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幼馴染の親友が幼馴染の彼女に浮気されたので幼馴染の俺が代わりに仕返しする件  作者: サンボン
幼馴染で親友だと思っていたけど違ったので幼馴染の俺は世界一の彼女と断罪する件
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盗撮

「やられた……」


 俺とゆず姉がキスしている場面を収めたスマホ画像を見せられ、俺は頭を抱えた。


「な、なあ、この綺麗な人誰なんだよ?」

「お前、その、北条さんと付き合ってなかったっけ?」


 クラスの友達が話し掛けてくる。


 好奇心で聞いてくる奴、心配してくれる奴、色々だった。

 そして女子達は、遠巻きに俺を眺めながらヒソヒソと話している。


「(ねえねえ、これって浮気してるってこと?)」

「(うーん……でもでも、北条さんと今日も一緒に登校してたよ?)」

「(本人知らないだけじゃないの?)」


 聞こえてるっつーの。


 まあとにかく。


「この画像の女の人は、遼の姉の柚希さん……俺や皐月はゆず姉って呼んでるんだけど、その人だよ。で、俺は浮気はしてねえ。俺は桜さん一筋だ」

「んなこと言ってもよお……その、なあ?」

「ああ……目の前にこれがあるとなあ……」


 そう言って、クラスメイトはもう一度スマホ画像を見せる。


「そもそも聞きたいんだけど、この画像、一体どうしたんだ?」

「ん? ああ、ほらクラスのRINEグループに流れてきてたんだけど」


 俺はスマホを取り出し、すぐにRINEを確認するが……俺のところには来てない。

 そりゃそうか、俺をあて先から外すに決まってる。


「で、一体誰が最初にRINEに流したんだ?」


 すると、友達は一斉に友達の一人を指差した。

 指を差された奴は、バツの悪そうな顔でおそるおそる手を挙げた。


「え、ええと……一応俺なんだけど……」

「お前、この画像どうしたんだよ!?」

「そ、それが……いきなりメールで送られてきて……ほ、ほら」


 そういって、ソイツは受信メールを見せた。


「このアドレスの奴、知り合いか?」

「い、いや、知らないアドレスだった」


 もう一度その受信メールを見ると……捨てアドかよ……。


「お前な……そんな知らない奴のメール開いて、ウイルス感染したらどうすんだよ。お前のスマホ、操られちまうぞ?」

「え、マ、マジ!?」


 ダメだ、コイツの頭が悪すぎて頭痛い。

 だが、明らかに俺に対して悪意のある奴の仕業だろうな。


 などと考えていると。


「凛太郎……残念だよ。凛太郎がそんなことする奴だったなんて……」


 遼が神妙な顔をしながらこちらに近づいてきた。


「昨日、姉さんから泣きながら相談されたよ。『既に凛ちゃんには彼女がいるのに、凛ちゃんにキスされた。どうすればいい?』って。凛太郎、ちゃんと説明してよ」


 遼は冷たい視線をこちらに向け、低い声で俺に詰問した。


 はあ……そういうことかよ。


「ゆず姉が何言ったか知らねえけど、俺には桜さんがいるのに、そんなクソみたいな真似する訳ないだろ」

「そんなの分からないだろ! 現に皐月にも浮気されてるんだ! お前だって浮気したっておかしくないだろ!」


 いつも物静かな遼が怒鳴りながら詰め寄るもんだから、クラス中が騒然となった。

 当然、席についていた皐月の耳にも届いていて、皐月の肩が震えているのが分かる。


「はあ? 何言ってんだ! 今は俺の話であって、皐月は関係ないだろ!」


 チッ、コイツと同じ土俵に上がるつもりはなかったのに、皐月を引き合いに出された所為でついこっちも怒鳴っちまった。


「フン! 一体僕の幼馴染達はどうなってるんだ! なんで僕達姉弟が、同じような屈辱を味合わないといけないんだよ……!」


 遼は悔しそうに唇を噛みしめ、今にも俺につかみ掛かろうとしたその時。


 ——キーンコーン。


 予鈴がなったので、遼は忌々し気に自分の席に戻った。

 他の奴等も、居心地が悪そうに戻って行く。


 とりあえず……次の休み時間に桜さんに相談、だな。


 ◇


 授業が終わり、俺は早速、皐月と一緒に桜さんの教室に行く。


 教室に入ると、桜さんのクラスメイト達から冷ややかな視線を送られた。

 はあ……噂ってのは早いもんだな。まあ、画像もあるし仕方ないか。


「桜さん」

「凛くん……やられたね」

「うん……まさか、あんなの撮ってる奴がいたなんて、な」

「ちょっと! 立花さん、これはどういうことですか!」


 ああ……今度は花崎さんか。


「今、ボクが凛くんと話してるんだから、奏音は割り込んでこないでよ」

「ですがっ! 桜、あなたはそれでいいんですか! あなたは裏切られたんですよ!?」

「何が?」

「何がって……」


 詰め寄る花崎さんに、桜さんは冷たい視線で睨むと、花崎さんは思わずたじろぐ。


「大体、奏音にボク達の何が分かるんだ! こんな画像があるからって、どうして凛くんがボクを裏切ったことになるのさ! ふざけないでよ!」

「なっ……!?」


 桜さんは怒りが爆発し、花崎さんを大声で怒鳴った。


「……桜、後で話があります……」

「ボクにはない」

「お願いですから……」

「……………………」


 ……話ができる雰囲気じゃないな……。


「桜さん、俺達も出直すよ」

「凛くん、ごめんね?」

「なんで桜さんが謝るのさ。これは俺の脇の甘さが問題なんだ」

「それはっ……ううん、その話はもうしたもんね」

「そういうこと。それじゃ、俺達は教室に戻るね」

「うん……」


 そう言って、俺と皐月は教室を出た。


「……凛太郎、いいの?」

「ああ。俺と桜さんの間に、何もやましいことはないからな」

「う、うん、それは分かってるけど……その、私はいいよ? 自業自得だから……だけど、凛太郎は……」

「皐月、大丈夫だ」


 そう言うと、俺は皐月の耳元でささやく。


「(この件、元々桜さんも分かってる。なにせ、桜さんは現場を目撃してるからな)」

「ええっ!?」

「(ばか、声がでかいよ)」

「(ご、ごめん……)」


 皐月は慌てて口元を押さえた。


「(つまり、俺は嵌められたんだよ。まあ、さすがにここまでされたんだ。俺も、いや、俺達も、もうタダで済ませる気はないさ)」

「(どうやって?)」

「(それはこれから考えるんだけど……)」


 そうなんだよな……まだ、アイツ等に対して有効な手立てがある訳じゃない。

 さて、どうするか……。


「(だったら! ……だったら、私にも協力させて)」


 すると、考え込んでいた俺に、皐月が意を決した表情で俺に協力を申し出た。

 だが……。


「(いいのか? その……一応はお前の……)」

「(うん。もう、私も遼に未練はないから……)」


 そう言って、皐月は少し俯いた。

 ……そこまで言わせたんだ。俺もその気持ち、受け取らないとな。


「(そうか……よし、分かった。じゃあ今日の放課後にでも喫茶店で打ち合わせしよう)」

「(うん!)」


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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[良い点] まぁ、不意打ちのキスからの盗撮画像拡散、浮気疑惑と、あからさま過ぎてる展開には当事者たちも逆に 「少しは隠す努力をしろ!」 と内心思っているかもですね お陰で、「恋人以外での愛情表現…
[気になる点] 凛太郎と遼の仲は完全にこじれてしまったように思いますが、今後、凛太郎達はどのように遼と向き合って行くのか、気になる所です。当然、凛太郎達もやられっぱなしのままではいないでしょうし、今後…
[良い点] 元々は敵だったヤツ(皐月)と手を組んで真の敵(遼)に鉄槌を下すとか、少年誌的な流れも良いですね! [気になる点] もしや……ピンチにクズ先輩が駆けつける!?w [一言] 更新ありがとうござ…
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