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便所蟋蟀

行き詰まる、腹底に居る、黒い虫。

ギィギィと鳴く、便所蟋蟀。

何処の分岐を間違えた?

何処の選択を間違えた?

虫の眼に、無数に映る朧顔

無様に崩れ、塵と化す。

どの悪魔に魂を売った?

とうに品格は朽ちたのか?

下り坂、先の見えぬ、一本道

戻り橋すら、霧の中

いやに冷たいじゃないか

いやに震えているじゃないか

もう随分と昔、学生と呼ばれていた時代ですら、私は既に終わったと考えていた。

こびりついた底辺の肉皮。

こびりついた弱者の媚笑

両手にした宝石のついた指輪が光る。まだ輪郭を保ち、輝く。しかしリングは違う。欠陥のそれは錆つき、功績を支える鉤爪は見る影無し。

どれ程の宝石が足元に転がっている?背に伸びる輝く道。手に溢れる虚無。これが意味する事は?

すべて終われば良い

すべて終われば良い

あの日見た夢が、人生のすべてだったんだ。

私は自ら選び、破滅へと歩んだ。

あぁ!つまり期待通りじゃないか。

死への旅路と同じように凱旋しよう。

観客はいない。

見送る人間もいない。

優しい風が吹く。

優しい太陽が輝く。

私は歩んでいる。

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