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幼馴染の親友が幼馴染の彼女に浮気されたので幼馴染の俺が代わりに仕返しする件  作者: サンボン
第一部 幼馴染の親友が幼馴染の彼女に浮気されたので幼馴染の俺が代わりに仕返しする件
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計画

「それなんだが、仕返し云々より、さっさとあの男と正式に別れたいんだが」


 おおう、先輩がいきなり剛速球を投げてきた。


「ええと、先輩、ちょっと待ってくださいね。その気持ちはすごく良く分かるんですけど、それだと仕返しにはならないと思うんですけど」

「ああ、そうだな。だけど、私としてはあの汚物を引きはがして、早く奇麗な身になりたいんだよ」


 あんなにずっと想い続けていた幼馴染が、たった一日で汚物扱い。怖い。


「ですよねー! もしボクの彼氏があんなだったら、頭からエタノールかけてやりますよ!」

「立花くん、だそうだが?」

「ふあ!?」


 待って!? 待って待って!?

 お、俺、桜さんと付き合ってないから! ………まだ。


「り、凛くんはそんな人じゃないもん……」


 あああ、桜さんも両頬押さえてクネクネしてないで!

 で、その発言はどっちの意味でしょうか?


「は、話が進まないからそれは置いといて……そういえば、そもそも長い間口もきかない状態で、あのクズ先輩、なんでいまだに関係を続けてるんですかね?」

「あ、そうだよね。昨日までの中原先輩はともかく、あのクズは何考えてるのかな?」


 桜さんはとうとう“先輩”という尊敬語を外すことにしたらしい。


「それは私にも分からないんだが……」


 うーん、と三人で首を捻っていると。


「アレじゃない? 俺はよく知らないんだけどさ、中原さんはすごく美人だから、学校でも有名だったりするんじゃないのか?」

「わわわわ私なんか、びび美人だなんて、そそそそんな……!」


 大輔兄がそんなことを言うと、先輩が壊れた。

 話が進まないので先輩は放っておこう。


「うん。中原先輩とクズ先輩は美男美女カップルってことで学校では有名……なんだよね? 桜さん」

「うん。学校のほとんどの生徒は知ってるよ。まあ、凛くんは知らなかったけど」

「はは……」


 俺は思わず頭を掻いた。


「なるほど。だったらその大石って奴……だっけ? その子は中原さんのことを一種のステータスみたいに考えてるんじゃないかな」

「というと?」

「要は、『こんな美人と付き合ってる俺って超モテるんだぜ!』的な」


 ああ、なるほどね。

 結局のところ、あのクズせ……うん、俺もクズでいいや。クズは先輩をアクセサリー感覚で付き合ってるってことか。

 ああ、ホントクズだな!


「ヤベエ、本気で息の根を止めたくなってきた」

「ボクも激しく同意」

「八つ裂きにしてやる」


 今、俺達三人の心が一つになった。


「まあまあ、だからさ? そういう奴に限って、プライドを傷つけられるのをすごく嫌うんだよね。つまり……」

「あのクズを公衆の面前で恥をかかせれば……」

「けど、どうやって?」


 先輩、俺もそこまで考えてないっす。


「ねえねえ。だったらさ、例えばだけど、ボク達が学校で『中原先輩とクズが別れた』って学校中で噂を立てたらどうなるかな?」

「うーん、そりゃあクズは全力で否定するだろうな」

「でしょ? で、火消しのために躍起になって、先輩と仲が良いアピールを仕掛けてくると思うんだよね」


 ああ、そういうことか。

 つまり、これまでほとんど会話もなかった彼女に、教室とか公衆の面前でウザ絡みしてくるって訳か。


「ここで、先輩がクズに対してどう接するか……それで、明らかにクズの評価が決まるな」

「そう! もしそんな場面で、先輩がクズの浮気について暴露したらどうなるかな?」

「……当然、みんなの前でのことだから、隼人の面目はつぶれ、私は晴れてフリー、という訳か」


 先輩が顎を押さえながら、ウンウンと頷いた。


「……俺は反対だな」


 だが、ここでまさかの大輔兄が反対した。


「ええと、それはどういう……」

「だってそうだろう? 確かにそれだと、その男の面目は潰せるが、同時に中原さんの面目も潰れてしまうんだぞ?」


 ……そうだよなあ。

 これって結局、中原先輩も傷を負うことになってしまう。


 だが。


「私は別に構わないよ。今更、潰れる面子なんか持ち合わせていないさ。むしろ、これで名誉回復ができるとすら思っているよ。それに……」


 先輩は大輔兄をチラリ、と見た。


「……これで私は、次に進める」


 先輩は、決意に満ちた目で俺達を見つめた。


「……分かったよ。中原さんがそう決めたんなら、俺はこれ以上は言わない。だけどね、中原さん」

「……はい」

「もし君がつらいと思ったら、ちゃんと周りに頼るんだよ? 君の友達とか、桜ちゃんとか、まあ後は頼りないコイツくらいか……」

「大輔兄ほどじゃないけど」

「ヒドイ」


 珍しく大輔兄が年長者らしいことを言ったけど、最後だけ余計だ。

 こう見えて、俺は頼りになるんだよ。頼りにされたことないけど。


「はい…… その時は、その、頼っても……いいですか?」

「俺え!?」


 おずおずと上目遣いで尋ねる先輩に、思わず大輔兄が仰け反った。

 まあ、大輔兄は奥手だからなあ……って、俺も人のこと言えん。完全にブーメランだな。


「よし! じゃあ早速作戦の内容だけど、まずはボクと凛くんで、先輩とクズが破局寸前だっていう噂を流します。主にサッカー部員を中心に」

「「うんうん」」

「噂なんてあっという間に広がるから、多分週明けの月曜日にはサッカー部経由で三年生の間でもその噂で持ち切りになるはずです」

「そうだな。サッカーの練習は土日にもあるから、その間にサッカー部員全員が知ることになるだろうな」

「はい。すると、それを聞きつけたクズはまずいと思って、朝から先輩に絡んでくると思うんです。その時は、まずはボク達に報告をお願いします」

「え? どうして? その場で言い切ってやったほうが……」

「違うよ凛くん。だってこの仕返しする相手は、先輩だけじゃないんだよ?」


 どういうことだ? 今回はクズに仕返しってことじゃ……。


「……あ! 皐月か!」

「そう。あのバカ女と浮気してたんだから、当然クズと同じ目に遭うべきだよ。だからね、先輩は昼休みに、凛くんのクラスにバイトの話をしにくる(てい)で来て欲しいんです。その時が……」

「……クズと皐月に痛い目を見せる時、か」


 桜さんは力強く頷いた。


「分かった、任せてくれ。ここで……ここで、私は決着をつける」


 先輩も決意のこもった瞳で力強く頷き返した。


「うん……うん! よし! 明日は大暴れしよう! 凛くん、先輩、頑張ろうね!」

「おう!」

「ああ!」

「うん、俺は手伝えないけど、ここでみんなのこと応援してるよ。その時は、二人に特製パフェをご馳走するね」

「「はい!」」


 あれ? 俺、大輔兄にハブられてる?


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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[一言] 叔父さんの設定変更されたのですね。まあ13話での行動と言葉は私も正直感想と同様の気持ちを抱きましたがあまりヘイトコメント嫌いですし、他の人が書いてるから書かなくていいかと思い書きませんでした…
[良い点] 二人とも攻めてるが気付かないこれは遺伝か!!
[一言] 毎回楽しみにしています。 他の方も言われてましたが自分も叔父(34)のままで良かったんじゃないかなと思いました。 今回の話で奥手ってなっていましたが奥手の22歳が女子高生を胸に抱きいれるのは…
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