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精錬の鋼鉄英雄  作者: 妖 猫撫で
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ドワーフ-08

毎度の事ながら足りない分はご自由にご想像上、緩く読んでください。


 目の前に広がるのはハンガーウルフというモンスターの群れだ。

 ハンガーウルフは集団で狩りを行う狼で普通の狼と体格などは変わりない。

 この狼がモンスター指定されている理由は、その名にもなっている程、常に異常な飢えに苦しんでいる。

 集団で獲物を狩る行動は狼と変わらないのだが、ハンガーウルフは仕留めた獲物を群の中で奪い合う。

 それが仲間同士での殺し合い、共喰いにまで発展する。

 同じ同族であろうとただの餌であり、そして彼らの餓えがより凶暴な個体を生み出していく。

 その生態が先天性のものか後天性のものかは定かではないが、それがこの狼の危険度を跳ね上げているのだそうだ。



 ギルド都市ファルブロスを出てから、何度目かの戦闘だった。

 異世界へ来てから初めて銃を手にする。

 そんな私が動く対象を、それも生きている動物を撃ち抜いていく。

 動かない対象であるならば、距離にもよるがなんとか弾を当てることが出来るようになった。

 しかしながら、動く動物、ましてや敵意を持って襲い来るものを相手にするのに今の私には荷が重すぎる。

 それを可能にしているのがビギナー用のオートロックシステムというものだそうだ。

 視界に入った相手をターゲットとした時、また相手が敵対行動を取った時に自動でターゲッティングを行い、プレイヤーの行動をアシストする機能らしい。

 実際にその効果は絶大だ。

 草木や茂みなどで視界から消えても、出て来た瞬間にターゲッティングと身体の向きを自動で追従してくれる。

 後は相手の動きに合わせ、サイトの調整とタイミングで引き金を引くだけだ。

 とても便利であるのだが、ゲームプレイヤーにとっては慣れてくると不便で中級者からはほとんどがアシストを外すらしい。

 私の場合は初心者であるから、武器や射程距離の関係から最も近いターゲットを自動でロックオンする。

 しかしながら、後方に最優先で対処するべき厄介な相手がいた場合でも最前列をターゲットしてしまう。

 逆に委員長さんのような射程を伸ばし長距離射撃を行う武装の場合、最後尾をオートロックしてしまうらしい。

 敵に近付かれた際、咄嗟に最前列へのターゲット切り替えに大きなロスが生じるのだそうだ。

 真壁さんはそう説明しながらマスターキーと呼ばれる斧で飛び掛かってくるハンガーウルフを薙飛ばしていた。


 私がハンガーウルフの群れに牽制で射撃を行い、社さんが最前列で刀を振るう。

 委員長さんは群れから外れた個体を狙撃。

 真壁さんが私や委員長さん、そして依頼主を守るという陣形。

 本来ならこういった密集した相手は真壁さん一人で十分らしいのだが、目下の悩みである弾薬の補充が出来ないということで弾薬の消費量が一番多い真壁さんが本来の力を出せないという。


 「んも〜う!皆してバカスカ撃ってずる〜い!持久戦してるみたいに実弾主義には堪えるわぁ!」


 射撃武器は大まかに二種類存在する。

 実弾兵器と光学兵器。

 実弾兵器は言わずもがな、弾丸を火薬のエネルギーによって撃ち出し標的を無力化する兵器で、銃弾の一発一発が消耗品である。

 光学兵器は電磁波やレーザーを対象に照射して無力化する兵器である。

 光学兵器もヒューズの交換などにおいて消耗は起こるのだが、実弾兵器と比べるとエネルギーの消費だけで物の消耗は遥かに少ない。

 出力を抑えればヒューズの交換やメンテナンス、消耗費用を桁違いさえ抑えられる。

 おまけに実弾よりも速さや威力が桁違いなのだ。

 これだけ聞くと光学一択でいいのではないかと思われるのだが、いかんせん兵器自体の金額の差が大きい。

 光学兵器一つで実弾銃フルセットが何十丁も買えてしまう。

 異世界においては補給が絶望的である以上、前者よりも後者の方が優位なのは明白であった。


 「だったら真壁姉も光学兵器の一つくらい持っておけば良かったじゃないですか。」


 「だってぇ〜実弾じゃないと撃った衝撃が伝わらないんだも〜ん!」


 真壁は委員長に拗ねたように言い返しながら、飛び掛かる最後の一匹を斧で数十メートルほど吹っ飛ばした。

 

 初の対集団戦は圧勝に終わる。

 とはいっても最後の方はハンガーウルフ達の共喰いによる統率の乱れが大きかった。


 「私がMVP、社が二位、菖は三位、真壁姉は最下位です(笑)。約束通り、最下位はヴェルツェルに着くまで一位の奴隷です。」


 「うっさいわね!頭の上に(笑)なんて顔文字浮かべてんじゃないわよ!」


 二人が言い争っている通り、半場強制的に私達は討伐数を競い合った。

 初めての実戦で気負い過ぎないようにと言う、委員長らなりの気遣いなのだろう。

 それでも委員長さんは容赦なく次々と仕留めていったし、社さんに至っては片手しかない上に刀のみの近接戦で二位、真壁さんは私に勝たせるようだったが後ろをぴったりと着いてきていた。

 陸上部の頃、現役の選手と走りの競争をした時のような力の差をまざまざと感じた。


 「真壁姉〜歩き疲れて脚がパンパンです〜。もう一歩も歩けません〜。」


 「CNT強化繊維のどこが疲れんのよ。」


 「あぁ〜どこかにちょうどいい椅子はないものかぁ〜。椅子はないものかぁ〜。」


 「そんなこといっても絶対やんないわヨ゛ッ!?」


 委員長さんが真壁姉さんの膝裏にとても鋭い回転蹴りが入れられた。

 空気を裂く程の蹴りをまともに受け、真壁姉は僅かに体勢が崩れる。

 そこから流れるような連携で真壁姉を地面に捻じ伏せ、とどめと言わんばかりに持っていた狙撃銃を叩き落とした。


 「アダッ!ちょっとあんた何すんのよ!」


 「真壁姉、動かないでください!その体制のまま銃身固定!」


 「え?え?」


 「換装。ダネルNTW-30。」


 真壁姉の肩に載っていた狙撃ライフルがコードの光に包まれ別の姿が現れる。

 委員長とは不釣り合いな程の大きさと凶悪さ。

 その銃口が大気を揺るがす咆哮をあげた。

 

 

 

仕事…仕事いや…。


人間関係嫌嫌…。


小説だけ書いてたい…orz

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