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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第11章 天秤の貨(前)

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第11章 第2節 偽貨の質(第2項)

「サンサ!」「サンサの!」



(あわ)ただしく(しょ)(しつ)にやってきたのは、

ファウナのフランジをしている(くろ)(かみ)(ふた)()



挿絵(By みてみん)



ミニとアミがわたしの(りょう)(わき)(うで)()れ、

(はん)(たい)(ほう)(こう)()()って()()こうとする。



「どうしたの二人(ふたり)(とも)

 (いた)いわよ。」



「すぐに()て!」と、ミニ。



(いそ)いで()て!」と、アミ。



――『ミニは(あわ)ただしく、

   アミはより(あわ)ただしい。』



そんなファウナの(あい)(まい)(せつ)(めい)では、

()(べつ)(こん)(なん)二人(ふたり)(せい)(かく)



(おな)(あい)(いろ)(ひとみ)をわたしに()けて、

(しょ)(しつ)から(ひがし)のドレイプ(とう)へと()()()す。



サラシュは(ふた)()(まえ)にしても()にせず、

(じょう)(きょう)(たの)しんで二人(ふたり)(うなが)している。



(ある)けるから(はな)しなさい。」



「ファウナが()んでたの!」



「サンサ、サンサを()べって。」



(こん)(らん)している二人(ふたり)()(はら)って

(れい)(せい)(かい)()(もと)めるよりも、

いまは(みずか)()()いて(かん)(さつ)した(ほう)(はや)い。



それに()(はら)えるほどの(ちから)()い。



挿絵(By みてみん)



ドレイプ(とう)(かい)(ほく)(たん)



10(ばん)部屋(べや)(にん)(しょう)(かん)()部屋(へや)で、

(やかた)()けた()(がみ)をファウナが(せい)(どく)する。



ドレイプ(とう)(なか)では

(うえ)(かい)のサンサの部屋(へや)(おな)じく、

(きゃく)さんを()れることがないので

()(しつ)()()(せっ)()されていない。



部屋(へや)には()(がみ)()(かん)する(たな)と、

()(りょう)として使(つか)(ほん)と、

ファウナ(たち)(しゅ)()(ほん)()まっている。



挿絵(By みてみん)



(てん)(じょう)(つる)るしたランタンが部屋(へや)()らす。



その部屋(へや)には(ちゅう)(ろう)(おとこ)(すわ)って(うで)()み、

(あし)(おと)()()いて()れた(まぶた)

(にら)みを()かせている。



(さわ)がしい(やかた)だな。


 サンサはまだか?」



()(おぼ)えのある(こん)(じき)()(はつ)()らし、

(きょう)(しゃ)(うで)()()せた(おとこ)(かた)には

(ほう)()(かざ)(ぬの)()けていた。



「ファウナぁ。」



ミニとアミが

(いき)(そろ)えてファウナを()びつける。



「なんで()れてきたのっ!」



ファウナは(せき)()ち、

(さけ)びたくなる(しょう)(どう)

その(どく)(とく)(こえ)(おさ)えた。



「ファウナってば、

 いつからお(きゃく)さんを()つように

 なったのかしら?」



「…(わたし)はしてない。けど…。」



ファウナは()(なか)()げてしまう。



(くう)()(おとこ)(たい)(しゅう)(さけ)(にお)いが(ただよ)い、

(おとこ)()んでいたことが()かる。



スパイスティーを(おも)わせる()(げき)(しゅう)に、

(はっ)(こう)(さい)(しょう)じる(あま)()()(しゅう)()



(そと)(ろう)()(じょう)(きょう)(かん)(さつ)しているミニとアミが、

(いま)だに(あわ)てて()(ごえ)(さわ)()う。



(さっ)するにこの(おとこ)(やかた)()れた(ふた)()

(げん)(いん)(かん)()している。



――(はん)(ぼう)()のせいかしらね。



()ったお(きゃく)さんには、

 ()(えい)()ぶのが(ただ)しい()(じゅん)では

 ないのかしら?」



(よる)(やかた)は、(おもて)()きには(さけ)(てい)(きょう)しない。



「…(わたし)(わる)かったんだよ。」



(こう)(かい)するファウナだけれども、

わたしは(はん)(せい)(もと)めてはいない。



「ミニ、アミ。


 ()(えい)(とう)にいるハーフガンか、

 ()なければディーゴを()んできて。


 (あわ)てなくていいわよ。」



()かった。」「(いそ)いで()んでくる。」



(しっ)(ぱい)(ばん)(かい)(いそ)(ふた)()に、

(にん)(しょう)(かん)()になって()もないファウナが

(ふか)()(いき)()いた。



ファウナの()(なか)()でて(かの)(じょ)(なぐさ)める。



ミニとアミは(たい)(りく)のエンカー()()め、

ファウナが(にん)(しょう)(かん)()()()()(めい)した。



(はい)ったばかりのミニとアミは

すぐに()(ごと)(おぼ)えて(いそが)しさに()れ、

()(ゆる)んでいたのかもしれない。



サラシュがわたしを()て、

(あご)(よこ)(こま)やかに()()った。



(しょう)(たい)していない(かの)(じょ)

(よる)(やかた)()れてしまったのも、

(しっ)(ぱい)()(かさ)ねによるものかもしれない。



()(けん)(はん)(ぼう)()(えい)(きょう)もあり、

(へい)(せい)(うしな)ったファウナの部屋(へや)

(おとこ)(やかた)()れてしまった(げん)(じょう)(いた)る。



ミニとアミの()(どう)(やく)のファウナは、

その(せき)(にん)(べつ)(かたち)()ろうと(かんが)えた。



(おとこ)には(かの)(じょ)(かく)していた(さけ)(てい)(きょう)し、

()(つぶ)して()()しを(たくら)んだ(けい)(せき)

テーブルの(うえ)(おお)(のこ)っている。



(しっ)(ぱい)(いと)うファウナらしい(はん)(だん)で、

(もん)(だい)(もん)(だい)(つつ)(かく)したところで

(おさ)まりはしない。



ファウナは()(えい)(たす)けを(もと)めたものの、

(おとこ)(よう)(ぼう)(かん)(ちが)いしたミニとアミが、

サンサの()わりにわたしを()()して

ファウナにとって(のぞ)まない(じょう)(きょう)となった。



(やかた)()()(ぎわ)にも(かか)わらず、

()(えい)(たの)んで(おとこ)()()したとしても

この(かた)()きの(あい)()では(べつ)(もん)(だい)(しょう)じる。



わたしは部屋(へや)(はい)って(こん)(じき)()(はつ)(おとこ)

エイワズの(かた)()れて()()ける。



挿絵(By みてみん)



「ごきげんよう。エイワズ()(ちょう)


 わたしになにか(よう)かしら?」



「おぉ、お(まえ)がサンサか?


 ()っとったぞ。」



エイワズはわたしを(はん)(がん)(ぎょう)()する。



わたし(たち)(しゅう)(かく)(さい)()に、

(げき)(じょう)(さい)(ぜん)(れつ)(りん)(せき)していた。



いまは頭巾(フード)()きのケープに

宝飾巾(ヴェール)をしているせいか、

わたしの(かお)までは(はん)(べつ)できていない。



「むかぁしに(いち)()()(がみ)(おく)ったが、

 (へん)()がなかったんで、

 (おれ)()てられたものと(おも)っていたぞ。」



()(がみ)()(そう)(ちゅう)()(うん)()()でも

 あったんでしょうね。


 (むかし)のことだもの。(ちが)うかしら。」



わたしは()(えい)()るまでのあいだ、

エイワズの()かいの(せき)(すわ)る。



部屋(へや)(とびら)()けたままにしておく。



「マルフからは(くろ)(かみ)の、

 (わか)(おんな)とは()いていたが、

 あいつ、ワシを(たばか)ったな?


 (あか)(がみ)の、()(むすめ)ではないか。


 それに(うで)が…。」



(うで)(なか)でイオスが()く。



「わたしを(うたが)っているのね?


 これから(さい)(ばん)(しょ)にでも、

 ()れて()かれるのかしら。


 ふふっ、(おそ)ろしいわね。」



(こと)()とは(ぎゃく)(おど)けて()せる。



イオスが()()いて()()げるので、

わたしは(せま)(ひたい)(ゆび)()でる。



「いや…、そんなことを

 ()いに()たのではない。」



エイワズは(さかづき)(あお)る。



(せん)(じつ)のカヴァ(ぐん)(いっ)(けん)

 ()(ろう)をかけたな。」



(くち)(ひげ)()らし、(さけ)(くさ)(いき)()く。



「それを()(ため)(あか)(つち)(おか)に?」



(げん)(ろう)(いん)(おさ)

 (れい)(ひと)つもせぬのでは、

 ()()()というものだ。」



それが(らい)(かん)()(ゆう)には()こえず、

エイワズは(うす)(くちびる)()めて(わら)う。



サンサではないわたしは、

エイワズの(のぞ)むものを()っていない。



()(ろう)したのは()()(かん)になったマルフと、

 カヴァの(ぐん)(ひき)いたオルドラスだわ。


 二人(ふたり)(とも)(げん)(ろう)(いん)(ふだ)(あそ)びに

 ()(まわ)されただけだものね。


 (へい)()(たち)(めい)(わく)(こうむ)ったわね。」



「だが(げん)(ろう)(いん)(わか)()(いん)(なか)には、

 『西(さい)(もん)()けたマルフを(ばっ)せよ。』

 という(こえ)もあってな。」



(かい)(ほう)(よう)(きゅう)したサンサも、

 (さい)(ばん)にかけるおつもりなのね?」



(けわ)しい(かお)のエイワズが(うたが)いの(ひょう)(じょう)()せ、

ファウナとサラシュの()(せん)(かん)じ、

わたしは(しっ)(ぱい)(あたま)(なか)(うなず)いた。



「ふははっ。

 まるで()(にん)(ごと)ではないか。」



(くさ)(つば)()ばして()(げん)よく(わら)う。



わたしの(ふと)(もも)(うえ)のイオスが、

()(めい)(はな)って(そと)へと()()した。



(じょう)(だん)()()るエイワズに、

サンサではないわたしは、

(こう)()(てい)(せい)(げん)(きゅう)()けた。



「…それで(やかた)()()けて

 ドレイプを(あじ)()してから、

 マルフが()(よう)した『(うん)(めい)(おんな)』に

 (せき)(にん)(なす)()けるつもりね。」



この(おとこ)(ひん)のない(かんが)えを(なら)べて

わたしは(はん)(のう)(うかが)う。



(あい)()(おこ)らせるつもりはないけれど、

エイワズはサンサが(まね)いていない(じん)(ぶつ)



()るものは(えら)ぶのが(やかた)()まり。



この(てい)()(おこ)って(あば)れる(じん)(ぶつ)であれば

(はや)めに()()して、(いち)()(かぎ)りの(ゆめ)とでも

(おも)った(ほう)(たが)いの(ため)になる。



エイワズはわたしではなく

(ほん)(もの)のサンサとの(つな)がりを(もと)め、

(しょう)(たい)()(やかた)(はい)ってきた。



(もと)(こう)(ちょう)(むすめ)のファウナも、

()(ちょう)という(かた)()きを()(きゃく)()(もく)(てき)で、

(こう)(みょう)(しん)(はや)った()(のう)(せい)もある。



わたしのこの(ちょう)(はつ)

エイワズは(いき)()って(むね)(ふく)らませると、

(あぶら)ぎった(ふと)(うで)()む。



「ふん。

 どうあれ(げん)()(せき)(にん)(しゃ)はヤツだ。


 ()(かい)がこんな()(むすめ)

 (まち)(せき)(にん)(なす)()けたとあれば、

 (まち)(めい)()()(そん)するだろう。」



エイワズは(はな)(いき)(あら)くする。



()(つづ)ける(かれ)()()から

(さけ)(しゅう)()(ひろ)がる。



()()した(もの)(せき)(にん)だけ(なす)()けて、

 ()(がい)なく()わった(こん)(かい)(せい)()

 なにも(みと)めてあげないなんて、

 (げん)(ろう)(いん)というのは(ひど)(きょう)(りょう)ね。」



(じょう)()()(たつ)(てっ)(てい)せねばならん。


 (へい)(おん)(おびや)かし(とう)(そつ)(みだ)したのだから

 (あん)()(ひょう)()もできまい。


 あやつは(もと)()(さん)(がい)(ひも)()しだ。


 (げん)(ろう)(いん)()(もん)()(かん)といえ、

 あやつを(せん)(しゅつ)したのは(われ)(われ)だ。


 (たち)()(めい)(かく)にし、(しつ)けねばな。」



エイワズは()(ぶん)(こと)()()()じ、

(かん)(がい)(ぶか)(あご)(しわ)(つく)る。



――(いぬ)には(くび)()、ということね。



マルフは()(りゅう)(かい)(きゅう)とされる()(さん)(がい)(しゅっ)(しん)でも

(せい)(じょう)()()(ごと)()(ぞく)()(しょう)(にん)になり、

(むね)には(なが)(しょく)(しょ)(わた)らせて

(そう)(とく)()()にまで(のぼ)()めた。



それでも()(ぞく)のエイワズからは

(ひも)()しの(せん)(みん)(さげす)まれる。



(かい)(きゅう)(いただき)()()(ぞく)(あつ)まりの、

(げん)(ろう)(いん)(おさ)であるエイワズからすれば、

(あた)えた(けん)()(かた)()きより()(すじ)(じゅう)()され、

()(べつ)()(しき)()(とう)(ぜん)だった。



(なが)(ねん)()(いん)(つと)めるエイワズを(あい)()に、

()(ろん)()わしてもわたしは(かな)わない。



しかしそれ()(ぜん)に、

(あい)()(のぞ)(こう)(しょう)(おう)じる(ひつ)(よう)

わたしにはなかった。



「…()(ちょう)調(ちょう)()(しん)()()(ため)

 わたしに()いに()たのね。


 (ほん)(らい)ならわたしが(あし)(はこ)ぶところを、

 ドレイプという()(ぶん)(はい)(りょ)して

 (ちょく)(せつ)()てくれるなんて(こう)(えい)ね。」



こんな(うわ)()(かざ)った(こと)()でも、

()っているエイワズは()(ぶん)()くする。



()(ちょう)()(ぼう)(なか)(げん)()調(ちょう)()し、

 (ほう)(こく)にも()(とお)すのよね。」



(ほう)(こく)()けている。


 (かい)(ほう)すべきではないと、な。


 まさかコロイド()(けん)

 調(ちょう)()(りょく)(うたが)ってるのか。」



コロイド()(けん)(かれ)(しょ)(ゆう)する()(けん)(がい)(しゃ)で、

調(ちょう)()(いん)使(つか)って()()()(けん)(げん)(いん)調(しら)べる。



調(ちょう)()(たい)(しょう)(てい)(たく)()(さい)(たい)(しょう)()()

(のう)()(すい)(がい)から(えき)(びょう)にまで(こう)(はん)(たい)(おう)し、

(とう)()(りょう)(どう)(くつ)(こう)にも調(ちょう)()(いん)(そん)(ざい)する。



(ぶん)(すい)(がい)(たば)ねる()(かい)(おさ)であるには、

()(さん)(ゆう)さなければ(はつ)(げん)(えい)(きょう)

(あた)えられないこともあの()(まな)んだ。



――『(かい)(ほう)すべきではない』ね。



調(ちょう)()(いん)(ほう)(こく)というものに、

()(そう)(ふく)まれているように()こえた。



(にら)()って(こう)(ちゃく)した(じょう)(きょう)に、

 マルフは()(かい)(こころ)みた。


 『(うん)(めい)(おんな)』というのは

 わたしからの(てい)(あん)よ。


 どちらが()()したかは

 (じゅう)(よう)ではないわね。」



「ならばサンサがその(くち)

 ()(りょ)(おう)()(ろう)(らく)したのか。」



エイワズは()(かえ)(さかづき)(あお)り、

(ひん)のない(じょう)(だん)()って(わら)う。



「カヴァの(ぐん)(へい)(たん)()(ゆう)があったわね。


 (きん)(こう)(そん)(らく)への(りゃく)(だつ)(おこな)わず

 (ぶん)(すい)(がい)()()(よう)()()せず、

 (もん)から()てきた(しょう)(にん)(おそ)わなかったわ。


 わたし(たち)(かん)(げい)して

 (うたげ)まで(ひら)いてくれたのよ。


 カヴァの(へい)()(しょう)()(だん)()わせても

 1,000(にん)()()でしかないもの。


 (げん)(じゅう)(けい)(かい)()()()わったわね。」



エイワズと(はな)しながら

わたしはカヴァの(しょ)()(かん)や、

(べつ)(おとこ)(かお)(おも)()かべる。


挿絵(By みてみん)



かれらの(はい)()には、

(ぶん)(すい)(がい)とカヴァの(たい)(りつ)(のぞ)(もの)(たち)()る。



(しん)(がた)いな。」



()れた(まぶた)でエイワズがわたしを(にら)む。



わたしはまだ(かれ)(しん)(よう)されていない。



「わたしが西(さい)(もん)()いた(とき)には

 ()(まん)(つの)らせた(ぎょう)(しょう)(にん)(たち)(あつ)まって、

 (けん)()もあって(ぼう)(どう)(ちょく)(ぜん)だったわよ。


 調(ちょう)()(いん)()()(だい)(しょう)(へい)

 (そう)(とく)()っているはずよ。


 その(ほう)(こく)(とど)いているわよね。


 (もん)(へい)()()(かい)(そう)()


 それとも()(ちょう)(がん)(ぼう)?」



エイワズは(くち)(はん)(びら)きにして、

(こと)()(うしな)っていてもわたしは(つづ)けた。



(かれ)()っていて、

(はなし)(しゅう)(ちゅう)できていないのかもしれない。



()(えき)(もと)めた(さき)での(あらそ)いを、

 わたしは()(てい)したりはしないわよ。


 (せい)(ぶつ)(せい)(ぞん)(しゅ)(はん)(えい)()(ゆう)(きそ)い、

 (つね)(あらそ)いを(もと)(つづ)けるものね。」



(じん)(るい)(れき)()(じょう)

 (さい)(がい)(せん)(そう)()()(だい)などありはせん。」



(はん)(のう)したエイワズに

わたしは()(しょう)()かべて(くび)(たて)()る。



「カヴァの()(すえ)がどうなろうと、

 わたし(たち)には(ちょく)(せつ)(かん)(けい)しないものね。


 (せん)(そう)(はじ)まれば(まち)(なん)(みん)()える。


 (ひと)(びと)(めい)(しん)()れる(ふね)(うえ)


 (みん)(しゅう)()(あん)(あお)るほど()(けん)(りょう)()

 あなたの(かい)(しゃ)(もう)かる()()みね。」



「そこまでは(かんが)えてはおらん。」



()()した(あご)()れ、

(はな)(わら)って身体(からだ)から(しゅう)()(はな)つ。



わたしは(かれ)(ねら)いを()(かい)して(へん)(とう)した。



「それで(しん)()(えき)()るのは

 (かん)(ねい)(じゃ)()(たくら)みだもの。」



(こと)()()()(おどろ)(かれ)()()(ひら)いた。



わたしの()るサンサは、

こうしてテーブルを(ゆび)(さき)()()く。



(ほう)(こく)()(じつ)(そう)()ないはずよね。」



調(ちょう)()(ほう)(こく)(かっ)()(おも)()み、

 ()(そう)による(ゆが)みがあってはならん。」



エイワズは()(はつ)(あたま)から(あせ)(なが)し、

(ぜん)(しん)からも(しゅう)()(はっ)する。



()(ちょう)は、ペタの()(だい)(りょう)(しゅ)(かた)

 ヘッペを()ってるわね。


 メルセ・ハス・ヘッペリオ。」



この()(まえ)(みみ)にして()()ったエイワズは、

()ねて()()()つと(あし)(もつ)れさせ

()(なか)から(たお)れた。



ヘッペという(おとこ)

カヴァの(げん)(ろう)(いん)(えん)(せい)(てい)(あん)し、

この(まち)との(たい)(りつ)(のぞ)んでいる。



――マルフが(ない)(ゆう)(がい)(かん)()(いた)める(げん)(いん)

  (かれ)らによるものだったのね。



「あら、(だい)(じょう)()?」



「…あぁ。」(かれ)(とう)(ちょう)()(おさ)える。



(たち)()(めい)(かく)にし、

 (せき)(にん)()らせるべきだったわよね。


 (さい)(ばん)(しょ)(くぼ)()、オルタに()って

 ハンドベルを(たた)くのは()(ちょう)かしら?


 それとも(そう)(とく)のマルフかしらね。」



わたしは(たお)れたままの(かれ)()()ろす。



「…()()ぎたみたいだ。」



()()ちよく()っているものね。


 (さけ)(たよ)っても(さけ)はあなたを

 ()()がらせてはくれないわよ。


 ディーゴ、ハーフガン。


 (かれ)(そと)(くう)()()わせてあげて。」



サラシュの(うし)ろに()(えい)のディーゴと

ハーフガンが()(かま)えていた。



(めい)(わく)()けたな。」



「いいえ。

 とても(ゆう)()()(かい)(だん)だったわ。


 (こん)()(まち)(けい)()

 ()(だい)(りょう)(しゅ)(かた)(おとこ)でも()れて、

 (さい)(ばん)(しょ)(しょう)(たい)されるのかしら。」



「…(つぎ)(ゆる)されるのならな。」



(おど)(もん)()でも

(ふる)える(かれ)()調(ちょう)(おそ)れがあった。



()(てき)なお()(がみ)()ってるわ。


 それから(さけ)(ひか)えた(ほう)がいいわね。


 (さけ)(せき)(にん)(なす)()けられないもの。」



エイワズはわたしに(ふか)(あたま)()げて、

()れる(あし)()りで部屋(へや)()ていった。



(かれ)()ていった部屋(へや)(あと)には

(たい)(しゅう)(こう)(りょう)(さけ)(のこ)()(じゅう)(まん)する。



――(ぶん)(すい)(がい)とカヴァとの(たい)(りつ)で、

  ヘッペはなにを()るのかしら…。



(かんが)えてもまとまらず、

サラシュの()いていたイオスを(あず)かる。



(わる)かったわね、(はなし)()(ちゅう)だったのに。」



エイワズには西(さい)(もん)(かい)(ほう)(せき)(にん)()われ、

サラシュには()(けい)(つみ)()われていた。



「お()になさらず。


 とても(ゆう)()()なものを

 ()ることができたわ。」



(ほそ)めた(へき)(しょく)(ひとみ)(わら)う。



()()(もの)()()ではないわよ?」



(よう)()(うかが)うディーゴに()()って

()(えい)をこの()から(はず)させる。



「サラシュも()(えい)()(おく)りが(ひつ)(よう)かしら?」



「わたしも(かれ)(おな)じように

 『(あじ)()』をしに()(がわ)になるのね。」



わたしの使(つか)った(わい)(げん)()()(たの)しみ、

サラシュは(かんが)えを()ませてはくれない。



「わたしは()(もの)ではないわよ。」



「あなたはカヴァの(こく)(ほう)よりも

 ()()がありそうだものね。


 さて、お()()けの(じゅん)()をしましょうか。」



サラシュがわたしの(みぎ)(うで)()()()むと、

(うで)()んで(しろ)(かお)(ちか)()ける。



「どこに()れて()くつもりなの?」



「もちろん。あのひとの(もと)ですよ。」



()(がお)()けてサラシュは()った。




 ▶

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