76 嫁の誕生日を盛大に!
嫁の誕生日編
「今年こそ成し遂げる!」
「カリス様。あまり厨房で大声をあげないでください」
意気揚々と俺がそう言うとすかさずジークにそう注意される。
「だって、久しぶりの大きなイベントだし・・・」
「だとしても新しく入った使用人や奥様やお嬢様方に見られたら不審に思われますよ?今のカリス様は皆様の前ではカッコいいイメージなのですから」
「まるで今はダメみたいな言い方だが・・・」
ある意味事実なので否定はしない。まあ、流石に俺もこんなにノリノリなところを誰かに見られるわけには・・・あれ?そういえばいつだったか、鼻歌混じりで調理してるところをセリュー様に見られたような。ある意味手遅れなのかもしれないが、まあ、いいか。うん。
なにしろ・・・
「今年こそきちんとサーシャの誕生日を祝えるんだからな」
そう、去年は妊娠中だったので盛大にはできなかったサーシャの誕生日を今年は盛大に祝えるのだ。こんなに嬉しいことはないと俺は熱を込めて言うが、しかしジークはどこか冷めているように言った。
「それは大変おめでたいですが、カリス様・・・流石にこの年で誕生日を盛大に祝われるのはどうなんでしょう?」
「年っていってもサーシャはまだ若いだろ?」
「それはそうですが・・・」
何やら渋るように言葉を濁していたジークはやがて決意したのか素直な気持ちを話した。
「カリス様がこの手のイベントを起こすとまた何か別のイベントが平行しておきそうなので私としては不安なのですよ」
「それは私がトラブルメーカーとでも言いたいのか?」
「自覚があるようで何よりです。そういえばミント様、バジル様を奥様が宿したのも確か、お嬢様の誕生日だっと記憶しておりますが?」
そういえばそんなこともあったなぁと思っていると、ジークはため息をついて言った。
「まあ、私としては仕事を疎かにしなければいいのですが、カリス様がまた何かよからぬことを企まないか少し心配なのですよ」
「心外な」
確かにちょこっと出掛けてきてサーシャのプレゼントを調達して来ようかと思ってはいたけど、その程度で俺が何かトラブルをおこすわけないと謎の自信を持っているのが俺だ。
そもそも俺にとってトラブルというのはサーシャやローリエ達へと矛を向けなければトラブルにはならない。自分自身ならある程度対応できるしトラブルにはならないからだ。
「ジークさん、こちらにいましたか」
「む、何か用ですかミゲル」
執事服を着た少年、執事見習いのミゲルは厨房に俺がいるのを確認すると頭を下げてからジークに向かって言った。
「ジークさんに確認して欲しい資料がありまして・・・もしカリス様のご用があるようでしたら後でも構わないのですが」
「いや、問題ないよ。ジークこちらは大丈夫だからミゲルの用件を済ませるといい」
「・・・わかりました」
そう言ってからジークはため息をついて厨房から出ていく。ミゲルはもう一度俺に一礼してからその後に続くが・・にしても、ミゲルは仕事熱心で助かるねーっと思いながら、このマメさを恋愛にもいかせることを密かに願うのだった。




