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幼馴染の親友が幼馴染の彼女に浮気されたので幼馴染の俺が代わりに仕返しする件  作者: サンボン
幼馴染で親友だと思っていたけど違ったので幼馴染の俺は世界一の彼女と断罪する件
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開戦

■桜視点


 もうすぐ一時間目が終わる。


 朝の奏音の様子、凛くんとあの男とのことが気になって、全然授業が頭に入ってこない。


 ねえ、凛くん……ボクはどうしたら……。


 すると、一時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。

 だけどボクは、席から動くことができなかった。


「桜さん」


 いつの間にかボクの席まで来た凛くんに声を掛けられ、ボクはハッとなった。


「凛くん……」

「少し……いいかな?」


 ボクは無言で頷き、凛くんの後について行った。


 向かった先は、屋上に繋がる扉の前の踊り場。


 ボクと凛くんの思い出の場所。


「桜さん、手短に説明するね。遼と話をした結果、アイツは全部認めたよ。あの現場の撮影を花崎さんに指示したことも、ゆず姉に指示して俺とキスさせたことも」

「…………………………」

「昨日決めた通り、今日の昼休みに花崎さんがあのキスシーンを撮影したこと、遼が指示してやらせたことをクラス全員の目の前で明らかにする。もちろん、録音した葛西さんとの会話を証拠にして」


 そう告げた凛くんの瞳は、揺るぎない決意が込められていた。

 だけど、ボクの目には、すごくつらそうな、悲しそうな凛くんが映っていた。


 なのに、凛くんはそんな様子をおくびにも出さない。

 それは、ボクが奏音のことで苦しんでるから。


 だから、凛くんは精一杯無理をして、やせ我慢してるんだ。


 ボクはそんな凛くんの様子に、胸が苦しくなる。

 ふがいなくて、悔しくて、そして悲しくて。


 すると凛くんは、ボクを優しく抱きしめてくれた。


「桜さん……俺、昨日も言ったよ? 俺が桜さんの傍にいる。だから、その苦しさ、悲しみ、俺に分けてよ。だって、花崎さんを貶めるのは、桜さんじゃなくて俺なんだから」

「ち、違う! ボクが……ボクがこうするって決めたんだ! だからボクが……!」


 凛くんの抱きしめる力が強くなる。


「だったら、二人で受け入れようよ。俺達のしたこと、これから先も忘れないように。もう、これからは誰も悲しまないために。明日から、俺達が笑って過ごせるようになるために」

「凛くん……凛……くん……」


 ああ……やっぱり凛くんだ……。

 ボクが困っていると、泣いていると、必ず現れてボクを救ってくれる、ボクの大好きな凛くん。


 ボク、本当に幸せだ。


 そして、そんな凛くんがボクのために決意してくれたんだ。


 だったら……ボクだって!


「ごめんね、凛くん。もう、大丈夫」


 ボクは凛くんの胸からそっと離れると、凛くんのその瞳を見つめた。


「凛くん、やろう。絶対にあの男を痛い目に遭わせるんだ! そして……そして、奏音の目を覚まさせてやるんだ!」


 そう宣言すると、ボクを見つめる凛くんの瞳に、決意の色が宿る。


「うん、分かった。今日、決着をつけよう。昼休み、俺の教室に来てくれる?」

「うん! その……奏音はどうする?」


 おずおずと尋ねると、凛くんはニコリ、と微笑んだ。


「それは、桜さんに任せる。連れて来たいのであれば、一緒に来ればいいし、桜さん一人で来てくれてもいい」

「うん……昼休みまでに考える」


 そう答えると、凛くんはゆっくりと頷いた。


 ああ、ボクって単純だなあ。


 凛くんのそんな仕草や微笑み、その言葉で、もうこんなに幸せで、さっきまでのつらさ、悲しさ、苦しさ、全部溶けちゃってるんだもん。


「よし、じゃあ教室に戻ろう」

「うん!」


 ボク達は教室へ戻る。


 昼休み、如月遼と戦うために。


 ◇


■凛太郎視点


 桜さんと別れ、俺は教室に戻って席に着く。


 うん、二時間目の授業には間に合った。


 俺はポケットからスマホを取り出す。


『今日の昼休み、決行します。すいませんが、俺の教室に来てください。そして、後ろ側の入口で待機してください。よろしくお願いします』

『今日の昼休み決行。皐月は黒板側の入口で待機。全体を見張っててくれ』


 RINEにメッセージを打ち込み、それぞれ送信する。


 すると。


 ——ブブブ。


 二人からすぐに返信が来た。


『承知した』

『任せて!』


 本当に、二人には頭が上がらないな……。

 今度、パフェでも奢ろう。


 ここまで来たらもう引き下がれない。

 後は、静かに過ごして、昼休みに備えるだけだ。


 そして、四時間目の授業も終わり、昼休みを迎えた。


 桜さんが教室にやってきて俺の傍に来ると、俺の手をキュ、と握る。

 チラリ、と見ると、花崎さんは教室の入口付近でこちらを注視していた。


「凛太郎、いい加減……」


 何か言おうとする遼に俺は手を突き出し、その発言を止める。


 さあ、断罪を始めよう。


「みんな、話がある! 例の俺の画像の件についてだ!」


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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[良い点] とうとう断罪の時!ワクワクですw [気になる点] 奏音さん…遼に惚れた(?)切っ掛けってもしかして… [一言] 夜の更新たのしみですw
[一言] ああヤンホモが壊れるんですね ついでにヤンホモの姉が強制猥褻罪を犯した事が 周囲にバレるんですね。ご近所にもヤンホモの姉が 年下の男を襲う性犯罪者だとバラシて お引越しをさせてあげましょう …
[良い点] 投稿お疲れ様です。 ついに奴の薄汚い内面が大衆に暴かれる時ですな。 この暴露で奴の取り巻きがどういう反応をするかも見ものですね。 [気になる点] あのメンタルの弱さだと今回の暴露であっさり…
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