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幼馴染の親友が幼馴染の彼女に浮気されたので幼馴染の俺が代わりに仕返しする件  作者: サンボン
第一部 幼馴染の親友が幼馴染の彼女に浮気されたので幼馴染の俺が代わりに仕返しする件
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告白

 俺は放課後になると、遼に近所の公園に来るよう、RINEで呼び出した。


 遼は「皐月と帰る約束だったのに……」とぶつぶつ言っていたが、俺の真剣な空気を感じたのか、渋々ながらも了承した。

 その後、大輔兄に今日のバイトを休ませてもらう旨連絡し、公園へと向かった。


 そして俺は今、昨日と同じベンチに座りながら、遼が来るのを待っている。


「はあ……まず、どう切り出すかな……」


 うん、どう控え目に言おうとしても、その後の修羅場しか想像できない。

 それに、あれだけ皐月のことが好きだった遼のことだ。下手をしたら自殺しかねない。


 チクショウ、どうすりゃいいんだよ!


「ゴメン、遅くなっちゃった」


 俺の考えもまとまらないうちに、遼が来てしまった。呼びつけておいてなんだけど。


「あ、ああ、悪いな。と、とりあえず、ここ座れよ」


 遼に俺の隣に座るよう促すと、遼は「ヨイショ」と言って座った。


「それで、話って? もちろん、大事な話なんだよね?」


 遼は不安半分、興味半分といった感じで、俺に話すよう視線で訴える。


「……なあ、お前、昨日は皐月の奴とデートの予定だったんだよな……?」

「え? うん、そうだよ? まあ、皐月の具合が悪いから、結局取り止めになったんだけどね」

「そうか……」


 くそう、胃がキリキリ痛い。

 言え、言うんだ俺!


「……実はそれ、嘘だったら……どうする?」

「え? 何? 言ってる意味が分からないんだけど」

「……言ったまんまの意味だ」


 俺の言葉に、遼は戸惑いの表情を浮かべる。

 だよなあ、そうなるよなあ。


「あのさ、俺、見たんだよ……昨日バイトの帰りに……」


 駄目だ。

 まともに遼の顔が見れない。


「見たって……何を……?」


 ……いよいよ、か。


「……………………皐月が、他の男とキスしてたところ」


 ——ガンッ!


 突然、右頬に衝撃が走り、俺はベンチから転げ落ちた。


「何だよ! そんなくだらない嘘を言うために僕を呼び出したのか!」


 遼はこれまで見たことのない怒りの表情で、俺を見下ろしていた。


「俺だって……俺だってこんなこと言いたくねえし、知りたくもなかったよ! だけどな! お前があのバカに騙されたまま、見て見ぬ振りもできねえんだよ!」

「ハッ! まだそんなこと言うのか! 僕の彼女で、しかも幼馴染の悪口を言うなんて、もう凛太郎とは絶交だね!」


 くそう……予想はしてたけど、全然俺の話を信用しない。


 アレ……見せなきゃいけないのかよ……。


「……これ見ろよ……」


 俺はポケットからスマホを取り出し、昨日撮影した例の画像を遼に見せる。


「………………………………………え?」


 そこには当然、皐月と男が抱き合ってキスしている画像が映し出されていた。


「……彼氏で幼馴染のお前なら……誰か分かる、よな」


 遼は暫く画像を凝視した後、呆然としながら地面にへたり込む。

 そして、その両目から、ポロポロと涙が溢れ出していた。


「う、嘘だあ……」

「……………………」


 遼は蹲り、声にならない声を上げて号泣した。

 ……こんなの、何も声掛けられねえよ。


 それから一時間は経っただろうか。

 とりあえずは泣き止んだみたいだけど、遼の奴、今度はピクリとも動かなくなった。


「……遼?」


 俺は傍に寄り、遼の肩を揺すった。だけど、やはり無反応だ。

 仕方なく、俺は遼の肩をつかみ、身体を持ち上げた。


「っ!?」


 遼の瞳からは生気がなく、ただぼんやりと何もないところを見つめている。

 身体も力が入らないのか、俺が支えていないと、すぐに倒れてしまいそうだった。


「……遼、帰るぞ」


 俺は遼を肩で担ぎ、遼の家へゆっくりと向かった。


 ◇


「遼、着いたぞ」


 あれから三十分掛けて遼の家に到着した。

 相変わらず遼に反応はない。

 仕方ないので、俺はインターホンを押した。


『はい』


 インターホン越しに声が聞こえた。

 出てくれたのは、ゆず姉……遼のお姉さんだった。


「ごめんゆず姉、俺、凛太郎だよ」


 すると、ガチャ、と玄関の扉が開き、ゆず姉が顔を出した。


「凛ちゃんどうしたの……って、遼!?」


 様子のおかしい遼に気付き、ゆず姉が慌てて駆け寄ってきた。


「ね、ねえ!? 一体何があったの!?」

「……………………」

「黙ってちゃ分からないよ!」


 不安そうに遼を見ながら、ゆず姉は俺を詰問する。

 だけどそんなこと、俺の口から言うのは違うよな。

 言っていいのは、遼本人だけだ。


「ごめん、俺からは言えない……ただ、今日は遼に付き添ってて欲しいんだ。そうじゃないと……」

「……納得いかないけど、とりあえずは分かった。だけど、凛ちゃんは遼の親友だと思ってたのに、幻滅したよ」


 俺から遼を受け取ると、ゆず姉は軽蔑の眼差しで俺を睨んだ。


 ……じゃあ俺はどうしたら良かったんだよ!

 そう怒鳴りたかったけど、結局俺は何も言えなかった。


「……うっす」


 俺は走ってその場を立ち去った。


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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[気になる点] ん?イマイチ遼の姉が主人公を軽蔑した理由がわからない。え?どういう事だ。全然理解できない。
[気になる点] この姉は一体何を持って主人公が加害者だと分かったんだ...?
[良い点] 若者にとって 恋のダメージは半端ない。 それこそ生死に関わるような…… そんな辛さがリアルに 読みやすく書かれていて 胸がズキズキしながら読み進めました。 ここから、どう「ざまぁ」にな…
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