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精錬の鋼鉄英雄  作者: 妖 猫撫で
13/21

間章〜悩む〜

旅に出る前の話


相変わらず自己補填して読んでください。


 目の前には大型の輸送ヘリが着陸している。

 着陸といっても折れたプロペラや翼などは切り離されており、下部についた車輪によってかろうじて陸地を走ることが出来るので停車という方が近い状況だ。

 その傍らには派手な長身の()と片腕のない銀髪の少女がいた。

 男が手を振ると目の前に半透明のディスプレイが出現する。そして、それに呼応するように輸送ヘリに変化が起きた。

 輸送ヘリの横面から複数のアームが出て来た。

 これはアウトリガと呼ばれ、重心の移動により機体の傾きを抑える装置である。

 アウトリガによる固定が完了すると更に背面が展開しクレーンや溶接機などの多種多様なアームが顔を見せた。

 一通りの変化が終わると男は折れた刀を半透明のディスプレイにかざす。すると刀はコードの光となって消えた。

 代わりにディスプレイには折れた刀が映し出された。


 「真壁姉。刀、治りそう?」


 「無理ね。現状、ファットマンだけじゃどうにもならないわ。資材がないもの。あんたの取れた右腕が治せないのと一緒。この世界の魔法とやらでどうにか出来たら良かったんだけどね〜。」


 そう言いながら大型ヘリ、ファットマンを軽く小突いた。


 ゲーム《CL》のシステムでは街などの拠点において消費した弾薬、MⅡやAFの修理を行う事が出来る。

 その都度、プレイヤーの所属する国の貨幣で金額の請求が発生する仕組みだ。

 ただし、都市以外では仕様が少し異なる。

 拠点の場合は業者に依頼をしたという設定で金銭の消費が行われるのだが、拠点外で同じ事を行うには金銭の代わりに設備と資材が必要になるのである。

 設備に関しては条件をクリアしていた。

 この大型輸送ヘリはAF部隊の輸送用として真壁が製作したもので、通常装備されるような戦闘用火器を全て外し、代わりに修繕機能を持たせてある。

 要約すると移動用拠点に特化したヘリ、それがこの《ファットマン》であった。


 問題は修復に使う材料であった。

 まず刀の修復。

 一見するとただの刀であるが材質が全く異なる。

 最高硬度の特殊金属、衝撃で折れない為の軟鉄など貴重なレア素材や、大気圏の熱量にも耐えられるように特殊コーティングなどの特殊強化まで惜し気もなく施されている。

 そして通常斬撃で金属を両断するという無茶苦茶を成し遂げるまでに至った。

 全てが持ち主の嗜好である。

 特殊コーティングに関しては問題はないにしろ、補修に使う金属素材がない。

 要らない武器やパーツ、コンテナ内で潰れているAFや壊れたらパーツをリサイクル素材として代用したくても適した材料が無かったのだ。

 同じく腕にしてもである。

 腕自体をくっ付ける為の金属素材は手元にあるのだが、油圧系統の高純度オイルがない。

 真壁の身体は第三世代のMⅡで、大味だが安定性のある旧式素体。

 委員長は第五世代MⅡ、高性能な電子機器を搭載している世代。

 当の社は実験技術を取り入れた試作型第六世代MⅡ。

 パーツなどの共有が出来ない、ワンオフタイプ特有の問題点を孕んでいた。

 

 未知の世界で生きる上で致命的な問題点。

 それをなんとかする為に真壁は今の自分に出来ることを隅から隅まで確認をしていた。

 同じく委員長もリンドブルレイアやジュニオから、この世界の事を聞いたり、今に至っては魔法について教わっている。趣味と実益の両立で飲み込みが早かい。


 「今は修復は断念するしかないわねぇ〜。少なくとも性能は落ちるけど代わり装備品はあることだし、そこで補いましょう。これなんかどう簡易義手。」


 社の千切れた腕の残りが光りのコードとなって消え、代わりに銀色に輝く腕が現れた。


 「これ、動きが鈍い。」


 「仕方ないわよ。それは射撃用だもの。近接適正は低いのは当たりまえ。一応頑丈なやつだけど無理に扱わないでよね。っておい、何木を殴り折ってんだ。」


 いつも通りのマイペースっぷりに真壁はアイテムボックスから取り出していたアイテムを社目掛けて全力で投擲する。

 しかし、死角から飛んで来たそれを社は難なく受け取った。


 「武器はそれでいいわよね。猫撫でちゃんのヒートソード。以前の大太刀に比べると長さが足りないけど。って、今度は何嫌そうな顔してんのよ。」


 「これ、直刀。反りがない。」


 「あんたねぇ…。時代劇好きだからって影響受け過ぎよ!趣味の否定はしないけど、花の女子高生なんだから、もうちょっとフレッシュにいきなさいよ!それに剣道だって竹刀って直刀でしょ?鹿島神宮の神剣だって直刀よ!一応、神社の巫女さんなんだから覚えておきなさい!」


 異世界生活が始まったまだ間もないのだが、現状の問題点よりも問題児を二人も子守りしなければいけないことを想像して真壁姉は頭を押さえる。

 そんな事を知ってか知らずか、少し離れた森で小さな爆発が起こったのだった。

日常生活の不安、ストレスで胃に穴が空いちゃいそうです。


個人的には全身擬態化したいですね。


妄想が膨らみます^ ^

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