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幼馴染の親友が幼馴染の彼女に浮気されたので幼馴染の俺が代わりに仕返しする件  作者: サンボン
幼馴染で親友だと思っていたけど違ったので幼馴染の俺は世界一の彼女と断罪する件
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姦計

「さ、桜さん……」


 俺は思わず息をのむ。


 今のを見られた!?


 い、いや、俺にやましいことは何一つない。


 俺はゆず姉のことが好きでもなんでもないし、なによりいきなりされたから、俺じゃどうしようもなかったから、不可抗力なんだ。


 だから、俺は悪くないんだ!


「あ……」


 頭では色々と桜さんへ伝えるべき理由が浮かぶのに、どうしても俺の口から言葉が出ない。


 そうしているうちにも、桜さんの表情はどんどん沈んでいく。


 ち、違うんだ桜さん!

 俺は……俺はっ……!


 桜さんが俯きながら、玄関を飛び出した。


「っ!? まっ……待って……!」


 俺はなんとか引き留めようと桜さんに手を伸ばす。


 すると、桜さんはその手をすり抜け、俺へと抱き着いた。


 そして。


「ふう……ん……ちゅ……」


 いきなり俺にキスをした。


 桜さんが俺を強く抱きしめる。

 それこそ、絶対に離さないという意思を込めて。


 俺も桜さんを抱きしめ、求めるようにキスをした。


「れろ……ちゅぷ……は……」


 ようやく唇を離すと、桜さんの瞳には涙が浮かんでいた。


「だ、大丈夫……凛くんがあの人に無理矢理されたの、見てたから……」


 どうやら、桜さんは一部始終を見ていたようだ。


 俺はそのことに安堵するとともに、強烈な罪悪感に襲われた。


「あ、あの、俺……ん!」


 絞り出すように声をだそうとすると、その前に桜さんが俺の唇をふさいだ。


「ふ……ん……ぷは……」


 桜さんが唇を離す。


「だけど……だけど、やだよお……たとえ凛くんにその気がなくても、こんなのやだあ……!」


 そう言って、とうとう桜さんの瞳から涙の粒がこぼれ落ちた。


「っ!? ………はん……ん……」


 俺はたまらなくなり、今度は俺の方から桜さんにキスをする。


 ゆず姉にされたキスを、桜さんのキスで上書きするように、浄化するように……。


「……っは……俺もいやだ。桜さん以外の女性とのキスなんて考えたくない。俺は桜さんが……桜さんだけがいいんだ。だから……塗りつぶしてよ……桜さんで、全部塗りつぶして……」

「ん……」


 そしてまた、桜さんを強く抱きしめ、キスをした。


 ◇


 どれくらい時間が経っただろう。


 あの後俺達は家の中へと戻り、抱き合ったままベッドの上にいた。


 ようやく桜さんの涙は止まり、今は俺の胸に顔をうずめている。


「桜さん……」


 俺は桜さんの髪を優しく撫でた。


 すると、桜さんは顔を上げ、覗き込むように俺の顔を見る。


「……うん、もう大丈夫……ごめんね?」

「ううん、何言ってるんだよ。悪いのは俺だ。俺が不用意に相手したから……」


 すると、桜さんにまたキスで口をふさがれた。


「ん……ちゅ……じゃ、もうどっちが悪いとかってのはやめよ?」

「うん……そうだね。だけど、これだけは信じて。俺はこれからもずっと、それこそ死ぬまで桜さんだけだから」

「うん……信じる。ボクも……ボクも凛くんだけだよ?」

「知ってる……」


 そして、もう一度キスしようとしたその時。


「ただいま~!」


 チッ、理香の奴帰ってきやがった。


「あはは……さすがに理香ちゃんにこんなとこ見られたらマズイね」

「くう……もう少し空気読んで遅めに帰ってくればいいのに……!」


 俺は拳を握りしめ、ワナワナと震えていると、そっと俺の手を桜さんの手が包んだ。

 そして、ニコリ、と微笑んだ。


 ああ……もうダメ。俺、完全に桜さんにハマってる。


「お兄! 桜さんいるんでしょ?」


 理香がバタン! と部屋の扉を勢いよく開けた。

 チクショウ、ノックくらいしろよ。


「こんにちは、理香ちゃん」

「やっほー桜さん!」


 キャイキャイはしゃぐ二人とは対照的に、扉の向こうにどうしていいか分からず、緊張した顔の女の子がいた。


「おーい理香、友達ほったらかしてどうすんだ」

「あ、いけね。そだ、結衣もおいでよ」

「え、ええ!?」


 そりゃ普通は驚くわな。


「理香ちゃんのお友達かな?」

「は、はい! 古川結衣っていいます!」

「ボクは北条桜、理香ちゃんのお兄さんの凛くんの、その、彼女だよ。よろしくね!」

「よ、よろしくお願いしましゅ!?」


 あ、舌噛んだ。


 でも、理香の友達に俺の彼女って自己紹介する桜さん……嬉しい。


「じゃ、これ以上二人の邪魔しちゃ悪いから、私達行くね」

「はよ行け」


 俺は理香を手で追い払うと、再び部屋の扉を閉めた。


「ホントに、理香にも困ったもんだ」

「あはは。さて、だいぶ中断しちゃったけど、勉強再会しよっか」


 え? まだやるの?


「あーっ! 元々勉強するのが目的だったんだから、そんな顔してもダメだよ!」


 桜さんが口を尖らせて怒っている。どうやら顔に出てたらしい。


「はあ……仕方ない、頑張るか……」

「そうそう! さ、もうちょっと頑張ったら、その、先週みたいに膝枕したげるから……」


 うん。俄然やる気出た。


「よし! 数学でも英語でも何でも来い!」

「あはは……」


 そうして俺達は夕方まで勉強に明け暮れ、その後はちゃんとご褒美に膝枕をしてもらった。


 はあ……幸せ。


 ◇


「お邪魔しました!」

「ええ、またいらっしゃい」


 仕事から帰ってきた母さんも、桜さんの見送りにリビングから出てきた。


「んじゃ、桜さん送って来るから」

「ちゃんと送るんだよ!」

「分かってるっての」

「あはは。それじゃ失礼します」

「じゃあね」


 そうして、俺と桜さんは駅に向かって、手をつないで歩いた。


「今日は色々あったね……」

「ああ……本当に……」


 そのうちの九十九パーセントはゆず姉の所為だけど。


「しかし、こんなこと言ったら失礼かもしれないけどさ、あんなの迷惑でしかない」

「…………………………」

「しかもさ、なんて言ったらいいか分からないけど、桜さんとは違うんだ。その……キスってさ、俺もその相手……桜さんへの想いを込めてするし、桜さんからも、その、俺への想いというか、そういうの感じるんだけど……」


 桜さんの握る手が強くなった。

 見ると、桜さんは頬を染めて俯いていた。


「だけどね、ゆず姉からはそういった感情が一切感じられなかったんだ。おかしいよね、自分からしておきながらさ」

「…………おかしい」

「うん、おかしい」

「違う、そうじゃなくて」


 そう言うと、桜さんは立ち止まって口元を押さえ、考え込んだ。


「……よく考えたら、違和感しかないよ。突然謝るために凛くんの家に来たことも、凛くんにキスしたことも」

「桜さん?」

「とにかく、明日学校に行ったら、注意したほうがいいかも」


 桜は真剣な表情で、俺の瞳をみつめた。


「……うん、そうだね。明日、できる限り固まって行動するようにしよう」

「うん。ボクも明日は昼休みだけじゃなく、ほかの休み時間も顔を出すようにするよ」


 俺と桜さんの中に、得も言われぬ不安が去来した。


 ◇


 そして次の日の朝。


 教室に入った俺に待ち受けていたのは。


「やられた……」


 クラスメイトから見せられた、俺とゆず姉がキスしている場面を収めたスマホ画像だった。


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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[気になる点] 一部始終 物事の最初から終わりまで (明鏡国語辞典-第二版) 一部始終を最初から見ていたようだ という表現では意味が重複していませんか?
[一言] 姉弟そろってヤバすぎ…w
[良い点] 桜さん、ここ最近読んだ作品の中で一番強い。そんな見え見えの手に引っかからないで!と思う攻撃を全部なぎ倒して安心させてくれますねw
感想一覧
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