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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第11章 天秤の貨(前)

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第11章 第3節 抱擁の刑(第4項)

()(しゃ)(きゅう)()(みょう)()まり(かた)をした。



(しゃ)(がい)(さわ)がしくなり、

わたしはガラス(まど)(ひたい)をつけて

(そと)(よう)()(なが)める。



(しゅう)()(うす)(ぐら)(どろ)(ぬま)()で、(きり)()ている。



どこかで(いぬ)(とお)()えし、

()(おう)しあっていた。



()えて(なか)()()び、(たが)いの()()(かく)(にん)する。



ハーフガンが(まど)(ぎわ)のわたしを()(おどろ)き、

わたしも(かれ)()()って(おどろ)いた。



「ひぇっ…。


 …()(しゃ)はどうしたの?

 ハーフガン。」



()(けん)()(うま)(おび)えてる。


 (おれ)(まえ)()るから(けい)(かい)しておけ。」



()かったわ。」



()(なか)()(おく)ってから(とびら)()めると、

サンスァラ(おう)(じょ)(ふる)え、

クッションを()にしたまま(こう)(ちょく)している。



(いぬ)()るって。」



()こえてたわよ…。


 もうネルタに(はい)ったのね。」



「ここがネルタ?」



わたしは(まど)(そと)()た。



(しゅう)()にはなにもなく、()れた(どろ)(ぬま)()



「ここが(みずうみ)(ほく)(たん)

 ナルキア(ぞく)(あと)()よ。」



(おう)(じょ)(こえ)(ふる)わせて()った。



()(しゃ)(うご)()したものの(にち)(ぼつ)(ちか)く、

マルフの(へい)()(たち)()(えい)(じゅん)()(はい)った。



マリオンもお()()かし、

わたし(たち)(しょく)()(よう)()をしてくれる。



(とう)西(ざい)(さん)(みゃく)(かこ)まれたネルタは、

(ぶん)(すい)(がい)(くら)べて(にっ)(しょう)()(かん)(みじか)い。



()(けん)やそれを(したが)える(とう)(ぞく)(けい)(かい)して、

ハーフガンが()(えい)(たち)()()りに()った。



(よる)になると(たて)(もの)()()()では、

(すい)(ちょう)()(ごえ)()(おと)がよく(ひび)く。



()(おん)()がって、(かぜ)がテントを()らした。



カヴァが(てい)()する(てん)(まく)とは(ちが)い、

テントは()って(ある)けるほど(ひろ)くはない。



(なか)には()(めん)(ゆか)(ざい)になる()(じゅう)(たん)()き、

()(がわ)(もう)()(かさ)ねてクッションの(うえ)(すわ)る。



カヴァの(ぐん)使(つか)われていた

()()てられる()()()()しくなる。



わたしとイオスとサンスァラ(おう)(じょ)は、

(かぜ)()れるテントの(なか)

(はや)めに()(ぞん)(しょく)だけの(ゆう)(しょく)()えた。



イオスの(しょく)()(しょく)(ざい)(みず)(ひた)して、

(えん)(ぶん)()いてから(よう)()する。



わたし(たち)(しお)()(にく)()った(まめ)と、

(かた)いパンを(うす)()って()く。



(あたた)めた山羊(やぎ)のお(ちち)(にく)(まめ)

パンと(こう)(そう)()れて(かん)(せい)する。



わたし(たち)(にく)(しお)()きが(わす)れられて(えん)()(つよ)く、

()げた(まめ)のせいで(こう)(ない)(にが)()()(はい)される。



(しょく)(よく)(そそ)らない(かゆ)は、

(しょっ)(かん)(たん)調(ちょう)()(なが)()むだけ。



()もお(なか)()たされかった。



ランタンの灯火(ともしび)(なか)()(みが)きながら、

(たび)()(かた)(かんが)えさせられた。



(おう)(じょ)(たい)調(ちょう)(すぐ)れないらしく、

(すわ)ってイオスを()でて(しず)かにしている。



(てん)(がい)(さん)(ふもと)(ちか)()くにつれ、

(くう)()(うす)くなって(たい)調(ちょう)(くず)しやすくなる。



マリオンは(せま)いテントよりも

()(しゃ)(ねむ)るのを(のぞ)んだので、

マルフもそれを(きょ)()した。



(かの)(じょ)には(おとり)(やく)(わり)もあった。



「わたしを()れてきたのは

 ネルタを()せたかったから?」



「あなたが()りたがっていたのよ。

 ニクス(おう)(じょ)。」



「わたしは(おう)(じょ)(さま)ではないよ。」



「あなたは(ぶん)(すい)(がい)()てから、

 ずっと(ぼう)(へき)()こうを()ていたでしょ?」



たしかにわたしは(てん)(がい)(さん)をよく()ていた。



「…ありがとう。」



わたしは()(ぼく)(くち)から()して

(あたま)()げてから、(あらた)めて(れい)()った。



――()るものは()わず。

  それを()ったのは(おう)(じょ)なのにね。



「お(れい)()うのは()(ちが)ってるわ。


 (せん)(そう)でこの(けつ)(まつ)(のぞ)んだのはわたしよ。


 (ぶん)(すい)(がい)との(だん)(ぜつ)から20(ねん)()かって、

 (くに)とも(まち)とも()べるものも

 ()くなったわね。


 (ゆき)がもっと()()もれば()かったけれど、

 あなたには(かく)しきれないものね。」



サンスァラ(おう)(じょ)(つめ)たく()(はな)つ。



「あなたの(ちち)、ケイロウに()われて

 オーブに()(かく)した。」



わたしは(だま)ったまま、

(くび)(たて)()ってみせる。



20(ねん)(まえ)(むかし)(ふく)(すう)(みん)(ぞく)によって

(けん)(こく)されたネルタで(たい)(りつ)()きた。



サンスァラ(おう)(じょ)はその(けん)(かか)わり、

100(にん)もの(ぞく)(ころ)した(じょ)(けつ)

オーブ(りょう)(うわさ)されていた。



(おう)(じょ)(しっ)(そう)はネルタとカヴァの(せん)(そう)(まね)き、

(せん)(そう)(まっ)()にはわたしは(とう)()()されて

()()での()らしを()いられた。



「ルービィの(しょう)(かん)は、

 わたしにとって()()(なん)(じょ)になったわ。」



「その(とき)にはもう

 ネルタの()(すえ)()えてたのね。」



()ったでしょう?


 ()(にん)(かんが)え、(ぐん)(しゅう)(こう)(どう)

 (だれ)にも()かるはずはないわ。


 ケイロウは、わたしの(そう)(てい)から(はず)れて、

 ()(ふだ)(うしな)って(もっと)(わる)(せん)(たく)()ったわ。」



(しま)()(はい)ね。」



サンスァラ(おう)(じょ)(うなず)き、なおも(つづ)ける。



(やま)(かこ)われた(てい)(てつ)のカヴァと(おな)じね。


 この(しま)(きん)(そく)()()()するネルタに、

 できることは()いでしょう。


 (よわ)さを()(かい)して()(りょく)(こう)使()する。


 (みずうみ)という(すい)(げん)(うば)って(けん)()()う。


 (せい)(ぞん)(けん)()(ため)(いのち)(うば)()うのは、

 (すべ)(あい)(はん)しているわよね。


 (みん)(しゅう)(いのち)(だい)(しょう)にして、

 かれらは(がく)(しゅう)するはずだった。」



(しん)(こう)(こう)(しょう)(さい)(しゅう)(しゅ)(だん)。』



スーが()っていたことに(つな)がる



(りゃく)(だつ)(なん)(みん)()(そう)した(しゅう)(げき)で、

 (みん)(しゅう)にまで()(がい)()したわ。


 オーブに(かく)れて(ふく)(しゅう)(のぞ)んだわたしは、

 (ひろ)く、(ふか)くなんて(かんが)えてはいなかった。


 ケイロウが()に、

 ネルタという(くに)(ほろ)んだ。


 (みずうみ)(しゅう)(へん)()らしていた(みん)(しゅう)住処(すみか)(うしな)い、

 わたしはあなたから(へい)(おん)(うば)ったのよ。」



サンスァラ(おう)(じょ)は、

(かわ)(せい)(おび)(ひも)()いた(たん)(けん)(さや)から()く。



――(かの)(じょ)(うそ)をついている。



あの()(あさ)のように

サンスァラ(おう)(じょ)()(さき)(つま)み、

わたしには(けん)()()けて()()した。



「あなたは()(ちが)ってる。」



わたしが(はな)った()(てい)(こと)()()()めて、

(おう)(じょ)(だま)って(うなず)く。



ランタンの灯火(ともしび)()らされた(ぎん)(ひとみ)

わたしを()る。



「サンスァラ(おう)(じょ)はまだわたしのことを、

 ネルタのお(じょう)(さま)(おも)ってるのかしら?」



()(ぎゃく)(こと)()に、()()げる(わら)いを(こら)えた。



(ひと)(じち)()わりでしかないカヴァの()(むすめ)

 (ぶん)(すい)(がい)()()びてたからって、

 鍍金(めっき)(おう)(こう)()(おう)じたりしないわ。


 お(ひめ)(さま)(みぎ)(うで)(うしな)っても

 (ちから)()いって()(かく)してないのよ。


 (せん)(そう)()わらせられるなんて

 (おも)()がりも(はなは)だしいわね。


 (ぐん)(しゅう)(こう)(どう)(だれ)にも()からない、

 って()(ぶん)()ってたのにね。


 それともまだ(いぬ)(けしか)ける

 (ぼく)(しゃ)(さま)のつもりで()るのかしら。


 (けつ)(ろん)ありきの(はなし)は、

 (がん)(ぼう)(そう)(さく)()うのよ。」



(うで)()んで(みぎ)(うで)(いた)みに()えながら、

(あご)()()して(おう)(じょ)()(はな)った。



わたしの(げん)(どう)(かの)(じょ)(あたま)()げると、

(ほそ)(かた)()(きざ)みに()らして(わら)()す。



(ぎん)(かみ)(かお)(はん)(ぶん)(かく)してしまう。



「ふふっ…。

 あなたの()(とお)りだわ。


 わたしは()(ぶん)(おも)っているほど

 (かしこ)くはないし、(かた)()でできることは

 (かぎ)られてるわ。


 (だい)(しょう)に、()(ぶん)()(あら)えないものね。」



サンスァラ(おう)(じょ)(けっ)(かん)した()(ぶん)()(ちょう)する。



「もう。

 やっぱり()かってない。


 できないことなら

 できるひとに(たよ)れば()いのよ。


 ()(にん)(たよ)るのは(とく)()なのよね?


 あなたは()(ぶん)(おも)ってるほど

 大人(おとな)ではないのね。


 (がい)(けん)(そう)(おう)()えるのかしら。」



ここまで()(ほう)(だい)()われても、

なにも()(かえ)さない(おう)(じょ)にわたしは(つづ)けた。



(くに)(ほろ)ぼされた(けっ)()

 ()んでた()()()()され、

 (おう)(じょ)(おり)(なか)()んだわ。


 (へい)(おん)(うば)ったって()ってたけれど、

 ()()(とう)(ひと)りだった(らく)(いん)のわたしに、

 ()(つう)なんてものは(さい)(しょ)から()かったのよ。


 ふふっ。

 これがいまのわたし。


 (わら)ってしまうくらい()(つう)よね。


 わたし(たち)(りょう)()(おさ)まらないくらい、

 (いろ)(いろ)なものをあなたから(もら)ったのよ。」



(いた)(みぎ)()でも(かま)わず(りょう)()(ひろ)げ、

()(まえ)()()()てて()せる。



(だれ)にも()うことのできないドレイプが、

 わたしに()()けてくれたからね。


 これはあなたから、

 わたしが(もら)った()(つう)よ。


 (あやま)って(そん)したでしょ。」



「それって…

 ()(てい)されてばかりだわ。」



(おう)(じょ)(こま)(がお)()せた。



「カヴァにはこんな(ことわざ)があるのよね。」



わたしは(ひく)(こえ)で、(せき)(ばら)いを真似(まね)してみる。



()(にん)(まえ)(がみ)()にしない、ってね。」



わたしは(かの)(じょ)(かお)()かる、

(なが)(ぎん)(まえ)(がみ)()()ける。



サンスァラ(おう)(じょ)(した)(くちびる)()み、

それから(こえ)(ふる)わせて()った。



「…ごめんなさい。」



――これが(つぐな)いだったのね。



(つぐな)い、(ゆる)しを(もと)めた(おう)(じょ)に、

わたしは(くび)(よこ)()って(こば)む。



(ちが)うわ。

 (だれ)かに(たよ)った(とき)は、

 ありがとうって()うのよ。


 スーが()ってたでしょ?」



「スーってば…。

 ありがとう、ニクス。」



(なみだ)()らした(ぎん)()(ほそ)めて、

(やわ)らかく()(しょう)する。



「あははっ、イオスッ!

 イオス? ()いてた?


 (おう)(じょ)がありがとうだって!」



わたしは()()(かん)(じょう)(こら)えられず、

(おう)(じょ)(ひざ)()ているイオスに

()()んで()こした。



(とう)(ぜん)、これにも(こう)()(うな)(ごえ)(はな)った。



(さむ)(せま)いテントの(なか)

わたし(たち)(おな)(もう)()(つつ)まれながら、

ランタンの灯火(ともしび)()えても(ねむ)たくなるまで、

(たび)(しょく)()(やかた)(りょう)()やお()()(はなし)をした。



(かの)(じょ)(あま)(かお)りと、

(あたた)かく(やわ)らかな(うで)(つつ)まれて

わたしは(ねむ)った。




 ◆ (だい)11(しょう) 『(てん)(びん)(たから)』 つづく

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