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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第11章 天秤の貨(前)

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第11章 第2節 偽貨の質(第1項)

(あさ)から(しょ)(しつ)(あら)たなレシピを(さが)しにきた

ムネモスを()()に、わたしは(しょ)()(ばん)

(ひだり)()()()()(れん)(しゅう)をする。



()(きょく)(きょう)(てい)(しょ)()()(てい)はない。



(しょ)(しつ)(あし)(もと)(おき)()(よう)()しても(あさ)(さむ)くて、

パイル()()頭巾(フード)()いたケープと

(のど)(かん)(そう)(ぼう)()宝飾巾(ヴェール)をして()ごす。



(べん)(きょう)(かい)(べん)(きょう)(おし)えるには、

()()()かなければ(おぼ)えが(わる)い。



()て、()き、(こえ)()し、(みみ)にして、(かんが)える。



(ほん)(ない)(よう)(あん)(しょう)できるほど(かしこ)くはないので、

(とう)()んでいた(ころ)からやっていた

()(ぶん)なりの()(みち)(べん)(きょう)(ほう)(ほう)()(かえ)す。



(しょ)(しつ)にあった(じょ)(さん)(がく)(せん)(もん)(しょ)()()げ、

ネルタの()()()ごした(ころ)

()りなかった()(しき)(おぎな)う。



わたしの(ふと)(もも)(うえ)退(たい)(くつ)しているイオスは、

()にしたスタイラスの(うご)きに

(どう)(こう)(ひろ)げて(くび)(うご)かす。



(たわむ)れに(うご)かせばそれを()()いて、

(まえ)(あし)()()して(あそ)(はじ)めた。



(ねえ)(さま)はマルフ(そう)(とく)(やかた)まで、

 サンスァラ(おう)(じょ)のお(むか)えに

 ()がらないのでしょうか?」



カヴァのオルドラスとの(かい)(だん)()(こう)

ムネモスはわたしをサンサと()びはじめた。



ムネモスを真似(まね)して(かげ)でわたしを

サンサと()ぶドレイプやフランジまで()る。



それは(おも)にファウナと、ミニとアミだった。



「わたし(たち)(だれ)かの()(じょ)ではないし、

 あのお(ひめ)(さま)()(ども)ではないのよ。


 そのうち(かえ)ってくるわよ。」



「お(たが)(おな)じことを(おも)っていましたら、

 (えい)(えん)()えなくなりますよ。」



サンスァラ(おう)(じょ)(もど)ってこなければ

()(ごと)のないわたしは、いつまで()っても

この部屋(へや)から()ることはないかもしれない。



ムネモスが(さっ)している(とお)り、

わたしは(ゆう)()()ていると(どう)()に、

ドレイプになることへの(あせ)りを(かん)じていた。



(おう)(じょ)がマルフの(やかた)()るとなると、

そこは()(こう)のアイリアの(こう)(ぼう)があり、

(せい)()のレナタが()るはずだった。



「カヴァに(かえ)ったのかもしれないわよ。


 『()るものは()わず。』

 それが(やかた)()まりだもの。


 (かの)(じょ)(いぬ)のように

 (しば)()けることなんて()()ないのよ。」



「お(かあ)(さま)は『(ねこ)(しょく)(しょ)(あた)えた。』

 なんて()ってましたよ。


 (くび)()(あた)えたところで、

 (かっ)()にどこかへ()ってしまうんです。」



ムネモスは(はは)のベリーとの(おも)()(ばなし)をして

(かっ)()(なっ)(とく)する。



――わたしもいつか()らないといけない。



『あんたはこんな(やかた)

 ()るべき(にん)(げん)ではないのよ。』



トリンの(こと)()がいまも(みみ)(のこ)る。



(ひだり)()()()上手(じょうず)()けずに、

スタイラスで(しょ)()(ばん)(ろう)(いきお)()(けず)ると

(いた)(そこ)()()いた。



(しょう)(そう)していると(しょ)(しつ)(とびら)(たた)かれ、

(じゅう)(ぎょう)(いん)のキーアが(なが)(くろ)(かみ)(のぞ)かせた。



挿絵(By みてみん)



「ねぇ、ニクス――ではなくて、サンサ。


 (あか)(かみ)のサンサってひとに

 お(きゃく)さんなの…。」



わたしとムネモスは(かお)()()わせた。



(そう)(とく)のマルフが(らい)(かん)したとしても、

サンサことサンスァラ(おう)(じょ)()(ざい)で、

(たい)(おう)できないので(げん)(かん)(ことわ)っている。



「なにかあったの?」



キーアも(こま)(がお)()せる。



「それが…ミニかアミのどっちかが、

 また(なか)()れたのよ。


 (からす)(しょう)(たい)(ふだ)()けてあって。」



「まぁ。(ねずみ)みたいなお(きゃく)(さま)ですね。」



(ほん)(にん)()ないからといって、

 (ほか)(どう)(ぶつ)(たと)えるのは(しつ)(れい)よ。」



わたしは()(しん)(きゃく)()ってはいないし、

()(がみ)(だれ)かと(やく)(そく)をしていなければ、

サンサの(ゆき)(がらす)(しょう)(たい)(ふだ)(おく)っていない。



サンサが()(てい)している(らい)(きゃく)には、

(しょう)(たい)(ふだ)(とびら)()けはしないし、

()(だん)はハーフガンを()んで

()(かげ)(にわ)(あん)(ない)させる。



そんな()(たい)()れないお(きゃく)さんの(にゅう)(かん)

(にん)(しょう)(かん)()()()のミニとアミがまず(ことわ)る。



(あか)(がみ)のサンサなんて()(めい)する(あい)()は、

オルドラスとの(かい)(だん)()(じん)(ぶつ)(かぎ)られる。



それにキーアは()になることを()っていた。



「『また?』 …()かったわ。


 お(きゃく)さんには

 わたしから(ことわ)っておくわ。」



わたしが()()()つと、

その(じん)(ぶつ)がすでに()(かま)えていた。



()()いたキーアが(おどろ)き、身体(からだ)(こう)(ちょく)させた。



挿絵(By みてみん)



(ぎん)(かみ)(あか)るい(あお)(みどり)()ざった(へき)(しょく)(ひとみ)



(にび)(いろ)のキャシュクは(すそ)(くるぶし)まで()び、

(なが)(ふか)(しわ)(つく)られていて(うつく)しい。



(おび)(ひも)には()いピンクが()(いろ)(はい)っている。



(こく)(よう)(もう)のコートの(すき)()には、

(ぎん)()(なが)(しょく)(しょ)(むな)(もと)(わた)らせていた。



(かっ)(しょく)(くつ)(かかと)(そろ)えて()(すじ)()ばし、

(あご)()いた姿()(せい)でわたしを()つめる。



「あなた…。」



この(かお)はいまも(せん)(めい)(おぼ)えている。



(にっ)(ちゅう)()ると()(しょう)(うす)く、(しょ)(かん)(こと)なった。



――やっぱり、ニースだわ。



あの()(よる)(しょう)()(だん)(まぎ)れ、

頭巾(フード)宝飾巾(ヴェール)(かお)(つつ)んでいた(しょう)()



「あなた、ニースね。」



「はい。お(ひさ)しぶりですね。」



あの(よる)(おな)(やわ)らかな(こえ)で、

(たて)(もの)()(かげ)(なか)から(かお)()せて()う。



()(がみ)()()さず

 こんな(やかた)()るなんて。」



「その(てい)()()まり(ごと)(ぞん)じているわ。


 (しょう)()(だん)のニースですからね。」



それでも(おんな)はわたしの()()()う。



(おどろ)きましたか?」



「こうしたやり(かた)

 (しょう)()から(おそ)わるのかしら。」



「えぇ――。」



()(じょく)されても()みを()かべる(おんな)は、

わたしから()(せん)()らして(はい)()(しめ)す。



「あの()(たち)なにか(せわ)しくしてて、

 いつもと(よう)()がおかしかったわ。」



キーアがムネモスに(つぶや)いた。



「お二人(ふたり)でしたら、

 (ちょう)(しょく)()(こく)()(だん)(どお)

 (にぎ)やかで()わりありませんよ?」



「でも、さっきもね。


 ファウナがお(きゃく)さんを――。」



(あと)はわたしが(たい)(おう)するから、

 キーアは()(ごと)(もど)っていいわよ。


 (いそが)しいところ

 (ほう)(こく)してくれてありがと。


 ミニとアミにも(あと)()っておくわ。


 ムネモスも(ほん)()つかったのよね。


 ()()きなんて(やかた)(ひん)(かく)(うたが)われるわ。」



(きゃく)さんの(まえ)にも(かか)わらず

(しゃべ)りを(つづ)けていた二人(ふたり)を、

わたしは(しょ)(しつ)から()(はら)った。



()()(ほう)()せてしまったわね。」



(にぎ)やかで()(やかた)ですね。


 ここではサンサと、

 お()びしても()いのかしら?」



わたしはサンサではない。



「…できれば(ひか)えて()しいわね。


 でも()()()したのはわたしだから、

 (こと)()(かぎ)はかけられないのも(こま)るわね。」



(しょ)(しつ)(とびら)()けたまま、

サラシュを(なか)(あん)(ない)した。



「ここがあなたのお(しろ)?」



「ただの(しょ)(しつ)よ。


 (そう)()になっていた部屋(へや)(かた)()けたのよ。


 あなたの()んでいた(ところ)ほど

 (りっ)()なものではないわね。」



(たし)かに、(ろう)(かん)のような()(しょ)ですものね。」



(かの)(じょ)(やかた)()たばかりのムネモスと

(おな)じことを()(たん)なく()う。



「こんな()(しょ)でお()(ごと)をされるの?」


「いまは(やかた)(はん)(ぼう)()

 ドレイプの()(てい)()まってるから、

 (だれ)もサラシュ(おう)(じょ)(しょう)(かい)できないわよ。


 わたしもドレイプではないから

 あなたの(あい)()はしないし、

 (かん)(げい)もしてないから(とびら)()めないわ。」



(さい)(しょ)から(のぞ)んでいないわ。


 今日(きょう)(てん)(まく)に、

 (さそ)いに()たわけでもないもの。」



――カヴァ・ハス・サラシュ…。

  オルドラスの(むすめ)



――(おや)(つか)いで()(そう)()(しょう)(きゃく)(しゃ)()(ろく)や、

  わたしの(しゅつ)()調(しら)べに()たのかしら。



サラシュが(ぶん)(すい)(がい)(たい)(ざい)し、

(よる)(やかた)()(いつわ)りのサンサに()()(ゆう)

それ()(がい)にない。



サラシュは(ほん)(だな)()(まわ)しながら、

(ひと)()にして(なか)()(めく)り、

(ほん)()じてわたしの(かお)()た。



「あら?


 ねえ。おかしいわ。


 (しょう)(かい)していないはずなのに、

 どうしてわたしの()(まえ)()ってるの?」



()ての(とお)りよ。」



サラシュは()(ぶん)(むな)(もと)()れて(くび)(ひね)る。



「わたし、(しょう)()(だん)のニースだったのよ?」



(おう)(じょ)(さま)(しょう)()(だん)(まぎ)れて

 頭巾(フード)宝飾巾(ヴェール)をしたところで、

 (たい)した(へん)(そう)にはならないのよ。


 ()(まえ)(いつわ)り、(かた)()きを()えて、

 どんな(ふく)()(ぶん)(よそお)っても、

 あなたの(ほん)(しつ)(かがや)きは()わらないわ。


 サンスァラ(おう)(じょ)()()れてるもの。」



サラシュは(かた)(わら)う。



「ふふっ。

 でしたらわたしは

 (ため)すお(あい)()()(あやま)ったのね。


 どこで(はん)(だん)なされたの?」



「あなたの()姿(すがた)とその(ふく)()(こな)しは、

 (きょう)(いく)()けていなければできないわね。


 その(ぎん)()(しょく)(しょ)

 (なん)()()(ぞく)()()けるものだし、

 (こく)(よう)(もう)のコートが()()(わか)(おんな)なんて、

 サンスァラ(おう)(じょ)(ぎん)(ぱつ)のあなた

 くらいなものだわ。」



(ほか)には?」



(かの)(じょ)はさらに(よう)(きゅう)してきた。



「あなたの(ちち)、オルドラスに()てない、

 その()(ばつ)(だい)(たん)(こう)(どう)かしら。」



(しょう)(しょう)(しつ)(れい)なことを()ったつもりでも、

サラシュは(こえ)()して(わら)い、(ひざ)()げた。



「ふふふっ。

 ()(けい)(つみ)()いますよ。


 (ほん)(とう)に、あなたはおかしな()なのね。」



――あなたはサンスァラ(おう)(じょ)()てるのよ。



(もっと)()(けい)(はつ)(げん)(ひか)えておいた。




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