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幼馴染の親友が幼馴染の彼女に浮気されたので幼馴染の俺が代わりに仕返しする件  作者: サンボン
幼馴染で親友だと思っていたけど違ったので幼馴染の俺は世界一の彼女と断罪する件
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謝罪

 というわけで日曜日。


 今日も俺は駅まで桜さんを迎えに来ている。

 そして今の時刻は朝八時。うん、今日は二時間も早く着いちゃった。


 や、だけどしょうがないよね。待ち遠しかったんだし、何といっても今日は、母さんは朝から仕事だし、理香も友達と遊びに行くって言ってたし!


 そう! 今日は桜さんと俺の二人きりなんだ!

 ……ヤバイ、そう考えたら何だか緊張してきた。


 そして待つこと一時間。


「凛くんおはよ!」


 今日も元気に桜さんが一時間早くやってきた。


 そして俺は恒例の桜さんのファッションチェック。


 ふむふむ、今日は白のTシャツにデニムのオーバーオール、黄色のサボサンダルか。

 うん、ありかなしかでいえば、突き抜けてありだな。


「うん、今日もカワイイ」

「ふああ!? もう!」


 そうやって照れて俺の肩をぽかぽか叩く仕草も超カワイイ。


「さて、じゃあ行こうか」

「うん!」


 俺は桜さんの手を握ろうとするとするりとかわされ、俺の腕に桜さんが巻き付いてきた!?


 ちょ、それ!?

 桜さんのお胸様が俺の腕に当たってるんですけど!?


 さて、今日一日、俺の理性はもつんだろうか……。


 ◇


 俺の家に着き、勉強を始めてからもう三時間が経過した。


 その間、俺と桜さんには妙な緊張感があり、ほとんど会話できていなかった。


 ちょ、ちょっと誰もいない時に俺の家はまずかったな……。

 何というか、その、ご、誤解されても仕方ないというか。


 と、とりあえずこの状況をなんとかしない……!


「そ、そろそろ休憩しよっか……」

「う、うん……そ、そだね……」


 き、緊張する。


「え、ええと、お昼どうする?」

「あ、えと、よかったらボクが作ろうか?」

「え? いいの?」

「そ、それはもちろん!」

「じゃ、じゃあお願いします」


 ということで、俺と桜さんは一階のリビングに向かう。


「ええと、冷蔵庫見てもいい?」

「どうぞどうぞ」

「じゃあ失礼します。ふむふむ……豚肉の細切れとネギと……うん。じゃあ作るから凛くんは待ってて」

「え? 俺も手伝うよ」

「いいからいいから、ゆっくりしててよ」


 そう言って、桜さんにキッチンから追い出されてしまった。


 ウーン仕方ない、久しぶりにソシャゲでもするか……。

 そういえば、桜さんと付き合うようになってからほとんどやってないな。

 まあ、寝る前とかは桜さんとRINEで毎日話してるから、そんな暇ないんだよな。というより、ソシャゲより桜さんとの会話の方が千倍楽しいし。


 そんなことを考えながらしばらくソシャゲしてると、キッチンからいい匂いがしてきた。

 お腹空いた。


「凛くんできたよ!」

「お、やった」


 俺はスマホをズボンのポケットにしまい、急いで桜さんの元に行く。


「おお!」

「えへへ、今日のお昼はつけそうめんにしてみました」


 す、すごい……ただのそうめんが、ひと手間かければ超美味そうになった!


「た、食べていい……?」

「もちろん! どうぞ召し上がれ!」

「で、では……いただきます!」


 それからの俺は意識が飛んでいたかもしれない。

 俺は一心不乱に桜さんが作ったつけそうめんを食べ続けていた。


「うまうま!」

「あはは、喜んでくれてよかった」


 そして、あっという間に食べつくしてしまった。


「ふう、美味しかった……ごちそうさま!」

「おそまつさまでした」

「ああ……絶対桜さんいい奥さんになるよ……」

「ふああ!?」


 ん? あれ? ……………………あ。


「ああああ、そ、その、や、だけど!?」


 あああ!? 俺は何を口走ってるんだよ!

 や、事実だけども! 絶対いい奥さんになるけども!


「あうう……そ、その……うん」


 はう! 桜さんが顔真っ赤にしてモジモジしてる! ……カワイイし、結果オーライだな。


 ——ピンポーン。


 ? 誰か来た。


「宅配かなあ……ちょっと出てくる」

「あ、うん」


 俺はインターホンのボタンを押すと、そこに写っていたのはゆず姉だった。


「ゆず姉……」

「そ、その、凛ちゃん、ちょっとだけ……いい?」


 ゆず姉は少し俯き加減で、どこか思いつめたような表情をしていた。

 

 そんな様子が気になってしまい、俺は玄関へ向かうと、ドアを開けた。


「ゆず姉……」

「あ、うん……」

「え、ええと……ど、どうしたの?」

「あの……この前はごめんなさい……私、どうかしてて……」


 ゆず姉が俯きながら謝罪した。


「……その、どうして急にわざわざ家まで謝りに来たの?」


 そう、俺にはゆず姉が家まで来た理由が分からなかった。

 遼が引きこもってる間、一度だけゆず姉とすれ違ったことがあったけど、あの時は俺を避けるようにして立ち去ったんだから。


「うん……やっぱり凛ちゃんとこのままの状態でいたくないし、それにほら、遼もやっと立ち直って学校に行くようになったし……私も、前みたいに戻りたかったから……」

「…………………………」


 何を言ってるんだ?

 こんな状態にしたのはゆず姉と遼じゃないか。

 それを遼が立ち直ったから関係を元通りにしたいって……。


「それはさすがに虫が良すぎじゃない? じゃあ何? 遼がまだ引きこもったままだったら、謝るつもりもなかったってこと?」


 少しイラついた俺は、ゆず姉を責めるように言った。


「! そ、その! そうじゃなくて……あ、あの、私、私ね……!」


 急に思いつめたような表情になると、ゆず姉が俺の腕をつかみ、引っ張った。

 突然の出来事に俺はよろめいてしまい、そのまま玄関の外まで引っ張り出されてしまった。


 そして。


「っ!?」


 突然、ゆず姉にキスされた。


「ふ……ん……ちゅ……」


 俺は慌ててゆず姉を引きはがし、後ずさりして距離を取った。


「な、何すんだよゆず姉!」

「き、急にごめん……その、も、もう帰るね……」


 そう言って、ゆず姉は慌てて踵を返し、走り去っていった。


「な、何だったんだよ一体……」


 俺は自分の口を袖でぐい、とぬぐう。

 ゆず姉にキスされた事実を消し去りたくて。


「とにかく、中に戻ろう……」


 そう呟いて、俺は後ろに振り返ると——


 ——そこには、今にも泣きだしそうな顔をした桜さんがいた。


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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[一言] 桜さんいること知らなかったんだろうな、それで後から写真見せるんだろ、そもそも桜、遼の本性知ってるんだから浮気とか信じないでしょ、あと凛なら正直に言いそう。あとゆず姉ファーストキスだったらどう…
2020/06/19 16:51 退会済み
管理
[一言] 遼が姉を利用して桜さんとの関係をこじらせようとしたか、ほんとうにゆず姉は元々凛太郎のことが好きだったけど、遼を傷つけたのが許せなくて軽蔑してたけど、それも勘違いだったからまた好きになった的な…
[気になる点] 皐月が凛太郎で桜が遼って、内容的に見かけて元々の凛太郎のポジションで撮影するのはサレ側の友人って意味で花崎さんなのか、それともストレートに遼なのか…… 花崎さんって遼が凛太郎の悪評を…
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