表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第10章 怨讐の環

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/163

第10章 第2節 献身の王女(第3項)

マルフはサンサからの

(きょう)(はく)めいた(せっ)(とく)(くっ)し、

(へい)()(たち)(もん)(かい)(ほう)(めい)じた。



(げん)(ろう)(いん)()(かい)(めい)(れい)()ざされた西(さい)(もん)も、

(げん)()()()する(そう)(とく)(はん)(だん)

(たん)()(かん)(かい)(ほう)(きょう)(こう)した。



「ペタの()(だい)(りょう)(しゅ)()(けん)など、

 わしの()ったことではないわっ。


 お(まえ)はメルセ(りょう)()(いぬ)か。」



マルフが(うす)(じろ)(はだ)(おとこ)()(とう)する。



挿絵(By みてみん)



(げん)(ろう)(いん)から(じき)(じき)()(けん)された(わたし)(たい)して、

 なんという(くち)()(かた)だっ。


 ()(さん)(がい)(ひも)()しめっ。」



(おご)った(おとこ)もマルフを()(とう)する。



(おとこ)(どう)()(ひん)のない(くち)(げん)()のせいで、

(へい)()(たち)がこちらを()(あし)()める。



わたしは(かか)えているイオスを

ムネモスに(あず)けて(ひだり)()()り、

(だま)って(へい)()(たち)()(ぎょう)(うなが)す。



(ひだり)(うで)()きつくムネモスが

(にら)(へい)()(たち)(こわ)がっていたけれど、

この()()()(ののし)()いは

()(そう)(どお)(なが)くは(つづ)かない。



「ならば(した)()調(ちょう)()(いん)(ごと)きが、

 (そう)(とく)(けっ)(てい)()えるな。」



()(りょ)(おう)()(しり)()()すつもりかっ。」



(くち)(さび)しいのならば、

 お(まえ)(しゅ)(じん)()った尻尾(しっぽ)でも()んで

 (だま)っておれ。」



()(とう)(おう)(しゅう)(すえ)に、

()(けん)調(ちょう)()(いん)という(おとこ)をマルフは()(はら)った。



(てき)(ぜん)()たされる(へい)()(たち)が、

(そう)(とく)調(ちょう)()(いん)(あい)()にして

(がい)(しょう)のように(へつら)(ひつ)(よう)はない。



それでも(じょう)(かん)から(めい)(れい)()けた()(あい)

(へい)()(すみ)やかに(じっ)(こう)すべきであり、

(じょう)(かん)からは(しっ)(せき)()けていた。



(こう)(ふん)するマルフはわたし(たち)()て、

(なが)(いき)()くと(れい)(せい)になり、

()(けん)(ふか)(しわ)()せた。



(あと)のことを(かんが)えればマルフは(せき)(にん)()われ、

(げん)(ろう)(いん)から(あた)えられた(そう)(とく)()()

(うしな)()(のう)(せい)(たか)い。



(かわ)(すい)(りょう)()(はじ)めた。



西(さい)(もん)(かげ)(かく)れる(かわ)には(すい)(しゃ)があった。



()(ぐるま)(せつ)(ぞく)された(すい)(しゃ)によって

(きょ)(だい)(もん)(きし)み、(すい)(ちょく)()()げられる。



わたしの()んでいたネルタでは、

(すい)(しゃ)()たことがなかった。



(すい)(しゃ)があれば(みず)(なが)れる(ちから)()(よう)して、

(いし)(うす)(まわ)し、(すい)(たい)()(つづ)けられる。



(おも)(いし)(うす)()(まわ)して

ブレズの(こな)()かなくても()む。



(すい)(しゃ)(ゆう)するこの(まち)では、

(こな)()きという()(ごと)(そん)(ざい)しない。



エルテル(りょう)(つく)られたブレズの()(じつ)は、

(まち)(いっ)(かつ)して()うことで

パンの()(かく)(こう)(とう)()(らく)(ふせ)いでいる。



挿絵(By みてみん)



(そう)(とく)(すい)(りょう)調(ちょう)(せい)()()し、

(すい)(しゃ)(うご)かす(けん)(のう)はマルフが()っている。



(すい)(たい)使(つか)って(たい)(りょう)(せい)(ふん)されたものが、

(ぎょう)(しゃ)(とお)して(よる)(やかた)にも(はい)ってくる。



(いそが)しく(たい)(れつ)(つく)(へい)()(かぞ)え、

()()(しき)に2(しん)(ほう)(ゆび)(うご)かしてしまい、

(ひじ)から(ぜん)(しん)(げき)(つう)()たれる。



(ぼう)(へき)()()(だい)()(しょう)(へい)(こえ)(はな)つと、

12の()(へい)(もん)(そと)()て、

50の(へい)()(けん)()てる。



(へい)()(そと)には()ずに(けい)(かい)する。



()こり()(みん)(しゅう)からの(ぼう)(どう)

(よく)()しなければならない。



――マルフが(ない)(ゆう)(がい)(かん)()(いた)める()(ゆう)は、

  サンサにもあると(おも)うわ。



サンサは(へい)()(たち)(せん)(どう)(こば)み、

わたしはムネモスと(なら)んで

(かの)(じょ)(うし)ろを(ある)いた。



「ニクスはドレイプと(そん)(しょく)ないわね。」



「これは(わる)()()ちっていうんだよ。」



サンサとムネモスは(こく)(よう)(もう)のコートで、

ケープも宝飾巾(ヴェール)(すべ)(くろ)(いろ)(そろ)えている。



わたしは(はく)(よう)(もう)のコートを()て、

(あか)(いろ)のケープと宝飾巾(ヴェール)(とお)()でも()()つ。



(みぎ)(うで)(かく)(ため)(かた)(むす)んだ(くろ)()(かざ)(ぬの)

(しろ)()のイオスで(たい)()()()ている。



わたしのケープは()()(こわ)れてしまい、

(あな)(きん)()(おび)(ひも)(とお)して(だい)(よう)した。


(むな)(もと)()れた(おび)(ひも)(しょく)(しょ)()えるせいで、

マルフはドレイプと(かん)(ちが)いしていた。



(いち)(ばん)()()つのは(くろ)(いろ)のソックスだった。



これはスーが(よう)()してくれたものだから、

()かないわけにもいかない。



この(まち)にやってきた(とき)()西(さい)(もん)(とお)ると、

(まち)(おな)(にび)(いろ)(そら)(ひろ)がる。



ムネモスが(おび)える(はい)()には、

(へい)()ではないひと(たち)()る。



()()(ぎょう)(しょう)(すう)(にん)

()いた驢馬(ろば)()(ろう)(じん)が、

(おり)(もの)()()ったまま(うし)ろをついて(ある)く。



かれらは(もと)(ぼう)(へき)(そと)()んでいたひと(たち)



()(しゃ)か、(どう)()か。』



(すく)なくともわたし(たち)は、

かれらの()(どう)(しゃ)ではない。



(うし)ろを(ある)くハーフガンは、

(ぎょう)(しょう)(にん)(たち)(ちか)づかないように

(けん)(せい)してくれている。



「ずっと()てきますね…。」



ムネモスが(うし)ろを(なん)()()()いて(おび)える。



(かれ)らは(まえ)()(ある)いているに()ぎない。



()(りょく)(みん)(しゅう)(おそ)れるのは

 エリク(きょう)(おし)えかしら。


 (まえ)(ある)いている()()(ほう)(つよ)いのよ?」



わたしは()ってムネモスに(まえ)()かせた。



そんなわたしはすぐに(いき)()がってしまい、

ムネモスに(ささ)えられながら(ある)いた。



(けい)(しょう)(はげ)しく()り、()(へい)(まち)(もど)っていく。



()()けば(そと)(がわ)から()(ぼう)(へき)が、

(ぶん)(すい)(がい)(おお)(かく)している。



(さん)(みゃく)(ふもと)にまで()びた(ぼう)(へき)

(きた)(がわ)()(かん)(せい)で、()(さん)(がい)(がわ)から

(とお)()けることもできた。



(ぼう)(へき)西(さい)(もん)も、(さい)(しょ)から()いものと()える。



カヴァはまだ、この(けっ)(てん)()いて

(へい)(おく)()むには(いた)っていない。



マルフに(もん)(かい)(ほう)(めい)じたサンサには、

(みん)(しゅう)(ふん)(まん)(かい)(しょう)させる(ねら)いがあった。



西(にし)()びる(かわ)沿()いの(かい)(どう)(くだ)ると、

()(えい)するカヴァ(ぐん)(すい)(えん)()える。



(もん)(かい)(ほう)()()いて、

(てい)(さつ)()(へい)(ちか)()いてきた。



西(さい)(もん)はすでに()ざされている。



()(へい)(やり)()らされた

(あざ)やかな(あか)()(しゅう)()には、

カヴァの(くに)(しめ)(てい)(てつ)

(ぎん)()()った()(がら)(ひか)る。



()(りょう)(しゅう)()(こと)なり、

カヴァの()(がら)(しら)(いと)()わない。



()(へい)(みが)かれた(ぎん)(いろ)(きょう)(こう)が、

(くも)(ぞら)(もと)でも(かがや)いていた。



(おんな)ぁっ! (しょう)()といえど

 これ()(じょう)(ぐん)への(せっ)(きん)(ゆる)さんぞぉ!」



(ひく)(あつ)みのある(こえ)()(かく)する。



サンサは()(へい)()()げ、(こえ)()った。



(ほん)(たい)(もど)って

 あなた(たち)のご(しゅ)(じん)(さま)(つた)えなさい。


 『(みぎ)(うで)(あるじ)』が()いに()た、とね。」



()(へい)(たち)(かお)()()わせると、

(こう)(ほう)の2()(きょ)(てん)へと(はし)り、

(のこ)った2()がわたし(たち)

(せん)(どう)する(かたち)(まえ)(ある)いた。



(みぎ)(うで)(あるじ)…?」



ムネモスがわたしを()()(もん)(ふく)(しょう)する。



――わたしはサンサの(みぎ)()ではないわよ。



ムネモスに(くび)()って()(てい)する。



――(ちち)、ケイロウを(ころ)したオルドラス。



――()()にネルタで(つか)まった(おう)()

  オルドラスの()()わりになった

  (けん)(しん)(おう)(じょ)()た。



――20(ねん)(むかし)()()(ごと)で、

  ()まれる(まえ)のムネモスは()らない。



――西(さい)(もん)(かい)(ほう)した()(みょう)(しょう)()を、

  カヴァの(ぐん)(ひき)いるオルドラスは

  どう()るのかしら。



わたしの(なか)(いろ)(いろ)(かんが)えが(うず)()く。



――(かれ)(たん)()(かん)(しゃく)()こす(あん)()なら、

  (ぐん)(たい)()させたままにはしないはず。



――西(さい)(もん)(かい)(ほう)され(しょう)()(おく)()まれても

  (ぶん)(すい)(がい)()めなければ

  (かれ)(おく)(びょう)(もの)(あざけ)られるわね。



()(へい)(ゆう)(どう)されて(かい)(どう)(はな)れると、

(へい)()(たち)(れつ)()してわたし(たち)(ほう)()する。



()(えい)はハーフガンだけの(たよ)りない()(ふだ)



()(なん)(ばい)(なが)(やり)

(ぎん)(そう)(しょく)(てつ)(ぼう)(うま)(えが)かれた(きょう)(こう)

(こし)()(ゆう)(ちょう)(けん)(たん)(けん)()いている。



(れつ)()こうには、

(いく)(にん)かの(おんな)()(ども)姿(すがた)もあった。



(しっ)()(かっ)(こう)をした(かの)(じょ)(たち)は、

(ぐん)()(したが)う『(しょう)()(だん)』だった。



(ぜん)(ぽう)(ある)いていたサンサが()()いて、

(うし)(ある)きのままハーフガンに()()けた。



「あなたは(けん)()かずに(だま)っていなさい。

 あなたは――。」



()(ども)(まも)るのが()(ごと)だろう。」



(たよ)りにしているわ。」



ハーフガンは(うで)()んで()(まん)(あら)わにし、

サンサは()らした(かみ)()(ゆう)()らした。



()(へい)()わって(まゆ)(はし)(きず)のある(おお)(おとこ)が、

(けわ)しい(かお)でわたし(たち)(まえ)(ある)いた。



(きょう)(こう)()けていない(しょう)(ねん)(たち)は、

いくつもの(あな)()っている。



わたし(たち)()かう(さき)(はか)(あな)ではない。



()(えい)()(おく)まった(たか)()(しょ)(せっ)()された

(えん)(ちゅう)(じょう)(たて)(もの)()()している。



()(ぬの)とロープで()()てられた、

アイリアの()(きゅう)ほどの(おお)きさがあった。



()(さん)(がい)()かけた(じゅう)()(かさ)ねただけの、

()(ひく)(かん)()(じゅう)(たく)をテントと()ぶ。



テントと(どう)(よう)(かん)()(たて)(もの)であっても、

ひとが()って(ある)けるだけの(おお)きさの(じゅう)(たく)を、

カヴァでは(てん)(まく)(てい)()して()(しょう)した。



(うま)()(しゅう)がされた(てん)(まく)には、

()(きず)(あな)()(しゅう)した(けい)(せき)がいくつもある。



サンサは(こし)のナイフを(しょう)(へい)(あず)け、

(かざ)(ぬの)(ほど)いて()(わん)(はず)した。



「ムネモス。()ってあげて。」



わたしが()うと(おお)(おとこ)(まえ)()(ふさ)がる。



わたし(たち)()(えい)のハーフガンは、

(てん)(まく)(そと)()たされることを()()する。



「カーゼル。

 そっちの二人(ふたり)(なか)()れなさい。」



()()ってもいないのに

()(まえ)()ばれた(おお)(おとこ)のカーゼル。



挿絵(By みてみん)



(しょう)()のお(まえ)(めい)(れい)できる(たち)()か。」



(ぎん)(いろ)(ひとみ)()(ひら)いて、

(けん)()(にぎ)ってサンサを()(かく)する。



ムネモスが()(めい)()らし、

イオスが(いや)がる(こえ)(ひく)(なが)()く。



(ぐん)(おとこ)がそんな(こわ)(かお)

 (おんな)()(ども)(あい)()(おど)したって、

 (かっ)(こう)がつかないわよ。


 これ、(まえ)にも()ったわね。」



カーゼルが()(けん)(ふか)(しわ)(きざ)み、

(はな)(わら)ってから(うなず)いた。



「ならばその(ほそ)(くび)なんぞ

 いつでも()られると(おも)え。」



(あご)(かる)()()してわたしを()()ぶ。



(ごう)(たん)なお(ひめ)(さま)ね。」



ムネモスに()かって(ささや)いたのに、

(まえ)()つサンサは()(のが)さない。



(ごう)(たん)ってそれ、あなたのこと?」



(だま)って(はい)れ、(きず)(もの)め。」



()()(つづ)けるサンサに

カーゼルが(かの)(じょ)(かみ)()()った。



サンサは(おどろ)いて()(めい)()らす。



(おんな)(あつか)いが下手(へた)(おとこ)ね。」



「なんだとぉ!」



わたしがカーゼルを()(じょく)すると、

(かれ)(かお)(あか)くして(こう)(ふん)する。



()(かい)できないようなら、

 もう(ひと)()わせて(もら)うわね。


 (かの)(じょ)(あい)()(しつ)(れい)()ぎれば、

 あなたの(くび)()()とされるわよ。


 ケイロウみたいにね。」



()わせておけば、このぉ!」



「なにを(さわ)いでおるっ!

 (はや)くせんかっ。」



(てん)(まく)から(あらわ)れた (せん)(ほそ)(おとこ)



挿絵(By みてみん)



「こいつらただの(しょう)()だ!」



(かん)(じょう)(たかぶ)らせたカーゼルは(おとこ)()()る。



「あんたが(はん)(だん)することではないっ。


 (にせ)(もの)(はん)(べつ)した(あと)で、

 ()きに(ごう)(もん)でもすれば()かろう。」



(きょう)(こう)(ちゃく)(よう)していなければ

(けん)()いていないこの(おとこ)は、

()(ぜん)とした(たい)()でカーゼルを(しか)った。



「チッ! (えら)そうに…。」



(した)()ちをして()(まん)()らすカーゼルは

なにも()(かえ)せない。



(となり)()(わん)()いたムネモスは、

(ごう)(もん)という(おど)(もん)()(おび)えていた。



「さて、ドラスはどんな(かお)

 ()せてくれるのかしらね。」



サンサを(けい)(かい)したまま(てん)(まく)()(ぐち)(ひら)き、

わたし(たち)(なか)()れられた。




 ◆




カヴァの(へい)()(たい)(りく)()(れい)(くら)

()(がら)()える。



(てん)(まく)(なか)(へい)()(くっ)(きょう)(にく)(たい)()ち、

(いた)(いた)しい(きず)()(しゅつ)していた。



(はい)(いろ)(ぎん)(いろ)(ひとみ)はわたし(たち)(てき)()と、

(けい)(かい)(いろ)(つよ)めている。



ムネモスは(おび)え、そんな()(むすめ)(はん)(のう)

(たの)しむ(わか)(へい)()()もあった。



わたしはハーフガンに()れていたので、

エルテル(りょう)()()とカヴァの(へい)()()(くら)べた。



(いかめ)しい(かお)でも(かみ)(ひげ)(ととの)えられている。



(きょう)(こう)(てい)(ねい)に磨かれ()()れが()(とど)き、

(どく)()()(てき)()(ねん)()つ。



――ハーフガンも()(なら)うべきね。



()()(おんな)、もっと(ちか)()け。


 その(くび)()()とせるくらいに。」



(てん)(まく)(おく)(すわ)

(くら)(ぎん)(ぱつ)(おとこ)(ひく)(こえ)に、

わたしは()(はな)せなくなった。



――オルドラス。



挿絵(By みてみん)



ネルタと20(ねん)(およ)(たたか)いを(つづ)け、

オルドラスは(ほお)(ひたい)(きず)(のこ)している。



ネルタの(おう)

ケイロウの(しょ)(けい)から1(ねん)()った。



――(かれ)はわたしを()っている。



(てん)(まく)()らす(かぜ)でわたしの()(なか)(ふる)え、

(みぎ)(うで)(げき)(つう)()たれる。



わたしはオルドラスに

()(まえ)(しゅつ)()()かしていて、

(かお)(おぼ)えられている()(のう)(せい)(たか)い。



(けん)(しん)(おう)(じょ)()(しょう)する(しょう)()が、

 いまになって()てくるとはな。


 これはマルフの(たばか)りか。」



「20(ねん)ぶりの(さい)(かい)なのに、

 (じょう)(だん)(たしな)むようになったのかしら

 ドラスは。」



(しょう)()がおれをその()()ぶな!」



(から)(ぎん)(ぱい)(かの)(じょ)(みみ)(よこ)()げつけて

(けん)()()くと、その(けん)(さき)

サンサの(くび)()けて(おど)す。



「ふふっ。

 あなたが()っての(とお)(しょう)()(むすめ)だもの。


 (わか)(ぎわ)(もら)った、

 (みぎ)()(ゆび)()はもう()いから、

 (しめ)せる(しょう)()(かぎ)られるわね。」



(かの)(じょ)(うしな)った(みぎ)(うで)()てから、

頭巾(フード)宝飾巾(ヴェール)(はず)す。



「オルデウスの(むすめ)

 カヴァ・ナルシャ・サンスァラが、

 あの()(やく)(そく)(どお)()いに()たわよ。」



「この(けん)(まえ)にまだ(きょ)(げん)(ろう)すか!」



()(てい)するオルドラスが(さけ)ぶ。



サンスァラ(おう)(じょ)()()(おんな)(かお)()て、

(おどろ)きと(きょう)()(ちか)いものを(いだ)いていた。



(しょう)()のように(はだ)でも()せたら

 (しん)じて(もら)えるのかしら。」



ドレスの(うわ)()(まく)()げ、

(あさ)ましく(はだ)()せている。



オルドラスの(へん)()する(ひょう)(じょう)()て、

(かの)(じょ)(くち)(もと)()(しょう)()かべているのは

()(なか)()しでも(そう)(ぞう)がつく。



「まさか…。(もう)(じゃ)か?」



(しょう)(かん)(がよ)いで(おんな)()()()(しょう)

 (やしな)われたのでしょうけれど、

 異母妹(いもうと)(もう)(じゃ)()(べつ)

 つかなくなったのかしら?


 ふふっ。

 これも()(ぜん)(おな)じことを()ったわね。」



オルドラスは(けん)()(めん)()()てた。



(くび)(もと)から(くび)(かざ)りを()()すと(ひも)(ほど)いて、

(きん)(ぎん)(つく)られた(ゆび)()(ふる)える()(つま)む。



挿絵(By みてみん)



オルドラスはサンサの(まえ)(かた)(ひざ)()き、

(かの)(じょ)()()した(ひだり)()(かん)()

その(ゆび)()(とお)す。



「わたしには()ぎた(ゆび)()ね。」



サンサの(こと)()はオルドラスに(かく)(しん)(あた)えた。



「もう()えないものと(おも)っておった。」



(うま)()られて()()めた(とき)にも

 (おな)じことを()われたわ。」



()()(まえ)でオルドラスは(にが)(わら)いを()かべ、

(はばか)らず(なみだ)(こぼ)した。



「あれは(いぬ)()えたからだぞ。


 スァラ…。()いたかった。」



()ってるわよ。…わたしもよ。」



オルドラスはサンサの()(せっ)(ぷん)し、

(ひたい)をつけて(あたま)()げると(ゆる)しを()う。



サンサは()(たし)かな(しゅつ)()(しめ)し、

()(かい)できるのはこの()のオルドラスのみ。



カーゼルや(かれ)(そっ)(きん)(こん)(わく)している。



20(ねん)(まえ)()(りょ)になったカヴァの(おう)()

オルドラスの()わりに、(はら)(ちが)いの(いもうと)

サンスァラ(おう)(じょ)がネルタに(おく)られた。



――『(けん)(しん)(おう)(じょ)』。



ネルタに(はい)った(かの)(じょ)行方(ゆくえ)(くら)ませ、

(みぎ)(うで)だけがカヴァに(もど)ってきた。



わたしの(うで)()()るムネモスは、

(じょう)(きょう)()(かい)できずに()(もん)()かべていた。



わたしもオルドラスの(まえ)では(はつ)(げん)できず、

イオスの(ひたい)をまだ(うご)かない(ゆび)()でた。




 ▶

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ