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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第10章 怨讐の環

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第10章 第3節 燐光の蝶(第4項)

カヴァの()(えい)()()(ひる)(どき)(くら)べ、

(よる)になると(しょう)(へい)(かず)()えている。



西(さい)(もん)(かい)(ほう)した(ぶん)(すい)(がい)からの、

()(しゅう)(けい)(かい)して(かがり)()(おお)(とも)る。



(まも)るだけの(ぶん)(すい)(がい)が、

(うたげ)のあいだにカヴァの(ぐん)()めるのも

(ひと)つの(せん)(じゅつ)になる。



(うたげ)(よそお)(ぶん)(すい)(がい)から(あい)()(さそ)い、

(へい)(りょく)(けず)るカヴァの(さく)(せん)とも(かんが)えられる。



(ひる)西(さい)(もん)(うご)きを()てきた(かぎ)りでは、

(そう)(とく)のマルフは(せき)(にん)()っていながらも、

ただの()(けん)調(ちょう)()(いん)(くち)()しされていた。



20(ねん)(かん)(せん)(そう)(おこな)ってきたカヴァと、

(ぼう)(へき)(きず)(まも)りを(かた)めてきた(ぶん)(すい)(がい)で、

(せん)(そう)(たい)する(にん)(しき)(ちが)いが(けん)(ちょ)(あらわ)れる。



サンスァラ(おう)(じょ)(あに)

オルドラスに()()されて、

わたし(たち)(てん)(まく)()れられた。



(いかめ)しい(かお)(おとこ)、カーゼルが(かれ)(となり)()つ。



カーゼルはわたしを(にら)む。



「カーゼルは(ぐん)()(れい)(かん)として(はたら)

 おれの(みぎ)()だから(あん)(しん)しろ。


 (しん)(らい)できるやつらも

 (そと)(たい)()させている。」



――この()(しん)(らい)されていないのは

  わたしになるわね。



()っているわよ。


 ドラスが()(りょ)だった(とき)

 (ぶん)(すい)(がい)()っているもの。


 でもカーゼルは、

 わたしのことなんて(わす)れていたわよね。」



(まゆ)(はし)(きず)()つカーゼルが、

その(まゆ)()げて(あたま)()げる。



それはあくまでオルドラスに(たい)しての(しゃ)(ざい)



(へい)()、その――。」



「お(まえ)(おぼ)えてないのも()()はない。」



(おど)りで(つか)()ったムネモスは、

(かたむ)けた(あたま)をわたしの(かた)(あず)けると

(しず)かに()(いき)()(はじ)めた。



ここに()(まえ)(べつ)(てん)(まく)(あせ)(ぬぐ)い、

(はだ)()()えた(とき)から(ねむ)()(たたか)っていた。



わたしは(かの)(じょ)()こさずに、

(あたま)(かた)(ひだり)(うで)()いて(ふと)(もも)()せ、

身体(からだ)()やさないようにコートを()けた。



――(こん)()(あく)()()てしまうのかしら。



「スァラは(みぎ)(うで)()(がい)

 あの(とき)から()わってないのだからな。


 (おんな)という()(もの)()(みょう)なものだ。」



(さい)(かい)する()()ようとは、

 (おも)ってもおりませんでした。」



(かま)わないわよ。


 ()(がい)(ことわり)(おどろ)くのも(とう)(ぜん)よね。


 これまでドラスの(みぎ)()として、

 ()()さずに(つか)えてくれたことを

 わたしから(かん)(しゃ)するわ。」



サンスァラ(おう)(じょ)(ふか)(あたま)()げたのを()て、

(ゆう)(いん)されてカーゼルはまた(あたま)()げた。



「それで、そっちの(むすめ)は?」



()ったでしょう。

 わたしの部屋(へや)手伝(てつだ)(やく)をしてる

 フランジよ。」



(おう)(じょ)はわたしの()(まえ)()わず、

(しゅつ)()()かさない。



「スァラの?

 では()わりの(みぎ)()というわけか。」



わたしは()()(てい)(かんが)えを(しめ)しても、

サンスァラ(おう)(じょ)はこちらを()ない。



『あなたはわたしの(みぎ)()ではないのよ。』



(かの)(じょ)はマルフとの(ふだ)(あそ)びの(さい)に、

わたしにそう()げて()(てい)した。



(いぶか)しむオルドラスが、

ケープの頭巾(フード)宝飾巾(ヴェール)(かく)れた

わたしの(かお)(にら)みつける。



(あか)(がみ)か。ネルタの(にん)(げん)か?」



「この(とし)(ごろ)(あか)(がみ)は、

 どうしてもビンスが()()った

 あの(むすめ)(たち)(おも)()しますな。」



カーゼルもわたしを()て、

オルドラスに()けて()(ごえ)()う。



「あぁ、ケイロウの(むすめ)()なせていたな。


 あれは(にん)(しん)していたし、

 もっと(びょう)(てき)()るに()えないほど

 (ひん)(じゃく)だった。」



「ヒュルゲン・ハス・ビンスという(おとこ)には、

 ()ったことがないわね。」



サンスァラ(おう)(じょ)(たず)ねると、

オルドラスも(あたま)(いた)めて()(いき)()く。



(とう)()()(ぞく)()(しょう)(にん)(おう)(へい)(おとこ)だ。


 …(せん)(じょう)になど()ずに、

 (ぐん)への(しゅっ)()だけならば

 ()かったんだがな。」



(くち)(やかま)しい()(まん)(おとこ)でしたな。」



(みの)(しろ)(きん)()()てに(せん)()(ひん)(りゃく)(だつ)した。


 それで(しょう)()(ころ)されるなど、

 (さい)()まで(めい)(わく)(おとこ)だ。」



オルドラスの(こと)()にカーゼルが(わら)う。



――()(ぞく)(びょう)ではなかったの?



()(ぜん)(やかた)()しかけた(おとこ)()っていた。



「ドラスはその(むすめ)()きていたら、

 なにをさせるつもりだったのかしら?」



サンスァラ(おう)(じょ)(とつ)(ぜん)()いに

オルドラスの()つきは(するど)くなり、

(くち)()()げて(わら)う。



()(よう)して、()(ころ)す。」



(かれ)()(けん)にカーゼルも(だま)り、(うなず)いた。



「ふふっ、(おそ)ろしいわね。」



(おう)(じょ)()って(よろこ)び、わたしの(はん)(のう)(うかが)う。



「お(まえ)もそのくらい(わきま)えているだろう。


 カヴァの(おう)()には(たち)()がある。」



オルドラスは(ぎん)(ぱい)(さけ)(あお)る。



「ネルタ(おう)(ぞく)()(のこ)りが、

 カヴァの()()()けて

 ()(なが)らえているなど(かんが)えてみよ。


 (しん)()(みん)(しゅう)(こころよ)(おも)わぬだろう。


 (おんな)であっても鍍金(めっき)(おう)(いん)()だ。


 ネルタの()(みん)(なん)(みん)(れん)(ちゅう)

 (せん)(どう)()(よう)しない()(ゆう)はなかろう。


 ()(そう)()まった大人(おとな)(れん)(ちゅう)

 ()(むすめ)(すが)るんだぞ。


 ()(ぶん)(わる)い。」



オルドラスは(そう)(ぞう)し、()()した。



「ドラスにしては(しん)(らつ)ねぇ。」



「おかしな(はなし)ではない。


 ()(むすめ)()()わせるには()()つんだ。


 だからおれが(しば)()けて、

 おれが()ぬまでおれを(うら)ませる。」



「あの(ちち)()てないのが、

 ドラスの()いところね。」



(ひと)()きが(わる)いことを()うな。」



二人(ふたり)だけの(じょう)(だん)

(となり)()くカーゼルは(わら)えずにいる。



ネルタで()(りょ)になったオルドラスに、

カヴァは(かれ)(いもうと)のサンスァラ(おう)(じょ)

(せい)(りゃく)(どう)()として使(つか)い、(だい)(よう)(ひん)にした。



()もなく(かく)(めい)()きたネルタでは、

サンスァラ(おう)(じょ)行方(ゆくえ)()(めい)になり、

カヴァには(かの)(じょ)(みぎ)(うで)だけが(かえ)ってきた。



それから20(ねん)(せん)(そう)()()れていた。



(かれ)(かお)には(きず)()(がい)にも(ふか)(しわ)(きざ)まれ、

(ぎん)(いろ)(かみ)には(はく)(はつ)()ざって、

()ぎた(ねん)(げつ)(かん)じさせる。



わたしは(かん)(じょう)(おさ)え、(くち)(ひら)いた。



「ケイロウの(むすめ)(ちょう)(じょ)のラミーは

 ヒュルゲンの(やかた)(ろう)(かん)(びょう)()


 ()(じょ)のニクスも()にました。」



「ようやく(しゃべ)ったな。


 だが()せもせぬ(した)(しん)じろというのか?」



オルドラスがその(するど)()をわたしに()ける。



宝飾巾(ヴェール)(した)で、

(くちびる)(ふる)えるのが()かって(かる)()んだ。



「この(まち)(みなみ)にある、

 ()(そう)()()(ろく)調(しら)べればいいわ。


 わたしの(こと)()よりも(まち)()(ろく)(ほう)が、

 いくらか(しん)じられるわね。」



()()らぬ()(むすめ)(こと)()など、

 (しん)じるはずなかろう。」



(さかづき)(そこ)でテーブルを()()くオルドラスは、

わたしが(そう)(てい)した(とお)りの()(じょう)()べた。



「いつまで()っても

 (ひめ)(さま)(しょう)(かい)してくれないもの。


 わたしの()(まえ)はナルシャのサンサ。


 この()はイオスよ。」



(となり)(すわ)るイオスは(しょう)(かい)されると、

テーブルに(まえ)(あし)()せて(へん)()をした。



ムネモスが(うし)(あし)()まれている。



わたしは(はる)()んだ(あか)(がみ)()()

ウラの()()(よう)し、サンサ(ほん)(にん)(まえ)

サンサを(かた)った。



「ご(よう)(ぼう)(どお)()()っても

 まだ(しん)(よう)()りないのかしら。


 これはきっとこの()(まえ)のせいで、

 ()(ごろ)のやらかしが(げん)(いん)なのね。


 わたしの()きな(ほん)()(もの)()げたら

 (しん)(よう)して(もら)えるかしら?」



()わなくてもいいわよ、サンサ。」



わたしの(てい)(あん)に、

サンスァラ(おう)(じょ)(わら)いを(こら)えて(ふる)えている。



「なぜお(まえ)がそれを()っている。」



(むすめ)(たち)()は、

 わたしの(つか)いが(かく)(にん)()ませているわ。


 (とう)()()でも(こう)(めい)

 『(もり)(けん)(じょ)』の(こと)()(うたが)うのなら、

 まずはわたしを(うたが)うべきね。」



――(もり)(けん)(じょ)って…。



サンサを()()ったせいで、

(おう)(じょ)がオーブで(みん)(しゅう)から()けられた(けい)(しょう)

わたしに()()けてきた。



()(ぶん)(しょう)()たないわたしは、

なにも(しょう)(めい)できない。



(ぐん)(ひき)いるオルドラスもこの(まち)(はい)れず、

()(そう)()()(ろく)調(しら)べることはできない。



――わたしの(かお)(おぼ)えていなければ…。



(しん)(よう)(こう)(どう)(しめ)すしかない。



わたしはケープの頭巾(フード)()り、

宝飾巾(ヴェール)(くび)(もと)()げて(かれ)らに(かお)()せた。



(あせ)(ひたい)()()いた(まえ)(がみ)(ととの)える。



「…ふん。どうだ?」



オルドラスがカーゼルに()(けん)(もと)めた。



「ネルタで()(むすめ)(ぜん)(いん)()(ほそ)って、

 ()たような(かお)ばかりでしたからな。


 (きょ)(ねん)(いち)()()ただけの()(むすめ)なんて…。


 だが()(じょう)(ごう)(たん)(せい)(かく)は、

 サンスァラ(じょう)()ておいでだ。」



「お(まえ)(にん)(しき)してるスァラが、

 おれと(いっ)(しょ)であることを(ねが)うよ。」



「わたしの(かお)

 (おぼ)えていなかったカーゼルよ?


 それ、(くわ)しく()きたいわね。」



サンスァラ(おう)(じょ)二人(ふたり)(かい)()(さん)()すると、

カーゼルが(くち)(ひら)いたまま(くび)(よこ)()った。



――サンスァラ(おう)(じょ)()てるだなんて、

  これを()(じょく)()()って

  (おこ)って()せるべきかしら…。



(かん)(じょう)()かせて(おこ)()(かい)(うかが)っていると、

オルドラスが(ぎん)(ぱい)をわたしに()()す。



「ドラス、その()()まないわよ。」



(さけ)(はい)ってはいない。


 これはただの()(ぼく)(あかし)だ。」



(おとこ)(くさ)いわねぇ。」



サンスァラ(おう)(じょ)(わら)う。



わたしは(ぎん)(ぱい)(ひだり)()にし、

(かれ)(どう)()真似(まね)(かか)げる。



()(めい)による(かり)()めであっても、

(かれ)から(ゆる)しを()たわたしは

これ()(じょう)(つい)(きゅう)をされずに()んだ。



挿絵(By みてみん)




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