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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第11章 天秤の貨(後)

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第11章 第5節 理外の柱(第2項)

(かん)()(しゃ)()(ざい)になった(きん)(そく)()



サンスァラ(おう)(じょ)という

(あん)(ない)(にん)(うしな)った(とう)()(しゃ)(たち)は、

()げた()(えい)(へい)()(たち)()めはしない。



(だれ)()(はじ)めたわけでもなく、

(とう)()(しゃ)(たち)()(ごん)(れっ)(ちゅう)()()ける。



()(かい)(こば)(じょう)(きょう)()()し、(きん)(そく)()()る。



それはまるで(かん)()(しゃ)やサンスァラ(おう)(じょ)など

(はじ)めからこの()()なかったかのように、

(きり)()せた(まぼろし)のように(あつか)われる。



(おう)(じょ)(ちち)のあのオルデウスでさえ、

(あわ)となって()えた(むすめ)(あと)()(なか)()け、

なにも()わずに(きん)(そく)()()っていった。



()(たい)()く、(とむら)われることのない(おう)(じょ)



(きん)(そく)()には、なにもなかった。



(きん)(そく)()()いた(よろこ)びも、()(たい)(しつ)(ぼう)も、

(かな)しみの(かん)(じょう)(うしな)われている。



(かん)()(しゃ)によって(じょう)(はつ)した、

(ゆき)(あと)だけが(のこ)った。



それも()(はじ)めた(ゆき)()もれ、

(はる)になれば()けて()えてしまう。



わたしは()るひと(たち)()ながら、

一人(ひとり)(かんが)えを(めぐ)らせていた。



(だれ)()なくなった(ころ)に、

(むな)(もと)()いたイオスを()た。



――()(せつ)(けん)(しょう)できるわ。



()てっ! (はや)まるな!」



(れっ)(ちゅう)()かって()()すと、

わたしはまたこの(おとこ)(かた)(つか)まれた。



「なに(かんが)えてんだっ!」



()()わない(ひげ)(おとこ)(しろ)(いき)()く。



「…ちゃんと(かんが)えてるわよ。

 (いた)いからこの()(はな)して。


 (かえ)るんでしょう?」



(かた)(うご)かしてハーフガンの()()けさせた。



(もど)るなら()れ。

 ()()れる。」



ハーフガンは(げん)(かん)()(そり)(よう)()し、

わたしが(きん)(そく)()から(はな)れるのを()っていた。



「どうしたの? これ。」



「ゴミ()(よう)()したんだよ。」



(かれ)にも(しん)(ぱい)をかけたのね。


 あぁ、それにお(なか)()いたわね。

 (ひと)()ず、(もど)りましょうか。」



わたしのお(なか)()わって、

(むな)(もと)でイオスが(ふと)()く。



(ひだり)()には(おう)(じょ)(たん)(けん)(みぎ)()には(ゆび)()



(にぎ)った()(つめ)たくなり、

(かん)(かく)()くなっていた。



(おう)(じょ)から(あず)かった(きん)(ぎん)(ゆび)()には、

カヴァの(てい)(てつ)(きざ)まれている。



挿絵(By みてみん)



(めい)(わく)なやつだ。」



ハーフガンが()(じょう)()いた。



わたしのことを

()()して()ったのかと(おも)った。



(なが)いあいだ(きん)(そく)()(のこ)って()たせいで、

エルテル(りょう)から()()()(さむ)さに(ふる)える。



わたしはネルタの()まれのせいか、

(さむ)さに()える(けい)(けん)(なん)()もしている。



(そり)には(おも)たいだけの(たん)(けん)()き、

イオスを()いたまま(しゃ)(めん)沿()って(ある)いた。



(そり)(うえ)でなにもしないのも(おな)じく退(たい)(くつ)で、

(ある)かなければ()(めぐ)りが(わる)くて

身体(からだ)()えてしまう。



(げん)(かん)()(そり)(おも)さと

(けい)(しゃ)(あし)()られながら、

ハーフガンに()れられて(しん)(ちょう)(すす)む。



(おれ)(たち)(あん)(ない)したと(おも)えば(ほう)()して、

 また(かっ)()にどっかに()きやがった。」



(かれ)(こと)()から()になる(たん)()があった。



「…また?」



「あぁ、まただ。

 エルテルの(とき)もだ。」



「あなたはエリク(きょう)から、

 サンサの(かん)()(めい)じられてたのよね。」



(おう)(じょ)とハーフガンの()()について、

わたしはなにも()らない。



(かの)(じょ)がエルテル(りょう)(はい)ったのは15(ねん)ほど(まえ)



「あの(ころ)(おれ)(ひど)いもんだが…、

 あいつはそれ()(じょう)(ひど)かった。


 (おれ)(だま)って(りょう)(ない)(がい)()わず、

 (かっ)()にどっかに()きやがる。」



「あなたが()(ある)いて

 ()(ぱら)っていたのが(げん)(いん)よね。」



ハーフガンは(げん)(かん)()()(づな)()きながら、

(かっ)(こう)のつかない()()(おも)(かえ)して

(こと)()()む。



「どうしたもんか…。」



しばらくしてまた(かれ)(なや)(つぶや)く。



「あなたはエルテルに(かえ)るつもり?」



()からん。

 タルヴォの(かんが)()(だい)だ。」



()()のハーフガンはエリクに(めい)じられ、

(よう)()になったサンサの()(えい)()ねた

(かん)()をしていた。



いまは(かれ)には(めい)じたエリクも、

()(えい)(たい)(しょう)のサンサも()ない。



ハーフガンも()(つう)(うしな)っている。



「わたしはあなたが

 どうしたいかを()いてるのよ。」



(おれ)は、あいつに()(ども)(まも)れと()われた。」



(おう)(じょ)(なん)()()われ、

ハーフガンはそれを(ちゅう)(じつ)(まも)り、

(かの)(じょ)()めずにわたしの(かた)(つか)んだ。



「その()(ども)って…、

 フランジの()(えい)にでもなりたいの?」



「いや、ないが…。」



(かれ)(こと)()()りず、(かい)()(つづ)かない。



()(じゅ)(えん)でクァンを()っていたレナタが、

わたしに()つかった(とき)姿(すがた)(おも)()した。



(そり)(しゃ)(めん)()(かえ)し、

()(すべ)ったハーフガンが(たお)れそうになる。



(やかた)(げん)(かん)()って()ていたハーフガンが、

わたしを(べつ)()(まえ)()んだ(とき)があった。



「アースラとヒルドってあなたの()(ども)?」



二人(ふたり)()(まえ)()すと、

(かれ)(あし)()めてわたしを(にら)む。



(きゅう)()められた(げん)(かん)()(おどろ)(いなな)く。



「ここは()(かげ)(にわ)ではないもの、

 お(きゃく)さん(あつか)いはしないわよ。」



サンスァラ(おう)(じょ)は、

(かれ)のことはなにも(しゃべ)りはしなかった。



わたしは二人(ふたり)のことを()らないので、

(さき)(ある)くハーフガンの(せつ)(めい)()つ。



「…いや、(ちが)う。

 アースラは(おれ)(こん)(いん)(しゃ)だ。


 ヒルドは(おれ)(たち)()(ども)になる。」



それを()かされたわたしは、

なにも()わずに(だま)った。



(かれ)(ちん)(もく)(たま)()ね、(はなし)(つづ)ける。



「アースラは(きん)(あか)(いろ)(うつく)しい(かみ)をした

 (りょう)()(むすめ)でな。


 ()まれたヒルドも(あか)(かみ)だ。


 (おれ)(ちち)(おや)()(めい)(しば)られた(ふる)(おとこ)で、

 (おんな)()まれたことを(ざん)(ねん)がったが

 (おれ)には(ほう)(せき)にも()えた。」



「あなたにとっての、お(ひめ)(さま)ね。」



「あぁ。(たし)かに、そうだった。」



その(ひと)(こと)

わたしは(ふたた)(くち)()ざした。



――もう()んでるのね。



それが(かれ)(そこ)()れない(かん)(じょう)(しょう)(たい)だった。



「メルセ(びょう)でな。


 二人(ふたり)()んで2(ねん)()

 あいつが()て、しばらくするとエリク…

 (りょう)(しゅ)二人(ふたり)()(ども)()()た。


 (りょう)(しゅ)(せき)(とう)()ててくれはしたが、

 (おれ)()()れられずに(さけ)()(つづ)けた。」



()()()れなさい。』



ハーフガンがウントと(けん)()をしていた(とき)に、

(おう)(じょ)二人(ふたり)をこの(こと)()(しっ)(せき)していた。



オーブ(せん)(せん)(だい)(りょう)(しゅ)、グレイ(ろう)(こと)()で、

(おう)(じょ)(はつ)(めい)(きょう)(はん)(しゃ)



「…お(まえ)()(とき)

 (わる)(ゆめ)から()()めた()(ぶん)だった。」



「あなたが()(ぱら)ってたから、

 (きたな)(あか)(がみ)のわたしを()()(ちが)えたのね。


 (かっ)()二人(ふたり)(かさ)ねられて、

 ()われるわたしの()にもなりなさいよ。


 わたしにとってはその(ほう)(あく)()よ。」



「…(わる)かったな。」



(かれ)はあの()()(ぶん)()じて詫びる。



()(ぜん)(かれ)()(かげ)(にわ)()()されて、

わたしと(しい)()(ふだ)(あそ)びをさせられた。



サンスァラ(おう)(じょ)はハーフガンに(たい)し、

()(ぞく)(ふう)(さい)のあるわたしを(えさ)にして

(かれ)()()げた。



(ふか)()(いき)(しろ)く、()(かい)(ひろ)がって()える。



「そんな()(ぱら)いだったから、

 ハーフガン(しょう)(ぐん)()(まえ)()()ってるの?


 ソーマは。」



「ソーマは(おや)(かっ)()()けた()(まえ)だ。


 ()った(おれ)(からか)って、

 あいつがハーフガンと(うた)った。」



「ハーフガンって()(まえ)(けな)されても、

 ()()ってるのね。」



「はっ? まさか…。」



(こう)(かく)()げた(かれ)(おも)わぬ(かん)(じょう)()()て、

(くち)(もと)()(かく)して(こん)(わく)している。



()(どう)(しゃ)ソーマの(とう)(じょう)より(まえ)()(だい)に、

(れき)()(かた)られるハーフガン(しょう)(ぐん)



メーニェ(とう)(かい)(せん)

ソーンの(かん)(たい)(しず)めた(しょう)(ぐん)も、

(たい)(せつ)(たから)(うしな)っている。



――偏屈(クランク)で、()()(わる)ね。



(きん)(そく)()()かって(ちょく)(せん)(じょう)(ある)いた(おう)(じょ)の、

(ちい)さな(そく)(せき)(ほか)(そく)(せき)(つぶ)され、

(こな)()(とう)のように()(しき)(ゆき)(かく)されていく。



『あなたが(もと)める(そく)(せき)なんてものは、

 いつかは(かなら)()えてしまうものよ。』



――エリクに()った(おう)(じょ)(こと)()(とお)りだわ。



「あいつはどうなった?」



(かれ)(しつ)(もん)にはすぐには(こた)えられなくても、

(かれ)(もん)(だい)であれば(かい)(けつ)はできる。



「ハーフガンがエルテルに(かえ)らず、

 サンスァラ(おう)(じょ)、サンサの()いつけを

 (まも)(ため)に――。」



(かれ)()(まん)(ひょう)(じょう)(あら)わにするので、

わたしは()(かた)をさらに(あらた)める。



「…(かの)(じょ)(かえ)りを()(ため)に、

 (やかた)にずっと()たいって()うのなら

 (やかた)(のこ)ることはできるわ。」



(べつ)に、そんなわけじゃねえがぁ。」



(かれ)()(ぶん)(かん)(じょう)()(かく)できていない。



「エルテルの(げん)(りょう)(しゅ)のタルヴォ(きょう)も、

 なにを(かんが)えてるか()かり(にく)いのよね。


 ムネモスの、エリク(きょう)(むすめ)(どう)(こう)

 (さぐ)っておきたいでしょうし、

 (かの)(じょ)()(ども)(つく)ったりすれば

 なにかしらの(たい)(しょ)(ひつ)(よう)だものね。」



「まだ()(ども)だぞ。


 ()める(よわい)でもねえだろ。」



「そんな身体(からだ)でもあるのよ。」



(おんな)のわたしに()われて(かれ)(だま)る。



「ハーフガンの()(まえ)()()ってるのなら、

 ()()(かた)()きは(へん)(じょう)しないことね。」



「は? なんでだ?」



「あなたが()()だからこそ、

 ムネモスの(どう)(こう)()るのに

 エルテルにとって(この)ましいからよ。


 (ぎゃく)もまた()えるわね。」



()()()(ぶん)()(よう)して、

 (りょう)()(どう)(こう)(さぐ)れというのか。」



(せい)(とう)(けん)()(こう)使()するだけよ。


 ()()(かん)じる(ひつ)(よう)はないわ。


 エリク(きょう)()()

 あなたの()(ぶん)(はく)(だつ)したり、

 ()(えい)(かい)(にん)しなかったでしょう。」



(ゆい)(ごん)ではあった――。


 エリクの()(そん)(ちょう)してのことだろ。」



(げん)(かん)()()きながら

()()(きょう)()(さまた)げになり、

まだなにか(ためら)っている。



「それだけで(きん)(こう)(たも)たれるのよ。


 あなたが()()なんて(かた)()きを(うしな)ったら、

 (やかた)()(こう)(じつ)さえ()くなってしまうのよ。


 それともエリク(きょう)(むすめ)だからって、

 ムネモスを()()てるつもり?


 (けい)(はく)()()(さま)ね。


 (のぞ)(どお)()()()(ぶん)(へん)(じょう)して

 エルテルに(かえ)ったら、

 ベリー()(じん)(せき)(とう)のエリク(きょう)

 アースラやヒルドにどんな()(わけ)

 (なら)べるつもりかしら。」



「ぐっ…。お(まえ)っ…。」



ハーフガンがまたいつものように

わたしを(にら)む。



()(ども)(まも)りなさい、ね。」



(おう)(じょ)(さい)()(のこ)した(こと)()

わたしは(かれ)()(かえ)した。




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