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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第10章 怨讐の環

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第10章 第1節 鈍色の蓋(第2項)

(となり)はムネモスが使(つか)うわよ。


 いまのあなたはなにもできないもの。


 (きず)(ふさ)がるまで退(たい)(くつ)だと(おも)うから、

 スーの(わす)(もの)をあなたに

 (あず)けておくわね。」



(よう)()()(たば)がわたしの()(まえ)()かれ、

(かぜ)()けて()()じた。



挿絵(By みてみん)



「スー…。」



()()せず()てなさい。


 まだしばらくは

 あなたに(まか)せられる()(ごと)()いもの。」



――わたしの、()(ごと)…。まだ?



サンサから(あた)えられた()(ごと)といえば、

(きゅう)(よう)()(ひら)かれる(べん)(きょう)(かい)くらいなもので、

いまの(じょう)(たい)でそれが(つと)まるとは(おも)えない。



それにサンサやメノーが(やかた)にいれば、

わたしの(べん)(きょう)(かい)よりはよほど(ゆう)()()なはず。



(よう)()()()れて(ひだり)()(うご)かすと、

()(なか)(つう)じて(みぎ)(うで)(いた)んだ。



(あさ)()(きゅう)()(かえ)し、

(いた)みの(なみ)(おさ)まるのを()つ。



スーのベッドの(よう)()()は、

()(ぜん)にいくつか()(とお)したことがある。



(たい)(りく)()らない()(めい)(かい)(しゃ)使(つか)

(きゅう)(きん)(しゃっ)(きん)()(ろく)や、(りょ)(こう)(さき)(けい)(かく)



(しゃ)(ほん)()(そん)じ、()(がみ)(こい)(ぶみ)(した)()き、

(さん)(ぱつ)(てき)(しい)()(だん)(ぺん)()(ども)()(まえ)(れん)(しゅう)



()(きん)(ぞく)(ひん)()(がわ)(そう)()(へん)(どう)に、

(うわ)()きされる()らないひとの(にっ)()



(どう)(ぶつ)(かい)(たい)()(はい)(かん)(さつ)()(ろく)

()(そう)()と、(あじ)調(ちょう)()(ほう)(ほう)()(じゅつ)



(すべ)てエンカー()()かれている()(がい)

(かん)(れん)(せい)()()たらない。



これらの(かみ)は、(たい)(りく)から()

(とう)()()(かん)(しょう)(ざい)にされ、

(はこ)()められている。



(ほん)(らい)()てられるはずのものを

スーは(あつ)めて()らかし、(なが)めていた。



わたしが(くう)(ふく)()()ますと、

山羊(やぎ)のお(ちち)()かしたパン(がゆ)

ポッポを(つぶ)した(あじ)のないスープが、

ムネモスによって(まい)(にち)()(なが)される。



挿絵(By みてみん)



(あじ)(うす)いスープばかりで

()(こう)(しょく)(ぜん)(いの)りは、

ヤゴウへの(よう)(ぼう)(くち)()すことにした。



「またアラズ(こう)(ぼう)()(つづ)きを、

 ()かせてください。」



「んー。」



ムネモスがわたしのベッドに(すわ)ると、

(ほん)()ってきて(さい)(そく)する。



(しょく)()()(がい)()きている(とき)のわたしは、

アラズ(こう)(ぼう)()という4(さつ)(あつ)(ほん)

()()えられるほど、なにもしてなかった。



わたしの(かい)(じょ)()(かん)()(あま)している

ムネモスには、(たい)(りく)()(べん)(きょう)ついでに

(こう)(ぼう)()()()かせをした。



(した)部屋(へや)のファウナが()(ごと)()(ちゅう)に、

(うらや)むような()部屋(へや)(のぞ)()するので

(こえ)()けないように(つと)めた。



挿絵(By みてみん)



ファウナに()(せん)()けると、

(かの)(じょ)()げられてしまい(かか)わり(かた)(むずか)しい。



退(たい)(くつ)()(あま)して(ひる)()るとイオスが

わたしの(むね)(まえ)(あし)(なん)()()みつけて、

(かお)(うし)(あし)()せて(きず)()(がい)(くる)しめた。



――(かお)(でん)()()けないでよね。



(くる)しいのはわたしだけではない。



この部屋(へや)(ねむ)るムネモスも、

イオスが()っても()ないのに(くる)しんでいた。



ムネモスを(じゅう)(ぎょう)(いん)部屋(べや)

メノーと(いっ)(しょ)()させない()(ゆう)()かった。



「お(とう)(さま)…お(かあ)(さま)…クロノ…。」



あの()()(けん)(あく)()()て、

()(きょう)()(ぞく)()(まえ)()んでいた。



――スーも()(ぜん)

  (あく)()(くる)しんでいたわたしを

  こんな(かぜ)()てたのかしら。



わたしはムネモスの(もう)()()(なお)して、

(かの)(じょ)(くる)しみが(はや)(やわ)らぐのを

(いの)ることしかできなかった。



()(けん)から(なん)(にち)()ぎると、

(みぎ)(うで)に巻かれていた(かわ)()(のぞ)かれた。



(あか)(こく)(へん)している(ぜん)(わん)は、

わたしでも()かる()(たい)(しゅう)(はっ)した。



(ぬる)()(ひた)したタオルで(かる)(あか)()()とす。



(ぬの)(きず)(ぐち)()れると(いた)みで(ひじ)(けい)(れん)する。



(うで)(きず)(たて)(まっ)(すぐ)()び、

(きず)(ぐち)()れて(ふく)らみ、(ゆが)んでいた。



イオスに()()かれてできる

(きず)(あと)にも()ていても、

(ひろ)さや(ふか)さは(こと)なる。



(あか)(ほそ)(いと)(きず)(ぐち)()()わせ、

()()()()りしていた。



(うで)(あか)()()った(あと)で、

オレームの(あぶら)(たい)(りょう)()っていく。



(ほん)(とう)にこれ、()くの?」



「もちろんよ。

 (いた)くないわよ。たぶん。


 ()(あん)ならまた(かい)(けい)()んでみる?」



「それは(いや)…。」



セリーニの(かい)(けい)(あじ)や、

(しゅう)()(おも)()しただけで()(ぶん)(わる)くなる。



「ふふっ。いくわよ。」



(いや)がるわたしを(よろこ)んだサンサは、

(にぎ)(ばさみ)(いと)()つ。



ムネモスが()()(あな)(ひろ)げ、

サンサが(いと)()いていく。



サンサの()(とお)(いた)みは()かった。



(あか)ネイプの()()けを

(はじ)めて()べた(とき)(おな)じく、

(かみ)()(あな)(すべ)(ひら)くような

()(みょう)(かん)(かく)(おそ)われる。



「うわぁわぁ…。」



わたしに()わってムネモスが(こえ)()らす。



(あら)(とき)()むように(あら)いなさい。


 (いと)(とお)していた(あな)(きず)(おな)じだから、

 (つめ)()()いたり(よく)(じょう)(はだ)()()

 使(つか)ってはダメよ。」



(へん)(しょく)した(みぎ)(うで)にイオスが(はな)(さき)(ちか)()けると、

わたしに(かお)()け、(くち)()けて(かた)まった。



イオがわたしの(みぎ)(うで)()けて

(うし)(あし)()って(もう)()()けようとすると、

サンサとムネモスが(こえ)()して(わら)う。



(みぎ)()(しょう)()(うご)かない(うえ)に、

どの(ゆび)(うご)かせば(はげ)しい(いた)みがあり、

(かる)(ひね)ることも(こん)(なん)だった。



まだしばらくのあいだ、

ムネモスが(かい)(じょ)してくれた。



(しょく)()(よく)(じょう)はまだしも、

()()(じょう)にも()()うつもりでいたので、

メノーと(おな)じくわたしも(ことわ)る。



(かの)(じょ)(みぎ)()のみならず(ぜん)(しん)(あん)()をし、

(にゅう)(えき)()り、(かみ)()き、(つめ)()って(みが)き、

(しょく)()(ふく)(よう)()をしてくれる。



わたしはムネモスの(かい)(じょ)()(まん)はなく、

(かの)(じょ)使()(よう)(にん)真似(まね)(ごと)をして、

(まい)(にち)わたしに()(がお)()ける。



(さむ)さが()し、()(しょう)(しつ)(かぎ)はいま、

ムネモスと(しん)()りのゼニが(かん)()していた。



挿絵(By みてみん)



ゼニはわたしが()()(いん)(えら)んだフランジで、

(ばん)部屋(べや)のセセラの(もと)(はたら)いている。



挿絵(By みてみん)



(きず)()()()(あな)(ふさ)がっても、

(みぎ)()()(ゆう)(うご)かせない。



(ひだり)()(しょく)()()()ても()()()けず、

(やかた)(なか)(ある)けても(たい)(りょく)(おとろ)えており、

(どく)(しょ)ができても(べん)(きょう)(かい)はなかった。



(にん)(しょう)(かん)()のファウナの()()は、

(ふた)()のミニとアミが(たん)(とう)している。



挿絵(By みてみん)



(ふた)()()(ごと)()きては部屋(へや)()()し、

()(がみ)かゴミを()ってきてわたしに(ろう)(どく)させ、

(おお)(はしゃ)ぎしてムネモスに(あき)れられていた。



(やかた)()(ごと)がなにもできないわたしは、

部屋(へや)から()()にもならなかった(ため)に、

(ふた)()(たよ)られるのを(ない)(しん)(よろこ)んでいた。



(たい)(りく)()(べん)(きょう)をするムネモスと(きゅう)(けい)に、

(しい)()(ふだ)(あそ)びを(おし)えていた()(あさ)だった。



「…ふぇ?」ムネモスから()(みょう)(こえ)()た。



わたしが(よる)(ほし)(ふだ)()して(ぎゃく)(じゅん)にすると、

(おお)きな(あたい)(すう)()(ふだ)ばかりを(のこ)していた

ムネモスは、()かりやすいほど(あせ)()す。



二人(ふたり)(とも)()()けるわよ。」



(ひだり)()での(せい)(かつ)()れてきた(ころ)

サンサが()(しょう)(しつ)から(はく)(よう)(もう)のコートを

わたしのベッドの(うえ)()いた。



「うん?」



「でしたらもうお(しま)いですか?

 え? あれ…。」



ムネモスは()(ふだ)(こう)(かい)して(うご)きを()めた。



(かお)()げてサンサを()ると、

サンサの(くろ)かった(かみ)

(にび)(いろ)へと(へん)()していた。



挿絵(By みてみん)



いつもの(かた)(とど)(てい)()(くら)(くろ)(かみ)から、

(ぎん)(ちか)(ちょう)(はつ)()()みに()わっている。



サンサはレナタと(おな)じドレスを()ていた。



ドレスは(じょう)(はん)(しん)()(はん)(しん)()かれた(ふく)で、

()(はん)(しん)(がわ)(すそ)(くるぶし)まで(なが)()び、

()()()けられている。



「どうしたのですか、サンサお(ねえ)(さま)?」



(うご)かずにいたムネモスがようやく(たず)ねた。



「これをニースというのよ。」



「…ニースだわ。」と、わたしも()う。



ニースという(たん)()(さま)(ざま)()()()つ。



ネルタでは『()(つう)ではないもの』を(しめ)し、

オーブ(りょう)では(かみ)のように(おそ)れられていて、

(ぶん)(すい)(がい)では『()からないもの』の()(げん)



サンサはニースのことを()(ぜん)に、

(きん)(そく)()にある()()みと(せつ)(めい)した。



「…サンサはずっと、

 (すす)()めでもしてたの?」



()(はつ)でもない(かみ)(へん)()に、

()()(かん)(まと)わりつく。



()(まえ)()えて()(かく)すにも、

 (とう)(はつ)(てい)()(とど)めておかないと

 (しん)(よう)(そん)じるものね。」



サンサは(あつ)()頭巾(フード)()いた(くろ)のケープに、

(くろ)宝飾巾(ヴェール)(よう)()する。



(かの)(じょ)によく()()う、

(こく)(よう)(もう)のコートを()ている。



(くろ)(ふく)(うえ)

(にび)(いろ)(かみ)(あか)るく()える。



(そと)(さむ)いから、

 二人(ふたり)にパイル()()頭巾(フード)宝飾巾(ヴェール)

 ()ってきたわ。


 (くう)()(かわ)いて(ほこり)っぽいもの。」



ムネモスとわたしは(かお)()()わせた。



「え? 3(にん)で?」



頭巾(フード)宝飾巾(ヴェール)はドレイプが()けるもので、

フランジは(ちゃく)(よう)する(ひつ)(よう)はない。



(そと)、…(くれ)(あい)(やかた)?」



(おび)えるムネモス。



(ゆう)(かい)()(けん)()(ぜん)西(にし)(とう)(もく)

ユヴィルが(しょ)(ゆう)していた(しょう)(かん)は、

(やみ)(やかた)()()っていた。



この(あか)(つち)(おか)()

(よる)(やかた)()せた()(まえ)(あざむ)き、

()(がい)(うった)える(きゃく)()た。



オーナーのルービィが

(やみ)(やかた)(しょ)(ゆう)することになると、

(あか)(がみ)(しょう)()(おお)いこともあって、

(ゆう)(ぞら)()()する(くれ)(あい)(やかた)へと()(まえ)()えた。



ネルタとカヴァとの(せん)(そう)で、

(なん)(みん)になった()(さん)(がい)(しゅっ)(しん)(しゃ)

(かどわ)かされて(はたら)いていた。



(くれ)(あい)(やかた)は、

 レデとジールが

 ()くやってくれてるわね。」



(にん)(しょう)(かん)()のファウナの(りゅう)(げん)で、

(どく)(りつ)(うわさ)された2(ばん)(ばん)部屋(べや)()(まい)



オーナーの()(らい)(くれ)(あい)(やかた)()き、

()(まい)(しょう)()(たち)()(どう)をする()(もん)になった。



フランジでしかないわたしが()くよりも、

レデとジールの()(まい)はドレイプとしての

(じっ)(せき)もあって(たの)もしい。



挿絵(By みてみん)



ただ一つ()(あん)(つの)る。



()(まい)(どう)()で、4(ばん)部屋(べや)だった

(いまし)め』の(ふた)()()つミュパも

(くれ)(あい)(やかた)(うつ)っていた。


挿絵(By みてみん)



「ニクスの(きょう)(いく)()(とど)いているって、

 ルービィが(めずら)しく()めていたわ。」



「あの()(たち)(きょう)(いく)なんてしてないよ。


 サンサが(げき)(じょう)()くから、

 わたしは(そう)(だん)(あい)()をしてただけだもの。」



(くれ)(あい)(やかた)()くのですか?」



「これから西(さい)(もん)()くのよ。」



サンサは一人(ひとり)()(わん)()()け、

(かた)(こく)(よう)(もう)のコートを()ける。



(かみ)(いろ)(なが)さだけではなく、

(くろ)(ねこ)のアルを()いていない姿(すがた)

()()(かん)(おぼ)える。



西(さい)(もん)? (かわ)西(せい)(たん)

 ドレイプの(かっ)(こう)で?」



()(もん)がいくつか()かんでも、

(たくら)みはすぐには(そう)(ぞう)できない。



(わたし)は、ここで()っていますね…。」



ムネモスは(がい)(しゅつ)(こわ)がる。



()(ぶん)(こう)(どう)でまた(だれ)かが()んでしまい、

(ひど)()()わされる()(あん)(さいな)まれている。



(たい)(せつ)なお(きゃく)さんが()ているから、

 そのお()(むか)えよ。


 それにムネモスには、

 ニクスのお()()もして(もら)わないと。」



「お()()って…。」



サンサはムネモスを(そそのか)す。



(たよ)りないと(おも)われているに(ちが)いなく、

(たよ)っている()(じつ)(そう)()ないので

()(てい)はできない。



サンサの(わる)(だく)みを(そう)(ぞう)してから、

わたしはムネモスの(まえ)()って、

(かの)(じょ)(うで)()いて()()がらせた。



()こう、ムネモス。(しん)(ぱい)いらないわ。」



(かた)(うで)()かないわたしが()ったところで、

ムネモスの()(あん)(ぬぐ)えない。



(こん)(きょ)もないし、

 わたしはこんな腕だけれど、

 なにかあればサンサの(せき)(にん)

 したらいいわ。」



「ふふっ。」



わたしの()(ぎゃく)をサンサが(わら)う。



ムネモスはそれで()(かた)がなく、

わたしの()(にぎ)(かえ)して()(ちい)さく(うなず)く。



「なにかあれば、わたしも(こま)るわね。」



ケープの頭巾(フード)宝飾巾(ヴェール)のあいだで、

サンサの()がまたなにかを(たくら)んでいた。




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