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青い日常+2:猫神「シューティングスター」

暇つぶしにもならない小説ですいません。

「うわああああ!!」大我の叫び声が居間に響き渡る。

「どうした?そんなデカイ声をあげやがって」



「アオが・・・あのかわいらしいアオが・・こんなオッサンみたいな声で喋って・・・」

大我は後ずさりした。アオが先日喋ったというのは本当だったのだ。喋る猫なんて聞いた事がないし、何よりものすごく気持ち悪い。大我はショックやら、非現実的やらで

「アハハ〜コレは夢に違いないさ〜夢夢〜♪」

軽く壊れた。


 「おい、さっきから何アホなこと言ってるんだ?俺のメシはどこだよ?」

大我はとりあえず

 

「夢・・じゃなかった〜夢じゃない〜夢じゃなかった〜ってトトロのサツキとメイか!!」と一人でノリ突っ込みをした。再び居間に沈黙が漂う。しかしどうやら言葉は通じるようなので大我はとりあえずしゃべりかけてみた。


 「ねえ・・」


「うるせえな。腹減ってんだよ。まず飯だ」

あの可愛い声をしたアオはどこへいってしまったのだろうか。

(やけにえらそうだな・・)

大我もムッときたが話を聞くため仕方なく台所から猫缶をもってきて開けた。


「ほら持って来たぞ。今日昼の分をみどり姉ちゃんが出かける前においてってくれたろ?なんでこんな残ってんだよ」

  大我はもうこの空間を現実のものと認識して話すことにした。

 

するとアオは


「まずいんだよそれ。魚とか肉のフレークより、俺ァホントはグミの方が好きなんだよ。あのぷにぷにが」


 (グミが好きな猫なんて聞いたことねえよ・・)

大我はそう心でつぶやきながら、再び台所に戻ると「ドラえもん●ソートグミ」を持ってきて皿にあけて置いた。


 「ホラ」

「悪いな。うん・・・うまい」アオもやっと話を聞いてくれそうだ。

「でさあ」大我が再び喋り始めた。

「アオ・・・お前ってぶっちゃけ何なの?」はたから見ると青い猫のはずだが、喋ったりする猫なんてきっとただの猫ではないにちがいない。


 

 「まあ昨日来たが、自己紹介がまだだったな。俺の名前はシューティングスター。お前らはアオって勝手に呼んでるが、本名コレだから。これからはこの名前で呼んでくれ。まあ、何か猫かぶってるのダルイからこれからはぶっちゃけトークでいくから。よろしくな宝城大我」


 「あれ?なんで俺の名前・・」

「表札に二人の名字と名前が書いてあったのを見たからな・・」

ということは、昨日家に買い物から帰ってきたときから見ていたのだろうか。大我はちょっぴり不気味に思った。大我は再び質問した。



 「じゃあなんで喋れんの?しかもなんで昨日は俺達についてきたの?」


「いっぺんにきくなよややこしい。まあ、俺はこの町で祭られているいわゆる猫神ってやつだからな。人間の言葉を時代ごとに覚えなおし今は現代語を使っている。あと、勘違いするなよ。お前についていったんじゃなくて、みどりについていったんだからな」


どうやら猫神はとても女好きのようである。


 「猫神!?あの海猫町の伝説の!!?いや・・でもこんな女好きの親父臭い猫がそんな訳ないか・・」

 

「うっさいわ!俺はほんとに神様なんだよ。その証拠に伝説と同じように喋り、青い色をしてんだろうが。ったく」

 

「すげえなあ本物かよ・・。じゃあ願い事かなえてくれんの?」


「お前みたいなヤローにはかなえてやんねえよ。俺が願い事をかなえるのは若くて可愛い子だけだ」

 

「とんだ変態じゃねえか!あ、もしかして家にきたのも町一番の美人といわれるみどりねえちゃんをみかけて目当てにしたからだなあ!」


「そうだよ」

 アオ、いや、シューティングスターはしれっと答えた。

「即答かよ!とんだエロ猫め!出てけ出てけ!」

大我はすかさずシューティングスターを追い出そうとした。


 「まあいいじゃねえか。お前も恋とか、悩み事の解決とかなら気分が向けばかなえてやるからそれでガマンしろ」


 「なんだかなあ・・・ったく分かったよ。その代わりみどり姉ちゃんに何かあったら・・・」

「分かってるって、何もしねえよ」


「あと、外の人間にバレたら大騒ぎになるから、外では絶対に猫かぶってろよ!」


「分かったって。それよりビールと柿ピーねえか?あれ良く合うんだよ」

のらりくらりとして親父臭い・・・絶対に家にいたら嫌なやつだ。


 「どっちもねえよ・・お前若い女とか、柿ピーとビールとかホント親父だな」


「仕方ないだろオヤジみたくなるのも、もう覚えてねえくらい長く生きてるし」


「そんな生きてるのか・・・ほんとに神様なんだな」

大我もさすがにあの有名猫神だと思うとビビらずにはいられなかった。


「あと、どんな人間の姿にもなれるぜ。例えばホレ」

そういうといきなり煙が舞い上がった。よくあるパターンだ。


 すると煙の中から見覚えのある姿が。


「あっ!美月!!」

そこには制服を着た美月の姿をしたシューティングスターが立っていた。


「宝城君♪なんちゃってな」

声も姿も全く同じだが、口調は親父くさいシューティングスターそのものだった。


 「お前この娘好きなんだろ」

シューティングスターがにやけながら言った。


「何で知って・・・」大我は慌てて赤くなって言った。

そう、大我が学校の帰り道ににやけていたのも始業式で仲良くなった美月に恋をしたからなのだ。


 「まあ神様は何でもお見通しなんだよ。うわべだけでも一応主人だし、主人のことは知っておかないとな(ニヤリ)」


 そういうと、シューティングスターは再び変身して、今度は見知らぬ男の姿に変わった。

見た目は上下青いジンベエを着ていて、黒い角刈りに、すこし男前の顔をしている。


 「これが俺の一番お気に入りの姿だ」

「性格もオヤジなら、姿も同じだな・・」

大我は美月が目の前から消えて、一人のオヤジの姿になってしまったのでかなり萎えた。


 「ま、今の娘もかわいいが、みどりには敵わないぜ」

シューティングスターのその言葉に大我もイラッときて言い返した。


 「確かにそうだが、俺は美月の方が可愛いと思うね」

「いや、みどりちゃんだ!」

「いや、美月だ!」


 実際二人とも年が違うことをのぞけば、同じくらい美しい。ここからは好みの問題であった。

この後も二人は議論を続けて、やがて夜になった。


「あのなあ、みどりのあのスレンダーな肉体美にときめかない男がいるか!」


「いや、美月は足がかなりきれいで柔らかそうで、しかもやさしくて」

大我も熱くなって普段言わないような言葉まで口から出た。


 二人が言い合っていたときだった。居間の戸を開ける音がした。


「ただいま大ちゃん!今日は合コン断って帰ってきちゃった。男の人がしつこくて困っちゃって・・・・・・・・・・・・」


「あ、みどり姉ちゃんお帰り・・・どうしたの?・・あ、しまった!」

 みどりが帰ってくることをすっかり忘れていた大我はとりつく島もなく下を向いた。


「キャーーーー!不審者アアァ!」

そう叫ぶとみどりの武道の鉄拳でシューティングスターは壁に叩きつけられた。そしてあっという間に四の字固めをくらってしまった。


「いてててて!大我助けてくれ!!でも可愛い」

「キャー何コイツ!大ちゃん早くおまわりさん呼んでエー!」


 大我もこんなことを言うのは気が引けたが仕方ない。

「みどりねえちゃん止めたげて。それアオだから・・・・」大我は溜息をついて言った。


 「へ?」

部屋の居間に沈黙が漂った。

 

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