87 プレゼントケーキ
手作りケーキ( ´∀`)
「あの・・・お母様。これを」
友人との話が一段落する頃にローリエは自作のケーキを差し出した。本日のために俺がローリエに教えて作り上げた初めてのケーキだが、それに気づいたのかサーシャは少しだけ驚いてから聞いた。
「もしかして、これローリエが作ったのですか?」
「はい・・・お父様に教わって作りました」
「そう、とっても上手に出来てるわね」
そう言って頭を撫でるサーシャ。ローリエはそれに嬉しそうに微笑むが・・・俺はその光景に身悶えしそうになっていた。か、可愛ぇ!家の嫁と娘が可愛いすぎる!なんなのこの天使のような組み合わせ。これを見てるだけで苦労がすべて吹き飛ぶような気がする。
いつもの甘えてくるサーシャも好きだけどこういう母親らしい表情も凄くいい!ローリエも母親に誉められて嬉しそうにしてるし、やはり料理とは素晴らしいものだ。
「ふふ、随分と仲良しですわね」
「ええ、自慢の嫁と娘ですから」
意外なことに話しかけてきたのは王妃様だった。仲良くしてる二人を微笑ましげに見ながら王妃様は言った。
「ああしていると本当にそっくりですね。ローリエは昔のサーシャにそっくり」
「かもしれませんね」
「ええ、不器用で我慢強くて、どうしようもなく優しい・・・そんなところがそっくり」
流石長年の友人の王妃様には見抜かれているようなので、俺はそれに頷いてから言った。
「ええ、そんなところも可愛いですが」
「その様子だと本当にあの子達の欠点まで愛してそうですわね」
「欠点なんてないですよ。全てが好きですから」
弱さを欠点と言うなら、二人にはそんなものはない。仮にあってもそこまでの全てを含めて愛しているからだ。まあ、結局のところ、俺は二人のことが大好き過ぎるのだろう。そんな俺の言葉に王妃様はキョトンとしてからクスリと笑って言った。
「随分と変わったものですわ。あれだけ冷徹な《剣鬼》様が今では人が変わったように家族を愛する。いえ、本当に人が変わっていてもおかしくはないかしら」
女というのは本当に勘が鋭くて困る。母上といい、王妃様といい無自覚で異世界転生を察しているようなので本気で怖い。やはり女の勘というのはあまり侮ってはいけないだろう。
「まあ、今のあなたならサーシャを任せても問題はなさそうですね」
「恐れ入ります」
「もっとも、私よりサーシャを理解してるのはあなたのようですけれどね」
「否定はしません」
そう言いながら俺と王妃様はサーシャとローリエに温かな視線を向けているのだった。やはり嫁と娘は最高すぎる!




