最後の一人-02
この作品は脳内変換で足りない部分を補って読んでください。
部屋の扉や窓は全て閉められている。
最後に入ったのは真壁さんとリンドブルレイアさん。
他に出入りがあれば誰かが気付かないということはない。
そんな中で誰も存在しなかった席に一瞬にして人が出現した。
誰が見てもわかるくらいあからさまに魔女という格好をした女性が頬杖を突きながら真壁さんが作ったチャーハンを見つめている。
私はスプーンをテーブルから落としてしまった。
「驚かせてごめんよ〜?でも悪い人じゃないから殺気を収めてくれると嬉しいな〜。特に銀髪の子。」
突然の出来事にそれぞれが異なるアクションを起こしていた。
真壁さんはテーブルに料理を並べている形で止まっているが片手は食器の中にあったナイフに触れていた。
委員長はテーブルに突っ伏したままだがいつでも銃が取り出せる形だ。
社さんはというと変わらずに寝ている。
リンドブルレイアさんはそんな私達の間に入り頭を下げた。
「申し訳ありません。こちらの方がこの屋敷の主で…。」
「自己紹介?めんどくさいなぁ〜…。私はジェニオ、以上。」
そういうとテーブルに倒れ込んだ。
「ジェニオ様、そのような立ち振る舞いは…。」
「仕方ないじゃん、疲れたんだよ〜。私は運び屋じゃないし…。」
ジェニオはそういうと軽く指を弾くと窓の外で地響きが鳴った。
窓の外には見たことのあるオブジェが見える。
先程のジェニオの登場と同じ、三つのコンテナと大型の輸送ヘリが現れた。
おまけでヘリの上にボロボロのAFが乗っかっていた。
追加の重量でコンテナもヘリもさらに潰れている。
悲鳴をあげる真壁さん。
そしてジェニオも声をあげた。
「美味い‼︎美味い美味い美味い美味い‼︎こんなに美味しいものを食べたのはいつ以来だろう‼︎半世紀いや一世紀半?そもそも食べる必要もないんだが、食事は面倒だし。でもこれなら一日一食くらいならいいかな?」
皿に盛り付けてあったチャーハンが空になり、空になった皿も一瞬でテーブルから形を消した。
それからしばらく考え事をしているように唸っていた彼女は私達に言った。
「もしよければ、君ら住み込みで働かないかい?」
今の状況においてはまさに渡りに船であった。
現に悲鳴をあげていた真壁姉も倒れていた委員長もジュニオのへと向き直っている。社は相変わらず寝ているのだが…。
「毎日料理を作ったり、屋敷の掃除をしろってこと?」
「料理を作ってくれるのは願ってもないが、他の労働力はこれでも足りていてね。足りないのは戦力さ。」
そういうとジュニオはテーブルへと手をかざす。
すると空中に黒い穴が空いた。ブラックホールのような底の見えない穴。
そこからバスケットボール程の大きさを持つエメラルドのような宝石が姿を現した。
「いやぁ〜、あのバカが地表を砕いてくれたおかげで探す手間が省けたよ。急いで駆けつけたら空から降って来てね。まぁ、エルフ領大森林の一画が消えてしまったが…。」
巨大な宝石の塊を指差しながら続ける。
「大気中に溢れた魔力が結晶化した物を《魔晶》と言われるが、コレはその一段上の《精晶》と呼ばれる物でね。まぁ、御伽話の中だけに出てくるような物だが、それの実物。用はこれを回収、保護して貰いたいんだ。もちろん支援も見返りもするよ。」
「私達が断ったらどうするつもりかしらん?」
「どうもしないよ、めんどくさいし。ただ、これでも私は博識で通っていてね。色々と役に立つはずだよ、異世界の人?」
ジュニオの言葉で再び沈黙が訪れた。
願ったり叶ったりの話ではあるが、そう易々と請け負っていい物ではないだろう。
その沈黙を破ったのは委員長であった。
「真壁姉、引き受けましょう。初心者救済案もあるみたいですし、乗らない手はないですよ‼︎」
「委員長、あんたねぇ…。菖ちゃんはどう?」
「私は今の状況で何が正しいのかわかりません。でも…。」
「でも?」
「勇気ならきっと一歩先にって飛び込んでいくと思います。それに元の世界に帰って勇気が目を覚ましたら、悔しがるくらいに冒険譚を語ってやりたいですし。」
「そういう事なら仕方ないわね。御守りは大人の務めよ。貴方達の面倒はしっかり見てあげるわ‼︎」
こうして私達はジュニオの元で居候をすることになったのであった。
ジュニオさんは巨乳、テーブルに乳が載ってます。