。



(かの)(じょ)はわたしが(やかた)()()(ぜん)は、

セセラから(にん)(しょう)(かん)()()(ごと)(まな)んだ。



()(しき)(りょう)(すい)(せん)()たファウナでも、

セセラの(まえ)では()(だん)のように

()(ぶん)()せずに()()げる。



ファウナはわたしの(かばん)

(りょう)()()っていた。



「ニクス…ではなかったわね。ふふっ。


 サンサのでしょ、これ。


 あなたが(もど)ってきたから、

 (よく)(じょう)でファウナが(はしゃ)いでたのよ。」



セセラが(からか)って、

ファウナが()(まん)(つぶや)く。



「あのさぁ、(わたし)()()(はい)ろうとしたら、

 (よく)(じょう)()きっ(ぱな)しだったから、

 部屋(へや)()こうとしただけでぇ…。」



(わす)れてたわ。

 ありがと、ファウナ、セセラ。


 ミニとアミもね。」



「ほぁーい!」



()()()べながらの

(たる)んだ(へん)()(べつ)にして、

(ふた)()(こと)なる(こえ)(そろ)うと心地(ここち)()い。



わたしは(かばん)(なか)から

サンスァラ(おう)(じょ)から(あず)かった()(がみ)と、()(しん)(よう)(たん)(けん)をテーブルに()く。



()(かさ)ねた(よう)()()()(がみ)にはまだ、

(ゆび)()(ふう)(ろう)がされたままになっている。



(たん)(けん)使(つか)えないので(かばん)(もど)す。



「この()(がみ)はサンスァラ(おう)(じょ)から、

 ルービィにって。


 スーの(わす)(もの)だそうよ。」



それと(ふくろ)()れていた

(ゆび)()()()した。



「マルフ(そう)(とく)(やかた)

 ()いていたものですね。


 そちらの(ゆび)()も?」



(かの)(じょ)から(あず)かったのよ。


 ()きに使(つか)いなさいって。」



サラシュよりレナタが(きょう)()(しめ)した。



二人(ふたり)(ゆび)()()()しても、

(かお)()()わせて()()ってはくれない。



サラシュがルービィに

部屋(へや)にあったペーパーナイフを(わた)し、

メノーがミティスを()いた。



(たん)(けん)(ひつ)(よう)なかったので(かばん)(もど)す。



「なにが()いてありましたか?」



「これ、()(がみ)ではなくて(げき)(じょう)(けん)()(しょ)ね。


 あなたに(すべ)()()けたのよ、

 あの()。」



ルービィは(ひら)いた1(まい)から、

(けん)()(しょ)をわたしに()けた。



レナタがわたしの()(なか)()れる。



「あぁ…、

 ()らないって()ったのに。


 …サンサってば、ダメね。」



(けん)()(しょ)()ても()()(ゆが)み、(かす)み、

(なみだ)(こぼ)れて(ほお)(なが)れる。



わたしはベッドに()()かって(ひざまず)いた。



「ダメね…。」



あのひとが()なくなった()(じつ)

いまも()()れられず、

わたしは()えられなかった。



みんなの(まえ)でタオルで(かお)(おお)うわたしに、

レナタが(ちい)さな身体(からだ)(おお)()きしめた。



(ほそ)(やわ)らかな身体(からだ)と、

(あたた)かく(あま)(かお)りに(つつ)まれると、

わたしは()(けい)(なみだ)してしまう。



()(おう)してミティスが()き、

(たい)(せつ)なものを(うしな)った(ふか)(かな)しみを――、

(ちい)さな(せい)(めい)の、(ちから)(づよ)(さけ)びが(つつ)んでくれた。




 ◆ (だい)11(しょう) 『(てん)(びん)(たから)』 おわり

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