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花柄浴衣

作者: コウコ

あの人と手を繋ぐ権利は私にはない

知っているから見せ付けないで

二人の後姿を見れば分かる


この先でやってる 花火大会に行くんでしょう?

チリチリと焼けるこの胸と 

今日の気温はどちらがアツイ?


紺の花柄浴衣を着て隣を歩く 

願ったのはそれだけだったのになぁ

夏の終わりの花火が光の尾を引いて散る

私の目が映す、あの人を想って見る景色はコレが最後

そう決めた そう、決めた



アノコに生まれたかった アノコになりたかった

恋をする子なら誰でも願う 

無謀で切実な願い事


泣いて泣いてあの人が手に入るなら いくらでも泣く

それで花火が上がらなかったら 

私の恋は終わらなくてすんだかな


紺の花柄浴衣を着て隣を歩く 

願ったのが間違いだったのかなぁ

二人から背を向けて落ちた涙がひとつ

私の心を揺らす、あの人を想って流す涙はコレが最後

そう決めた そう、決めた



片想いは楽しいと誰かが言った

それならこれはきっと片想いではないの

こんなにも苦しく 燃える様な熱さを

冷めることなく抱き続けているのだから




アノコがたやすく触れるあの指と 

私の体温が混ざることはない

歩き出し目を瞑ったその束の間に降ってきた


あの声が私を呼ぶ 腕を取ってゆっくりと歩き出す

それは夢で 幻で



紺の花柄浴衣を着て隣を歩く 

願ったのはそれだけだったのになぁ

紺の花柄浴衣を着て隣を歩く 

願ったのが間違いだったのかなぁ



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