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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第11章 天秤の貨(前)

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第11章 第3節 抱擁の刑(第1項)

挿絵(By みてみん)



マルフの(てい)(たく)()くと、

(だい)もの()(しゃ)()まっていた。



(だい)()()(しゃ)には(にく)(たい)(ろう)(どう)(しゃ)が、

(たい)(りょう)(ほし)(くさ)(かめ)などの

()(もつ)(うん)(ぱん)(おこな)っている。



(やかた)(あるじ)であるマルフが

(いそが)しく()()()していた。



挿絵(By みてみん)



わたし(たち)使()(よう)(にん)のマーリャに(あん)(ない)され、

(おく)まった(しょ)(しつ)(はい)った。



挿絵(By みてみん)



「あら、イオスまで()たのね。」



サンスァラ(おう)(じょ)()()けられたイオスが、

わたしの(うで)(なか)でミャオと()いた。



挿絵(By みてみん)



(おう)(じょ)(やかた)(あるじ)のように(すわ)っていた。



()かした(ろう)()(がみ)()らし、

(つま)んだ(ゆび)()()()けて(ふう)(ろう)(つく)る。



()()みにした(にび)(いろ)(ちょう)(はつ)()(なか)(はら)う。



(おう)(じょ)はもう()(かげ)(にわ)(たたず)

(くろ)(かみ)のサンサではない。



「サンスァラ(おう)(じょ)(さま)は、

 ずっとこんな()(しょ)でなにしてるの?」



「なにってお()(ごと)よ。


 それはもう(まい)(にち)(たい)(へん)だったのよ。」



(そと)はマルフが()(しゃ)()(もつ)()ませて

 (よう)()をしていましたよ。」



と、サラシュが()げた。



「ありがと。


 サラも(いっ)(しょ)()()になったのかしら。」



(なが)(たび)はわたしの(しょう)(ぶん)()いません。


 わたしは()きませんが、

 こちらのサンサが()きますよ。」



「え? サラシュは()かないの?


 だって()(さき)はカヴァでしょ?」



「サラってば()ってないの?」



()かう(さき)()っている(たび)なんて

 退(たい)(くつ)ですからね。」



(こう)(かく)()げたサラシュに

サンスァラ(おう)(じょ)(わら)う。



「どこに()れて()くつもりなの?」



「これから(きん)(そく)()()くのよ。


 ネルタを(けい)()してね。」



(かの)(じょ)(ゆび)()(だい)()して()(てい)し、

ブラシで(そう)()(はじ)める。



(あたま)(なか)(せい)()がつかない。



サラシュは(となり)()(いき)()いた。



――ネルタに? これから?



「はい。これ。」



サンスァラ(おう)(じょ)は、

(さき)(ほど)(ふう)(ろう)()じた()(がみ)をわたしに()ける。



「…この()(がみ)、どうするの?」



「これはスーに(かえ)そうとしたら、

 あの()()()らなかったのよ。


 ルービィに(わた)(たい)(せつ)(しょ)(るい)なの。


 あなたが(あず)かっておいて。」



(いろ)(いろ)()いたいことはあったのに、

スーの()(まえ)()てきたので(こと)()()んで、

()(がみ)(かばん)(すき)()から(おく)()れた。



「わたしの(そう)(ぞう)していた

 サンスァラ(おう)(じょ)(ちが)って、

 叔母(おば)()(かい)(かた)ですね。」



サラシュは部屋(へや)()()(おな)姿()(せい)(すわ)って、

わたしに(どう)()(もと)めてくる。



サンスァラ(おう)(じょ)(さき)()()(とな)える



「『(けん)(しん)(おう)(じょ)』なんて()んで、

 あなた(たち)はどんな(にん)(しき)をしているの?」



「サンスァラ(おう)(じょ)()(くに)()(がみ)です。」



サラシュは(りょう)()()()わせて(にぎ)り、

(てん)(じょう)(なが)め、(いの)りの姿()(せい)をとる。



()めなさい。


 わたしを(からか)ってるのよ、この()。」



(おう)(じょ)(めい)()(じょう)をわたしに()う。



「カヴァはサンスァラ(おう)(じょ)

 (はっ)(きん)(ぞう)(つく)ったのよね。」



「えぇ。(こく)(ほう)として(かざ)られています。」



「せっかくオーブで(つく)った()()なのに、

 それを()かして()(みょう)なもの(つく)ったのよ。」



(おう)()(しょう)(ちょう)、いいえ、()(がみ)(ぞう)ですね。」



()(けい)(ざい)よ。(おう)()(ぜん)(いん)()るすべし。」



サラシュが(えん)()(つづ)けたので、

(ふん)(がい)したサンスァラ(おう)(じょ)(さい)(てい)

(わら)ってしまった。



「かつて(おう)(じょ)(おう)()(すわ)って、

 (げん)(ろう)(いん)()(けん)していたというでは

 ありませんか。」



「それはあなたの(ちち)、ドラスであって、

 わたしは(おう)()(すわ)っていないわよ。」



(げん)(ろう)(いん)()(けん)したのは

 ()(てい)しないのね。」



「それは()(じつ)だもの。」



「また、なにしたの?」わたしは(たず)ねる。



「またってなによ。

 (ひと)()きが(わる)いわね。


 ()(おく)にあっても(こころ)()たりがないわよ。」



(うま)(たす)けたのですよね。」



「その(けん)ね。


 わたしを()った(うま)の。」



(おう)(じょ)はオルドラスから()()った

(きん)(ぎん)(ゆび)()(みずか)らの(かん)()(もど)した。



挿絵(By みてみん)



「オルドラスの(うま)()られたのよね。


 それでいまもお(なか)(あざ)があるの?」



「7(さい)(ころ)かしら。」



「30(ねん)(むかし)?」と、わたし。



「29(ねん)よ、まだ。」と、(てい)(せい)された。



(げん)(ろう)(いん)(めい)(れい)で、

 (ちち)(うま)(さつ)(しょ)(ぶん)されかけたその(とき)


 (きず)ついた身体(からだ)(こう)(どう)まで()()り、

 『(うま)にはなにも(つみ)はないわ!』と

 (げん)(ろう)(いん)()(いん)(たち)(なみだ)ながらに(うった)えた(はなし)は、

 いまでも(かた)()がれてますよ。」



サラシュが(えん)じたせいもあり、

サンスァラ(おう)(じょ)からは(そう)(ぞう)もつかない

(べつ)(じん)姿(すがた)(わら)ってしまう。



(わら)(ばなし)ではありませんよ。」



(おう)(じょ)(さま)がそんなこと()ったの?」



「あれは(ひど)(いた)かったのよ。


 ()(しゃ)()()()こしたり

 (うま)がひとを(きず)つけた()(あい)には、

 (ばっ)せられるのは(とう)(ぜん)

 (うま)()(ぬし)でしょう?


 (おう)()だから(ばつ)()けない

 なんて(どう)()はないわ。」



(はなし)()わってきたわね。


 (すべ)てサンスァラ(おう)(じょ)()(かえ)しよね?」



(おう)(じょ)(とう)(ぜん)のように(うなず)(かえ)す。



()(ちち)(いもうと)への(つぐな)いで、

 (かの)(じょ)()()くまで(まい)(ばん)

 (たい)(りく)()(ろう)(どく)()せられたんです。


 ()(てき)(はなし)でしょう?」



()()がるサラシュが(りょう)()(ひろ)げ、

わたしの(はん)(のう)(うかが)っている。



()(てき)なのかしら…。


 こういうところは、

 オルドラスに()てないと(おも)うわ。」



()てるわよ。」



わたしの()(けん)(つた)えても、

サラシュの叔母(おば)(ほん)(にん)によってすぐに()(てい)される。



サンスァラ(おう)(じょ)()()がって、

(こく)(よう)(もう)のコートを(かた)()けた。



「さて。()()ける(まえ)に、(あい)(さつ)しないとね。」



(おう)(じょ)(しょ)(しつ)(とびら)()けると、

わたし(たち)部屋(へや)()るように(うなが)した。



「あれからドラスは(おんな)()()くのに、

 (うた)(ろう)(どく)(はじ)めたのよ。」



(てい)(さつ)という(こう)(じつ)

 (ぶん)(すい)(がい)(しょう)(かん)(あそ)んでいた(とき)に、

 お(かね)()きて(つか)まったんです。


 ()(りょ)(おう)()(たん)(じょう)です。」



「それでネルタに()られた

 あなたの(ちち)()ずべき(おう)()()(ごと)よ。」



()(てき)されてもオルドラスの(むすめ)(わら)っていた。



(わら)いどころが()からないわ…。」



二人(ふたり)(かい)()

わたしは()いたイオスに(きょう)(かん)(もと)めた。




 ◆ 




(しょ)(しつ)(たて)(もの)から(つな)がる(べつ)(たて)(もの)の2(かい)

アイリアの(こう)(ぼう)になっていて、

(ちか)()くと()(くう)()()(りょう)(にお)いがする。



部屋(へや)(まど)(かん)()(ため)

ガラス(いた)(かい)(ほう)されていて(さむ)い。



(こう)(ぼう)には、()(りょう)(よご)れた

(くろ)のチュニックを()たレナタが

(ひと)りで()()いていた。



「レナ…?」



(おどろ)いたわたしは(はん)(しゃ)(てき)

(かの)(じょ)()()けていた。



「あ、ニクス。どうしたの?」



()()がった(かの)(じょ)に、

サンスァラ(おう)(じょ)(さき)()きしめる。



「あっ! ちょっとサンサッ!

 いまはやめて!」



()(ぎょう)(ちゅう)のレナタを()いた(ため)に、

()にしていた()(ふで)(おう)(じょ)(あご)()たった。



「サンサ…ァラ(おう)(じょ)はもう!


 わたしのこといつまでも

 ()(ども)(あつか)いしないでくださいっ。


 それもこんな()(しょ)でっ。」



「ふふっ。

 ここではなければ()いのかしら?」



「そんな(はなし)ではありませんっ。」



わたしの()(せん)()にして、

レナタは(かお)(みみ)まで(あか)()めた。



――レナ…()きてたのね。



トリンの()(けん)()(らい)

レナタの姿(すがた)をずっと()ていなかった。



わたしはレナタが、

あの(よる)にトリンに()されたと(おも)って

()(けん)(はなし)(だれ)にも()けずにいた。



(やかた)にはあの(よる)()(けん)(くち)にしたり、

(げん)(いん)(つく)ったわたしに

(たず)ねるひとも()なかった。



――それならトリンは、

  部屋(へや)(おく)(だれ)を…

  なにを()したのかしら?



(あら)たな()(もん)()かんだけれど、

(ひさ)(びさ)にレナタの(かお)()て、

()()ちが(あふ)れそうになる。



「もー。また()(ども)(あつか)いしてっ!」



「わたしから()たらレナなんて、

 ずっと()(ども)なのよ。」



レナタは(よる)(やかた)ではしない、

(ねん)(れい)(そう)(おう)(ひょう)(じょう)()せる。



挿絵(By みてみん)



「レナタも(かお)()いてるわ。」



(こう)(ぼう)(もど)ってきたアイリアが()った。



挿絵(By みてみん)



レナタの()いていた()は、

(よる)(らい)(うん)(はい)(けい)()(ほそ)めて

()(しょう)()かべる(ぎん)(ぱつ)の、

サンスァラ(おう)(じょ)(しょう)(ぞう)()



(おう)(じょ)とレナタの(あご)(かみ)に、

(にび)(いろ)()(りょう)(そろ)って()(ちゃく)している。



「アイリア。

 こちらのサンサを()れて

 ()()けてくるわね。」



「ニク…、あなたも()くの?」



(おう)(じょ)(さま)(たち)(かどわ)かされたわ。」



「サラが(わる)いのよ。」



(たび)なんて退(たい)(くつ)でなりませんよ。」



「それはサラの()(あい)でしょ。」



()(さき)(だま)っていたサラシュは(こう)()しし、

()いていたレナタは(あき)れて(わら)う。



「わたしも()けばよかったかなぁ。」



「ムネモスが(あと)

 ケーキを(とど)けてくださるんですよ。」



「…えっ? ケーキ?」



レナタは(さび)しさを(たた)えた()

わたしを()ていたのに、

サラシュの(こと)()()(いろ)()えた。



(さい)(きん)ムネモスとデーンがずっと

 お()()(づく)りをしているのよ。


 ケーキは(とど)かないけれど、

 (やかた)()(あたら)しい()をたまには()てあげて。


 (よる)(やかた)にレナが()ないと(みんな)

 (もの)()りないみたいなのよ。」



「この()(ぎょう)()わらせたら、

 (かお)()()(てい)でした。


 ケーキも(たの)しみですが、

 メノーの()にも

 (はや)()いたいですからね。」



()べたらちゃんと()(みが)きなさいよ。」



()かってますっ。もうっ!」



また()(ども)(あつか)いされたレナタ。



(こん)()はサンスァラ(おう)(じょ)(やさ)しく()きつかれ、

(かの)(じょ)()(ふで)(にぎ)ったまま()きしめ(かえ)した。



()ってくるわね。」



「…()ってらっしゃい。」



()(なか)…。」



(おう)(じょ)のコートの()(なか)に、

()(りょう)()(ちゃく)したのを()てわたしは(つぶや)く。



(となり)()ったサラシュが

(わら)いを(こら)えて(くる)しんでいた。




 ▶

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