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別荘④

ご覧いただき、ありがとうございます!

海編ラスト!

 部屋に戻ってすぐ、またノックされた。


「はい……って桜さん?」


 そこにいたのは桜さんだった。


「え、ええと……どうしたの?」


 すると、桜さんは無言のまま抱きついてきた。


「え、ちょ!?」


 そして、俺は桜さんに唇を塞がれた。


「ん……ちゅ……ちゅぷ……じゅ……」


 桜さんの舌は、絡めながらより奥へと侵入してくる。


「れろ……ぷは……」


 ようやく唇が離れると、桜さんは泣いていた。


「桜さん……?」

「……ごめん、ごめんね? ボク、凛くんを試すようなことしちゃった……!」


 そう言って、桜さんはポロポロと涙をこぼした。


「それって……」


さっきの花崎さんの行動はそういう意味、か。

 

「理由を聞いても、いいかな……?」


 桜さんは、訥々と話してくれた。


 遼を断罪したあの日、桜さんは花崎さんと踊り場で色々なことを話し合った。

 これまでしてきたことへの桜さんへの謝罪。

 それでも受け入れてくれたことへの感謝。

 そして、花崎さんの、命を救ってくれて人……つまり、俺への想い。


 そもそも、花崎さんは救ってくれたことに対して、王子様だと想いを馳せていたのであって、それが遼だからとか、俺だからとか、そういったことではないらしい。


 それで、同じように救われた桜さんとしては、花崎さんの気持ちも理解できるけど、それによって花崎さんが俺に本気でアプローチしてきたら、花崎さんに俺を取られてしまうんではないか、と不安になってしまった、ということだ。


 その気持ちを花崎さんと皐月に打ち明けると、だったら試せばいいということになり、あのようなことになった、というわけか……。


「ごめん……本当に、ごめんなさい……!」


 桜さんは申し訳なさそうに、拳を握り締め、嗚咽をもらす。


 はあ……本当に桜さんは……。


 俺は開いたままになっていた部屋の戸を閉め、桜さんを抱き寄せた。


「あ…………」

「馬鹿だなあ……そんなことくらいで、桜さんのこと、嫌いになったりするわけないのに。それに、花崎さんにも言ったけど、俺は今も、これから先も、桜さんだけなんだから」

「分かってる! 分かってるけど……! ……んっ!?」


 それでも不安を口にする桜さんを、俺の唇で塞いだ。


 そして、今度は俺のほうから、舌を桜さんの口の奥へと入れていく。


「ん……ふ……れろ……ちゅぷ……はあ……」


 唇を離し、今度は桜さんを強く抱き締めた。


「ん……桜さん……何度でも言うよ? 俺は桜さんが好きだ。世界一好きだ。今までも、今も、これから先も、ずっとずっと桜さんだけが好きだよ」

「凛くん……凛くん……!」


 桜さんも強く抱き締め返す。


 そして——俺と桜さんは、結ばれた。


 ◇


「「「「お世話になりました」」」」


 ここに来てから三日目の朝、俺達四人は、花崎さんにお礼を言った。


「ふふ、また戻ったら、よろしくお願いしますね」

「そうそう、皐月もあんまり花崎さんに迷惑かけるなよ?」

「うっさい! なんで凛太郎にそんなこと言われなきゃならないのよ!」


 俺の言葉に皐月がプンスカ怒っているが、無視だ無視。


「それじゃ葛西さん、すいませんが帰りもよろしくお願いします」

「ええ、お任せください」


 俺達は車に乗り込み、窓を開ける。


「それじゃ、また喫茶店で!」

「ええ、戻ったら顔を出しますわ!」

「ちゃんとパフェ奢りなさいよ!」


 何でだよ。


 そうして、俺達四人は帰路についた。


「桜さん……?」

「えへへ……」


 出発するなり、桜さんが俺の手を握る。


「ボク達……とうとう一つになっちゃったね……」

「うん……俺、すごく嬉しいよ」

「ボクも……」


 そう言って、俺達二人は見つめ合い、そして……。


「ウォッホン!」

「わっ!?」

「ふあ!?」

「二人とも、私達もいるんだから、イチャつくのもほどほどにして欲しいんだが?」

「「すいません……」」


 真ん中のシートに座る先輩が、後部座席に座る俺達をジト目で睨む。


 ううむ……たしかにやり過ぎた。


 仕方ない、戻るまでお預けだな。


「えへへ……仕方ないね」

「そうだね……」


 でも、もちろん繋いだ手は離さないけど。


 ちなみに、先輩と大輔兄にはこれといって進展はなかったようだ。

 だけど、行きの車の中でも思ったけど、大輔兄の中で変化していることだけは確かだ。

 だから、二人もそうなる日は近いのかもしれない。


「うーん、まだ夏休みも一杯残ってるし、たくさん一緒にいようね!」

「もちろん! 俺はずっと桜さんと一緒にいるよ」

「うん……」

「コラ、今言ったところだろ」

「「すいません……」」


 そうだ、まだ夏休みはたくさんある。


 もっと世界一大好きな桜さんと一緒に、この夏を楽しまないと、ね。

お読みいただき、ありがとうございました!

これでアフターストーリー“海”編は終了です!

折を見て、今度は“夏祭り”編を投稿しますのでお楽しみに!


また、本日新作を投稿しました!

下にタグをつけてありますので、こちらもぜひお願いします!


少しでも面白いと思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[良い点] 何とも高校生らしいいちゃこらでしたね。 流れとしてはそうなるは必然。 これから人目も憚らずいちゃこらする事でしょう。 少しヤンデレ気味というか素質ありそうですし(笑)
[一言] ナニしたんですかねえ
[良い点] あぁ…なんだろう…ブラックコーヒー飲み過ぎで胃がキリキリと…w [気になる点] 皐月のその後も気になるな~ [一言] 友人の別荘でなんてことを!うらやまけしからん!!!!
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